【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2024.09.18 櫻井春彦 :好戦的な政策で墓穴を掘り、窮地に陥った欧米やイスラエル

櫻井春彦

イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)が9月15日、イスラエルのテル・アビブをミサイルで攻撃した。イエメン軍のヤヒヤ・サリー報道官によると、テル・アビブ南部の軍事施設が目標だったという。

イスラエルが誇る防空システム、アイアン・ドームを突破した「パレスチナ2」と名付けられたこのミサイルは2040キロメートルを11分半で飛行したとされているので、時速1万1000キロメートル近く、つまりマッハ8以上ということになる。極超音波ミサイルだ。

イエメン側の主張によるとこのミサイルの射程距離は2150キロメートルで、固体燃料を2段階で作動させる2段式固体燃料ミサイルで、ステルスだという。マッハ16の速度で飛行するというが、これは最高速度という意味だろう。

すでにヒズボラやイランはアイアン・ドームを突破できる能力があることは明らかにされている。例えば、4月1日にイスラエル軍がシリアのイラン領事館を攻撃、IRGC(イスラム革命防衛隊)の上級司令官や副官を含む将校7名を殺害した報復としてイランは4月13日、ドローンやミサイルでイスラエルのネバティム空軍基地、ラモン空軍基地、そしてハルケレン山頂にある「サイト512」基地のAN/TPY-2 Xバンドレーダー施設を攻撃した。大半のミサイルはアイアン・ドームや西側諸国の防空システムを突破、目標にヒットしたと伝えられている。

イスラエルは7月30日にヒズボラの幹部、フアード・シュクルを殺害したが、それに対する報復としてヒズボラは8月25日にレバノンからイスラエルに占領されている地域をミサイルとドローンで報復攻撃した。数百のミサイルを発射してアイアン・ドームと迎撃ミサイルを消耗させた上で無数のドローンを目標に向かわせたという。

ヒズボラによると、この攻撃で目標にしたテル・アビブ近くにあるグリロット基地はイスラエル軍情報部アマンの拠点であり、電子情報機関の8200部隊も入っている。イスラエル側は被害に関する情報の発信を禁止しているが、ヒズボラの情報は事実だと見られている。

イスラエルが誇ってきた防空システムのアイアン・ドームの無力さが明らかにされる中、アンサール・アッラーはテル・アビブを極超音速ミサイル攻撃したわけだが、これをイエメンが独自で開発した可能性は小さい。イランかロシアが供与したと推測されている。イランはイスラエルへの報復の一環として供与する可能性があり、ロシアは米英政府がウクライナに長距離ミサイルをロシア深奥部への攻撃に使う許可を出したことに対する報復として渡す可能性がある。

※本稿は、櫻井ジャーナルhttps://plaza.rakuten.co.jp/condor33/の下記の記事からの転載であることをお断りします。

「好戦的な政策で墓穴を掘り、窮地に陥った欧米やイスラエル」
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202409180000/

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