必読!米帝国の心理作戦・情報操作について10項目のまとめ

乗松聡子

6. 国土安全保障省の “偽情報統制委員会”

国土安全保障省の「情報操作委員会」(Disinformation Governance Board)は、批判者たちから「政府が運営する”真実省”」という決して不当とは言えないレッテルを貼られ、大いに議論を呼んだが、国民の反発を考慮して見直しを行うまで運営を「一時停止」することになった。その見直しは、よりによって腐敗した帝国沼地の怪物、マイケルチェルトフジェイミー・ゴレリックが率いることになる。

どんな政府機関も、国民のために情報と偽情報を選別する権限を自らに与えることなどできない。なぜなら政府機関は公平で全知全能の神ではなく、絶対的な現実を客観的に判断する者として国民に奉仕することを委ねることなど無理だからだ。政府は、まさにあらゆる権威主義政権がそうするように、また、何が真実かとは関係なく、自分たちの利益になるような方法で情報、誤報、偽情報を区別してしまうことは間違いない。

その見直しがどうなろうとも、現在の名称のままか、それとも今より注意深く偽装された他の言い方に変わるにせよ、この委員会の使命は継続するのであろう。帝国が情報をさらにもっと強く制御したい欲望が強すぎて、この機会をこのまま見逃してしまうはずなどないのである。

7.2012年スミス・ムント近代化法

2012年12月、米国議会は2013年NDAAの一部としてスミス・ムント法の改正を可決した。これによって、政府が米国市民にプロパガンダを植え付けることを防ぐために設けられていた制限がなくなったとの批判が出ていた。

この法改正は、ジャーナリストのマイケル・ヘイスティングスによるBuzzFeed Newsの記事で初めて取り上げられた。彼は翌年、重大な記事に取り組んでいる最中に、かなり謎めいた車の事故で死亡することになる。

国防総省の職員は匿名でヘイスティングスに、「これでアメリカ人を[プロパガンダから]守れなくなる」と語っている。「[政府から]情報を発信しようとする人たちに対する監視の目がなくなる。チェック機能がなくなるということだ。情報が正確なのか、部分的に正確なのか、それとも全くの嘘なのか、誰にもわからなくなる」。

ヘイスティングス氏の報告書は、ネット上で論争を巻き起こし、後に「2012年スミス・ムント近代化法」として知られることになるこの法律に対する彼の分析に同意する者もいれば、彼の懸念には根拠がないと言う者もいた。いずれにせよ、その後10年間に起こったすべてのことを考えると、当時のアメリカ人が国内プロパガンダの劇的なエスカレーションを心配したことは正しかったということになる。

8.レーガンの心理作戦

故ロバート・パリー氏は、レーガン政権が行った大規模な心理操作についてConsortium Newsに多くの記事書いたが、それはパリー氏が当時行ったイラン・コントラ事件に関する幅広い調査と直接関連している。

パリーは、レーガンとそのネオコンのチンピラたちが、ベトナム戦争に続くアメリカの介入主義に対する国民の戦争疲れと不信感を打ち消すことに執着し、政権がラテンアメリカで展開しようとしている堕落した計画への同意をさらに得ようとしていることを説明した。

ホワイトハウスが公の場では「パブリック・ディプロマシー」、私的な場では「パーセプション・マネジメント」と呼ぶこの同意製造の目的の中心にいたのは、ウォルター・レイモンド・ジュニアという特に悪そうな名前のスパイであった。

パリーは「『パーセプション・マネジメント』の勝利」と題する論文で、次のように書いている。

レイモンドはイラン・コントラ事件についての宣誓証言で、このプロパガンダ構造の必要性をこう説明した。”我々は思想戦に効果的に対処するように構成されていなかった”。

この欠点の理由の一つは、連邦法が納税者の資金を国内宣伝や議会議員に圧力をかける草の根ロビー活動に使うことを禁じていたことである。もちろん、大統領とそのチームは公の場で主張するための膨大な資源を持っていたが、伝統と法律により、演説や証言、議員への一対一の説得に限られていた。

しかし、状況は一変する。1983年1月13日付のメモで、NSCのクラーク顧問は、この大義を推進するために、政府以外の資金が必要であることを予見していたのである。「民間資金を獲得するためのシナリオを練る」とクラーク顧問は書いている。(その5日後、レーガン大統領はメディア王ルパート・マードック氏を大統領執務室に迎え、プライベートな会談を行ったことが、レーガン図書館の記録に残っている(レーガン図書館には、ルパート・マードック氏に関する記録も残っている)。

