【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年3月23日 (日) 〈ゆ党〉でなく〈野党〉強化最重要

植草一秀

〈与党〉と〈ゆ党〉と〈野党〉。

三つ巴の情勢。

〈ゆ党〉とは〈隠れ与党〉のこと。

〈野党〉を装うが実態は〈与党〉に限りなく近いというのが〈ゆ党〉。

敗戦後の日本政治を支配してきたのは米国の支配勢力。

敗戦直後の2年間だけは状況が違った。

この2年間に日本民主化が一気呵成に成し遂げられた。

〈日本の一番長い2年間〉だった。

対日占領政策で主導権を握ったのはGHQのGS(民政局)。

民政局が主導して日本民主化措置が断行された。

日本国憲法制定もGSの影響力が大きい。

財閥解体・農地解放・労働組合育成

という〈民主化〉が断行された。

この民主化政策の集大成が〈日本国憲法〉。

日本国憲法は1947年5月3日に施行された。

しかし、その直前に激変が生じた。

米国外交政策の大転換である。

3月に提示された〈トルーマン・ドクトリン〉により、米国の外交政策の根幹が〈ソ連封じ込め〉=〈反共〉に転換した。

連動して対日占領政策も大転換。

GHQのトップにマッカーサーが位置しており、マッカーサーとトルーマンが犬猿の仲であったため、日本の〈逆コース〉は漸進的なものになったが大転換の基本は変わらない。

GHQの主導権はGS(民政局)からG2(参謀2部)に移行。

日本国憲法の公布と施行が半年遅れていたら、憲法はまったく違うものになった可能性が高い。

GHQは〈日本民主化〉を中止し、〈日本反共化〉を推進した。

いわゆる〈逆コース〉だ。

1949年の7月から8月に国鉄3大怪事件が発生。

下山事件、三鷹事件、松川事件である。

事件を引き起こしたのは共産党・共産主義者であるとの情報誘導が図られたが、真実はGHQの工作による事件であった疑いが強い。

松本清張が『日本の黒い霧』で推論を示している。

日本民主化が中止され、米国は、反共で米国政府に服従する日本政治を構築した。

この基本が現在まで引き継がれている。

反共で対米隷属の日本政府を構築するなかで、米国が起用した傀儡の首魁が吉田茂と岸信介である。

反共と対米隷属。

日本政治において、この基本を維持することが彼らの目標である。

この図式が本格的に破壊される脅威が生じた。

これが2009年9月に誕生した鳩山由紀夫内閣。

鳩山内閣誕生を阻止するために総力が結集されたが失敗した。

2009年9月に鳩山内閣が樹立された。

しかし、ここで引き下がらないのが日本支配を維持してきた米国支配勢力だ。

2009年から10年にかけて鳩山内閣破壊工作が猖獗を極めた。

民主党内に潜伏する対米隷属勢力を活用して鳩山内閣を破壊。

対米隷属の傀儡政権を樹立した。

これと並行して実行されてきたのが〈ゆ党〉の創設と強化である。

端緒は2008年創設の〈みんなの党〉。

しかし、鳩山内閣誕生を阻止することに失敗した。

しかし、その後、鳩山内閣を破壊し、さらに〈ゆ党〉勢力の創設・育成・強化に力を注いできた。

そのストーリーに連なるのが、〈維新〉、〈希望の党〉、〈都民ファースト〉、〈国民民主〉、〈石丸新党〉の流れ。

維新の橋下徹氏、吉村洋文氏は言うに及ばず、小池百合子氏、玉木雄一郎氏、石丸伸二氏の伸長は主要メディアの大宣伝なしに語れない。

裏でこれら勢力の伸長を主導するのが〈連合〉である。

いま、最大の危機に直面するのは真の野党勢力。

野党勢力の再興が2025年政治の最大課題である。

※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』」2025年3月23日 (日)「〈ゆ党〉でなく〈野党〉強化最重要」
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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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