【連載】植草一秀の「知られざる真実」

【連載】知られざる真実/2024年8月2日 (金)埋没免れない立憲民主代表選

植草一秀

2022年7月の参院選比例代表選挙。

政党別得票数は以下の通り。

自民  1826万
公明   618万

立民   677万
共産   362万
れいわ  232万
社民   126万

維新   785万

東京都の比例代表得票数は以下の通り。

自民  196万
公明   63万

立民   79万
共産   59万
れいわ  40万
社民   18万

維新   87万

7月7日の都知事選での得票数は以下の通り。

小池百合子 292万
石丸伸二  166万
蓮舫    128万

22年参院選での自公得票は259万。

これに対して立民と共産の得票は合わせて138万。

 

基礎票に100万票以上の開きがある。

自公陣営の候補に対抗して勝利するには野党共闘を構築することが必要不可欠。

立民・共産にれいわ、社民得票を加えれば186万になる。

都知事選では投票率が6割を超えた。

有権者数1135万人の1割が113万。

投票率が5割から6割に上昇する際の増加分である113万を186万に加えれば299万になる。

野党共闘を確立すること。

その上で、投票率上昇で新たに投票所に足を運ぶ有権者の投票を取り込むことで対与党での勝利が見えてくる。

しかし、立憲民主党単独では与党に勝利する力を有していない。

4月28日の衆院3補選で立憲民主党は3戦全勝を果たした。

しかし、勝利の要因は共産党の支援と反自公陣営の候補者乱立にあった。

立憲民主党の自力で勝利したものではない。

立憲民主党の凋落は2021年10月総選挙から始動している。

この選挙で立憲民主の枝野幸男氏が基本路線の全面転換を宣言した。

それは共産党を含む野党共闘路線からの決別だ。

 

枝野氏は2021年10月総選挙期間中に共闘の対象は連合と国民民主だと宣言した。

2017年に創設された立憲民主党が躍進して野党第一党に躍り出る原動力になったのは共産党の選挙協力だった。

主権者は共産党を含む野党共闘路線を支持して立憲民主党を支援した。

ところが、この路線を枝野氏が否定した。

背後には「勝共の連合」の画策があったと見られる。

しかし、枝野氏が野党共闘路線に背を向けた瞬間から立憲民主党の凋落が始動した。

2021年10月衆院総選挙に立憲民主党は大敗。

枝野代表は引責辞任した。

後継代表に就任したのが泉健太氏。

泉健太氏は反共路線をさらに強化した。

その結果、2022年7月参院選で立憲民主党はさらなる惨敗を喫したのである。

泉健太氏は引責辞任するべきだったが代表の座に居座った。

このなかで本年4月の衆院補選では共産党との選挙協力を実施して3勝を上げた。

しかし、その主因は共産との選挙協力である。

れいわ、社民を含めて野党共闘を構築しなければ政権交代の見通しは見えてこない。

ところが、立憲民主党は反共=勝共に軸足を置こうとしている。

9月の代表選で明確な路線論争が提示される状況も示されていない。

次期総選挙を契機に立憲民主党が解党に向かう可能性が高まっている。

 

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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