政権幹部が裕福な支援者に接触するにつれ、国内のプロパガンダに対する境界線はすぐに越えられた。この作戦は海外の視聴者だけでなく、アメリカの世論、報道機関、ニカラグアのコントラへの資金提供に反対する議会民主党議員も標的にしていた。

 

9.カナダ軍の指導者たちが、コロナ規制を利用して、民間人に対する心理作戦のテクニックを試す機会として利用した。

昨年、「オタワ・シチズン」紙は、カナダ軍がコロナの発生を口実に、パンデミック規制の遵守を保証するためと称して、自国の民間人に実際の軍事的心理作戦技術をテストしたことを報告した。

その一部を抜粋する。

  • 「カナダ軍の指導者たちは、パンデミックを、無防備な国民にプロパガンダ技術を試すまたとない機会と見ていた、と新しく発表されたカナダ軍の報告書は結論付けている」。
  • 「カナダ統合作戦司令部(CJOCとして知られている)によって考案された計画は、アフガニスタン戦争で採用された[と同様のプロパガンダ技術に頼っていた。この作戦は情報の「形成」と「利用」を要求した。CJOCは、コロナウイルスの大流行時にカナダ人による市民的不服従を阻止し、大流行に関する政府のメッセージを強化するために、この情報作戦計画が必要であると主張した」。
  • 「CJOCの計画とは関係ないが、カナダ軍の情報将校が監督する別の取り組みでは、オンタリオ州のSNSアカウントから情報を選び取った。平和的なブラック・ライブズ・マター(BLM)の集会やBLMの指導者についてのデータもまとめられている」。
  • 「これは本当に我々全員にとって学習の機会であり、情報操作を我々の(CAF-DND[カナダ軍およびカナダ国防省])ルーチンに取り込み始めるチャンスです “と少将は述べている」。
  • 「さらにもう一つの見直しは、カナダ軍広報部門とその活動を中心としたものであった。昨年、この支部は、軍の広報担当者がカナダ人の態度や行動を変えるためにプロパガンダを使用したり、一般のSNSアカウントから情報を収集・分析したりすることを認めるという、物議をかもす計画を開始した」。
  • 「この計画では、職員が従来の政府の国民とのコミュニケーション方法から、情報戦とカナダ人への影響力戦術を用いたより積極的な戦略へと移行することになる」。

つまり、帝国の管理者は国民に対して大規模な心理作戦を採用するだけでなく、それをテストし、そこから学んでいるのだ。

10. ウクライナの「独立系」メディアに資金提供する米国政府

最後に、ウクライナに送られた悪名高い400億ドルの代理戦争パッケージには、”ロシアの偽情報やプロパガンダ物語に対抗し、ロシアの人権侵害に対する説明責任を促進し、活動家、ジャーナリスト、独立メディアを支援して表現の自由を守る” ために割り当てられた資金があるという事実もある。

つまり情報戦だ。アメリカ政府は、この戦争に対する国民の認識を操作するための情報戦に資金を提供し、それを活動家、ジャーナリズム、独立系メディアと称することによって、その情報操作を隠蔽しているのだ。

西側の主要な報道機関が、ウクライナから発信される最も突拍子もない話でさえ、一片の証拠もなく無批判に報じていることを考えると、この政府出資のプロパガンダも西側世界に広がることが予想される。

(翻訳以上。Deepl翻訳を調整したもの。アップ後修正する可能性有)

ケイトリン・ジョンストンのサイトより

※この記事はカナダ・バンクーバー在住のジャーナリスト・乗松聡子さんが運営するPeace
Philosophy Centreの翻訳記事(https://peacephilosophy.blogspot.com/)からの転載です。

 

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乗松聡子 乗松聡子

東京出身、1997年以来カナダ・バンクーバー在住。戦争記憶・歴史的正義・脱植 民地化・反レイシズム等の分野で執筆・講演・教育活動をする「ピース・フィロ ソフィーセンター」(peacephilosophy.com)主宰。「アジア太平洋ジャーナル :ジャパンフォーカス」(apjjf.com)エディター、「平和のための博物館国際ネッ トワーク」(museumsforpeace.org)共同代表。編著書は『沖縄は孤立していない  世界から沖縄への声、声、声』(金曜日、2018年)、Resistant Islands: Okinawa Confronts Japan and the United States (Rowman & Littlefield, 2012/2018)など。

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