【連載】知られざる地政学(塩原俊彦)

「知られざる地政学」連載(56):ウクライナ戦争のいま:ロシア深部攻撃とロシアの核兵器使用(下)

塩原俊彦

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プーチンの堪忍袋

代理戦争を戦うウクライナはこれまで、米主導のNATO加盟国から大量の武器支援を受けてきた。プーチンは2022年2月24日早朝の演説で、ウクライナ侵攻の決定を発表した際、ロシアの行動を妨害しようとする国は「歴史上見たこともないような結果」に直面すると警告した。しかし、現実はこれまでのところ、そうはなっていない。

代理戦争である以上、ウクライナ軍が劣勢になればなるほど、NATOからウクライナに供給される武器はより強力でより長距離射程のものになった。そうした支援に支えられて、ウクライナはすでにロシアが表向き主張してきた「レッドライン」を何度も越えてきた。
たとえば、ロシアの黒海の旗艦「モスクワ」の撃沈、2022年のクリミア橋爆破、セヴァストーポリの艦隊司令部に対するミサイル「ストームシャドウ」攻撃、2023年のクレムリンとモスクワに対する無人機攻撃、ロシア領内の宣伝工作員の暗殺、ロシア領内深部にある空軍基地に対する攻撃などがみなそうである。ウクライナには、当初、供給に慎重だった高機動ロケット砲システム(HIMARS)、米主力戦車「エイブラムス」、ATACMS、F-16などもすでにウクライナの手中にある。ただ、一部について、攻撃射程距離の制限を設けているにすぎない。

さらに、ウクライナ軍は2024年8月6日から、「奇襲攻撃」によってロシア領内のクルスク州などに侵入した。「現代ビジネス」において公表した拙稿「「越境攻撃」と称される「ウクライナ版・真珠湾攻撃」……最後はロシアの核兵器を浴びるぞ」に記したように、これは日本軍による真珠湾攻撃に匹敵する愚行であり、後述するように、ロシアが核兵器を使ってウクライナに「復讐」する心理的ハードルを大きく引き下げた出来事であった。

こうなると、プーチンの堪忍袋の緒が切れる時期が迫っているのではないかと懸念される。もっとも近い将来において危ぶまれるのは、イランにロシアの最新兵器を供与して、イランに中東にある米軍基地を攻撃してもらうことかもしれない。

核ドクトリンの変更

別の拙稿「「プーチンの核」がひたひた迫ってきた…どうする、アメリカ!?」に書いたように、プーチンは核兵器使用の原則を定めた核ドクトリンの変更作業を本格化させている。

そこで、この問題について少し詳しく考察してみよう。

現在、ロシアは核ドクトリンとして、2020年6月2日付の大統領令によって承認された「核抑止力分野におけるロシア連邦の国家政策の基礎」にある条件を適用している。第19項に書かれた、その使用条件は、①ロシア連邦および(または)その同盟国の領土を攻撃する弾道ミサイルの発射に関する信頼できる情報の受領、②敵がロシア連邦および(または)その同盟国の領土で核兵器やその他の大量破壊兵器を使用すること、③敵がロシア連邦の重要な国家施設や軍事施設に影響を及ぼし、それが機能停止することで核戦力の対応が混乱する、④国家の存立が脅かされる場合における通常兵器の使用によるロシア連邦への侵略――という4条件だ。
まず、核兵器使用にかかわるプーチンの過去の言動(2022年以降)を紹介してみよう。

1.2022年2月7日、プーチンは国防相と参謀総長に「ロシア軍の抑止力を特殊戦闘任務モードに移行する」よう命じた。だが、その6か月後、脅迫的な言葉は戦略ロケット軍の戦闘要員を増員するという決定を覆い隠すためのものに過ぎなかったことが明らかになる。

2.2022年9月、プーチンは「我が国の領土保全が脅かされるのであれば、ロシアと国民を守るためにあらゆる手段を講じることは疑いようがない。これはハッタリではない」とのべた。数日後、同大統領は、米国が1945年に日本に2発の原子爆弾を投下したことは前例をつくったと明言した。

