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☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年2月23日):アフリカは台頭する新世界で極めて重要な役割を果たすだろう。
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
© ゲッティ イメージズ / titoOnz
私は、神聖な原則を無視して服従して生きるよりも、頭を下げず、信念を曲げず、祖国の運命に深い信頼を寄せて死にたい。歴史はいつの日か、その主張を受け入れるだろう。しかし、それはブリュッセルやパリ、ワシントン、あるいは国連で教えられる歴史ではないだろう。帝国主義とその傀儡から解放された国々で教えられる歴史となるだろう。
パトリス・ルムンバ
2024年11月、私は1年前にサンクトペテルブルクで開催されたロシア・アフリカ・サミットに続き、ソチで開催されたロシア・アフリカ・パートナーシップ・フォーラムの初の閣僚会議に参加する機会を得た。この会議は、アフリカ大陸との関係復活を加速させるものであり、ロシアの外交政策が「南」と「東」に向けて方向転換する新たな重要な節目となった。
私は企画者として、アフリカのパートナーの視点、懸念、不安、願望などを包括的に理解することに特に関心を持っていた。モスクワの自宅に戻ると、私は長年の考えを実行に移した。長年の観察、旅行、交流、そして専門文献を読んで得た、アフリカと世界情勢におけるアフリカの役割の拡大についての印象、考え、アイデアを紙に書き留めた。
この記事は、アフリカが新興の多極世界の強力な中心の1つになるために必要なすべてのものを持っていること、そしてアフリカ人がすでにこの目標に向かって動き始めていることを示すことを目的として書かれている。私はこの問題を網羅的に扱っていると主張しているわけではなく、地域の専門家の専門分野に属する多くの歴史的、文化的、言語的、その他の側面を深く掘り下げることをあえて避けていることを、先に述べておきたい。焦点は、影響力をもったひとつの極としてのアフリカの出現の力学、その特徴、およびその展望を示す証拠にある。
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私のより広範な計画には、世界的に重要な政治的意思決定の中心地すべてと、この役割を担う可能性のある候補地を調査することが含まれている。しかし、アフリカから始めることにしたのは、純粋に象徴的な動機によるものだった。この大陸は「人類発祥の地」であり、私たちの共通の祖先の故郷なのだ。オルドバイ渓谷地域 (タンザニア、1959 年) とトゥルカナ湖付近 (ケニア、1972 年) でおこなわれた人類学的発見に基づき、科学者たちは、現代人、ホモ サピエンスがアフリカ東部で約 20 万年前に誕生した可能性が高いという仮説を立てている。
今日のアフリカは、非常に複雑な文明体だ。いわゆる「サハラ以南のアフリカ」とアラブ・ベルベル人のマグレブの両方を含み、アフリカ世界がアラブ・イスラム世界と交差し、一方の文明がもう一方の文明の上に重なり、移行しているように見える。アフリカは、多くのユニークな民族、文化、宗教的伝統、人種、そして多様な歴史的遺産を持つ広大な大陸だ。
しかし、運命共同体としての内的意識と共通の未来への信念、共同開発への意欲、経済と政治における統合の努力、アフリカのアイデンティティの積極的な模索―こうした要素やそれ以上の要素が、アフリカを地政学的にまとまった存在として、また将来の多極化システムの不可欠な構成要素として捉えるための土台となっている。
アフリカをひとつの極と見た場合に考えられる問題と展望
サンクトペテルブルクで開催された第2回ロシア・アフリカ首脳会議の後に採択された宣言では、アフリカは「多極化する世界の重要な柱の一つとして、世界的な役割と影響力を増している」と宣言されている。
実際、アフリカには主権国家に変貌するための条件がすべて揃っている。人口と天然資源が尽きることのないこの大陸は、主権国家として発展する機会をつかめば、羨ましいほどの地政学的展望を持っている。アフリカが「未来の大陸」と呼ばれるのは偶然ではない。人口15億人のアフリカはインドや中国と同程度で、年齢構成もこれらの地域より有利だ。アフリカの人口の半分は20歳未満なのだ。
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専門家は、2050年までにアフリカ大陸の人口は25億人に達すると予測しており、これは地球上の4人に1人がアフリカ人になることを意味する。
