1月30日のウクライナ情報
国際1月30日分です。
安斎育郎
1月30日のウクライナ情報
安斎育郎
❶ウクライナメディア、約9割が西側支援で活動(2025年1月29日)
ウクライナメディアの約9割が西側からの助成金で成り立っており、国内の約80%以上のメディアが米「USAID」の支援プログラムの対象となっている。
ウクライナの社会団体「マスメディア研究所」のオクサナ・ロマニュク氏が現地ラジオ放送で語った。
同氏によると、資金の100%が外国からの支援で成り立っているメディアもあれば、4~6割ほどのところもあった。
だが、米国のトランプ政権は、ウクライナを含むほぼすべての国(イスラエルとエジプトを除く)に対する資金提供を90日間にわたって停止。
これに伴い、米国によるメディア支援も一時停止となり、資金不足のため一部の活動を凍結するケースもみられる。欧州機関の支援は残っているが、視聴者、読者に寄付を要請するメディアもあるという。
https://sputniknews.jp/20250129/9-19541859.html
❷EUがロシアへの追加制裁でプレステの禁輸措置を検討(2025年1月29日)
EUは対ロシア制裁でプレイステーションとXboxの禁輸措置を検討している。
この措置は2月22日に予定されている追加制裁パッケージに含まれる可能性がある。
EUによると、これらのゲーム機はドローンの操作に使用できることから、輸出を禁止するとのこと。
https://sputniknews.jp/20250129/eu-19539516.html
❸トランプ米大統領、インド首相に米国製武器の購入拡大を促す(2025年1月28日)
トランプ米大統領は27日、インドのモディ首相と電話会談を行い、米国の防衛装備品の購入を増やすよう促した。ホワイトハウスが声明を発表した。
「トランプ大統領は、インドが米国製の防衛装備品の調達を増やし、公平な二国間貿易関係に向かうことの重要性を強調した」
声明によると、両首脳は両国間の戦略的パートナーシップを前進させるというコミットメントについて協議したという。
また、モディ首相の訪米計画についても話し合われたという。
https://sputniknews.jp/20250128/19537392.html?rcmd_alg=collaboration2
❹ウクライナ国民は、トランプ新政権をどう思っている?平野高志が解説(文化放送、2025年1月29日)
野村邦丸アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『くにまる食堂』(文化放送・月曜日~金曜日9〜13時)1月29日の放送は、ウクライナの国営通信社「ウクルインフォルム」の編集者として現地の情報、日常を発信し続けている平野高志氏が出演。ウクライナの人たちは、トランプ新政権をどう思っているのか?解説した。
野村邦丸(パーソナリティ)「トランプさんの新政権がスタートしました。ウクライナの方々はこれをどう見ていますか?」
平野高志「ロシアに圧力をかけなきゃいけない、経済制裁しなきゃいけないといった考え方がトランプ政権から聞こえてきます。ウクライナの人たちは、この侵略戦争が早く終わって欲しいのは間違いないんです。みんな疲れてますし、人もどんどん亡くなってますし。ロシアに圧力をかけなきゃいけないと、ウクライナの人たちも思っているので、見てる方向は同じなのでは?という楽観的な見方は出てきています」
邦丸「ただトランプさんがプーチンさんに、“奪った所はそのままでいいから、これで戦争終わりにしよう”と言って、プーチンさんがそれを呑んだら、ウクライナの人たちは“ちょっと待って”ということになるんですか?」
平野「そこを心配してる人は間違いなくいると思います。他方で、停戦するとなるとウクライナのゼレンスキー大統領が署名しないといけない。ウクライナはアメリカに言われたから言うことを聞くという国ではないので、自分たちの誇りを持って、自分たちのことは自分たちで決めるという心構えで向かっています。戦々恐々としている部分はもちろんあるんですけど、最後に決めるのは自分たちだという思いで向かってると思います」
邦丸「ウクライナとロシアでは、過去に合意があったけど、下手な停戦は嫌だと思ってる方は多いんですか?」
平野「2015年にミンスク合意で、ロシアとウクライナの間で停戦があったにも関わらず、2022年にロシアが全面侵略に切り替えてキーウを陥落させようと襲ってきた。停戦をしたとしても、もう1度再侵略されて攻めてきたらたまったもんではないということで、次の侵略を必ず防げるものでなければ停戦は意味がないと思ってる人たちが多いと思います」
https://article.yahoo.co.jp/detail/2d10d32daa391a736516462082899e12581da021
❺米援助凍結でウクライナに広がる不安 人道支援停止相次ぐ(JIJI.COM, 2025年1月28日)
【AFP=時事】米トランプ政権による対外援助の凍結により、ウクライナに拠点を置く多数の人道支援プロジェクトへの資金提供が停止され、ロシアとの紛争で疲弊した同国に不安が広がっている。複数の情報筋が27日、AFPに明らかにした。