3.2023年2月、ロシアは、相互に配備できる核弾頭の数を制限する米ロ間の新戦略兵器削減条約(New START)への参加を停止すると発表した。

4.2023年3月、ロシアは、ウクライナと国境を接する同盟国ベラルーシと、戦術核兵器をそこに配備する協定を結んだと発表した。戦術核兵器は、戦略核兵器が敵の都市を破壊するために長距離にわたって発射されることを目的としているのとは異なり、近接戦闘を含む戦場において使用される。

5.2023年10月、プーチンは、もし他国が核兵器で攻撃してきた場合、ロシアは一瞬のうちに数百発の核兵器で反撃するため、核戦略を修正する必要はないとのべた。「健全な精神と明晰な記憶をもつ人間であれば、ロシアに対して核兵器を使用しようなどとは思わないだろう」とした。

6.2023年11月2日、プーチンは包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を撤回する法律に署名した。

7.2024年2月、プーチンは近代化されたTu-160M核戦略爆撃機に短時間搭乗した。数日後、ウクライナに軍隊を派遣すれば核戦争を招く危険があると、欧米諸国に警告した。

8.2024年3月、プーチンはインタビューで「ロシアは核戦争の準備ができているか」と問われ、「軍事技術的な観点から言えば、もちろん準備はできている」と答えた。しかし、ウクライナで核兵器を使用する必要性を感じたことは一度もないとも付け加えた。

9.2024年5月末、ロシアは核戦争の口実となる、非常に現実的な開戦理由を手に入れた。5月23日と26日、ウクライナはアルマヴィルとオルスクのミサイル攻撃早期警戒レーダー2基を攻撃し、モスクワがそれらを敵対行為に使用していると主張した。これは、核ドクトリンの第三番目の条件に適合する可能性があった。

10.2024年6月20日、ベトナム訪問後の記者会見で、プーチンは、ロシアは核ドクトリンの変更の可能性について考えていると発言した。このとき、プーチンは、「核兵器使用の閾値を下げる」ことに関連する新たな要素が出現したためだと説明した。これは、「超低出力の爆発性核兵器」の開発に関するものとされており、この小型核兵器の使用のための条件変更の必要性を示唆していたとされる。
どうだろうか。普通に考えれば、代理戦争によってウクライナが傍若無人な攻撃を加えれば加えるほど、戦争の泥沼化が進む。この代理戦争を終結するには、かつてアメリカが日本に核兵器を2回も使ったように、もはや小型の戦術核兵器を使う道を模索しはじめているようにみえないか。

核ドクトリンを変更し、核兵器使用の閾値を下げる場合、たとえば、核兵器使用の条件の一つとして、「国家の存立に対する脅威」の代わりに、「国の重要な利益に対する脅威」を挙げる方法がある。あるいは、ドクトリンには、2009年に当時のニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記が提案したような、局地紛争の過程における予防核攻撃の可能性に関する条項が盛り込まれる可能性がある(いずれも、論文「核のエスカレーションの階梯」を参照)。

ほぼ確実なのは核実験の再開である。常識として心に留めていなければならないのは、NYTに掲載された、つぎの記述である。
「強硬派は、ウクライナ戦争に介入しないよう他国を脅すために核のサーベルを鳴らしてきた。ウクライナで、ヨーロッパで、あるいはシベリア上空での実験かもしれないが、原爆の爆発はロシアの力に対する西側の恐怖を復活させる確実な手段だと主張している。」
この強硬派の代表格、政治学者セルゲイ・カラガノフのインタビューが2024年9月12日付「コメルサント」の1面に掲載されている。つぎの発言は勇ましく響く。

「我が国の領土に対するいかなる大規模な攻撃に対しても、核攻撃で対応する権利を有することを宣言する時である。これは、我が国の領土を占領された場合にも当てはまる。同時に(ドクトリンに)「核のエスカレーション」という概念を導入し、そのような措置の前に、(核兵器を使用する)準備が整っていることを条件付きまたは現実の敵に確信させるような措置を講じる必要がある。」
「そして今、米国が率いる核武装したNATOは、ウクライナの大砲の餌を使って、我々に対して全面戦争を仕掛けている。間もなく、この狂気を止めなければ、彼らは他の国々にも餌を与えはじめるだろう。」

