
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年2月24日 (月) 命綱切断に協力ゆ党三兄弟
社会・経済通常国会の重要テーマが二つある。
予算案審議と法案審議。
前半は予算審議が軸になる。
予算が成立すれば法案審議が本格化する。
予算審議での最重要テーマが二つある。
減税と高額療養費制度。
昨年10月総選挙で自公は過半数割れに転落。
野党が衆院多数を握る。
野党が結束すれば与党に重要政策を呑ませることができる。
主権者国民の立場に立って、主権者が求める最重要施策を与党に呑ませる。
これが少数与党に対する基本姿勢であるべきだ。
減税論議の大きな背景に税収激増がある。
2020年度に国の一般会計税収は60.8兆円だった。
これが2024年には73.4兆円(見通し)になる。
4年間で税収が12.6兆円増加した。
12.6兆円増税が実施されたと表現して差し支えないだろう。
国民生活は一向に改善されていない。
実質賃金は減少し続けている。
国民は賃金が増えず、物価が上昇する状況下で、存亡の機に立たされている。
国税だけで12.6兆円の負担増。
地方を含めれば15兆円規模の国民負担増加が生じている。
この税収激増を国民に還付することを検討するべきだ。
与党が首を縦に振らないなら、野党が結束して対応するべきだ。
野党は国会過半数を有しているのだから、野党が結束すれば要求を通すことができる。
15兆円減税にふさわしい施策がある。
消費税率を5%に引き下げること。
103万円の壁引き上げが提唱されているが、課税最低限を引き揚げても103万円以下の人には恩恵は発生しない。
所得が少ない、所得がない層にとって、過酷な負担になっているのが消費税だ。
消費税率は収入が10億円の個人も収入がゼロの個人も同じ。
年収10億円の個人が年間に1億円消費するケース。
この個人の年収に対する消費税負担率は1%。
年収が100万円の人が100万円を消費に充当すると年収の10%が消費税でもぎ取られることになる。
食品の税率8%では焼け石に水。
所得がゼロの個人の消費税負担率は無限大になる。
現行の消費税こそ、生存権の問題に直結する重大事態を引き起こす元凶になっている。
国民民主党も総選挙のときは消費税率5%を唱えていた。
ところが、総選挙後は一言も言わなくなった。
財務省が絶対に阻止しようとしているのが消費税減税なのだ。
国民民主党は財務省に協力している。
もう一つの最重要テーマが高額療養費制度改悪。
誰しも重い病気にかかり得る。
その際の高額療養費を自己負担では払えない。
本人負担に上限を定めているが、この本人負担を激増させる制度改悪が提案された。
国民の命綱を断ち切る政策。
当然のことながら反対意見が沸騰した。
何はさておき、野党が結束して、一旦、白紙に戻させることが絶対に必要。
ところが、野党がバラバラに対応するために、わずかな修正で制度改悪が押し通されようとしている。
維新は自公と結託して予算成立に協力する構え。
野党が結束して対応しなければ制度改悪が押し通される。
野党の結束に全力を注がなかった立憲民主、国民民主も同罪。
絶対に許してはならないセーフティネット=安全網の破壊が野党の協力で強行される事実を絶対に忘れてはならない。
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植草一秀の『知られざる真実』2025年2月24日 (月)「命綱切断に協力ゆ党三兄弟」
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050