アフリカはまさに天然資源の宝庫で、炭化水素、貴金属、宝石、クロム、ボーキサイト、コバルト、ウラン、リチウム、マンガン、石炭、希土類元素など、世界の鉱物資源の30%を占めている。総面積は 3,037万km2 (ロシアの約 2 倍の広さで、気候ははるかに温暖) に及び、全人口を養えるほど肥沃な土壌を誇る。さらに、アフリカの地理的位置により、特に海洋ルートなど、世界の輸送回廊に直接アクセスすることが可能だ。
政治的には、アフリカには国連加盟国54カ国、イスラム協力機構(OIC)加盟国27カ国、OPEC加盟国6カ国、ガス輸出国フォーラム(GECF)加盟国5カ国がある。BRICS諸国では南アフリカ、エジプト、エチオピアが代表を務め、G20には南アフリカ、エジプト、アフリカ連合が常任理事国として参加している。
アフリカは、アフリカ各国の利益を調整し、実施するための制度的枠組みの強化を急速に進めている。こうした進歩が可能となったのは、アフリカの諸民族の、何世紀にもわたる歴史と地域の伝統主義を利用する汎アフリカ主義という独自の考え方が根底にあるからだ。「アフリカ文明の伝統的価値の復活が、アフリカが自給自足文明として台頭する鍵である」ことは否定できない。
汎アフリカ原則の具体化はアフリカ連合 (AU) であり、アフリカ連合は大陸規模の枠組みで各国を統合し、すべての民族を代表して国際政治における発言力をますます高めている。55カ国グループは、戦略計画において特に重要な役割を果たしている。2015年にアディスアベバで開催されたサミットでは、2063年までにアフリカ大陸を「勢力圏」 に変えることを目的としたプログラム文書が採択された。これは「アジェンダ2063」として知られる取り組みである。この包括的な計画は、工業化の促進とアフリカの統一の強化に焦点を当てている。世界最大規模のアフリカ大陸自由貿易地域 (AfCFTA)を設立する戦略的プロジェクトは、統合プロセスを大幅に強化し、アフリカを貿易と政治における世界規模の主体に位置づけることを目的としている。
アフリカ連合(AU)が国際舞台で優先事項を主張する範囲を拡大するための大きな一歩は、ロシアや他の参加国の支持を得て2023年後半に達成した、欧州連合(EU)と並ぶG20の常任理事国資格の獲得だった。
多極世界の構造は、水平的な極間形式によって形成されており、この文脈において、アフリカ連合と国家の集合体としてのアフリカは、世界的なリーダーのひとつである。ロシア・アフリカ首脳会議に加えて、アフリカ-中国、アフリカ-米国、アフリカ-インド、アフリカ-EU、アフリカ-アラブ世界、アフリカ-ラテンアメリカ、アフリカ-トルコなどの同様のメカニズムがある。「アフリカ-ASEAN」形式の創設は論理的な次のステップのように見える。
アフリカの大陸間プロセスへの統合は、環インド洋協会(IORA)、アフリカ・カリブ海・太平洋諸国機構(OACPS)、ポルトガル語諸国共同体(CPLP)といった組織へのアフリカ諸国の参加によっても促進されている。
アフリカ域内空間を構成する上で、重要な役割を果たしているのが域内の政府間組織である。南部アフリカ開発共同体(SADC)、開発に関する政府間当局(IGAD)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)などである。東アフリカ共同体(EAC)、中央アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)、アフリカ東南部共同市場(COMESA)も大きな可能性を秘めている。このような、ひとつの極としてのアフリカ内部の政治的・経済的結びつきの緊密なネットワークが、アフリカの回復力を高めている。
情報に通じたロシアの専門家によると、アフリカ諸国は「国際舞台で互いに支援し合い、現在の多くの国際問題について共通の立場を採用している」。同時に、アフリカは、社会経済開発、貧困と不正との闘い、近代的な新植民地主義の慣行の根絶、安全保障と紛争解決の確保、伝染病に対する回復力の向上といった現実的な問題の解決に焦点を当て、国際的な議論を建設的な方向に導くことを目指している。
世界の他の多数派と同様、そしておそらくそれ以上にアフリカの人々は、国際的な議論を政治化し、国際協力のメカニズムを旧植民地大国の利益に従属させようとする試みに苦しんでいる。
アフリカ人は、「ルールに基づく秩序」の旗印のもとに推進される対外政策プロジェクトにおいて、自分たちがいまだに単なる付属品として扱われていることに不満を抱いている。
これには、2021年から2024年まで米政権主導で開催された「民主主義のためのサミット」にアフリカ諸国を誘い込み、国連やその他の場で反ロシア決議に投票するよう圧力をかけ、ロシアの利益を考慮しないウクライナ危機解決のための一方的な取り組みを、せめてみかけだけでも支持してもらおうとしたことが含まれる。