ただし、ロシアの公式見解は、強硬派のカラガノフの見解とは大きく異なっている。2024年5月16日付でプーチンと中国の習近平国家主席が発表した共同声明には、「両締約国は、2022年1月3日の「核戦争の予防と軍拡競争の回避に関する核保有5カ国首脳の共同声明」へのコミットメントを再確認し、とりわけ、核戦争に勝者は存在せず、核戦争は決して行われるべきではないという前提を再確認し、この文書のすべての締約国に対し、その規定に実際に従うよう改めて要請する」と書かれている。

中国は同年7月、ロシアと他の核保有国に対し、核兵器の先制使用の放棄を再び提案したし、9月には、中国外務省は、「核兵器は使用されるべきではなく、核戦争は行われるべきではない」とのべている。つまり、対中関係を重視すると、そう簡単に核兵器使用はできない。だが、ロシア国内の強硬派は怒り狂っている。

紹介したインタビューのなかで、カラガノフは「核ドクトリンを強化することが必要なだけでなく、ロシア指導部が(核兵器を)使用する用意があると明確に表明することが重要だ」とのべた後、「誰に使うのか?」と尋ねられ、「NATOのウクライナ侵略を支持する国々だ」と明言している。さらに、つぎのように話した。

「エスカレーションの理論によれば、核攻撃までにはあと10~15段階ほど進む必要があり、今のところ5段階しか進んでいない。しかし次は、キエフ政権への供給で重要な役割を果たしているNATO諸国の施設を攻撃する必要があるのは明らかだ。それでも阻止できなければ、次に進む。」

「フィナンシャル・タイムズ」の外交担当コメンテーター、ギデオン・ラックマンは、8月26日、「ウクライナはモスクワとワシントンのレッドラインを越えた」という記事を公表した。彼は、紛争勃発当初、ジョー・バイデン大統領が同政権に二つの目標を定めたことを振り返っている。一つ目はウクライナを支援すること、二つ目は第三次世界大戦を回避することだった。当然、この二つの目標のどちらかを選ばなければならないとしたら、アメリカは明らかに後者を選ぶだろう。興味深いのは、ラックマンが、「ニューヨーク・タイムズ」の安全保障担当のデイヴィド・サンガー記者が近著(New Cold Wars)の記述を紹介している点だ。そのなかで、バイデン大統領が側近に、ゼレンスキー大統領が意図的に米国を第三次世界大戦に引きずり込もうとしている可能性を示唆したこともあると、サンガーが書いているという。自分の権力を守るためなら、世界中の人々を巻き込む第三次世界大戦が起きてもかまわないというのがゼレンスキーの本質かもしれないことをぜひ記憶にとどめてほしい。

ロシアへの深部攻撃はロシア国内の強硬派を勢いづけるのは確実だから、いよいよゼレンスキーの悪だくみが現実味を帯びることになりかねないのである。

プーチンの9月12日の発言

だからこそ、今度はプーチン大統領自身がきわめて厳しい発言をした。プーチンは9月12日、米国とその西側同盟国に対し、ウクライナがロシアの奥深くまで武器を撃ち込むことを許せば、自国をNATOと「戦争状態」に追い込むことになると警告したのである。その内容がセンセーショナルであったため、NYTはその発言の全文を英語に翻訳して公表したほどだ。

ここでは、クレムリンのサイトで公開されたロシア語の翻訳を紹介してみよう。

質問:「ここ数日、英国や米国では、キエフ政権が西側の長距離兵器でロシア領土の奥深くまで攻撃できるようになるという話を非常に高いレベルで見聞きしている。そして、この決定は間もなく下されようとしているか、どうやらすでに下されたようだ。もちろん、これは異常なことだ。何が起きているのか、コメントをお願いしたい。」

プーチンの答え:「概念をすり替えようとしている。我々は、キエフ政権がロシア領内を攻撃することを許すとか許さないとかいう話をしているのではない。キエフ政権はすでに無人航空機やその他の手段を使って攻撃を行っている。しかし、欧米製の長距離精密兵器の使用となると、話はまったく違ってくる。

このことはすでに述べたし、専門家であれば誰でも、わが国でも西側諸国でも認めていることだが、ウクライナ軍には西側諸国製の最新の長距離精密システムで攻撃する能力はない。そんなことはできない。これは人工衛星からの情報によってのみ可能なことであり、ウクライナは人工衛星を持っていない。これが第一のポイントだ。

二つ目は、非常に重要で、おそらくカギを握っていることだが、NATO軍人のみがこれらのミサイル・システムの飛行任務に就くことができるということだ。ウクライナの軍人はこれができない。

