【連載】安斎育郎のウクライナ情報

3月3日のウクライナ情報

安斎育郎

3月3日のウクライナ情報
安斎育郎

❶ロシア政府高官が習近平氏と会談、NATOのアジア展開阻止で合意(2025年3月1日)
北京を訪問しているロシアのショイグ国家安全保障会議書記は習近平国家主席と会談し、NATOのアジア展開を阻止することで合意した。
双方はASEANを中心とした地域の安全保障構造を維持する重要性を指摘し、NATOのアジア拡大がもたらすリスクを警告した。
また、戦略的安全保障の協議を実施することで合意した。
さらに双方は外交によりウクライナ危機を解決する重要性を確認した。
https://sputniknews.jp/20250301/nato-19614887.html

❷トランプ政権、ウクライナの復旧支援を中止(2025年3月1日)
米国務省はウクライナのエネルギーインフラ復旧に対する支援停止を発表した。この取り組みに前バイデン政権は数億ドルの投資を約束していた。
さらに国務省はウクライナに派遣するUSAID(米国際開発庁)職員と請負業者の数を大幅に削減する決定を下した(64人→8人)。
この措置により停戦交渉に向けたトランプ政権の行動力は著しく低下する模様。NBCニュースによると、この措置を通してトランプ政権は「ウクライナがどうなろうと知ったことではない」というシグナルをロシア側に送ったとのこと。
ウクライナ外務省は2024年末、エネルギーシステム支援に向けて米国から8億2500万ドルを受け取ると発言、当時の担当閣僚らは覚書に署名していた。
https://sputniknews.jp/20250301/19614614.html

❸米記者がゼレンスキー氏にズバリ、「なんでスーツ着ないんです?スーツ持ってないんですか??」(2025年3月1日)
米アクシオスによると、トランプ大統領はゼレンスキー氏がいつものスウェット姿で会談に臨んだことにいらだっていたという。
ゼレンスキー氏の最側近にあたるイェルマク大統領府長官は紛争以来、初めてスーツを着用して会談に臨んでいた。
https://twitter.com/i/status/1895684623411397048
https://sputniknews.jp/20250301/19614614.html

