【連載】知られざる真実/2024年11月24日 (日)奇怪な知事選高橋洋一氏コメント
社会・経済政治11月17日の兵庫県知事選で当選した齋藤元彦氏による公選法違反(買収罪)疑惑が拡大している。
発端は西宮市にあるPR会社『merchu』の代表取締役の折田楓氏が11月20日付noteに投稿した記事。
折田氏は兵庫県知事選について
「今回選挙の「広報・SNS戦略」を東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたい」
「今回広報全般を任せていただいていた」
などと記述し、広報全般の取り組みについて詳細な記事を投稿した。
https://note.com/kaede_merchu/n/n32f7194e67e0
魚拓版
折田氏は
「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました。
写真および動画の撮影については、現地で対応してくださっているスタッフの方々にお願いすることをベースに、私自身も現場に出て撮影やライブ配信を行うこともありました。」
と記述している。
これらの活動は公職選挙法上の選挙運動に該当すると考えられる。
上記「note」記事には、merchu社が齋藤知事に示した提案資料の一部である「SNS運用フェーズ」の画像が掲載され、10月1日より順次「立ち上げ・運用体制の整備」「コンテンツ強化(質)」「コンテンツ強化(量)」を行うというスケジュール案が記載されていた。
しかし、公選法違反の指摘が出始めた後にその画像は削除された。
ネット上の「魚拓(アーカイブされた過去の投稿)」と、修正後の投稿記事内容を比べると相違があり、公選法違反問題を意識した改変がなされているように見える。
merchu社内で斎藤氏と折田氏らが打ち合わせしている写真に添えられた
「「#さいとう元知事がんばれ」大作戦を提案中」
は
「「#さいとう元知事がんばれ」を説明中」
に変更された。
また、
「ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」
との一文が丸ごと削除された。
齋藤元彦氏の依頼で株式会社merchuが今回知事選のネット選挙運動を会社の業務として取り仕切っていたとすれば公職選挙法違反の疑いが生じる。
(買収及び利害誘導罪)
第二百二十一条 次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮こ又は五十万円以下の罰金に処する。
一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。
の規定に抵触する恐れが高い。
齋藤元彦氏の代理人弁護士は
「SNS戦略の企画立案などについて依頼をしたというのは事実ではありません。
あくまでポスター制作等法で認められたものであり相当な対価をお支払いしております。
公職選挙法に抵触する事実はございません」
と主張。
merchu社に「広報戦略全般」でなく「ポスター制作」だけを有償で依頼したとしようとしているが、折田氏が詳細な報告を公開しただけに、弁解が極めて困難になっている。
上記の折田氏の投稿内容修正が問題点をさらに鮮明に浮かび上がらせている。
11月23日放送のABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」に出演した高橋洋一氏が
「ポスター制作だけなら問題はなく、要するに最後は金額の問題になると思う。
ポスターだけならたぶん、ウン百万だけだろうし、全部の企画をやっていれば何千万ですよね。」
と述べたことのいかがわしさも際立つ。
社員数が数名の個人企業とも言える法人なら数百万円で広報事業を受注することは十分に考えられる。
まして、兵庫県とすでに密接な関係を有し、知事当選後の事業展開も期待できるとあれば、破格落札も十分に考えられる。
それを、「何千万でなければセーフ」との発言は齋藤氏サイド擁護の意図が鮮明に浮かび上がるもの。
まさに魑魅魍魎の世界である。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050