つまりこれは、ウクライナ政権がこれらの武器でロシアを攻撃することを認めるかどうかという話ではない。これは、NATO諸国が軍事衝突に直接関与するかどうかを決めることなのだ。

この決定が下されれば、NATO諸国、米国、欧州諸国がウクライナ戦争に直接参加することにほかならない。これは彼らの直接参加であり、もちろん紛争の本質と性質を大きく変えるものだ。

これは、NATO諸国、米国、欧州諸国がロシアと戦争状態にあることを意味する。もしそうであれば、この紛争の本質が変わることを念頭に置きながら、われわれは、われわれに突きつけられる脅威に基づいて適切な決断を下すことになる。」

この発言についで、9月13日になると、ロシアは、バイデン大統領とスターマー英首相によるホワイトハウスでの重要な会談を前に、6人のイギリス人外交官をスパイ行為で非難し、外交官認定を剥奪したと発表した。

どうだろうか。いよいよプーチンの怒りが沸点に達しようとしているように思えてくる。ただ、ロシア領内のタタールスタン共和国の首都カザンで10月22日から24日に第14回BRICSサミットが予定されているから、それまでに、核実験を含めて、核兵器の使用が実際に起きるとは思えない。ただし、その実施可能性は着実に近づいていると言えるだろう。

もちろん、11月には米大統領選が実施されるから、その結果をみてから、プーチンはつぎの一手を考えることになるだろう。心に留めてほしいのは、拙著『復讐としてのウクライナ戦争』で明らかにしたように、人間の心理面の動きである。ロシアへの奇襲攻撃、そして深部攻撃となれば、もう核兵器によって復讐するしかないと考えでも不思議ではないのだ。とくに、ロシア国内の強硬派の意見がそれを後押しすれば、なおさらである。

J・D・ヴァンスの明かした和平案

ここまでの説明でわかってほしいのは、ウクライナ戦争が「自衛戦争」から「代理戦争」と変質し、ロシアの弱体化のためのアメリカ主導のNATOとロシアとの戦争になっている点である。思い出してほしいのは、共和党の副大統領候補J・D・ヴァンスが2022年3月、トランプ政権で一時首席戦略官だったスティーブ・バノンとのインタビューで、ウクライナ支援に反対する理由を説明するために、「自国の問題を抱えながら、戦争に踏み込んで多くの国民を殺戮し、戦争の穴にますます多くの資金を注ぎ込むほど、向こうで起こっていることには関心がない」とのべたことである。この時点で、和平協定締結によって自衛戦争を終結させていれば、アメリカの代理としてウクライナが戦争を継続することもなく、アメリカ国民の税金をウクライナ戦争に投じる必要もなかったのである。その意味で、この時点でのヴァンス発言はきわめて真っ当なものだった。

実は、戦争を継続しても、クリミア半島の奪還やドンバスからロシアを追い出すことはきわめて困難であることはわかっていたはずである。軍事専門家であれば、塹壕と要塞によって守られた領土を突破するには、防衛側の兵力の少なくとも3倍の兵士を要し、陸と空からの連携のとれた攻撃が不可欠だ。そんな力がウクライナ軍にあると思う専門家はいなかったはずだ。

こう考えると、「ウクライナとロシアは2022年5月か6月には和平協定を結べたのかもしれないにもかかわらず、戦争を継続したこと自体が大失態だった」と断言できる。事実、自衛戦争が代理戦争に変質して以降、ウクライナは大した戦果をあげていない。それどころか、この大失態の責任を問われないようにするために、もはや戦争継続が目的化している。戦争をつづけていれば、ゼレンスキーは大統領をつづけられるし、バイデン政権の責任を問われることもない。しかし、その間、ウクライナの国民の生命と財産は軽視され、数十万人が死傷し、数百万人が避難民となった。

本来、即時停戦を実施し、ウクライナ和平をもたらすべきなのに、代理戦争はそれを許さない。当事者であるウクライナのゼレンスキー政権自体がアメリカのバイデン政権と結託し、ウクライナ戦争を政治的に利用している結果、「ウクライナはどうでもいい」という状況がますます深まっている。

こうしたウクライナ戦争の真の構図を理解しているヴァンスは最近になって、ポッドキャスト「ショーン・ライアン・ショー」のなかで、彼の考えるウクライナ和平案の概要を明らかにした(ビデオの14分以降を参照)。