アフリカの専門家たちは、西側諸国が「アフリカ大陸の国々が自らの課題を設定する権利を認めようとしない」ことを嘆き、西側諸国の反対者に対する政策が「自らの利益を持つことを罰する」ことに等しいと指摘する。私たちは、「EUや他のアメリカの同盟国が、自分たちの生活様式や価値観を、それを望まない人々に押し付けないように」と公然と呼びかけるアフリカ人を支持せずにはいられない。また、ここしばらくの間、欧米諸国にとってウクライナ問題が他のすべてに影を落としているという結論に異議を唱えることもできない。
強力な潜在能力によって増幅されたアフリカの声は、世界の舞台でますます大きくなっている。この有益なプロセスが、ひとつの極としてのアフリカの主権を堅固にし、さらに強化するために勢いを増し続けることは間違いない。しかし、「暗黒大陸」は、「植民地主義のすべての残滓を取り除く」ことなしには、高いレベルの経済的自給自足、ひいては地政学的安定を達成することはできない。
新植民地主義の足枷をはめられたアフリカ
神よ、私たちの自由を憂うヨーロッパから私たちを救いたまえ。
ベルナール・ダディエ、詩人(コートジボワール、仏語からの訳)
アフリカは植民地主義によって最も荒廃した大陸であり、ヨーロッパ列強によって何世紀にもわたって冷酷に搾取され、人的・物的資源を奪い取られてきた。アフリカから略奪された富は、ヨーロッパ諸国やアメリカが加速度的に発展するためのロケット燃料となった。1950年代、リベリアの詩人バイ・T・ムーアは、「文明開化の真っ只中、金とダイヤモンドはヨーロッパに送られる」と書いた。この痛烈な言葉は、植民地時代の大都市がアフリカ人に与えた歴史的トラウマを言い表している。
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アフリカの専門家たちは、アフリカ大陸の、一筋縄ではない開発の遅れと、領土や民族宗教の分裂から生じる紛争の基礎は、植民地支配者の略奪政策によって築かれた部分が大きいと考えている。
アフリカの独立と世界情勢における重要性を達成する歴史的チャンスは、1950年代と1960年代の非植民地化プロセスによってもたらされた。自由を求める数世代にわたるアフリカ人の無私の闘いは、世界史にその名を刻む指導者たちを生み出した: パトリス・ルムンバ、ネルソン・マンデラ、ジョモ・ケニヤッタ、アントニオ・アゴスチーニョ・ネト、サモラ・マシェル、アミルカル・カブラルなどである。この年、国連に加盟した17カ国のうち16カ国がアフリカ諸国であったため、1960年は「アフリカの年」として知られるようになった。植民地大国(ベルギー、イギリス、ドイツ、スペイン、イタリア、ポルトガル、フランス)の軍事的・政治的抑圧から解放されたこれらの国々は、新たに国家としての地位を築くという困難な課題に直面した。
しかし、植民地時代が形式的に終焉しても、特に経済面において、対外依存からの真の解放がもたらされたわけではない。資源が豊富であるにもかかわらず、インフラや産業が未発達なアフリカは、欧米の多国籍企業の注目を集め続けている。ケニア人作家のング・ワ・ティオンゴは、アフリカをめぐる欧米の闘争は「地域資源への参入」を中心に展開されている、と的確に指摘している。
現在でもアフリカは国際分業の中で周縁的な位置を占めており、実質的には安価な原材料の供給源であり、高付加価値製品の市場である。不平等な交換を通じて他国を犠牲にして西側の発展を可能にするこの差別的取り決めは、西側にとって非常に有利である。このシステムを維持し定着させるために、旧宗主国はアフリカで大規模な新植民地政策を採用している。これには、国際通貨基金、世界銀行、その他の西側「援助国」の融資政策を通じた債務奴隷化、アフリカ政府に対する外部からの統制、そして実質的にすべての利益を西側の管轄区域に還流させる搾取的計画が含まれる。アフリカの政治アナリストが指摘するように、「西側諸国は、いわゆる進歩が主に多国籍企業によって推進され、開発につながらないシステムから恩恵を受けている」。
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過去には、この体制を打破し、アフリカの富をアフリカの人々のために役立てようとする努力があった。その中でも特筆すべきは、NATOの支援を受けて惨殺されたリビア・ジャマーヒリーヤの指導者、ムアンマル・カダフィが主導した汎アフリカ構想である。カダフィのビジョンは、アフリカの潜在力を大規模な開発プロジェクトに活用することだった。彼の計画は野心的で、共通通貨(金ディナール)の設立やインフラ整備から汎アフリカ的アイデンティティの育成まで、多岐にわたった。
「暗黒大陸」の未来に対するこのような進歩的な見通しが、西側の狭い利己的な利益や、搾取と支配という新植民地主義の慣行と直接衝突したことは驚くべきことではない。