ロシアによる侵攻開始から間もなく3年となる今、ウクライナの人道支援は外国からの援助に大きく依存しており、そのうち数十億ドルを米国が提供している。
だが、ドナルド・トランプ米大統領は20日の就任当日、資金提供の見直しを行う方針を示し、対外援助プログラムを90日間停止する大統領令に署名した。
内部メモによると、これを受け、マルコ・ルビオ国務長官は24日、イスラエルとエジプトを除くほぼすべての対外援助を停止するよう命じた。
資金削減の影響は、退役軍人支援団体、ウクライナのメディア、医療関連機関などに出ている。
多くの小規模メディアや支援団体がSNS上で閉鎖を発表。ウクライナおよび国際NGOの多くも、この凍結の影響を受けたと明らかにしている。
米国際開発庁(USAID)でウクライナ問題を担当している関係者は、「ほとんどのプロジェクトが停止命令を受けた」とAFPに語った。
USAIDのウェブサイトによると、ロシアが侵攻を開始した2022年2月以降、USAIDはウクライナに対し、人道支援で26億ドル(約4000億円)、開発援助で50億ドル(約7700億円)、直接的な予算支援で300億ドル(約4兆6000億円)を提供している。【翻訳編集】 AFPBB News
https://news.yahoo.co.jp/articles/0ae3fa13ed290da9d1ffad19b61b984487d9aba2
❻ウクライナ東部で激戦続く ロシア、集落制圧を相次ぎ発表し優勢を誇示(2025年1月29日)
ロシアによるウクライナ侵略で、ウクライナ軍東部方面部隊は28日、自国軍の重要防衛線の一角である東部ドネツク州ポクロフスク方面で「最も激しい戦い」が続いていると発表した。攻防が続く同州チャソフヤルやトレツクでも市街戦が展開されているとした。
一方、露国防省は28日、ウクライナ東部ハリコフ州の集落1カ所を新たに制圧したと主張した。露国防省は最近、連日のようにドネツク州やハリコフ州、ウクライナ軍の越境攻撃下にある露西部クルスク州での集落の制圧を発表。露軍の優勢を強調している。
兵力で劣るウクライナ軍は現在、戦略的重要性の低い集落への戦力投入を最小限にしつつ、重要拠点の防衛に注力。並行して露国内の弾薬庫や燃料貯蔵施設などへのミサイル・ドローン(無人機)攻撃を続け、露軍を攻勢が維持できなくなる水準まで損耗させようとする戦術を進めている。
露軍はクルスク州で反撃を行う一方、ドネツク州でウクライナ軍の防衛線の突破を図り、主目標とする同州全域の制圧を達成したい構えだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8289b52ab2349475cf442c0150f6a036
プーチン氏「ウクライナに交渉意思なし」、ゼレンスキー氏は反発(ロイター、2025年1月29日)
[モスクワ 28日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は28日、ウクライナがロシアと交渉すると決定した場合、法的な手段は存在するが、ウクライナ側に交渉を行う意思は見られないとの考えを示した。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、プーチン氏の発言は戦争を無期限に継続させようとする意向を示唆していると反発した。
プーチン氏は国営テレビで、ゼレンスキー大統領の任期が終了し、文書署名の権限がなく「正統性を欠いている」ことで交渉が複雑になっていると述べた。
その上で「ウクライナが望むなら(交渉を行う)法的な手段は存在する。憲法に従ってウクライナ最高会議(議会)議長が対応すればよい」と指摘。ただ「法的な問題は解決できるが、現状では意思が見られない」と語った。
ロシアは以前から、ゼレンスキー大統領の任期は2024年5月までで、その後選挙が行われていないため、ゼレンスキー氏にはもはや法的権限がないと主張してきた。
ウクライナ当局はこれに対し、ロシアの全面侵攻以来、戒厳令が発令されていることを理由にゼレンスキー氏が正当な大統領であり続けていると説明。戦時下で選挙を行うことができないとしている。
ゼレンスキー氏は対話アプリ「テレグラム」に「プーチン氏が交渉や強い指導者を恐れ、戦争を長引かせるためにあらゆる手段を講じていることが改めて確認された」と投稿した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6613369b5a584ef08baeed6b9e4f297e49642713/images/000
❽プーチン氏、ウクライナと交渉あり得る ゼレンスキー氏とは不可能(JIJI.COM,2025年1月29日)
【AFP=時事】ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は28日、ロシアはウクライナと和平交渉を行う可能性があると述べたが、「非合法な」ウォロディミル・ゼレンスキー大統領との直接対話の可能性は排除した。
