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【櫻井ジャーナル】2025.03.01XML:拘束者の交換を強いられたくないイスラエルは自国民を殺害する指令を出していた
国際政治ハマスは2月22日、停戦合意の一環として、拘束していた6名のイスラエル人を解放した。その際、式典が催されたが、そこでイスラエル人オメル・シェム・トフがハマスの戦闘員ふたりの頭部にキス、世界的に話題になった。イスラエルのメディアは大半が無視している。イスラエルは日常的にパレスチナ人を拘束してきたが、22日の人質交換で、そのうち約600名を解放した。
戦闘は2023年10月7日、ハマスを中心とするパレスチナ側の武装勢力がイスラエルを攻撃したところから始まったとされている。いわゆる「アル・アクサの洪水」だ。
アル・アクサとはイスラムにとって第3番目に重要なモスクを指している。2022年4月1日にイスラエルの警察官がアル・アクサ・モスクの入口でパレスチナ人男性を射殺し、4月5日にはイスラエルの警官隊がそのモスクへ突入、400名以上のパレスチナ人が拘束された。その間、2022年12月にベンヤミン・ネタニヤフが首相に就任している。
さらに、ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/2023年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人がそのモスクを襲撃、さらにユダヤ教の「仮庵の祭り」(昨年は9月29日から10月6日)に合わせ、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入している。
勿論、パレスチナ問題は1948年5月にシオニストがイスラエルの建国を宣言してから始まっているわけであり、それを忘れてはならないのだが、アル・アクサ・モスクを舞台としたイスラエル側の挑発があったことも間違いない。そして10月7日、ハマスを中心とする武装グループがイスラエルを攻撃して今回の戦闘が始まったのだ。
この作戦でパレスチナ側はイスラエル人を拘束、イスラエルに拘束されているパレスチナ人を解放させるために利用しようとしているはず。そのためには生きたまま拉致する必要がある。それに対し、イスラエル側は拘束者の交換を望んでいないため、イスラエル人が生きたまま拘束されることを嫌う。
10月7日の攻撃の際、約1400名のイスラエル人が死亡したとされ、その後1200名に訂正された。イスラエルのハーレツ紙によると、イスラエル軍は侵入した武装グループを壊滅させるため、占拠された建物を人質もろとも砲撃、あるいは戦闘ヘリからの攻撃で破壊している。イスラエル軍は自国民の殺害を命令したというのだ。いわゆる「ハンニバル指令」である。ハーレツの記事を補充した報道もある。エルサレム・ポスト紙によると、イスラエル軍は10月7日にハンニバル指令を出していたことが判明したという。
イスラエル人が人質として拘束されるのを防ぐため、いかなる手段を使って構わないとする命令が1982年には出されたという。そして1986年、イスラエル軍のヤコブ・アミドロールが中心になり、ハンニバル指令が正式に作成されたと伝えられている。
この指令は2016年に正式に撤回されたというが、2023年10月7日におけるイスラエル軍側の言動は、この指令がネタニヤフ政権によって再び発動されたことを示唆しているとイスラエルの複数のメディアが報じている。その日、相当数のイスラエル人が殺害されたが、その原因はハンニバル指令にあった可能性が高い。イスラエルのヨアブ・ガラント元安全保障相はその指令を実施するよう命じられたと認めている。
なお、ガラントは昨年11月7日付けで安全保障相を解任され、今年1月5日にクネセト(イスラエル議会)を辞任、その直後にハンニバル指令が出ていたと発言した。
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