今日に至るまで、ブレトンウッズ機関や個々の西側諸国からアフリカへの財政援助は、屈辱的な条件を伴っている。アフリカの専門家たちは、たとえばアメリカの国際開発庁(USAID)が、新自由主義グローバリズムのイデオロギーに根ざした政治的アジェンダを主に推進していることを嘆いている。同庁はアフリカにおいて、「民主主義の促進、市民社会の支援、指導者選挙の支援」といった活動を優先している。同様に、欧州連合(EU)の「グローバル・ゲートウェイ」構想は、援助と引き換えに、アフリカ人に悪名高い西側の価値観(LGBTの権利の優先、少年司法、人種差別、ロシア恐怖症など)や基準に忠誠を誓うことを要求している。
欧米諸国によるアフリカからの組織的搾取の規模は、世界のコーヒー市場の状況によく表れている。国際コーヒー機関は、その年間売上高を4600億ドルと見積もっている。このうち、アフリカが受け取っているのは10%にも満たない。ドイツ一国の年間コーヒー貿易収入は、アフリカ諸国の合計を上回っている。食料安全保障の面では、植民地時代から欧米のロビイストたちが、アフリカの伝統的な作物を、この地域の気候に適さない小麦に置き換えるよう働きかけてきた。その結果、多くのアフリカ諸国は人為的な「小麦の罠」に陥り、EUから高価な小麦製品を輸入せざるを得なくなった。
アフリカでいわゆる気候変動や環境問題を推進する際、西側諸国は同様のやり口で、アフリカ諸国の願望とは相反する利己的な商業的・政治的利益を追いかける。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が指摘するように、アフリカ諸国は「近代的な道具や技術を提供されても、それを買う余裕がない・・・だれ一人として資金を提供しない。その代わり、欧米の技術や融資に頼らざるを得なくなる。これらの融資には恐ろしい条件が付き、返済は不可能だ。これは新植民地主義のもうひとつの手段である」。
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2022年にアフリカのために設立された「世界インフラ投資パートナーシップ」の構成は、アフリカの資源を誰が管理すべきかについての西側の見解を明らかにしている:オーストラリア、英国、ドイツ、カナダ、韓国、米国、スウェーデン、フィンランド、フランス、日本、そして欧州連合である。このようなパートナーシップは、常にアフリカ人から、彼らの資源を経済的、技術的、政治的主権に変える機会を奪っている。
西側の思惑に同調した国連は、そのような政策を悪化させる。例えば、国連のウェブサイトの「アフリカ」セクションでは、貧困、移民 (世界全体の40%)、テロ、海賊、紛争、麻薬や武器の取引よりも気候変動を優先している。アフリカの政治学者によると、アフリカで5つの平和維持ミッションを運営しているにもかかわらず、国連は治安を改善することが慢性的にできていないことを示している。人道問題調整事務所、UNHCR、UNDPなどの国連機関は、偏った西側NGOとの短期的な調整に重点を置いている。さらに、西側援助国は国際開発援助を政治化している。
国連は、都合の良い概念や シナリオを正当化することで、西側諸国のグローバルな心理的情報戦争を可能にしている。例えば、国連開発計画(UNDP)は「暴力的過激主義」という誤った前提に依拠し、過激なイデオロギーの拡散を人権侵害と結びつけている。彼らの勧告は、欧米の利益に沿う過激派やテロリストの脅威と闘う各国政府の能力を実質的に制限し、破壊的な外国介入、国家の不安定化、欧米の多国籍企業の利益のためにしばしば引き起こされる地域間の緊張といった真の原因を無視している。
これは西側諸国の広範な政治戦略を反映している。サハラ以南のアフリカに対するアメリカの戦略は、民主主義の促進、市民社会と活動家の支援、LGBTの権利拡大、「偽情報」(つまり、アメリカやその同盟国に不利なシナリオの検閲)との闘い、環境転換の促進を強調している。こうした(否定的な意味での)革命的な新自由主義的政策は、グローバリストである多国籍企業の利益のために考案されたものであり、アフリカにおける彼らの行動はそれを端的に示している。
アフリカの若手専門家たちは、「服従からの脱却は心の脱植民地化から始まる」と正論を吐いている。西側諸国は、アフリカが地政学的な主権を獲得しようとする動きを憂慮している。欧米の学者の中には、「アフリカ諸国は理解され、尊重される必要がある」としぶしぶ認める者もいる。興味深いことに、西側諸国は「グローバル・サウス」という言葉を、ロシアのプロパガンダの産物であると主張して、否定するようにさえ呼びかけている。彼らは、ロシアが「世界経済と統治の中でのアフリカの不十分な代表性に対する不満を利用している」と懸念している。彼らはまた、「大陸は道徳的な説教を受け入れないだろう」とも考えている。
