【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年3月16日 (日) 企業献金禁止に反対する党

植草一秀

昨年10月31日の総選挙で自民党が大敗した原因は〈政治とカネ〉問題にあった。

日本政治の中心問題。

1970年代にロッキード事件が表面化。

田中角栄首相への贈賄が立件された。

1980年代末にはリクルート事件が表面化。

竹下登首相を中心に多数の国会議員にリクルート社の未公開株が不正に譲渡されたことが発覚し、その一部が事件化された。

その後、1993年に政治改革をめぐり自民党が分裂。

総選挙の結果として野党8会派による連立政権が樹立された。

自民党は1955年の結党以来、初めて下野した。

この過程で衆院総選挙に小選挙区制が導入され、企業団体献金を廃止することを前提に政党交付金制度が創設された。

その後、連立政権から社会党が離脱。

自民党は社会党、新党さきがけと連携して政権を樹立して与党に返り咲いた。

その自民党が再び下野したのが2009年。

鳩山民主党は企業団体献金全面禁止を公約に盛り込もうとした。

しかし、結果として公約化は見送られた。

岡田克也氏が強く反対して公約化は闇に葬られた。

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2010年の政変で鳩山内閣が総辞職し、守旧勢力傀儡の菅直人内閣、野田佳彦内閣が創設された。

野田内閣は公約違反の消費税大増税法制定を強行。

2012年12月に自爆解散を強行して自公に大政を奉還した。

爾来、10年の時間が経過するが、この過程で自民党の裏金不正事件が表面化した。

再び〈政治とカネ〉問題に焦点が当てられて企業団体献金全面禁止、政策活動費全面禁止などの措置が訴えられてきた。

2012年12月に発足した第2次安倍内閣は暴虐の限りを尽くした。

モリ・カケ・サクラの不祥事が次から次へと表面化。

ところが日本の刑事司法は腐敗し切っている。

政権中枢の犯罪を何一つ立件しなかった。

刑事司法当局が立件したのは安倍政権に逆らって真実を暴露した人々だけだった。

しかし、その安倍自民党が統一協会と深く癒着していたことが明らかになり、さらに安倍派を中心に巨大な裏金不正が行われてきた実態が明らかにされた。

〈政治とカネ〉という古くて新しい問題。

国民の怒りは増幅され、昨年10月の総選挙で自公は過半数割れに転落した。

このなかで浮上したのが〈政治とカネ〉にクリーンとされた石破茂氏。

石破氏は5回目の挑戦で自民党総裁の椅子を掴み、首相に就任した。

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その石破氏が初当選の自民党議員と会食し、1人10万円の商品券を配布したことが明らかにされた。

過去の〈政治とカネ〉問題と比較して合計金額は小さい。

しかし、〈政治とカネ〉問題を軸に政局が変動しているなかで今回の問題発覚は重大だ。

政治資金規正法に違反している疑いは十分にある。

石破首相は窮地に追い込まれた。

内閣不信任案が提出されれば可決される可能性が十分にある。

可決された場合、石破氏は内閣総辞職か、衆院解散かのいずれかを選ばなければならない。

衆参ダブル選になだれ込む可能性も浮上する。

しかし、冷静に考える必要もある。

〈政治とカネ〉問題は石破氏だけの問題であるか。

〈国会対策〉の名目で巨額の資金が与野党間で動いてきたとの指摘もある。

野党陣営でも〈商品券〉だけでなくスーツの仕立券〉あるいは〈現金〉が動いてきた〈黒歴史〉があるのではないか。

巨額の〈政策活動費〉を計上して飲み食いに充当してきたのは自民党だけでない。

維新や国民民主も巨額の金額を〈政策活動費〉に計上してきた歴史がある。

当面の最重要点は〈企業団体献金全面禁止〉。

これに反対している政党はどこか。

この点をはっきりさせる必要がある。

※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』2025年3月16日 (日)「企業献金禁止に反対する党」
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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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