【特集】沖縄の日本復帰50周年を問い直す

琉球弧「非戦」宣言を拡げよう

宮城恵美子

戦後の沖縄は日米安保体制の矛盾を一身に背負わされ、常にその矛盾との闘いの戦闘に立たされている。現在もそれは変わらない。

それどころか、安保体制を国家安定装置として揺るぎないもののように扱い、「異論」を聞き入れず、対話も排除しながら、国土面積0.6%の沖縄に7割以上の米軍基地負担を押し付ける日本政府はおかしいと思わないのか。

安保が「国体」であるかのように絶対視していながら基地負担を対等に分担することをなぜしないのか。日本本土では戦後、米軍基地を分担した時には激しい反基地運動が起こり、統治が不安定になった。だから本土に基地を置くには政治的リスクが高いのだ。識者はそのように分析してきた。

誤りではないが、それ程、沖縄県民が嫌う米軍基地であっても置き続けたい理由は何か。それにも自発的に米軍に従属したい人がいるからだという。米軍の言いなりになって従属することで利益を分配し合う層がある。既得権益層にお金が回る基地の利権に群がる。辺野古の新基地建設が遅れればその分収入が切れないのでありがたいのだ。

だから米軍基地を米軍の袖にすがってでも日本いや沖縄に米軍基地を置いてくれと依存する層がいる。それでいて政治家は自分の足元には置かない。置くのは叩いても足蹴にして構わない沖縄に置くのだ。沖縄の連中は二流国民だと、基地闘争頑張ってねと。これこそが、差別以外の何ものでもないはずだ。

People are marching on strike against racism in the city. They are holding cardboard signs.

 

差別者に成り下がった人々には民主主義とか平和とか語る資格は無いのではないかと思うがいかがですか。他者への思いやりも尊厳もない、沖縄ならば構わないという感性の人たちはまともな民主主義社会の担い手になれるのであろうか。

米軍基地負担のみを語っているのではない。現在は米軍が平然と基地のフェンス以外を闊歩している最中、最近は自衛隊員の増加が著しい。自衛隊ミサイル部隊を琉球弧に配備し、軍事要塞化による中国への威嚇行動を日米で行っている。着実に基地建設が進んでいる。

1990年代後半から始まった普天間飛行場移設先に辺野古に新基地を強要する言葉が「辺野古唯一」だ。自公政権いずれもマニュアル通り「辺野古唯一」ということで、もしや違うフレーズで口を滑らせて本音が出ないように用心しているのであろうか。国民騙しの言質で米国に忖度し従属する道を選んだ為政者の恥ずべき姿が見える。

「連合」のように政府ににじり寄る労働組合もある。「連合」を当てして、自由に発想できずにそこの顔色を窺いながら政権交代を叫ぶ政党もある。この国に未来はあるのか。今は判断を棚上げするしかない。

現在進行している事態は、中国を威嚇する日米共同訓練、共同戦略の活動である。現在、中国が気持ちを抑えていても、日米の挑発に乗ってしまわないとも限らない。

露骨に挑発しているのは、基地を造っている日米である。琉球弧に自衛隊が必要ですか。救援部隊で恩恵をもたらすと説く「ネット族」がいるが間違いです。自衛隊も本質は軍隊なのです。そして「ネット族」は米軍が安保条約で日本を守ると言いますがそれも間違っています。

米国はEABO(前進基地)戦略で米軍は自衛隊と共に琉球弧の水の補給が可能な40の島を島伝いに移動しながら訓練するが、いざ「有事」になると、自衛隊を島に残して米軍主要部隊は琉球弧から離れると述べています。グアムかハワイもっと奥、カリフォルニアまで撤退するという約束ができているのである。米軍は明らかに日中代理戦争を想定しているのだ。自衛隊に戦わせ、島々では住民が盾になる。軍民混在させる。

まさにウクライナのアゾフ連隊が建物にこもる時にウクライナ一般住民を盾にして立てこもったように、現地人を矢面に立たせる。ウクライナ戦争は、沖縄戦の再来を防ぐ教訓を見せている。

西欧の状況を見てみよう。ウクライナではロシア系住民への弾圧・虐殺が8年間も繰り返されていた。ロシアは何らかの手を打たねばロシア系住民の虐殺をタダ見過ごすことになる。米と西側諸国がロシアを挑発していたのである。ロシアの切羽詰まった行動が2月24日の特別軍事行動(戦争)である。

冷戦後の1990年代からウクライナを拠点に、米や西側諸国が生物化学研究所を十数カ所も置いたり、ナチス志向の「愚連隊的」な人々が入り込んで軍事活動をしたりするなど、ウクライナを活動拠点にした動きが幾つもみられる。また、米国内には傭兵雇用会社も複数存在し派遣を行っている。