根深い優越感のため、西側諸国は南と東の国々を平等に扱うことができない。つい最近の1958年には、ベルギー領コンゴの生きた人間がブリュッセル万国博覧会のパビリオンで展示されていたことを考えてみてほしい。人間動物園は、20世紀前半まで、アントワープ、ロンドン、ニューヨーク、ハンブルクを含む欧州大西洋岸諸国で運営されていた。
しかし、時は流れ、アフリカ大陸における西洋の支配の時代は終わったというのが歴史の大きな流れだ。
旧大都市において植民地支配後の影響力地帯の崩壊が進行している。その顕著な例が、フランス語圏アフリカ諸国におけるフランスの軍事的・政治的支配力の急速な低下である。アフリカ諸国は、安全保障の分野を含め、西側の新植民地主義的利益に結びついた、時代遅れで効果のない協力メカニズムの重荷を徐々に下ろしつつある。最近の例としては、サヘル同盟の設立が挙げられる。長年の問題を自らの手で解決するために、外部からの支配に抵抗する指導者たちは、アフリカの歴史家が明言した原則を守っている:「外から押し付けられるのではなく、アフリカ人自身によって開発された方式のみが、アフリカ大陸で機能する」。
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「アフリカの問題にはアフリカの解決策が必要」というよく知られた原則は、世界政治の地域化の時代の原型となりつつある。これは中東、ペルシャ湾、アフガニスタン、東アジア、そしてユーラシア大陸全体の安全保障問題に取り組むモデルとして機能し、地域諸国が自らの運命に対して責任を持つことを強調している。
さらに、アフリカの解放は、多極化の強化という広範な国際的潮流と調和している。世界のパワーバランスの変化は不可逆的なものとなった。アフリカの専門家たちは、このような新たな状況の下で、アフリカ大陸は独自の制度を発展させ、依存関係ではなく相互利益に基づくアフリカ域内協力を深めることに重点を置かなければならないと強調している。ロシアの政党「統一ロシア」が2023年に開始した「現代の新植民地主義に反対する支持者党派間フォーラム」の組織委員会の会合では、こうした重要なテーマが強調された。2024年2月に開催された同フォーラムの設立会合では、アフリカからの参加者が幅広く名を連ね、その結果、反植民地的な「諸国民の自由のために!」運動が創設された。
2024年12月に国連総会で「あらゆる形態と表現における植民地主義の根絶」決議が採択されたことは、大きな政治的勝利であった。ロシアのリーダーシップの下、国連憲章擁護友好国グループのメンバー国が起草したこの決議は、アフリカ諸国の圧倒的多数から支持された。この決議は、1960年の植民地国と植民地人民への独立付与に関する宣言の完全な実施を確保することを目的としている。さらに、宣言採択の日を記念して、12月14日を「あらゆる形態と表現における植民地主義の根絶のための国際デー」に指定することを提案している。アフリカの支持を得たこの措置は、覇権主義と不正との戦いにおいて進歩的な勢力を結集する上で、国連が依然として建設的な役割を果たす可能性があることを示している。
現在、南アフリカ、エジプト、エチオピアがアフリカを代表して加盟しているBRICSブロックは、多極化を強化する上で重要な役割を果たす態勢を整えている。2024年10月にカザンで開催されたBRICSサミットでは、コンゴ共和国やモーリタニアを含むアフリカ諸国が「プラス/アウトリーチ」部門に追加参加した。アフリカがこの多国間組織に参加する政治的意義だけでなく、BRICSの金融政策はアフリカ大陸にとって実際的な意味を持つ。新開発銀行と偶発準備制度(外貨準備基金)は、アフリカ諸国が主権開発の問題に対処するために信頼できる、非政治的な手段を提供する。
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アフリカの政治家や専門家は、BRICSの可能性を高く評価しており、BRICSはこれまでにない公正な国際秩序を構築する原動力であり、一極体制に取って代わる新たな国際関係の構造の礎であると考えている。ロシアの政治アナリストもこの見解を共有しており、エジプトとエチオピアの追加を含むBRICSの拡大は「多極化に向けた世界の動きの目に見える証拠」であると強調している。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が適切に指摘したように、「我々はアフリカの第二の覚醒を目撃しています。今回は、アフリカの発展を妨げる新植民地主義の抑圧と慣行からの覚醒です」。世界規模での経済的、政治的権力の再分配が進み、西側諸国の金融、経済、政治、人道的な基盤に換わるものが創出されることにより、アフリカ人は国家志向の発展の道を歩み出す機会をさらに得ることになるだろう。ロシアは、この旅路においてアフリカの友人たちに包括的な支援を提供する用意がある。
