宮城(内海)恵美子(元那覇市議、ISF独立言論フォーラム理事):首相は法的根拠示すべきだ~地方自治体の自治権制限

宮城(内海)恵美子

首相は法的根拠示すべきだ~地方自治体の自治権制限
宮城(内海)恵美子(元那覇市議、ISF独立言論フォーラム理事)

11月21日の沖縄県2紙は「宮城島から土砂搬出」の見出しが大きく躍った。その行為は「北部地域以外から初搬出」となった。政府の横暴はここに極まった感がある。

1995年の少女乱暴事件の際、私は仲間たちと北京国際女性会議に出席し、帰国時に那覇空港で事の真相を知ったことが闘争の出発点である。それ以来約30年、人生の多くを辺野古新基地闘争との関係で生きて来た。もちろん現役労働者としての隙間時間を使って埋め立て阻止に振り向けてきたのだが、半生をかけてきた思いがある。私の反対理由は、沖縄が将来自立して生きていくには持続的可能な自然環境維持が必要という想いで、自然との調和ある社会形成が不可欠であると考えてきたことである。自然の大地と海の幸で長年生かされてきたのが沖縄の実情である。歴史の表舞台は、琉球王朝や明治政府や日本政府や米国政府が君臨していても、庶民の生活の根っこは沖縄の環境、すなわち海と大地そこから採取できる自然資源という幸によって生きながらえて来たのである。

およそ500年の中継交易拠点としての利益があるとは言っても庶民にとってはイモや野の草、イカ、モズク、アーサ、魚などの山の幸と海の幸が生存の源泉であった。そこをユイマール精神と、分かち合いの文化によってお互いを思いやって生きてきた。長い生活基盤の根っこは沖縄の自然である。それが沖縄社会を形成してきたのである。その基本的な土台構造は今後も変わることがないだろう。破壊行為がなければ。しかし、今はあってはならない自然を征服する行為が国によって行われている。その行為は神への冒涜であり、人類の最も愚かな行為である。宮城島の破壊は「北部での土砂採掘以外」のよそにも魔の手を伸ばした悪魔的行為である。今すぐ止めねばならない。

県は国と闘ってきた。ざっと経緯を述べる。仲井真元知事が公有水面埋め立て法に基づいて、埋め立てもいいよ、という埋め立て承認をした。次に翁長前知事は精査してこれには瑕疵がある、違法な点があったということで埋め立承認取り消し処分を行った。そこで今度は国が埋め立承認取り消し処分を取り消してくれという、つまり埋立承認の復活を求める代執行訴訟というのを県が被告に立たされて訴訟を起こされ県は敗訴した。ここまではほぼ公有水面埋め立て法という中での議論に終止してきた。ところが根本的に本来必要な沖縄の新基地建設の根拠法は無いのである。地方自治体のもろもろの自治権を制限している、その「制限」する根拠法を国は提示していない。改めて石破首相、国は法的根拠を示すべきだ。

※、なお、本稿は「琉球新報」2024年12月29日の「論壇」の掲載された記事からの転載であることをお断ります。

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

☆ISF主催公開シンポジウム:トランプ政権と東アジアの危機回避 ~米中対立の行方~

☆ISF主催トーク茶話会:真田信秋さんを囲んでのトーク茶話会のご案内

☆ISF主催トーク茶話会:船瀬俊介さんを囲んでのトーク茶話会のご案内

☆ISF主催トーク茶話会:大西広さんを囲んでのトーク茶話会のご案内

 

★ISF(独立言論フォーラム)「市民記者」募集のお知らせ:来たれ!真実探究&戦争廃絶の志のある仲間たち

※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
ISF会員登録のご案内

「独立言論フォーラム(ISF)ご支援のお願い」

宮城(内海)恵美子 宮城(内海)恵美子

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