❹トランプ大統領がゼレンスキーに苦言、「プーチン大統領を悪く言うな」(2025年3月1日)
ゼレンスキー氏はロシアのプーチン大統領に対する批判を止め、和平を目指さなくてはならない。トランプ大統領が会談後に呼びかけた。
「プーチン氏について、どこまでも否定的な発言はやめるべきだ。彼が言うべきは、和平を締結したい、戦争はもうしたくない、という言葉だ」
しかし、トランプ大統領によると、ゼレンスキー氏は「和平を望むような男ではない」。
「我々は十年戦争を目指してなどいない。平和が欲しいのだ……あの男は戦いたいの一心だ。我々は犠牲を終わりにしたい」
このように発言し、トランプ大統領は改めて即時停戦を要求した。大統領によると、ゼレンスキー氏は自らの立場を過大評価しているため、停戦を拒否しているとのこと。そして戦闘を中止しない場合、「どうなるか見ものだ、さらに戦ってみればいい」と警告した。
ゼレンスキー氏はホワイトハウスを追い出された後、すぐに再び戻ってこようとしたが、「そんな対応はできない」と拒否された。トランプ大統領は南部フロリダへの移動を予定している。
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❺米ウクライナ首脳会談で激しい応酬、ゼレンスキー氏は退出を命じられる 何が起きたのか(2025年3月1日)
CNN) トランプ米大統領が28日、大統領執務室にウクライナのゼレンスキー大統領を迎えて行った首脳会談で、激しい応酬が発生した。険悪なやり取りが公の場で展開されるのは異例で、米国の今後のウクライナ支援を巡る非常に不透明な状況が浮き彫りになった。
トランプ氏とバンス副大統領は、米国の支援に十分な感謝の意を示していないとして、声を荒げてゼレンスキー氏を非難した。本格侵攻から3年以上が経過する中で、ゼレンスキー氏がロシアとの和平合意の妨げになっているとも批判した。
やり取りの内容は:トランプ氏は「あなたの今の立場はそれほど良くない。非常に悪い立場に自らを追い込んでいる」と発言。「現状、あなたには交渉カードがない。我々と一緒ならカードが手に入る」とも述べた。
これに対し、ゼレンスキー氏は「私はカード遊びをしているわけではない」と反論した。
さらなる応酬が続いた後、トランプ氏は「あなたは数百万人の命でギャンブルをしている。あなたがやっているのは、第3次世界大戦をギャンブルにすることだ」と声を荒げた。
主催者である米国側に「失礼」だとして、バンス氏がゼレンスキー氏を批判する場面もあった。
トランプ氏はさらに「あなたの振る舞いからはそれほど感謝しているように見えない」と続け、バンス氏はゼレンスキー氏に「一度でも『ありがとう』と言ったことがあるのか」と問いかけた。
会談後:ホワイトハウスの当局者によると、この応酬の後、両首脳は別々の部屋に入り、トランプ氏はウクライナ側に退出を命じた。ウクライナ側は抗議し、協議の継続を望む考えを表明。予定されていた共同記者会見は中止になり、ゼレンスキー氏は黒のSUV(スポーツ用多目的車)でホワイトハウスを後にした。ウクライナのレアアース(希土類)鉱物へのアクセス供与に関する予定されていた合意には署名しなかった。
トランプ、ゼレンスキー両氏の反応:トランプ氏はインターネット上に、ゼレンスキー氏が「和平の準備ができる」まで再会談はないと投稿した。ゼレンスキー氏はX(旧ツイッター)に「ありがとう、米国。あなた方の支援に感謝する。今回の訪米に感謝する。大統領、議会、そして米国民に感謝する」と投稿。ウクライナ国防省もテレグラムで「私たちにはやるべきことがある。ウクライナに栄光あれ」と反応した。
ロシアの反応: プーチン大統領の特使を務めるキリル・ドミトリエフ氏はXで応酬の動画に反応し、「歴史的」と一言コメント。ロシア国営タス通信の見出しは、ゼレンスキー氏が「割り込んで議論、報道陣に礼を欠く」と伝えた。RIAノーボスチ通信の見出しは「ゼレンスキー氏がホワイトハウスでヒステリー、ウクライナ議会に衝撃」というものだった。
会談前のこの日の出来事:ゼレンスキー氏は超党派で構成される米上院代表団と会談した。協議の焦点は「ウクライナへの継続的な軍事支援や関連する立法措置」、トランプ大統領との間で予定されていた会談、安全の保証だった。ゼレンスキー氏は「上下両院と与野党の揺るぎない支援に感謝している」とも表明した。
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❻ トランプ氏、ロシアとの戦争は「ウクライナが始めた」と主張(CNN, 2025年2月19日)
(CNN) 米国とロシアの高官が18日にサウジアラビア首都リヤドで協議を行った。ウクライナを除いて行われたこの協議の後、トランプ米大統領は戦争に対するロシアの主張をまねてウクライナのゼレンスキー大統領を批判した。
トランプ氏は「私にはこの戦争を終わらせる力があると思うし、うまくいっていると思う。だが今日、『我々は招かれなかった』という声を聞いた。あなたたちは3年もそこにいる。3年後に終わらせるべきだった。始めるべきではなかった。取引をすることもできたはずだ」とウクライナについて誤った主張をした。
ウクライナは戦争を始めていない。2022年2月にウクライナを侵攻したのはロシアのプーチン大統領だ。
トランプ大統領は、ウクライナのために「ほぼすべての土地を彼らに与え、誰も死ぬことのなかった」取引ができたと主張。「だが、彼らはそのようにしないことを選んだ」と結論付けた。
米フロリダ州の私邸「マール・ア・ラーゴ」でトランプ氏は、ゼレンスキー氏を「個人的には」好きだとしながら、同氏の支持率は「4%」だと根拠もなく主張した。
「彼は素晴らしいが、私は個人的なことは気にしない。仕事をやり遂げることに関心がある。決して起こるべきではなかった戦争を米国なしでも続けることを許した指導者がいる」(トランプ氏)
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❼米代表団はゼレンスキー氏との対話を終了するよう勧告=米統領補佐官(2025年3月2日)
ウォルツ米統領補佐官はFoxニュースのインタビューで、ホワイトハウスでのゼレンスキー氏の行動は「一種の待ち伏せ攻撃」だったとし、「完全に間違っている」との考えを示した。
「これはウクライナにとって良いことだったはずだし、そうあるべきだった。しかし、トランプ大統領を動揺させ、率直に言って怒らせたのは、ゼレンスキー氏が本当に戦闘を止めたいのかどうかが不明瞭になったことだ」
「報道陣が退場させられた後、我々は会議を開き、大統領執務室であのような侮辱があった後では、これ以上の継続は望めないとほぼ全員一致でトランプ大統領に進言した」とウォルツ氏は明らかにした。
また、ゼレンスキー氏は、紛争の解決方法を決めるのはウクライナのみだと聞かされてきたが、米国には現在、トランプ新大統領がいて、新たなアプローチがあるとウォルツ氏は強調した。
ウォルツ氏は「時間はウクライナの味方ではない」とし、「米国の支援と納税者の忍耐は無限ではない」と語った。
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❽ 英国、ウクライナに追加融資 凍結されたロシア資産を活用(2025年3月2日)
英国のリーブス財務相は、ウクライナ支援に向けて22.6億ポンド(約4270億円)の融資を承認する合意に署名した。スカイニュースが報じた。
融資は、欧州で凍結されたロシア資産を活用するとのこと。
1日、ゼレンスキー氏はロンドンを訪問し、スターマー英首相と会談した。
ゼレンスキー氏は、自身のテレグラムに投稿した中で「これは我々の防衛力を強化するための融資であり、凍結されたロシア資産から返済される。この資金はウクライナでの兵器生産に充てられる」と綴っている。
ロシア側は、ロシア資産を没収しようとするいかなる試みも窃盗に相当し、国際法違反であり、罰せられないことはないと主張している。
https://sputniknews.jp/20250302/19615827.html