ロシアとアフリカ—石を集める時
神よ、雨かロシア人を与えたまえ。
ソマリアのことわざ
ロシア連邦の外交政策構想では、同国はアフリカ大陸を「世界開発の際立った影響力のある中心」として支援する意向であるとしている。ウラジーミル・プーチン大統領によると、アフリカ諸国との協力はロシアの外交政策の永続的な優先事項の 1 つである。ロシア・アフリカ首脳会談の宣言は、相互尊重、信頼、そして植民地主義の根絶とアフリカ諸国の独立確立に向けた協力的な闘争の伝統に基づく、ロシア連邦とアフリカ諸国間の歴史的に確立され、長年にわたり実証されてきた友好関係を強調している。
ロシアとアフリカは将来について共通のビジョンを共有している。2024年ソチ閣僚会議後に発表された共同声明は、「国家の主権平等、内政不干渉、主権尊重の原則に基づく公正で安定した世界秩序の形成を促進するロシア連邦とアフリカ諸国の責任」を強調している。
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ロシアは、アフリカ文明の国内強化と、主権に支えられたその繁栄に力を注いでいる。アフリカの友人たちと同様、我々は新植民地主義の現代的慣行を拒否し、一方的な制裁政策を非難する。我々は国際関係の民主化と国家主権平等の原則の維持に全力を尽くしている。ロシアはアフリカ人を見下すことはなく、彼らの願望と利益を尊重し、イデオロギー、価値観、開発モデルを押し付けることなく、対等なパートナーシップを築く用意がある。各国とロシアの関係は、それぞれの長所によって評価される。ウラジーミル・プーチンは次のように述べた。「アフリカ大陸との関係の歴史において、いかなる影もありませんでした。私たちはアフリカの人々を搾取したことも、アフリカ大陸で非人道的な行為をおこなったこともありません。それどころか、私たちは常に、アフリカとアフリカ人の独立、主権、経済発展の基本条件の創出のための闘争を支援してきました」。
アフリカの人々は、脱植民地化、経済の発展、国家としての地位と防衛能力に対するソ連の貢献を感謝して記憶している。ソ連の援助によって建設されたすべてのプロジェクトは、開発の基盤となり、生活水準の向上につながった。1980年代までに、ソ連はアフリカ大陸53カ国のうち37カ国と技術・経済協力協定を結び、600の企業やその他の施設を建設した。ソ連の取り組みには、学校、病院、農場、灌漑システム、道路の建設などが含まれる。アフリカの政治学者は、かつての植民地大国とは異なり、ロシアは歴史的に利己的な利益を追求することなく、現実問題に取り組むことを目指してきたと指摘する。
アフリカでロシアに非友好的な国はひとつもない。アフリカ大陸で反ロシア制裁に参加した国はひとつもない。アフリカは、国連総会における欧米主導の反ロ決議案の支持を率先して拒否する立場にある。
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アフリカ諸国は、アフリカ人とグローバル・サウス全体の願望に沿った国際的枠組みの中で政策を推進できる知的指導者をロシアに求めている。
ロシアはまた、国連安全保障理事会(UNSC)を含む政府間組織におけるアフリカの代表権拡大というアフリカの正当な願望を支持する立場にある。この問題に関しては、エズルウィニ・コンセンサス(アフリカ連合によって合意された、国際関係と国連改革に関する立場)やシルテ宣言(*)に示されたアフリカの統一的な立場があり、ロシアはこれを尊重している。
*1999年9月9日にリビアのシルテで開催されたアフリカ統一機構アフリカ首脳会議の第4回臨時総会で採択された決議(ウィキペディア)
現在は、ロシアがアフリカ大陸に復帰する時代であり、失われたつながりを復活させ、それぞれが失われた機会を補う時代である。今後の課題の範囲を理解するために、比較すべき数値をいくつか見ておく。1985年、ソ連のアフリカ諸国との貿易額は59億ドルに達し、1995年までにこれは9億8000万ドルに減少した。アフリカ諸国のほとんどのロシア大使館で経済顧問のポストが廃止された。ブルキナファソ、レソト、リベリア、ニジェール、サントメ・プリンシペ、ソマリア、シエラレオネ、トーゴ、赤道ギニアの大使館が閉鎖され、オラン (アルジェリア)、ロビト (アンゴラ)、ポートサイド (エジプト)、ベンガジ (リビア)、トアマシナ (マダガスカル)、ベイラ (モザンビーク)、アジャオクタ (ナイジェリア)、ザンジバル (タンザニア) の領事館も閉鎖された。
