
3月14日のウクライナ情報
国際3月14のウクライナ情報
安斎育郎
❶ ロシア、ウクライナ巡る対米協議へ要求提示=関係筋(2025年3月13日)
[ニューヨーク/ワシントン 12日 ロイター] – ロシアがウクライナとの戦争を終結させ、米国との関係をリセットするための合意に向けた要求リストを米側に提示したと、関係者2人が明らかにした。
要求の具体的な内容や、要求が受け入れられる前にウクライナと和平交渉を行う用意があるのかどうかは不明。米ロ当局者は過去3週間に対面やオンラインなどでの協議で条件について議論したという。
関係者によると、ロシア側の条件は幅広く、以前にウクライナや米国、北大西洋条約機構(NATO)に提示した要求と類似している。
以前の要求には、ウクライナのNATO加盟断念のほか、ウクライナに外国部隊を展開しないこと、ウクライナ領クリミアと4州がロシアに属するというプーチン・ロシア大統領の主張を国際的に認めることなどが含まれていた。
また、ロシアは近年、NATOの東方拡大など同国が戦争の「根本原因」と主張する問題に米国とNATOが対処することも要求している。
米ホワイトハウスと在ワシントンのロシア大使館はコメント要請に応じていない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/80dd33735cfb2afd5fd0833e8e21ac07a6844f8b/images/000
❷ウクライナ停戦案に対する回答、ロシアの「目的」明らかにと米国務長官 ウ軍、ロシアでの足場喪失目前(2025年3月13日)
ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、米国が提案した即時停戦をロシアが受け入れれば、30日間の停戦期間中により包括的な和平合意の草案を作成できるとの見解を示した。
だが今のところロシア政府は、前日発表された提案についてさらなる情報を待っているとのコメントにとどまった。
ルビオ米国務長官
「ロシア側の反応が本当の問題だ」
ルビオ国務長官は、この提案に対する反応がロシアの目的を大いに物語るだろうと述べた。「もし彼らの返答がイエスであれば、我々は本当に前進を遂げており、和平のチャンスが本当にあることがわかる。もし彼らの返答がノーであれば、それは非常に残念なことであり、彼らの意図するところが明らかになるだろう」
ルビオ氏は11日、サウジアラビアで実施したウクライナ高官との協議の後、提案の概要を明らかにした。
ロシアのプーチン大統領はこれまで、短期の停戦には否定的な見解を示している。
ウクライナは、ロシアが占領地から撤退しない限り、短期的な停戦には応じられないとの姿勢を示してきた。その理由としてウクライナは、ロシアが停戦期間を利用して部隊の再配置を行う可能性があるためだとしていた。
ウクライナは11日、この点で態度を軟化させた可能性がある。これは先月ゼレンスキー氏とトランプ氏が口論した後、ぎくしゃくしている両者の関係改善の兆しかもしれない。この口論の後、トランプ氏は軍事支援と情報共有の停止を指示した。
だが12日、トランプ氏は前向きな姿勢を示した。
トランプ米大統領
「見守るしかない。今はロシア次第だ。我々は双方と良好な関係を築いてきた」
また米政府は、ウクライナへの軍事支援と情報共有を再開した。
一方ウクライナ軍は、ロシアのクルスク地方で苦戦の末築いた足がかりを失いそうだ。
2022年、ロシアはウクライナへ全面侵攻。数十万人が死傷し、数百万人が避難を余儀なくされた。町は廃墟と化し、ロシアと西側諸国の関係は過去60年間で最悪となった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/accb9557fec4a4aff0b498a32fd05cc9dfb343e4
❸「米国依存」からの脱却、独自の防衛体制構築へ動き始めたEUとドイツ(2025年3月13日)
トランプ政権がウクライナ向け軍事援助を一時的に停止するなど、米国がロシアに急激に接近し、欧州防衛への関与を減らす傾向が強まっている。だが欧州側の防衛支出を大幅に増やし、米国依存を減らすための動きは、ようやく緒についたばかりだ。