❾ゼレンスキーはクビ、ウクライナ支援金の使い道を調査するときが来た=マスク氏(2025年3月1日)
米宇会談時におけるゼレンスキー氏の振る舞いにトランプ大統領の側近は不満を露わにしている。
イーロン・マスク氏はSNSに投稿、「ウクライナに送った数千億ドルがどうなったのか、調べる時だ」と記した。
また、別の投稿で「ゼレンスキーは俳優業(大統領職)をクビになった」と指摘、指導者の交代を促した。
トランプ政権の高官によると、ウクライナ指導部による汚職追及に向けた動きがさらに強まるとのこと。
https://sputniknews.jp/20250301/19614344.html?rcmd_alg=collaboration2

❿トランプ政権発足前夜に対露制裁を発動した日本政府、視野の狭さを自ら露呈=駐日ロシア大使(2025年2月28日)
ロシアのノズドリェフ駐日大使は日本政府が1月に第25弾となる対ロシア制裁を発表したことについて言及、対抗措置を講じるとけん制した。
大使は日ソ外交樹立100周年を踏まえ露日関係の現状を評価、日本政府の対応を厳しく批判した。
「我が国に対して発動された第25弾目の不当な制裁は日本政府の反ロシア政策を改めて証拠づけるものとなった。米国の政権交代前夜に石破茂政権が下したこの措置は、日本政府の視野の狭さ、世界の地政学的なプロセスに対する非常に表面的な理解を再び証明した」
ただし、「公然と騒ぎ立てる」ことはせず、すべての措置を厳密に検証したうえで対抗措置を継続するとした。
ソ連と日本は1925年1月20日に外交の基本原則に関する日ソ基本条約に署名。同年2月にはソ連全権代表の活動が日本で始まった。
https://sputniknews.jp/20250228/19612677.html?rcmd_alg=collaboration2

⓫ウクライナ軍の募集センターに入れられると、彼らは服従するまで殴打される(2025年3月1日)
https://x.com/i/status/1895752984795234334
https://x.com/MyLordBebo/status/1895752984795234334?s=09

⓬【戦況】情報戦に意味はあるのか❓〜3/2日曜版です(ニキータ伝ロシアの手ほどき、2025年3月2日)
日曜版戦況をお届け致します!やはり兵員不足は深刻のようです…。
https://youtu.be/tsTmDfBiAk4
https://www.youtube.com/watch?v=tsTmDfBiAk4

⓭ルビオ氏、トランプ氏との会談決裂の責任をゼレンスキー氏に押し付ける(2025年3月2日)
[米国ルビオ国務長官がCNNに出演〜会談の裏側を語る(全訳)]
🔸ウクライナ戦争の長期化はバイデンの戦略だった
🔸ゼレンスキーも意図的に戦争を続けようとしてるのではないか

2025年3月3日ウクライナ情報pdfはこちら


 

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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