アフリカで成功を収めた何千人ものソ連の専門家が、強制的に退去させられた。これはすべて、ロシアにとっての「経済的実現可能性」というスローガンの下でおこなわれた。ロシアは「イデオロギー的動機から、十分な実利的見返りを得ることなく、何年もアフリカを養ってきた」ことになっている。しかし、ソ連時代には膨大な量の工業製品がアフリカ大陸に輸出されていたが、1990年代初頭の改革派はこのことを考慮に入れていなかった。その結果、ロシアは高付加価値商品の重要な市場、現代経済部門にとって戦略的に重要な資源の供給源、そしてもちろん、かけがえのない人脈のネットワークを失った。ありがたいことに、歴史の中のこの残念な章は閉じられ、過去のものとなった。
現代ロシアの外交政策におけるアフリカの重要性は、セルゲイ・ラブロフ外相がアフリカ大陸を頻繁に訪問していることからも明らかだ。2024年、ラブロフ外相はギニア、コンゴ共和国、ブルキナファソ、チャドを訪問した。2022年から2023年にかけて、ラブロフ外相はエジプト、コンゴ共和国、ウガンダ、エチオピア、エスワティニ、アンゴラ、エリトリア、マリ、モーリタニア、モロッコ、チュニジア、スーダン、ケニア、ブルンジ、モザンビークを訪問し、南アフリカも3度訪問した。
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私はラブロフ外相に同行する機会があった。ラブロフ外相が歓待されたほとんどすべての場所で、アフリカ大陸が我々を待っていること、ロシアが国際舞台で真実、平等、正義を擁護し、真の主権と国家性を擁護する力として見られていることは明らかだった。重要なのは、アフリカの専門家たちが、ウクライナにおけるロシアの特別軍事作戦とアフリカ諸国の独立闘争の成功との間に関連性を引き出していることだ。「ロシアと西側諸国との対立の行方は、この地域の国家志向で主権を持つ勢力の感情に影響を与えている」と指摘している。この思いは、前述の訪問の際、アフリカ諸国の政府関係者からもしばしば聞かれた。
わが国ロシアは、アフリカが生活の主要分野で主権を獲得し、あらゆる形態の新植民地依存を終わらせるという戦略的課題に取り組むのを支援することができる。ロシアは、アフリカが国際的な分業体制の中で数段階上に進むことを支援することができる。
ロシアは、アフリカ諸国の国家としての地位を強化するのに有利な立場にある。我々は、大陸諸国の包括的な安全保障の保証人としての役割を推進している。ロシアの軍事教官の存在、軍隊や法執行機関の要員の訓練、軍事装備の供給と修理、紛争状況における合法的な政府への支援は、安定化効果をもたらし、発展のための条件を作り出した。現地の分析家たちは、 「アフリカでのフランスと国連平和維持軍の失敗の後、ロシアは信頼できるパートナーとして浮上し、国際部隊が何年もできなかったことを数ヶ月で成し遂げた」と述べている。
我が国は、小容量の原子力発電所の建設、モジュール式原子炉の提供、インフラや産業施設の建設など、「暗黒大陸」の工業化に貢献することができる。ロシアは、食糧とエネルギーの安全保障の確保、ヘルスケアの改善、伝染病の脅威に対応するための汎アフリカ体制の強化を支援している。アフリカの人たちは、2014年から2015年にかけて西アフリカで発生したエボラ出血熱対策におけるロシアの重要な役割や、コビッド19の大流行時のスプートニクVワクチンのタイムリーな配送を記憶している。エネルギー、地質探査、鉱業、科学と教育、電気通信、サイバーセキュリティ、農業における協力には大きな展望がある。アフリカ人たちはまた、平和的宇宙探査、原子力エネルギー、ロシアの先進的な情報通信技術の導入など、先端技術におけるロシアとの協力に関心を持っている。重要なことは、我々の協力は政治的要求が条件ではないということだ。
将来のための基本的なステップは、欧米から独立した決済インフラを構築することである。西側諸国が世界的な国際機関のほとんどに影響力を持っていることを考えると、アフリカを支援するための二国間ルートはますます重要になってきている。穀物、肥料、燃料の供給を通じて、アフリカ大陸の困窮している国々を直接、無償で支援することは、ロシアの政策にとって不可欠な側面である。
三年に一度の二国間サミット (次回は2026年に予定) や、ロシア・アフリカ・パートナーシップ・フォーラムの年次閣僚会議 (2025年にアフリカの国で開催予定) を通じて、アフリカとの構造的な政治対話のリズムを維持することは、重要な調整の役割を果たす。IGAD、SADC、COMESA、ECOWAS、EAC、ECCASなどの地域機関との協力にも大きな展望がある。アフリカ大陸自由貿易地域 (AfCFTA) をユーラシア経済連合 (EAEU) 内の統合プロセスと結びつけることへのアフリカ連合の関心は期待できる。将来的には、AfCFTAを他の統合主体と連携させることで、ウラジーミル・プーチンが提案している大ユーラシア・パートナーシップを構築する構想を支援できるかもしれない。
