植草一秀【連載】知られざる真実/2025年1月22日 (水) フジ後手対応が致命傷になる
社会・経済フジテレビは消滅の危機に直面している。
吉本興業の対応の拙劣さ。
ジャニーズ事務所の対応の拙劣さ。
これを凌駕する拙劣さだろう。
テレビ局の会見でテレビカメラをシャットアウトするなら、今後のフジテレビ放送は動画なしにするのがよいだろう。
「テレビ局」から「紙芝居局」に業種を変更するべきだろう。
「まつもtoなかい」について番組終了のタイミングを見定めていたと弁解したが、すべての対応は昨年12月に女性セブンが第1報を報じてからだったのではないか。
この第1報が報じられても対応は鈍かった。
フジテレビはそのまま中居氏が出演する番組の放送を続けてきたのではないか。
フジテレビ大株主であるダルトンインベストメンツが激しい怒りの意思を表明して、ようやく対応を始めたというのが実態だ。
問題の2023年6月の会合自体は中居氏が呼び掛けたものであったのかも知れないが、中居氏と女性職員との接点が作り出される過程でフジテレビ職員の関与が一切なかったのかどうか。
ここが焦点である。
問題を捕捉したのはフジテレビ職員が女性に対する気遣いから声をかけたことによるとの「美談」が語られたが、これも事実と異なるのではないか。
女性が何らかの抗議に近い意思を示したことが事情を聞く契機になったのではないか。
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日弁連が規定する「第三者委員会」ではなく、第三者の弁護士が入る委員会で調査するとしたのはなぜか。
委員会を立ち上げるのに要する時間はどちらでも変わらないはずだ。
きちんと調査する意思を示すなら、日弁連基準の「第三者委員会」を立ち上げると明言すればよいこと。
批判が沸騰して急遽、取締役会で第三者委員会の立ち上げを決定する方向であると報じられているが、すべてが後手に回っている。
タレントとアナウンサー、職員が同席する飲食等の会合について、港浩一社長は
「ほのぼのとした会」
と述べたが、「ほのぼのとした会」であれば問題は生じない。
今回の被害者の女性とは別の現役アナウンサーが
「自分も上納された経験がある」
と告発している。
問題が指摘されているNプロデューサーと中居氏、さらに別のタレントが同席した会合で、会合の設営はフジテレビが関与したものだったという。
その会合が、しばしば名前が挙がるグランドハイアット東京の一室で開催され、会合の後半には中居氏、タレントM,女性2人の4人になり、全裸のタレントからベッドルームに誘われたとの告発も報じられている。
真偽は定かでないが、この種の告発が行われていることを背景とした記者会見である。
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参加者と時間を限定しない会見を広い会場で、テレビカメラ入りで開くのが基本。
ジャニーズ社は会見で「NGリスト」を用意していたことが大きな問題になった。
それらの「不正会見」を何度も報道してきたのではないか。
巨大なスポンサーを抱えるキー局が参加者限定、テレビカメラのない、クローズドの会見を開いて、どのような事態が生じるのかは、簡単に分かること。
フジテレビサイドは2023年6月の問題発生直後に事実関係を掴んだとした。
問題が生じた時期にフジテレビ専務の役職にあった関テレ社長の大多亮氏がクローズドでない会見を開いたが、すべてが後手に回る対応。
最大の問題は昨年末以降に問題が大きく取り上げられるまで、フジテレビは中居氏を起用し続けてきたこと。
「女性のプライバシーと人権に配慮してきた」
との「言い訳」は成り立たない。
番組改編があり、「まつもtoなかい」が2024年に2月に改変された。
この改変で「だれかtoなかい」に改変する必然性は存在しない。
「中居氏を守るため」ではなく、フジテレビが自社の営業上の事情で中居氏を起用し続けたというのが真相ではないか。
事実を隠蔽し、つじつま合わせでごまかそうとしても無理がある。
フジサンケイグループ全体の崩壊を免れることができるか。
事態は瀬戸際にまで進行していると言える。
※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』2025年1月22日 (水)「フジ後手対応が致命傷になる」
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050