【高橋清隆の文書館】（2025年01月14日）： 感染研BSL-4施設「移転先を決定した事実ない」と福岡厚労相、計画も未決定？
社会・経済エボラ出血熱のウイルスなどを扱う国立感染研村山庁舎（東京都武蔵村山市）ＢＳＬ－４施設の移転先について、新宿区戸山一丁目の旧国家公務員住宅跡地ではないかとの懸念が広がっている。立地要件を満たすこの場所で建物の解体工事が６日から始まったが、福岡資麿（たかまろ）厚労相は１４日の記者会見で「移転先を決定したという事実はない」と答え、移転計画も未決定との見解を示した。
戸山一丁目の旧国家公務員住宅跡地（林千勝氏のＸ投稿［2025.1.9］より）
国立感染研村山庁舎のＢＳＬ－４施設は、エボラ出血熱やラッサ熱など危険性が最も高い病原体も扱えることから、地元住民から反対の声が上がっており、武蔵村山市は移転を病原体の搬入条件としている。
一方、２０２０年１２月の第２回検討会で定められた立地要件では、厚労省本省と近距離であることや、１類感染症患者を診察する国立国際医療研究センターと遠距離にならないようにすること、公共交通手段を活用して円滑にアクセスが可能であること、大学・研究機関・企業などと共同研究を推進するため近隣に科学的基盤が整備されていること――などが挙げられている。
新宿区戸山一丁目の旧国家公務員住宅跡地はこれら条件を満たしており、国立感染研戸山庁舎と隣接し、国立国際医療研究センターとは目と鼻の先だ。感染研と同センターは４月に統合され、国立健康危機管理研究機構（ＪＩＨＳ・ジース）になる。
記者会見で筆者は、この旧国家公務員住宅跡地が移転先ではないのかと単刀直入に尋ねた。これに対し、福岡氏は「現在、検討を行っている最中であり、移転先を決定したという事実はない」と答えた。
報道陣の質問に答える福岡氏（2025.1.14、厚労省会見室で筆者撮影）
立地条件には「計画から稼働まで５～７年かかることに留意が必要」との項目もあることから、筆者は「計画はすでにできているのか？ いつできた、あるいはできるのか？」と追問した。福岡氏は「計画についてもまだ検討中であり、できたという事実はない」と重ねる。
筆者は「では、稼働は２０３０年以後と理解してよいか」と確証を得ようとすると、福岡氏は「今のご指摘については、もう１度こちらで精査させていただいて、またお答えさせていただきたい」とあやふやな返答をした。
会見終了後、同施設移転の責任者である大臣官房厚生科学課災害等危機管理対策室長が来た。２４年１１月１４日、井上正康・大阪市立大名誉教授と林千勝・近現代史研究家と共に面談した際も同席していた人物だ。筆者が稼働の最短シナリオを改めて問うと、「まだ計画はできていない。内容を含め、計画ができたことを公表するか考える。現在、移転候補地を検討しているところ」と説明した。
にわかに信じがたい。武見敬三前大臣は「特に将来、より危険な感染症が発生する確率が極めて高（たこ）うございます」と答弁している。改定国際保健規則（ＩＨＲ）が９月１９日に発効した後は、「疫病Ｘ」の流行をでっち上げれば国家主権と私権を制限することも可能だ。
筆者は室長が話さなくなることを恐れ、ＩＣレコーダーを回さなかった。それをいいことに、でたらめを並べたのかもしれない。
戸山一丁目の旧国家公務員住宅跡地は約２０００坪あるが、東京都心でこれだけまとまった用地を国が新たに取得するのは至難の業だ。検討会の報告書に示された立地要件１１項目は、移転先が初めから決まっていた証左に見えて仕方がない。
👆筆者の質問は10:04～（藤江成光チャンネルより）
※なお、この記事は「高橋清隆の文書館」2025年01月14日のブログ記事
「感染研BSL-4施設「移転先を決定した事実ない」と福岡厚労相、計画も未決定？」http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/からの転載であることをお断りします。
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高橋清隆
反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。元ローカル新聞記者。著書に『偽装報道を見抜け！』（ナビ出版）、『亀井静香が吠える』（K&K プレス）、『山本太郎がほえる～野良犬の闘いが始まった』（Amazon O.D.）など。翻訳にデーヴィッド・アイク『答え』第１巻［コロナ詐欺編］（ヒカルランド）。2022年3月、メディア廃棄運動を開始。 ブログ『高橋清隆の文書館』http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/