プーチン氏は国営メディアの記者に対し、「(ゼレンスキー氏が)交渉に参加したいのであれば、私は人員を配置する」と述べる一方、大統領の任期が戒厳令中に終了したゼレンスキー氏を「非合法」だと呼んだ。
「交渉して妥協点を見つけたいという意欲があるなら、誰にでもそこで交渉を主導させればいい」「当然、われわれはわれわに適した、われわれの利益に合致するものを目指す」と付け加えた。
これに対しゼレンスキー氏は、「真の平和」を達成するチャンスがあるものの、プーチン氏が戦闘停止の努力を妨害しているとX(旧ツイッター)に投稿。
「きょう、プーチン氏が交渉を恐れ、強い指導者を恐れ、戦争を長引かせるためにあらゆる手段を講じていることが改めて確認された」と述べた。
ウクライナはロシアと米国の間の和平交渉から除外されることを警告しており、プーチン氏がドナルド・トランプ米大統領を「操作」しようとしていると非難している。
プーチン氏はまた、西側がウクライナへの支援を打ち切れば、戦闘は2か月以内に終わると主張。「金と、広い意味での弾薬が尽きれば、彼らは1か月も存続できない。すべてが1か月半から2か月で終わるだろう」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News
https://news.yahoo.co.jp/articles/bb7ca8ed1ab72acdde23fb3378bc50c854d0c360
❾ 【ドイツ】EU、露産LNG輸入急増=独が中心的役割(2025年1月29日)
欧州連合(EU)における2024年のロシア産液化天然ガス(LNG)輸入量が前年比19.3%増の1,593万トンとなり、過去最高に達していたことが、ドイツ環境支援協会(DUH)が28日公表した最新調査で明らかになった。ロシア産LNGの輸入では、ドイツの国営エネルギー会社セキュアリング・エナジー・フォー・ヨーロッパ(旧ガスプロム・ゲルマニア、SEFE)が中心的な役割を果たしているという。
DUHがウクライナやベルギーの非政府組織(NGO)と共にまとめたこの調査によると、SEFEのロシア産LNG輸入量は昨年、410万トンとなり、23年の88万トンから大きく拡大した。昨年の受領回数は58回と、こちらも23年の12回から急増している。
ドイツの天然ガス輸入量全体でのロシア産LNGの割合は、3~9.2%とみられている。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、EUはロシア産の石炭・石油の輸入を禁止したものの、天然ガスの禁輸には踏み込んでいない。EUは27年までに段階的に輸入を停止することを目指しており、パイプライン経由でのガス輸入は大幅に削減されたものの、海路でのLNG輸入は続いている。
ドイツは国内輸入ターミナルでのロシア産LNGの受け入れを禁止したものの、フランスやベルギーの港経由で引き続き輸入されているとみられる。[EU規制]
https://news.yahoo.co.jp/articles/f7f2394ebdac3912913977313a4028115ec824bf
❿ロシア、ウクライナ経由ガス輸送再開に前向き(ロイター、2025年1月29日)
[モスクワ 28日 ロイター] – ロシア大統領府は28日、ウクライナ経由でのガス輸送再開に前向きな姿勢を表明した。これに先立ち欧州連合(EU)欧州委員会は、欧州向け天然ガス供給に関してウクライナとの交渉を継続する計画を明らかにしていた。
ウクライナを経由するロシア産ガス供給は、両国の輸送契約の期限切れを迎えた今月1日に停止した。ウクライナはロシアによる侵攻を理由に、契約更新に関する協議を拒否した。
それ以降スロバキアとハンガリーはEUに対し、主要パイプライン経由のガス輸送再開に向け介入するよう、強く働き掛けてきた。
ハンガリーは27日、EU欧州委員会からエネルギー供給保障を受けたと説明。EUが新たに発動した対ロ制裁への合意を前提条件とした内容だったと明らかにした。
ロシアのペスコフ大統領報道官は28日、記者団に対し、「ハンガリーが(ガス輸送に関してウクライナと)ある種の交渉プロセスを再開させる何らかの保証をEUから受けたことは明白だ」と指摘。「購入者がいれば商業取引になる。米国産液化ガスに比べて競争力があるだけでなく、欧州の消費国にも好都合だ」と強調した。
スロバキアは、ウクライナ経由でのガス輸送再開に関する交渉を続けるとしたEUの声明を歓迎。アゼルバイジャンからガス輸送する選択肢も再検討していると述べた。
EUとウクライナは昨年、アゼルバイジャンに対し、ガス輸送に関する協議をロシアと進めるよう要請したが、協議は物別れに終わった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8c7c1954bcfa834d38dc650416d834ea359d035e
2025年1月30日 ウクライナ情報pdf →
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1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。