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トランプ政権の「欧州防衛関与レベルの引き下げ」と「ロシア接近」の動きは速い。2月12日のドナルト・トランプ大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン両首脳の電話会談と、同日のピート・ヘグセス国防長官の、「ウクライナでの停戦監視軍には米軍は参加しない」という発言、ウクライナ停戦に関するサウジアラビアでの米ロ外相協議に関する2月17日の発表、 2月28日のホワイトハウスでのトランプ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー両大統領の「衝突」と希少資源をめぐる交渉の決裂に続き、3月3日にトランプ氏はウクライナへの軍事援助の「一時停止」を発表した。
米ロはウクライナ和平だけではなく、経済協力についても協議するために首脳会談を計画している他、ヘグセス国防長官は、ロシアに対する能動的サイバー攻撃も停止を指示すると発表しており、両国間では雪解けが急速に進んでいる。ロシア・ウクライナ戦争の間接的な当事者である欧州諸国は、蚊帳の外に置かれたままだ。
「第二次世界大戦後、最大の地政学的変化」
欧州の論壇では、「ウクライナ戦争をめぐっては、トランプ大統領はロシア側の条件で停戦交渉をまとめようとしている」という意見が強まっている。
ドイツの歴史学者ハインリヒ・アウグスト・ヴィンクラー教授は、フンボルト大学、ベルリン自由大学などで教鞭をとった経験を持ち、ワイマール共和国などに関する多数の著書を持つ。第二次世界大戦終結から70周年にあたる2015年5月8日に連邦議会で記念講演を行うなど、ドイツ社会で最も強い影響力を持つ歴史学者の一人だ。
ヴィンクラー教授はドイツの有力紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)の3月4日付電子版に発表した論考の中で、現在起きている事態を「国際関係の革命」と呼び、トランプ政権の姿勢に強い警戒感を表した。教授は、「トランプ氏はロシア接近によって、世界の主要国の勢力範囲を再編しようとしている。彼はロシアを、『ディールができる相手』と見なしている。ホワイトハウスでのトランプ・ゼレンスキー両大統領の衝突と、米国のウクライナからの離反は、1945年の第二次世界大戦終結時以来、最大の地政学的変化を象徴する。国際社会へのインパクトは、1945年2月のヤルタ会談に匹敵する」と指摘した。同氏は「人権尊重や法による支配は、トランプ氏にとって何の意味も持たない。彼は第二次世界大戦後の国際的な秩序を破壊しようとしている。もしもトランプ氏がプーチン氏が望む条件でウクライナ戦争を終わらせるとしたら、それは米国がロシアによる侵略戦争を是認することになる」と警告した。
ヴィンクラー教授は、「ホワイトハウスでの米国とウクライナの衝突から、米国がウクライナに安全の保障を伴わない停戦を受諾させようとしていることが明白になった。そのような『見せかけの平和』はウクライナと欧州にとって受け入れ難い」と主張する。安全の保障とは、停戦発効後にロシアがウクライナを再攻撃するのを防ぐための約束だ。ウクライナ政府は、ロシアに対する抑止力を高めるためには、欧州諸国の軍隊を緩衝地帯に配置するなどの体制では不十分であり、米軍が参加することが不可欠だと主張してきた。
さらにヴィンクラー教授は欧州諸国の政府に対し、「トランプ政権は、北大西洋条約機構(NATO)の相互防衛義務に縛られるとはもはや考えていないだろう。欧州は、トランプ政権下の米国との関係を根本的に見直し、米国に依存せず独自の防衛力を持つという、これまで繰り返してきた決意表明を実行に移さなくてはならない」と勧告した。その言葉には、「ロシアの攻撃はウクライナに留まらず、将来NATO加盟国にも及ぶ危険がある」という危惧が含まれている。
128兆円の資金調達を目指すEU「欧州再軍備計画」
実際、欧州連合(EU)およびNATOでは、今年に入ってから、ウクライナ支援を増やし、加盟国の防衛支出を大幅に増額するための議論がようやく本格的に行われるようになった。欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は3月4日、「欧州再軍備計画(ReArm Europe)」を発表した。同氏はこの計画が必要となった背景として、「現在我々は最も重要で、最も脅威に満ちた時期を経験しつつある。過去数週間の加盟国首脳の会談から、我々が軍備を拡張しなくてはならないことが明らかだ。我々がいま行動しないとしたら、その結果は、極めて深刻かつ重大になる」と説明した。
フォンデアライエン委員長は、「この計画によって、軍備拡張のために8000億ユーロ(128兆円)の資金を調達することを目指す」と語った。
