【特集】ウクライナ危機の本質と背景

アンクルサムの生物兵器大作戦

マイク・ホイットニー(Mike Whitney)

・証拠隠ぺいに狂奔した米国とウクライナ

ロシアの報告書は、いかに多くの将来的犯罪行為の証拠書類の多くが、ロシアの侵攻後に破棄されたことを説明している。それを見てみよう。

「ロシア国防省が入手した資料は、ウクライナのバイオ研究所における重大でリスクの高い研究は全て、米国の専門家が直接監督していたことを証明している。ロシア国防省の報告によれば、この時点でキエフ政権は、米国とウクライナが生物兵器禁止条約(BTWC)第1条に違反しているという直接的証拠をロシア側が入手できないように、全ての記録を急いで隠蔽してしまった。彼らは全てのバイオ研究プログラムを急いで停止している。

ウクライナ保健省は、2022年2月24日から生物学研究所に預けられていた生物製剤を除去するよう命じた。研究所の職員への指示から推測すると、回収物排除の命令は、それらが徹底的に破壊されねばならなかったことを示している。破壊証明書を分析したところ、リヴォフ研究所だけでレプトスピラ症の病原体が入った232個のコンテナ、30個の野兎病菌、10個のブルセラ症、5個のペストを破壊したことがわかる。合計で320個以上のコンテナが廃棄されたのである。病原体の名称と過剰な量から、この作業は軍のバイオ研究プログラムの一環として行われたものと思われる」(注3)。

言い換えれば、ロシアの侵攻が引き金となって、殺人病原菌が保管されていた研究所は猛ダッシュで逃げ出したのだ。研究者たちは、ロシア人が到着して何が起こっているかが分かる前に、素早く証拠を処分しなければならなかった。研究所の職員は、連続殺人犯が警察が到着する前に凶器から血のついた指紋を念入りに拭き取るのと同じように、大ざっぱな儀式を行っていたのだ。つまり、「証拠隠滅」ということ。同時に研究者たちは、全てを「ロシアのプロパガンダ」のせいにするように言われていた(しかし、既にそれは知られていた)。

(質問)これらの生物学研究所はウクライナに住む人々の生活にどのような影響を及ぼしたのでしょうか?

ロシア国防省によると、「2018年にルガンスク・ドネツク両人民共和国に住む市民の間で、新しい多耐性株による結核の症例が急増した事実に注意を喚起する。……70例以上が検出され、感染者は急速な死亡に至った。これは意図的な感染か、あるいはウクライナ領内にあるバイオ研究所の1つから病原体が偶発的に漏れたことを示しているのかも知れない」 (注4)。

つまり、これらの施設の周辺に住んでいた多くの人々が、奇妙な結核やその他の奇病で謎の死を遂げたわけだが、その死が意図的なものかどうか、はっきりとしたことは分からない。そして、当然のことながら、これらの犯罪の加害者が責任を問われることはない。痛ましいことだ。。

もちろん、全てが偶然であるかもしれないが、私はそうではないと思う。ウクライナ人は、米国人の死を招く科学プロジェクトで意識しないまま実験動物にされたのだと疑っている。そして、まだある。ロシアの宇宙開発関連国営企業・ロスコスモス社のドミトリー・ロゴージンCEOの文章を読んでみて欲しい。

「ペンタゴンがウクライナなどロシア周辺国のスラブ系被験者から得た生体材料を用いて行ったこれらの生物実験の目的が、ロシアのロシア系住民に対する特定の集団を狙う“エスニック兵器”の開発であることも、我が国の指導者には周知の事実である」 (注5)。

・「人類文明」に対する攻撃

米国がエスニック・グループを選択的に標的にする生物兵器を開発しているというこうした考えは、米国の謎の生物プロジェクトに対する批判者の間で繰り返し語られているテーマに他ならない。中国の軍事専門家、宋忠平は、次のように指摘する。

「米国は、ライバル諸国を狙った標的型ウイルス兵器を開発することを目的として、その周辺に生物学研究所を設置し続けた。……米国は覇権を追求するために大量破壊兵器の開発に固執しているが、これは生物兵器禁止条約に著しく違反するもので、人類文明に対する攻撃でもある」(注5)。

そして、インドの外交官出身のジャーナリストであるM.K.バドラクマールは、「大量破壊の渡り鳥」と題する最近の記事で、次のようにまとめている。

「ロシアは、ペンタゴンのバイオ研究に関する軍事活動の文書を公開していた。それは、敵対する国にバイオ研究所を設置し、それらの国に対して標的型のウイルス兵器を開発するという世界規模のプロジェクトを示していた」。

「ロシア軍の放射線・化学・生物防衛部隊のチーフであるイーゴリ・キリロフ将軍によると、ワシントンは、各国にバイオ研究所を作り、それらを一体化されたシステムに結び付けようとしている」(注6)。