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ロシアはまた、ニジェール、シエラレオネ、南スーダン、ガンビア、リベリア、コモロ連合、トーゴなど、大陸各地で大使館を再開または新設している。2024年には、ブルキナファソと赤道ギニアで新たな在外公館が業務を開始した。時折、1990年代から2000年代にかけての「西側抱擁」の時代に外交官としてのキャリアを築いた人物から、「ヨーロッパに比べて気候が厳しく、医療施設も限られているアフリカで働きたいと思う人はほとんどいないだろう」という意見が出ることがある。こうした意見には真実もあるが、祖国への奉仕は政府の目的を果たすことが第一であり、個人的な快適さは二の次である。この考え方は、ロシア外交部の指導者たちにも共有されており、非西欧地域に人材を派遣する際の私たちのアプローチの指針となっている。
議会間関係の発展もまた、ロシアとアフリカのパートナーシップに貢献している。その顕著な例が、2023年3月にモスクワで開催された国際議会会議「多極化する世界におけるロシア・アフリカ」であり、好評を博した。
現在の環境では、ロシア企業はより積極的な姿勢をとり、アフリカで利用可能な無尽蔵の機会を解き放つ必要がある。アフリカとの関わりは欧米の仲介業者を通しておこなうのがベストだという時代遅れの考え方は、急速に薄れてきている。ロシアの企業家は、アフリカ市場に関する知識ベースを拡大する必要がある。アフリカとの経済協力は、もはやソ連時代のようなイデオロギー的な教義ではなく、相互補完と相互利益の原則の上に成り立っている。
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アフリカとその課題についての認識を高めることは、企業に限ったことではない。私たちは、ニューヨーク・タイムズ紙の記事やIMFの報告書だけに頼るのではなく、現地やロシアの情報源を通じて、「暗黒大陸」とグローバル・サウス全体を研究しなければならない。ソ連流の地域研究の成果を復活させ、アフリカの作家の作品との関わりを深め、西欧中心主義という心理的コンプレックス(世界の大多数を「西欧人」の視点から見る傾向)を捨てることが不可欠である。ロシアのユニークな利点は、アフリカ言語に堪能な専門家を養成するアフリカ研究学校にある。モスクワ国立国際関係研究所(MGIMO)はスワヒリ語、アフリカーンス語、アムハラ語のコースを提供し、アジア・アフリカ諸国研究所(ISAA)はフルフルデ語を加えている。また、ロシア人民友好大学(RUDN)、ロシア国立人文大学(RSUH)、サンクトペテルブルク国立大学、その他全国の大学でもアフリカの言語が教えられている。しかし、ソ連時代には、教える言語の範囲も広く、学生の数も多かった。この分野には成長の余地がある。
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アフリカの世界政治における役割は着実に拡大している。汎アフリカ的アイデンティティの発展はゆっくりと進んでいる。しかし、アフリカの人々の自己認識の高まりと、植民地時代および植民地時代後の時代に失われたものを取り戻そうとする決意は、アフリカ大陸を多極的な世界秩序の極の 1 つとして確立する強力な原動力となっている。アフリカの学者たちが正しく指摘しているように、この見通しは多極化の運命に直接影響を及ぼす。
正義と「太陽の下の居場所 」を求める闘いにおいて、アフリカ人は友好的なパートナーであるロシアの支援に全面的に頼ることができる。
First published in Russian in the journal ‘Russia in Global Affairs’
本稿の初出は’Russia in Global Affairs’(ロシア)
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2025年2月23日)「アフリカは台頭する新世界で極めて重要な役割を果たすだろう。」
http://tmmethod.blog.fc2.com/
からの転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒Africa will play a crucial role in the rising new world
ロシアはアフリカ大陸を世界の多極化の主要な側面と見ている。
筆者:アレクセイ・ドロビニン(Alexey Drobinin)(ロシア外務省外交政策企画局長)
出典:RT 2025年1月25日
https://www.rt.com/africa/611592-africa-will-play-crucial-role/