この計画によると、EUは経済通貨同盟の加盟国の防衛支出について、財政赤字・公共債務残高に関する規則を緩和する。EUの安定・成長協定はユーロ圏加盟国に対し、財政赤字を国内総生産(GDP)の3%未満、公共債務残高を60%未満とすることを義務付けている。EUは防衛支出を、この制約から免除する方針だ。フォンデアライエン委員長は、「たとえば加盟国が毎年防衛支出をGDPの1.5%に相当する額ずつ引き上げれば、4年間で防衛費を約6500億ユーロ(104兆円)追加支出できる」と語る。
さらにEUは加盟国の対空ミサイル、自爆ドローン、砲弾などの調達やウクライナ軍事支援のために、1500億ユーロ(24兆円)の新たな融資枠(基金)を設ける。これまで欧州では各国政府が兵器や砲弾をバラバラに調達する傾向が強かったが、フォンデアライエン委員長は加盟国に対し兵器を共同で開発したり、弾薬を共同調達したりすることによって、軍備拡張を効率的に行うよう求めた。ただし、この基金の財源は明らかにされていない。
フォンデアライエン委員長は、EU予算の防衛支出への流用も検討している。たとえばEUには、加盟国のインフラ改善や環境保護などに使われる結束基金(Cohesion Fund)という基金があるが、委員長はこの基金の一部を軍備拡張に使うことを考えている。EUによると、結束基金の2021〜2027年の資金規模は、3920億ユーロ(62兆7200億円)だ。
さらに欧州委員会は、欧州投資銀行(EIB)を通じて、防衛産業に対する民間資金の融資を容易にすることも考えている。
一方欧州の防衛関係者や金融関係者の間では、1991年に創設された欧州復興開発銀行(EBRD)をモデルにして、「欧州再軍備銀行(European Rearmament Bank)」を創設するという構想も浮上している。EBRDは、中東欧諸国で社会主義政権が次々に崩壊した後、各国が自由市場経済にスムーズに移行できるように、経済インフラの整備や環境保護などのための融資を行ったり、民間銀行からの融資を仲介したりした。欧州再軍備拡張銀行が設置される場合には、EUの27カ国だけではなく、英国とノルウェーも出資者として参加する見込み。出資者が欧州諸国の政府であるため、欧州再軍備拡張銀行は最高位の信用格付けを得られると予想されており、少なくとも1000億ユーロ(16兆円)規模の融資が可能になる。
民間の銀行の中には、兵器や弾薬を主に製造する企業への融資について制限を設けている銀行もある。特にサステナビリティ(持続可能性)を重視する金融商品では、顧客の資金を兵器・弾薬の製造を主要業務としているメーカーに投資することは、ご法度である。ドローンのように、民生・軍用の両方に使える機材のメーカーは、制限の対象になっていない場合が多い。このため、今後欧州委員会と金融業界は、兵器・弾薬の製造を主要業務とするメーカーへの融資基準についても緩和することを検討するものと見られている。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、軍備拡張の資金を確保するためにEU予算を2倍に増やす必要があり、そのためには2020年のコロナ禍の時と同様にユーロ共同債を発行するべきだと主張していた。ドイツのオラフ・ショルツ首相はユーロ共同債によって共同で資金調達することに反対していた。EU加盟国が国債市場で共同で借金をすると、一部の加盟国が返済できなくなった場合、ドイツなど経済規模が大きい国が肩代わりを求められることを警戒したからだ。フォンデアライエン委員長も、3月4日の演説でユーロ共同債には触れなかった。ただし2月23日のドイツ連邦議会選挙でキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が首位となり、ウクライナ支援についてショルツ氏よりもはるかに積極的なフリードリヒ・メルツ氏が次期首相になることがほぼ確実であることから、今後ユーロ共同債についての議論が再燃する可能性もある。
ドイツが「債務ブレーキ」を修正へ
現在CDU・CSUは社会民主党(SPD)と大連立政権へ向けて交渉を行っている。議論の焦点の一つは、債務ブレーキと呼ばれる、憲法に規定された財政規則だった。将来の世代が利払いに苦しむことを防ぐため、連邦政府はGDPの0.35%を超える財政赤字を禁じられている。選挙戦の期間中、SPDは債務ブレーキを修正して、ウクライナ支援や防衛支出、インフラ整備のための投資などが、債務ブレーキによる制限を受けないようにすることを提案していた。これに対しメルツ氏は債務ブレーキの修正について消極的だった。だがトランプ政権がロシア寄りの姿勢を明白にし、欧州防衛への関与を減らす兆候を見せていることから、CDU・CSUとSPDは3月4日、財政規則を修正して、防衛支出の内、GDPの1%を超える部分については、債務ブレーキの対象外とすることで合意した。
