【特集】新型コロナ&ワクチン問題の真実と背景

新型コロナウイルス人工(研究所起源)説と機能獲得研究から再考する生命倫理と学問の自由への問い(上)

嶋崎史崇(市民記者・MLA+研究所研究員)

キーワード:人工ウイルス説、オミクロン株、遺伝子技術、動物感染実験、武漢ウイルス研究所

※この記事は、名古屋哲学研究会編『哲学と現代』第40号(2025年)から、最低限の体裁変更と誤記修正をしたうえで、許可を得て転載したものです。

https://drive.google.com/file/d/1OP5CGQ4qD4lHhHwRp1l7jKwJmclSP5RM/view?usp=sharing

冒頭で言及した世界のコロナ死者数が700万人はOur World in Dataの見方ではありますが、もっとずっと多いという推計もあります。

 

はじめに:「陰謀論」扱いから真相究明へ

世界規模で、700 万人超の死者をもたらし、社会に甚大な被害を与えてきたとされる新型コロナウイルス感染症(注1)。拙著『ウクライナ・コロナワクチン報道にみるメディア危機』(以下では単に拙著、本の泉社、2023 年)及び拙論「思想としてのコロナワクチン危機」(『哲学と現代』第 39 号、24 年)では、感染症への対策として導入された mRNA ワクチンの副反応問題を分析した。けれども、危機の原因となったウイルスの起源についての探究は殆ど行っていないため、本稿を補論として提示する。

初めに断っておきたいのは、本稿が取り上げるコロナ人工説の「人工」性は、単なる物質から新しいウイルスが作り出されたという意味ではなく、既存のウイルスが加工されて新型コロナが作られた疑いがある、という意味であることだ。特に米国では、当初は端的に虚偽とみなされてきた、人工(研究所起源)説が、徐々に有力になっている。元 CDC 長官のロバート・レッドフィールドは、21年 3 月の時点で武漢の研究所からの流出説を唱えていた(注2)。23 年 2 月には、FBI 長官クリストファー・レイも、この見方を共有した(注3)。米連邦議会の公聴会では、24 年 5~6 月には、大統領首席医療顧問として米国のコロナ対策を指揮してきたアンソニー・ファウチらが、コロナ起源について、学者と超党派の議員による厳しい追及を受けた(注4)。

こうした日本ではあまり知られていない実態がある中、本稿の(1)ではウイルスを改造してその能力を高める「機能獲得研究」に着眼し、その潜在的脅威に警鐘を鳴らす。(2)では、とりわけ強く人工であることが疑われているオミクロン株の変異パターンを分析する研究を解説する。(3)では、(1)と(2)で確認した基礎知識を踏まえて、生命倫理と学問の自由の観点から問題提起を行うことにより、文系分野での議論と再考を喚起することを目指す。

なお当然ではあるが、コロナ人工説について決定的な結論を出すことが、本稿の目的ではない。しかし、新型コロナの起源がそもそも自然由来か研究所かという問いは、単なる知的好奇心の問題でも、一部の専門研究者にとってのみ関係のある問題でもなく、今後の感染症対策の在り方にも影響を及ぼすが故に、社会全体にとって影響の大きな問題として、重視せねばならないと考えている。

 

(1)武漢で発見されたとされる起源株を巡る人工説:

人類への潜在的脅威としての機能獲得研究

当初、新型コロナウイルスは科学者の圧倒的多数派により、コウモリ等の野生動物から人間へと感染した自然由来であると断定された。自然発生説の根拠となった論文は、2020 年 3 月に、『ネイチャー・メディシン』に掲載された「SARS-CoV-2 の近接起源」である(注5)。この論文は、人工説を否定する根拠として、①新型コロナが人間の細胞に感染する時に使われる「ACE2 受容体結合部位」が、人間に対して最適化されていないこと、②人工的改変をする前のものとされる、大元のウイルスがないこと―を挙げている。

この一流と目される雑誌の論文がいわば“錦の御旗”になり、人工説は「陰謀論」として非難されてきた。20 年 3 月には、『ランセット』で、27 人の科学者らが公開書簡を発表し、人工説を「恐怖、噂、偏見」を生み出す陰謀論に他ならないとして、断罪した(注6)。