傭兵を送り込んで死亡しても「戦死」にカウントされないので、戦死者数にこだわりの強い米国民の目を逸らすことができるという情報も入っている。そして最新ドローン技術で米国からでもウクラウイナでドローンをコントロールできる技術が開発されており、テレビでも見せている。いわば最新武器の実験場、試用運転がなされている。無人殺戮技術の開発の場である。

世論を盛り上げて、現在、ウクライナ国民に「戦い続けろ!」、「降伏するな!」と「エール」が起こっている。西側諸国は武器供与を繰り返し、ウクライナ人の命を使いきる戦争は長引く程に軍産複合体が潤う「戦争特需」が生まれる。米国や軍需産業、ネオコンなどの金儲けを続けるシステムとしてウクライナを利用している。

同じことが日本・特に沖縄でも起こりかねない。「台湾有事は日本有事」と、中国敵視発言を繰り返す安倍晋三氏は首相をやめてからも発言力は衰えていない。誰も安倍氏の口を封じられないのが、この国の悲劇であり、それが既得権層の本音なのだろう。

米中対立をあおって、紛争を起こすが、その後、米は引っ込む算段である。自衛隊が矢面に立つその横にウチナーンチュが盾にされる。日中代理戦争を沖縄で行わせ、その戦の様子を霞が関で見ていて、為政者は対策を練る時間があり、最初の犠牲者はウチナーンチュだ。

米ロ対立の間にウクライナ人を挟むのと同様に米中対立の間に琉球弧・ウチナーンチュを置くであろう。ウクライナで米は無傷であるのと同じように琉球弧の戦場でも米は無傷であろう。人間の盾を置いて金儲けをする人がいる。人の命などどうでもいい人がいるということに気付かねばならない。

お金こそ「最高の価値」の人には命の尊さが分からない。人への差別意識で満たされて、どうでもいい命が彼らにはある。それがアジア人か日本人か知れない。しかし、日本人にもヤマト民族でないウチナーンチュの命は軽いと思っている人がいる。悲しいがそれがある。

去る沖縄戦では日本本土の「捨て石」に沖縄はされた。戦況をうかがい、「降伏すべき」時があっても天皇の新居住地、長野県の松代の建設が間に合わないから、沖縄戦を「引っ張った」。早く終われば死ななかった命までも次々と落とさせてでも国体護持にこだわった日本。その恨みが沖縄にはある。小さい島での長期戦で住民の4人に1人が命を落とした。

Okinawa world war II battle

 

天皇の「国体」護持を絶対視した当時の日本人は、急転直下、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)占領後は安保が「国体」に代わり日米安保条約絶対とばかりに米軍忖度に励んでいる。論理性も見えない非論理国の日本が米軍の指図で行う、「南西シフト」という名の米軍・自衛隊合同演習、米軍自衛隊施設の共同使用等の意義を本当に説明できますか。根本原理から問いたい。

「正義と秩序」はあるのか。「国際平和を希求」しているのか。「国権の発動」を止めているか。「武力による威嚇」を止めているか。「武力の行使」を止めているか。「国際紛争を解決する手段に」対話をしているか。これらは日本国憲法9条第1項に規定されている。「南西シフト」は日本国憲法9条第1項に違反している。よって軍事要塞化を即時やめるべきである。止めることは日本国憲法の要請である。

People are marching on strike against war in the city. They are holding cardboard signs. Detail of the hands holding the posters.

 

沖縄のような小さな島では絶対非軍事で生きるしか道は無い。軍隊を地域に入れてはいけない。戦争とは無縁の社会にしていかなければ持続可能な社会にはなれない。非戦の島として生きると宣言したい。非戦宣言をしよう。そのためにも自衛隊は撤退していただきたい。「軍隊は住民を守らない」という言葉は沖縄戦の教訓である。

そして、いくら時間がかかっても安保条約撤廃の方向性を切り開いていきたい。日本政府は沖縄から自衛隊を撤退させてください。これは日本国憲法にかなった道理である。

 

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宮城恵美子 宮城恵美子

独立言論フォーラム・理事。那覇市出身、(財)雇用開発推進機構勤務時は『沖縄産業雇用白書』の執筆・監修に携わり、後、琉球大学准教授(雇用環境論・平和論等)に就く。退職後、那覇市議会議員を務め、現在、沖縄市民連絡会共同世話人で、市民運動には金武湾反CTS闘争以来継続参加。著書は『若者の未來をひらく』(なんよう文庫2005年)、『沖縄のエコツーリズムの可能性』(なんよう文庫2006年)等がある。

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