【特集】沖縄の日本復帰50周年を問い直す

「ノーモア沖縄戦」を沖縄から叫ぶ(1)

与那覇恵子

2021年クリスマスイブ前の12月23日、共同通信が「台湾有事」で米軍が南西諸島を軍事拠点化するとの日米共同作戦をスクープ、沖縄タイムス、琉球新報の2紙がそれを報じ、県内に衝撃が広がった。皮肉にも沖縄への日米からのクリスマス・プレゼントかのようで、日米政府の沖縄に対する冷酷で恐ろしい姿勢を象徴するものに感じた。「沖縄を二度と再び戦場にさせない」。その強い思いから、翌日には準備委員会を発足させ会議を進め、「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」が公に発足したのは今年の1月31日であった。

「台湾有事」で南西諸島を対中戦争の攻撃拠点とする日米共同作戦計画に反対し、「沖縄を戦場にしない」ことを目的に、石原昌家、具志堅隆松、ダグラス・ラミス、宮城晴美、山城博治を共同代表として、山城博治・ダグラス・ラミスの共同代表を含めた8人で運営委員会を構成、山城博治(沖縄平和運動センター顧問)を代表とする。呼びかけ人や賛同者を募り、3月19日(土)沖縄市民会館で450人を集めて発足集会を開催した。その中で、新垣毅氏(琉球新報社報道本部長)が「核ミサイル戦争の危機」というテーマで講演した。

発表された決議文が以下である。

「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」(2022年3月19日)

「基地なき平和な沖縄」を夢見た「日本復帰」から50年、県民の強い願いに反して、日米両政府は沖縄の米軍基地を強化し、自衛隊を配備したうえ、新たな軍事基地建設を強行してきました。さらに与那国、石垣、宮古、沖縄島(沖縄本島)の島々でミサイル配備による要塞化を進め、今や、「台湾有事」を想定した日米共同軍事作戦によって、南西諸島を攻撃拠点とし戦場とする対中戦争を計画しています。

1950年代に米軍は「台湾海峡危機」で沖縄から中国大陸への核攻撃を検討、沖縄への核報復攻撃も想定しており、また、2009年には米軍高官が「辺野古新基地」は対中戦争のために必要と日本側に伝えています。その米軍の指揮下にある自衛隊は、対中戦争において「住民の避難は自治体の責任」と宣言し、「軍隊は住民を守らない」「軍隊は住民を死に追いやる」という沖縄戦で得た教訓をすでに私たちに突きつけています。有事に与那国・石垣・宮古から10万人超の住民を退避させる方法はありません。

このままでは、「台湾有事」は日本の有事とする日本政府との共同体制のもと、米国は「台湾有事」を作り出し、それをきっかけとした米国代理の日中戦争を遂行しかねません。有事を望まぬ台湾を巻き込み、平和を望む沖縄を再び戦場にすることを、私たちは絶対に許してはなりません。地球に生きるすべての人の命、1人1人の命はかけがえのないものです。私たち大人や子どもたちの命、未来の命を守ることに、保守や革新という、立場の違いはありません。私達が築いてきた文化、経済、社会、全てを戦争は一瞬で破壊します。戦争をおこそうとする勢力に抗し、「平和をつくる」との強い思いを込めて、以下、決議いたします。

1.私たちは政治信条や政党支持の垣根を越えて、「沖縄を二度と再び戦場にさせない」との思い・目的のもと、県民の幅広い結集を呼びかけます。

2.私たちは「台湾有事・尖閣有事」を口実とした対中戦争への反対を、米国政府、日本政府、台湾政府、中国政府、沖縄・日本の世論、そして国際世論に訴えます。

3.私たちは日米両政府の戦争計画遂行を許さないため、平和な沖縄、平和な日本、平和な国際社会を実現するため、県内、国内、国外へ連帯と活動を広げます。

現在、ホームページには2147人の賛同者がおり、賛同者を募り続けながら活動している。台湾有事の平和的解決を求め国際社会への働きかけを玉城デニー沖縄県知事や赤嶺昇沖縄県議長に要請(3月22日)、ミサイル写真展(新垣邦雄)を各地で開催し、6月慰霊月間には、「策動される戦争に抗して」と題して19日、26日両日に連続講演会を開催する。

終了した19日(日)の「軍靴高鳴る時代の中で沖縄戦の教訓を考える」の講演会では、沖縄戦の教訓を伝え続ける5名、石原昌家(沖縄国際大学名誉教授)・宮城晴美(沖縄女性史家)・平良啓子(戦時遭難疎開船対馬丸生還者)・大城貞俊(作家)・具志堅高松(沖縄戦没者遺骨収集ボランティア)が講演し、アンケート調査では多くの好評を得た。

本原稿執筆中の6月26日(日)には、「南西諸島有事を勃発させないために」と題して、共同通信客員論説委員の岡田充氏の基調講演後、岡田氏に新垣邦雄(司会)、山城博治、与那覇恵子の「ノーモア沖縄戦」メンバーと、谷山博史氏(日本国際ボランティアセンター顧問)がシンポジストとして加わるシンポジウムが開催される。6月19日が過去の沖縄戦なら、6月26日は現在・未来の危機が焦点である。講演会開催と併せて、米国、中国、台湾、日本の各元首や関係する団体や組織への「台湾有事」の平和的解決を求める手紙を送る取り組みも進行中である。

市民として沖縄を戦場にさせないために何ができるかを手探りで必死に行動するなかで、6月23日(慰霊の日)の前日の22日、琉球新報が掲載したのは、石垣市や宮古市が試算した国民保護計画である。全市民を避難させるのに、宮古市は381機、石垣市は1日45機で9.67日(計435機)が必要と見込んでいる。

本来なら、「台湾有事」による戦争を回避するための努力や平和的解決を要請すべきであるのに、すでに戦争を前提として避難計画を市や自治体が実施しなければならないとはどういうことなのか?沖縄を戦場にさせない取り組みを継続中の「ノーモア沖縄戦」としては非常に腹ただしく憂うべき事態である。

しかも、これだけの避難民をどこが受け入れるというのか?国がそっぽを向く中で受け入れる自治体などあるはずもない。自国の現状や問題を直視できない国や人を頼ることはできない。沖縄は自らの力を振り絞って叫び続けるしかない。「ノーモア沖縄戦!!」と。日本の現状や問題を直視し、抵抗する日本本土の数少ない人達と共に、連携して。

 

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与那覇恵子 与那覇恵子

独立言論フォーラム・理事。沖縄県那覇市生まれ。2019年に名桜大学(語学教育専攻)を退官、専門は英語科教育。現在は非常勤講師の傍ら通訳・翻訳を副業とする。著書は「沖縄の怒り」(評論集)井上摩耶詩集「Small World」(英訳本)など。「沖縄から見えるもの」(詩集)で第33回「福田正夫賞」受賞。日本ペンクラブ会員。文芸誌「南瞑」会員。東アジア共同体琉球・沖縄研究会共同代表。

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