日本を含む世界中の大手メディアも、この見方に追随してきた(注7)。コロナ人工説を追究してきた京都大学元准教授でウイルス学者の宮沢孝幸は、「国内においては、新型コロナウイルスが人工ウイルスであると発言しようものなら、陰謀論者とレッテルを張られます。それは研究者の間でも同じでした」と証言している(注8)。

だが自然発生説には、当初から、中間宿主の特定ができないといった問題があった。そのため、少数の専門研究者らは、遺伝子配列の分析により、人工説の可能性を仮説として探究してきた。日本で最も早くから声を上げてきた学者の一人が、筑波大学准教授の掛谷英紀である。掛谷の専門は情報工学であるため、ウイルスの遺伝子配列の分析にも応用できる見識を持ち、加えて元来の専攻は生物学だった、という強みもある。彼は早くも 21 年 7 月刊行の書籍『学者の暴走』(扶桑社)の第1章「新型コロナウイルスと悪魔の科学」で、人工説の可能性を提起した。前出の『ネイチャー・メディシン』論文に対しても、①ウイルスの結合部位が人間の受容体に最適化されていないからといって、人工的に改変されていないとは断定できない、②武漢ウイルス研究所は自然界から採取したウイルスのデータを全て公開しておらず、むしろ情報を隠していた疑いがある、といった反論を加えている(注9)。

本稿では、掛谷のより直近の著作『学者の正義』(扶桑社、24年1月)を中心的に取り上げ、公文書等の1次資料や論文、米国の報道とも照合しつつ検証する。まず大前提として、米国の連邦下院議会の監視・説明責任委員会による調査で、次のようなことが公式に認定されていることを知っておく必要がある(注10)。

「大量の証拠が、武漢ウイルス研究所からのウイルスの発生を示唆している。米国立衛生研究所(NIH)の補助金受領者である研究組織エコヘルス・アライアンスが、武漢ウイルス研究所でのコウモリのコロナウイルスの機能獲得研究(gain of function research)に、納税者の資金を与えていた。パンデミックが始まるきっかけになったかもしれない研究である」

「委員会の共和党議員らは、一流ウイルス学者らが、国立アレルギー・感染症研究所所長だったアンソニー・ファウチ博士に対し、ウイルスは遺伝子操作されたように見え、武漢の研究所からの漏洩を示唆している、と警告した電子メールを発掘した。これらの電子メールは、ファウチ博士と元 NIH 所長のフランシス・コリンズ博士が科学者らと共謀し、自らが優先した自然起源説が有利になるように、研究所漏出説を軽く見た可能性があることを、明らかにしている」

2024 年 12 月には、米国連邦下院調査での新型コロナについての最終調査報告書が公表された。この報告書は、武漢ウイルス研究所で行われていた機能獲得研究とも関連づけつつ、やはり研究所起源説が有力、という結論を採用している(注11)。

そもそも機能獲得研究とは、「ウイルスや細菌などの病原体の感染性や毒性を人工的に強める研究」のことである。このような一見危険極まりない研究を行う大義名分として、厚生労働大臣だった加藤勝信が、「ウイルスの病原性のメカニズムの理解を深め、これは治療薬やワクチンの開発にもつながっていく」と国会で答弁したことがある(注12)。これに対し掛谷は、ヒトに感染しうるウイルスは無数にあり、人工的に改造したウイルスが治療や予防に役立つ確率は非常に低い、と反論する。その上で実際に、コロナ禍以前に行われていた機能獲得研究は、コロナ対策として全く役に立たなかった、とも力説する。その上で、巨大なリスクを伴う機能獲得研究が行われる本当の理由として、短時間で論文が書きやすく、研究予算が取り易いからだという米国の学者の見方を、具体的な数字を挙げながら紹介する(注13)。各国での苛烈な資金獲得競争と業績作りの圧力を背景に、潜在的には、巨大なリスクを孕みうるような研究が行われている可能性があるといえるだろう。掛谷が推薦するハンブルク大学教授、ローラント・ヴィーゼンダンガーの 100 頁以上にわたる長大な論文で、過去に行われてきた危険な機能獲得研究の数々について、概観することができる(注14)。掛谷が特に問題視するのは、東大教授も務めたウイルス学者、河岡義裕らが 2012 年に発表した研究である。鳥インフルエンザウイルスを改変して、哺乳類であるフェレットの間で飛沫感染させることに成功した、という脅威を感じさせる事実を知っておく必要がある(注15)。