ドイツでは、ショルツ政権が2022年に「連邦軍特別予算」として1000億ユーロ(16兆円)を計上したために、2024年に防衛支出がGDPに占める比率を2.1%に引き上げることに成功し、NATOが定める目標値「2%ライン」を達成した。だがトランプ大統領は、NATO加盟国に対し、防衛支出のGDP比率を5%に引き上げることを要求している。NATOのマルク・ルッテ事務総長は今年2月、「現在策定中の兵力動員計画によると、NATO加盟国は防衛支出のGDP比率を3%に引き上げる必要がある」と語っている。CDU・CSUとSPDの合意は、こうした要請に対応する上で、重要な一歩と言える。
ただしドイツ政府はある問題に直面している。債務ブレーキを修正するには、憲法を改正しなくてはならないが、憲法改正には議員の3分の2を超える賛成票が必要だ。しかし、連邦議会選挙で極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)と極左政党・左翼党はあわせて、議席定数の3分の1を超える議席を確保した。どちらの政党も、軍拡のために債務ブレーキを修正することに反対している。つまり次期連邦議会では、メルツ次期政権の債務ブレーキ修正のための憲法改正案が、AfDと左翼党によってブロックされる危険がある。このためCDU・CSUとSPDは、債務ブレーキの修正についての議決を、今期の連邦議会で行うことを決めた。
平和の配当を消費してきた欧州諸国の覚醒
「欧州は米国依存を減らして、独自の防衛力を強化しなくてはならない」という指摘は、1998〜1999年のコソボ戦争の時にも政治学者やジャーナリストから出されていた。この戦争では、NATOによるセルビア系武装勢力などに対する空爆の90%を米空軍が実施した。さらに欧州諸国は、米軍の介入なしには、第二次世界大戦後の欧州において最も凄惨な局地戦となったボスニア内戦を停戦に持ち込むことができなかった。欧州諸国は、コソボ戦争以降も平和の配当を消費するばかりで、「米国への依存からの脱却」へ向けて具体的な作業を始めなかった。今やそのつけが欧州に回って来た。
だが「米国がロシアを後押しして、侵略戦争の被害国を窮地に追い込む」という前代未聞の事態は、欧州諸国をようやく眠りから覚醒させ、米国に頼らない独自の防衛体制の構築へ突き動かすだろう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1b1071b20bb53d6d94433c4c7ef0c057a2fed708/images/000
❹ロシア大統領補佐官「何も得られない」アメリカとウクライナが合意の停戦案に否定的見解(2025年3月13日)
ロシアの大統領補佐官は13日公開のインタビューで、アメリカとウクライナが合意した停戦案をめぐり「ロシアは何も得られない」と述べ、否定的な見解を示しました。
タス通信などによりますと、ロシアのウシャコフ大統領補佐官は13日に公開されたインタビューの中で、アメリカとウクライナが合意した30日の停戦案をめぐり「ロシアは何も得られない」「ウクライナ軍にとっての一時的な休息に過ぎない」と述べ、否定的な見解を示しました。
両国の停戦案は「偽りの和平への取り組みであり、誰も必要としていない」とした上で、「我々の正当な利益が考慮された、長期的な和平を目指す」と主張しました。こうした見解はアメリカのウォルツ大統領補佐官との12日の電話会談で、すでに伝えたということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ee8d981473d0455c1f2d82e521bc69edd039ec5/images/000
❺ウクライナ軍はクルスク撤退目前? ネットではロシアの猛攻とアメリカの軍事支援停止は示し合わせたようだ、との憶測も(Newsweek, 2025年3月13日)
ロシア軍はここ数日、ウクライナと国境を接する西部クルスク州で攻勢を強め、要衝スジャ奪還に向けて一気に制圧地域を広げてきた。
そのタイミングが米トランプ政権がウクライナへの軍事支援を一時停止した時期と重なっているため、ロシアと何らかの合意があったのではないか、との憶測がネット上で広まっている。ただし、それを裏付ける証拠はない。
本誌はホワイトハウスとロシア国防省にメールでコメントを求めた。
ウクライナ軍は昨年8月、ロシア領内のクルスクへの越境攻撃を開始。不意をつかれたロシア軍が対応に手こずる間に、国境沿いの一帯を占領した。
その後ロシア軍は北朝鮮が派遣した兵士を投入するなど巻き返しを図ってきたが、ウクライナ軍部隊の拠点となっているスジャの奪還では苦戦を強いられてきた。
ウクライナ軍が無防備な時を狙った?