ロシア側は奪った土地を保持し、現在の戦線に沿って非武装地帯を設け、ウクライナ側はロシアの再侵攻を防ぐために厳重に要塞化する。ウクライナの残りは独立した主権国家として残るが、ロシアはウクライナから「中立の保証」を得ることになる――というのがそれである。「ウクライナはNATOに加盟するわけでもなく、このような同盟機関に加盟するわけでもない」と、ヴァンスは語った。

ウクライナ戦争を停止するには、代理戦争の目的である、ロシアの弱体化に終止符を打つことが大前提となる。それは、欧米諸国によるウクライナへの軍事支援の停止を意味している(ヨーロッパだけでウクライナを軍事支援しつづけることは困難であり、その負担に耐えられないだろう)。そのためには、ウクライナの自衛権を守りつつ、ロシアの主張を一部認めることが必要になる。とくに、ウクライナのNATO加盟を認めないという点が重要なカギを握っている。

この提案に対して、①ウクライナ問題の元凶ともいえるヴィクトリア・ヌーランドコロンビア大学教授は、大規模な国際平和維持軍に対する意欲が乏しいことを踏まえ、だれが非武装地帯を強制するのかという疑問を呈している、②保守系シンクタンク、ハドソン研究所のルーク・コフィー上級研究員は、ヴァンスの提案の問題点はウクライナ人の意思を無視していることだ――として批判している(NYTを参照)。

他方で、トランプ政権時代に国防総省高官だったエルブリッジ・A・コルビーはヴァンスの提案を現実的なものとして評価している。
もちろん、私はヴァンスの提案に賛成である。ウクライナにおける代理戦争を停止するという視角があれば、自ずとそのための解決法はみえてくる。ウクライナに代理戦争をさせるのを止めればいいだけの話なのだ。そのためには、アメリカの政権が変わらなければならないという話になる。

バイデン政権がウクライナに代理戦争を強いたことで、多数の死傷者が出ただけでなく、ウクライナの国土は荒廃をきわめた。その責任の多くは2022年夏に和平協定を結ばなかったゼレンスキーと、そうするように促したバイデンにある。

もちろん、ウクライナ侵略をはじめたプーチンもまた大きな責任を負っている。しかし、欧米やの日本の大多数はゼレンスキーやバイデンの責任の大きさについて語らない。そこには、民主主義はない。民主主義を守ると言っておきながら、情報統制のもとで、私のような意見が封殺されているからだ。

拙著『帝国主義アメリカの野望』の「あとがき」に書いたように、私たちはまさに「戦前」を生きていると指摘しなければならない。

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塩原俊彦 塩原俊彦

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士。評論家。 著書:(2024年6月に社会評論社から『帝国主義アメリカの野望:リベラルデモクラシーの仮面を剥ぐ』を刊行) 【ウクライナ】 『ウクライナ戦争をどうみるか』(花伝社、2023)、『復讐としてのウクライナ戦争』(社会評論社、2022)『ウクライナ3.0』(同、2022)、『ウクライナ2.0』(同、2015)、『ウクライナ・ゲート』(同、2014) 【ロシア】 『プーチン3.0』(社会評論社、2022)、『プーチン露大統領とその仲間たち』(同、2016)、『プーチン2.0』(東洋書店、2012)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(岩波書店、2009)、『ネオ KGB 帝国:ロシアの闇に迫る』(東洋書店、2008)、『ロシア経済の真実』(東洋経済新報社、2005)、『現代ロシアの経済構造』(慶應義塾大学出版会、2004)、『ロシアの軍需産業』(岩波新書、2003)などがある。 【エネルギー】 『核なき世界論』(東洋書店、2010)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局、2007)などがある。 【権力】 『なぜ「官僚」は腐敗するのか』(潮出版社、2018)、『官僚の世界史:腐敗の構造』(社会評論社、2016)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた:官僚支配の民主主義』(ポプラ社、2016)、Anti-Corruption Policies(Maruzen Planet、2013)などがある。 【サイバー空間】 『サイバー空間における覇権争奪:個人・国家・産業・法規制のゆくえ』(社会評論社、2019)がある。 【地政学】 『知られざる地政学』〈上下巻〉(社会評論社、2023)がある。

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