資金の流れに関しては、米国の会計検査院は、NIH 等の米国の公的機関から 2014~21 年に、エコヘルス・アライアンス等を通して武漢ウイルス研究所、武漢大学等に 200 万ドルもの公金が支給された、と認定している(注16)。24年5月の米連邦議会の公聴会では、NIH の首席所長代理(principal deputy director)のローレンス・タバックが、新型コロナ発生直前の期間に、武漢ウイルス研究所で機能獲得研究を行っていたことを認めた(注17)。

14年という中国への米国の資金供給開始のタイミングについては、同時期に、米国内で機能獲得研究(インフルエンザ、SARS、MERS が対象)への資金提供が一時的に停止された、という事情も併せて考える必要がある(注18)。というのも、自国で許可されなくなった高リスクな研究を、より規制の緩い中国に委託していた可能性が考えられるからだ(注19)。

なおオバマ政権が出した当該の文書は、機能獲得研究への資金停止措置が、「連邦の研究施設での近年のバイオセイフティー事故」の発生を受けたものである、と断っている。14 年 7 月に公開された『サイエンス』誌の記事は、天然痘ウイルスや、炭疽菌にまつわる事故に言及している(注20)。掛谷もまた、ウイルス流出事故は世界中で頻繁に起こっていると指摘し、「21 年末に台湾の研究所で、研究員がマウスにかまれたことで新型コロナに感染した、とみられる事例を挙げている(注21)。

そもそも新型コロナが人工ではと疑われた理由の一つは、ウイルスの感染力を高める遺伝子配列である「フーリン切断部位」が入っていることだった。この配列は、新型コロナが属するサルベコウイルスでは見出されていなかった。21年9月に、著名な独立系メディア『インターセプト』は、問題になっているエコヘルス・アライアンスが、コウモリのコロナウイルスにフーリン切断部位を挿入する研究の補助金申請書を、米国防高等研究計画局(DARPA)に提出していた、と報道した(注22)。『インターセプト』は、当該の“DEFUSE proposal”の原文も公開している(注23)。この時の申請は DARPA により却下された。しかし計画が存在したことから、補助金なしでも、実際にフーリン切断部位をコウモリのコロナウイルスに挿入したのではないか、という疑惑は残っているといえるだろう。掛谷は一連の経緯を解説し、この計画書の流出が、(日本を除く)世界の研究者らの見解を大きく変えた、と説明している(注24)。

 

(2)オミクロン株を巡る人工説:偏った変異パターンは自然発生で説明できるのか?

新型コロナウイルスで人工であることを疑われているのは、起源株だけではない。日本では22年以降に感染の主流になったオミクロン株こそが、その変異パターンの分析により、とりわけ強く疑惑の眼差しを向けられている。

オミクロン株を巡る探究でも、先駆的な働きをしたのも、前述の掛谷である。彼は分子生物学の専門家である東京科学大学准教授の松本義久との共著論文を22年11月に情報生物学の専門誌で公開し、新型コロナウイルスがヒトの細胞に結合するために使う「スパイクタンパク」というトゲ状の部位の変異を分析した。オミクロン株では、同義変異(アミノ酸の性質を変化させない変異)と、非同義変異(変化させる変異)の比率が、1対29と極めて不自然である。掛谷らは、この比率が偶然生じる確率は0.2%に過ぎず、オミクロン株が人工であることを示唆している、と結論づけている(注25)。

なおこの同義置換と非同義置換について、同じくコロナ人工説を唱えてきたイタリア・分子腫瘍学研究所の免疫学者、荒川央の議論から補足説明をしておこう。彼は国立遺伝学研究所教授だった木村資生の「中立進化論」を引き合いに出す。中立進化論とは、「分子レベルでの遺伝子の変化は大部分が自然淘汰に対して有利でも不利でもなく」中立的である、という確立された学説である。

