【書評】 高橋清隆 著『メディア廃棄宣言』 ◆鋭い視点から政情を問う──メディア批判を軸に── [評]池田そら

池田そら(市民記者)

◇はじめに
本書「メディア廃棄宣言」は高橋清隆氏自身の経験からはじまり、歴史に於いて、「メディア」そのものに焦点を当て、それが果たしてきた役割を丁寧にわかりやすく論じている。

また「メディアの廃棄」に至った高橋清隆氏の実体験と貴重な遍歴ないし、高橋氏の主張を裏付ける豊富な根拠資料と学術的概念や過去の書物等の引用に富み、説得力がある。334頁以降の「参考文献」にも手を伸ばしたくなる内容となっている。

(目次)
第1章 メディアの本質とは
第2章 マスメディアが果たした役割
第3章 コロナ騒動とマスメディア
第4章 協調して大衆の意識を制御
第5章 メディアが導く人類の未来とは
第6章 人類廃止を止める方法

◇書評
メディアを通して、考えることはあっても、「メディア」そのものについて考えたことがある人は少ないと思われる。「反ジャーナリスト」という目を引く肩書を使う高橋清隆氏は、「メディア」とはなにか?「ジャーナリズム」とはいったい何なのか?ということに警鐘を鳴らしてきた方であると理解している。

筆者のブログ 「高橋清隆の文書館」 http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/
高橋清隆氏は、1章で、マスメディアの三大目的として、
①政策遂行(制度変更)を円滑にする
②大衆の精神を低いレベルに抑え込む。
③亜現実(サブリアリティー)へ誘導する。
の3つを上げている。

特に「①政策遂行(制度変更)を円滑にする」は、非常に納得させられた。

その所以は、ここ数年、市民側に立った仕事をしているとされる記者が、記者職を外されたり、更迭されたり、退職に追い込まれたりする例が目立つため、私の周りでは「マスメディアが劣化している」「ジャーナリズムが死んだ」「マスメディアが機能していない」という言われ方をよく耳にすることだ。昨今のメディアは、劣化しているのでも、機能していないのでもなく、むしろメディアが政策遂行(制度変更)を円滑にするように、世論を誘導するという仕事をしっかりと果たし始めているのだ(そもそものメディアの目的/役割がそうである)、と本書を読み、腑に落ちた。

また、高橋清隆氏のような識者が現れ、大衆の一定数もテレビ・新聞等マスメディアへの信頼が大きく揺らいでいるのは(欧米だと尚更顕著であると推察)、ここ数年間でそのメディアの目的(第1章21頁①政策遂行を円滑にする)と世論形成があまりにも露骨で、あからさまであることの証左であると思った。
従って、希望的観測であるが、メディア廃棄運動が生まれるのは必然かもしれない。

私が書評を書いているたった今、選挙期間中である。
マスメディアを見ている限り、大きな争点は、ひたすら「政治とカネ」と「景気・雇用」が目立つ。私の周りの有権者も概ね争点の意識はこれらと一致する。
ここ数年で、すべての国民が大きく巻き込まれた、COVID-19関連施策、国策である新型ワクチン問題の検証は、私の知る限り、全く争点に上がっていない。新型ワクチン導入年からの超過死亡は50万人と言われ、広島原爆による死者を大きく上回る。
何十万人、否、接種した1億人近くの国民の命や健康に関係があるのだから、他の問題のほうが重要であるはずがない───命や健康より経済が大事と言うなら、それはもう狂っている───。

この状況をつくったワクチン問題の発端であるコロナ騒動とマスメディアについては、本書第3章「コロナ騒動とマスメディア」で詳しく論じられている 。

◇さいごに
私がCOVID-19問題及びそこから敷衍する問題───ワクチン導入後からみられる超過死亡が原爆死者数を遥かに超えることなど───を友人に話すと、多くの場合、強い問題意識を共有することができる。

しかし、1ヶ月も会わないでいると、「口を開けば裏金」「口を開けば紅麹」状態になってしまった。挙げ句には、「帯状疱疹が流行っていると(テレビが)いっているので、帯状疱疹ワクチンを打った」と。

私は裏金問題と紅麹サプリメントの問題について詳しくないので、この問題を評することはしないが、超過死亡50万人は他の問題が吹き飛ぶはずである。
しかし世間は、沢山の人の生命に関わるこの問題より、裏金問題が重要な争点である。

高橋氏が本書で論じているように、メディアが①政策遂行(制度変更)を円滑にするための世論形成という役割をしっかりと果たしているからであるのではなかろうか。

私達は、メディアに見せられている夢──洗脳──からいい加減に目を覚ますべきである。

評者である私は、『メディア廃棄宣言』に全面的に同意する。


 

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