最後に、モスクワの国際大学のカナダ人上級研究員マシュー・エレットが、生物兵器を使った「エスニック・ターゲッティング」の起源を説明したものを紹介しよう。

「ネオコンが総結集したシンクタンク『米国新世紀プロジェクト』(PINAC)が2000年10月初めに発表した綱領文書『米国防衛の再構築(RAD)』で、ネオコン一味が生物兵器を重要視していることが強調されている。……いわく『戦闘は新しい次元で実施されるようになるだろう。宇宙、サイバー空間、そしておそらくは微生物の世界で。……特定の遺伝子型を“狙い撃ち”できる高度な生物兵器は、生物兵器をテロの領域から政治的に有用な道具へと変貌させるかも知れない』」。

さらにこの記事でエレットは、研究者が「特定のエスニック・グループを選択的にターゲットにする」という目標を達成した可能性がある証拠を指摘している。以下はそこからの引用である。

「…南アフリカのシャンカラ・チェティ博士、チェコ共和国のソーニャ・ペコヴァ博士、米国のメリル・ナス博士などの一流の医学専門家は、病原体の様々な流行が自然発生したものではないだけでなく、特定のエスニック・グループにだけ特異的に発症するもので、実験室で作られたという豊富な証拠を提供している。

チェティ博士は、7000人以上の患者を調査した結果、南アフリカで発生した4つの病気の伝播で最も被害を受けた患者は、第1波は黒人、第2波はインド人、第3波は白人とアラブ人であることを早くから見抜いていた」(注7)

・国連の会合から逃亡した米国

すべての問題は、ここに行きつくのか。つまり、新世界秩序(New World Order)に導くための、特定のエスニック・グループに対する生物兵器なのだろうか。

驚くしかない。

また、この世界中にある300以上のバイオ研究所が、国防総省の管理下にある「統一されたシステム」の一部である事実も気がかりだ。それは一体どういうことなのか。何故、国防総省はバイオ研究所の統一されたシステムを望むのか。

もっとたくさんあるだろうが、私は1つの理由を思いつく。例えば、有力なエリートたちが、個人の自由をなくし、ワクチン接種を強制し、戒厳令を敷くための口実として使えるような世界的危機を作り出すことによって、民主主義体制をより権威主義的なモデルへと変えようとした(グレート・リセット)としよう。

もし、彼らが自由に使えるバイオ研究所のネットワークを持っていれば、同じ病原体を世界中の場所に簡単に放ち、ウイルスが急速に拡散しているように見せかけることができる。言い換えれば、バイオ研究所の広範なネットワークを使って、世界的なパンデミックを偽装できる。

そんなことは可能なのだろうか。

実際、この2年間で、このシステムが実際にどのように機能するのか、その一例が示されるかも知れない。

最後にもう一つ。国連安保理は最近、ウクライナのバイオ研究所の問題を扱う緊急会議を開いた。非公式の生物学的安全保障に関する「アリア・フォーミュラ会議」である。しかし、バイデン政権から誰か会議に出席したのだろうか?

誰も出席していない。つまり米国は会合をボイコットしたということは、国際社会で主張する機会を与えられたにもかかわらず、無視を決め込んだのだ。何故なのか。

中国代表団の一人は、「罪の意識の表れ」だと言った。

私には、それが正しいように思える。

(翻訳:東江日出郎)

(注1)「China accuses US of having 336 Biolabs in 30 countries including 26 in Ukraine, demands ‘full account of its biological military activities’」(URL: https://www.opindia.com/2022/03/us-has-336-biolabs-in-30-countries-including-26-in-ukraine-alleges-china/
(注2)「Russia Mod: Briefing on analysis of documents related to US military and biological activities in Ukraine」(URL:http://thesaker.is/russia-mod-briefing-on-analysis-of-documents-related-to-us-military-and-biological-activities-in-ukraine/

(注3)「Sitrep: UNSC on biolabs in the Ukraine + Russia Transcript」(URL:http://thesaker.is/sitrep-unsc-on-biolabs-in-the-ukraine/
(注4)(注3)と同。
(注5)「US shuns UN meeting on biological security to ‘cover up guilt conscience’」(URL: https://www.globaltimes.cn/page/202204/1258784.shtml
(注6)「Migratory birds of mass destruction
(URL: https://www.indianpunchline.com/migratory-birds-of-mass-destruction/

(注7)「The Project for a New American Century and the Age of Bioweapons: 20 Years of Psychological Terror」(URL: https://www.unz.com/article/the-project-for-a-new-american-century-and-the-age-of-bioweapons-20-years-of-psychological-terror/

原題「Uncle Sam’s Bio-Weapons Extravaganza」(URL:https://www.globalresearch.ca/uncle-sams-bio-weapons-extravaganza/5778699

Global Research 提供。

 

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マイク・ホイットニー(Mike Whitney) マイク・ホイットニー(Mike Whitney)

米ワシントン州在住。インターネットで活躍する米国の代表的な左派ジャーナリストの一人。

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