【連載】植草一秀の「知られざる真実」

【連載】知られざる真実/2024年9月25日 (水)征服という意のノーサイド

植草一秀

立憲民主党が新しい党首を選出したが期待感はまったく広がっていない。

野田佳彦氏は9月23日に新党首に選出された直後のあいさつで「ノーサイド」を宣言したが、「ノーサイド」の意味を理解していないように見える。

野田氏の理解では「ノーサイド」は「征服」。

自分が勝利したのだから自分が立憲民主党を征服した。

自分の一存ですべてを決められると勘違いしているようだ。

安倍元首相は選挙で選ばれた政権は憲法も変えられるとの考えを示して憲法改正手続きを踏まずに憲法の内容を改変した。

選挙を通じて創設された内閣であっても憲法の前には従順でなければならない。

これが立憲主義の考え方。

権力の暴走を防ぐために憲法が存在する。

その立憲主義の根幹さえ安倍元首相は理解していなかったように思われる。

この安倍晋三氏と通じるのが野田佳彦氏。

二枚舌も共通している。

安倍自民党は2012年12月の総選挙に際して

「TPP断固反対」と大書きしたポスターを貼り巡らせた。

この選挙が終わって3か月も経たない2013年3月15日、安倍首相はTPP交渉への参加を表明した。

野田佳彦氏は2009年8月15日の街頭演説で消費税増税阻止を声高に訴えた。

 

「シロアリを退治しないで消費税を上げることは許されない」

と声を張り上げた。

その野田佳彦氏が2012年8月に消費税大増税法制定を強行。

これに反対したのが「真正民主党」の議員だった。

野田民主が消費税大増税法制定を強行したことに抗議して離党。

国会議員50人規模の新党「国民の生活が第一」=小沢新党を結党した。

野田佳彦氏は2012年12月に総選挙を挙行。

最大の目的は小沢新党に巨額の政党交付金が渡るのを阻止すること。

民主党自身も崩壊して大政奉還が実行された。

野田佳彦氏は消費税大増税法制定を強行して政権を安倍自民に献上した。

民主党が凋落の一途を辿った主因は「消費税増税を認めない」との公約を踏みにじり、消費税大増税法制定を強行したことにある。

この延長線上で2014年と2019年に消費税増税が強行され、日本経済は衰退の一途を辿り、現在に至る。

このことに対する「痛切な反省」と「心からのお詫び」がない限り、誰も野田佳彦という人物を信用しない。

「ノーサイド」を宣言した野田佳彦氏は立憲民主党新執行部の主要ポストを野田氏支持者で固めた。

これが野田氏の言う「ノーサイド」である。

 

「ノーサイド」とは「征服」という意味と野田氏は理解しているのだろう。

安倍晋三氏に対する国会での追悼演説あたりから様子がおかしくなった。

野田佳彦氏が追悼演説演者に抜擢され、メディアが野田氏を持ち上げ始めた。

大きな策謀が動いている。

策謀とは何か。

策謀は日本の政治体制を対米隷属の二大勢力体制に移行させること。

現在の自公に類似した第二自公を創設して、自公と第二自公の二大勢力体制を構築する。

これがCIAの目標である。

米国の共和、民主二大政党制に類似した体制を日本に構築する。

これに成功すれば米国植民地日本を永久に保持できる。

これがCIAのミッションである。

その一環として野田佳彦氏が起用されている。

CIAの反省は対米自立を指向する政権の樹立を阻止できなかったこと。

鳩山政権はこの意味で「悪夢」なのだ。

「対米自立」を基本に据える政権を二度と樹立させてはならない。

これが彼らの最重要公準。

野田佳彦氏の立憲民主党党首選出はこの文脈上で生じた現象である。

 

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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