クルスクの支配地域は、ウクライナがロシアと停戦交渉に臨む際、とくに互いの占領地の扱いを交渉する際の切り札になるはずだった。
ロシア軍は数日前からスジャを目指して新たな攻勢を開始、近郊の村落を次々と制圧した。3月12日には、ウクライナ軍はロシア軍の包囲を避けるため既にスジャからの撤退を開始したと伝えられた。ロシアの情報筋が提供した映像では、スジャの中心部にロシア国旗が立てられたように見える。
この記事執筆の段階では、ウクライナはスジャからの撤退を公式に認めていない。
ロシア軍は、トランプ政権がウクライナへの軍事支援も軍事情報共有も一時停止し、ウクライナ軍が無防備になったタイミングでスジャへの猛攻を開始したのではないか──根拠はないものの、複数のSNSアカウントがそう指摘している。
「トランプが装備と情報提供を打ち切ったタイミングで、ロシアはクルスクで攻勢を始めたようだ」と、あるブロガーは指摘。「トランプ政権は交渉を始める前に、ウクライナの選択肢を1つ残らず取り上げようとしている」と主張するブロガーもいる。
ロシアにおける占領地すべてで劣勢に
アメリカは3月初め、ウクライナ向けの軍事物資の輸送を全面的に停止。その直後にウクライナへの軍事情報の提供も打ち切った。支援が再開されたのは、3月11日にサウジアラビアでアメリカとウクライナの高官協議が行われてからだ。
「この支援中断により、多数のウクライナ兵が命を落とした」と、ウクライナ大統領府のスタッフは匿名を条件にタイム誌に語った。
アメリカの軍事支援停止で最も深刻な打撃を受けたのは、クルスク州におけるウクライナ軍の作戦だと、このスタッフは明かした。「クルスクに限らず、ロシア領内の占領地域全て」で、ウクライナ軍は劣勢に追い込まれているという。
ロシアの反体制派で、公開情報に基づきロシア軍の活動を追跡している調査団体「紛争情報チーム」のルスラン・レビエフ代表は12日、スジャから「ウクライナ軍が撤退し始めた」と発表した。
ロシアの著名な軍事ブロガーも12日、ロシア軍はスジャの工業地帯に陣取り、ウクライナ軍の補給路を断ち切るため、ウクライナ北東部のスームィからクルスクに向かう主要ルートでウクライナの輸送車両を攻撃していると伝えた。スジャを「陸の孤島」にしようという作戦だ。
軍事支援は再開したが
「ロシア軍はクルスク州で確実に前進している。スジャへの攻撃開始は時間の問題だろう」と、米シンクタンク・戦争研究所(ISW)は11日に発表した。
位置情報を示す映像を基に、ロシア軍はスジャの南東と東の村々を占拠し、それらの村々から北と南に進んでいると、ISWは分析している。
ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相は12日、自国南東部の「ヤションカ経由の兵器輸送は以前のレベルに戻った」と発表。ポーランド東部を経由してウクライナに向かうアメリカの武器支援が再開されたと確認した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/02d66b47e911f0ad19c1a7b512f0af4d99c06b13/images/000
❻ ロシア国防省がクルスク州の要衝スジャを奪還したと発表 ウクライナ軍が2024年8月から越境攻撃し掌握 ゼレンスキー政権には大きな痛手に(2025年3月13日)
ロシア国防省はウクライナ軍が越境攻撃し掌握していたロシア西部クルスク州の要衝スジャを奪還したと発表しました。
ロシア国防省は13日、クルスク州ではウクライナ軍を撃破し続けているとしたうえでスジャを含む3つの集落を解放したと発表し、動画を公開しました。
公開されたスジャの映像には攻撃を受けて損壊した車や建物などが写っています。
ウクライナ軍は2024年8月からロシアに越境攻撃していて、クルスク州のスジャには掌握した軍の司令部を置いていました。
これに先立ちロシアは12日、クルスク州でウクライナ軍が掌握した地域の86%を奪還したとし、クルスク入りしたプーチン大統領は速やかにクルスク州のすべての地域を奪還するよう指示していました。
ウクライナは越境攻撃で掌握したロシア領土を停戦交渉の外交カードともくろんでいましたが、ロシアのスジャ奪還はウクライナのゼレンスキー政権にとっては大きな痛手となりそうです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c8fe1ea4ce0580af3c2717eca29c85aa1ff58afa/images/000
❼トランプ大統領、ウクライナ巡り新たにコメント 紛争解決に向けたプラン打ち出す(2025年3月13日)
ドナルド・トランプ米大統領は12日、記者団に対し、ウクライナ紛争解決を巡って新たにコメントした。
・ロシアはウクライナの即時停戦提案に同意すると予想している。
・米国は「依然としてロシアに対して財政的な圧力をかける力を持っている」が、それを用いることはウクライナ和平達成の目標に反する。
・ウクライナにおける和平という文脈では、停戦だけでなく領土問題についても議論されてきた。
また、トランプ氏はウクライナ問題の解決に向けた自身のプランを概説した。
・停戦の確立
・完全な休戦
・紛争の終結
一方、ウクライナにおける即時停戦に関する合意案については「ロシアにとって理にかなっていると思うが、多くの事情がある」とも話した。
プーチン大統領は以前、ウクライナ紛争解決の目標は短期的な停戦ではなく長期的な和平であるべきだと述べている。プーチン大統領の指摘によれば、停戦はウクライナに訓練や人員増強の機会を与える可能性がある。
https://sputniknews.jp/20250313/19638254.html
❽ スジャ奪還作戦 パイプラインを15キロ進む(2025年3月12日)
ウクライナ軍が露クルスク州侵攻の拠点としていたスジャ市で、露軍はパイプラインを活用して伏兵を忍ばせ、敵陣を背後から攻撃。この「スジャ中入り」作戦で、同市の産業区画の奪還に成功した。
「入口まで塹壕を500メートル掘って、あとはガスマスクも使いながら、パイプラインを15キロです。スジャのガス施設から出て、ウクライナ兵と戦闘になりました」
https://sputniknews.jp/20250312/15-19637924.html
❾米ウ交渉で領土の譲歩は議論されず=ウクライナ高官(2025年3月12日)
ウクライナ大統領府のイェルマク長官は米政府高官らとの会談後、メディアの取材に応じた中で、領土の譲歩に関する議論は無かったことを明かした。
イェルマク長官によると、今回の会談は「極めて具体的なディテール」については議論しないフォーマットだったとのこと。
トランプ大統領は先にウクライナ側には一定の妥協が必要になると表明していた。
ロシアのラブロフ外相は先にウクライナ危機の停戦交渉について言及、ウクライナ側に領土の面で譲歩することなどありえないと表明している。
米宇会談の主な結果は以下の通り。
・ウクライナはロシアの同意を条件に、即時に30日間の一時停戦を行う米国の提案を受け入れることに同意した。
・提案された一時停戦は、当事者の合意により延長される可能性がある。
・米国とウクライナは、レアアースに関する合意を早急に締結することで合意した。
・ウクライナは会談で紛争終結に向けた「具体的なステップと提案」を示した。
・ウォルツ米大統領補佐官・国家安全保障担当は数日中にロシア側と会談する。
https://sputniknews.jp/20250312/19636315.html?rcmd_alg=collaboration2#pv=g%3D19636315%2Fp%3D19635671
❿NATO諸国から成る平和維持部隊のウクライナ駐留は受け入れ不可能=ラブロフ外相(2025年3月12日)
・ホワイトハウスでトランプ大統領は、ゼレンスキー氏にロシアとの対話拒否の理由をただしたが、彼は回答を避けた。
・ウクライナは協調し、自らのイニシアティブを実現していれば、クリミアとドンバスの一部を除き、1991年の国境を維持できただろう。
・NATO加盟国軍のウクライナ駐留は、いかなる形でもロシアへの脅威であり、受け入れられない。
・EUや英国はウクライナ紛争の継続を望んでおり、ロシアに敵対的行動をとるように米国をけしかけるため、「いろいろ言っている」。
・核大国は怒鳴り合っていてはいけない。交渉のテーブルで話さなくては。
・露米の国益が完全に同じになることは決してあり得ない。50%でも合致しないだろう。
・米露中3カ国の核兵器に関する対話は、相互尊重に基づくものであればいかなるフォーマットであっても我々はオープンだ。
https://sputniknews.jp/20250312/nato-19637255.html?rcmd_alg=collaboration2#pv=g%3D19637255%2Fp%3D19636899
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1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。