直観的にもわかることだが、偶然的に起こる変異は、性質に影響を与えないものが多くなる。にもかかわらず、オミクロン株では、逆に感染力が強くなる変異ばかりが上記のような高い比率で出現し、「その過程に試行錯誤の跡が見られないという明らかに不自然なもの」だ、と荒川は論じる(注26)。荒川はコロナ人工説についての研究成果を論文にまとめて合成生物学の専門誌で公表した(注27)。その論文の解説記事の中で彼は、オミクロン株のみならずアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、ラムダ、ミュー株も高い確率で人工であろう、という結論に至っている(注28)。

同じく特にオミクロン株に注目して、人工説を唱えてきたのが、既に言及した宮沢孝幸である。『新型コロナは人工物か?』(PHP 研究所、2024 年)という直球の題名の著書を世に問うた彼もまた、同義置換と非同義置換の不自然な比率に、違和感を覚えていた。彼は大阪医科薬科大学助教の田中淳との共著論文において、以下のような発見を披露した(注29)。

宮沢らはオミクロンBA.1株の変異したスパイクタンパクの変異の順番を分析した。彼らはBA.1株のアミノ酸配列で、一つだけ武漢型に戻っている配列を「親」株として探したところ、何と31種類も見つけてしまった。この偶然とは信じ難い事実から宮沢は、ウイルス学者らが日常的に行っているような「実験」が行われていた、と推論する。「オミクロンBA.1は武漢型と比較して、30箇所以上のアミノ酸変異や欠失・挿入が入っています。その変異や欠失、挿入がウイルスの生物学的な性質にどのように影響を及ぼすのかを調べるには、アミノ酸を一つずつ武漢型に戻したものをつくり、生物学的な解析をすればよいのです」(注30)。

(1) WHO の COVID-19 dashboard によると、2024 年 10 月 5 日現在で、706 万7260 人となっている。

https://data.who.int/dashboards/covid19/deaths

ただし拙著第 2 章で論じたように、PCR 検査の不確実性や、主として他の原因による死亡をコロナによる死亡として計上することにより、コロナ死者数が水増しされてきた側面を忘れてはならない。

(2) Reuter: Former CDC chief Redfield says he thinks COVID-19 originated in a Chinese lab. 2021年3月27日。

https://jp.reuters.com/article/idUSKBN2BJ01D/

(3) Wall Street Journal: FBI Director Says Covid Pandemic Likely Caused by

Chinese Lab Leak.2023年2月28日。

https://www.wsj.com/articles/fbi-director-says-covid-pandemic-likely-caused-by-chinese-lab-leak-13a5e69b?mod=article_inline

(4) 日本語でのまとめ記事は、掛谷英紀「新型コロナの仕掛人 疑惑のファウチ 絶体絶命」(『WiLL』、ワック、2024 年 9 月号、258-265 頁)が参考になる。

(5) Kristian G. Andersen et al., The proximal origin of SARS-CoV-2, in: Nature Medicine, vol. 26. https://www.nature.com/articles/s41591-020-0820-9

(6) Charles Calisher, et al., Statement in support of the scientists, public

health professionals, and medical professionals of China combatting

COVID-19, in: Lancet. 2020 年 3 月 7 日。

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30418-9/fulltext

認知科学者や感染症学者らによる共著論文である以下も参照。ステファン・ルワンドウスキー他「なおも消えないウイルス起源の陰謀論」(『日経サイエンス』2022 年 6 月号、72-77 頁)。

(7)例えば次の報道事例を参照。NHK:「新型ウイルス 陰謀論を科学者が批判「恐怖心あおるだけ」、2020 年 2 月 21 日。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200221/k10012295101000.html

(8)『新型コロナは人工物か?』PHP 研究所、2024 年、97 頁。

(9)掛谷はハッキング対策と称した武漢ウイルス研究所のウイルス遺伝子データベースへのアクセス遮断と、新型コロナウイルスに遺伝子が 96%も類似したコウモリのウイルスの存在が7年間も公表されていなかったことを、問題視している(『学者の暴走』28-29 頁)。

(10) Committee on Oversight and Accountability: COVID Origins.

https://oversight.house.gov/landing/covid-origins/

(11) Committee on Oversight and Government Reform: FINAL REPORT:COVID Select Concludes 2-Year Investigation, Issues 500+ Page Final Report on Lessons Learned and the Path Forward.

https://oversight.house.gov/release/final-report-covid-select-concludes-2-year-investigation-issues-500-page-final-report-on-lessons-learned-and-the-path-forward/

(12)「第 211 回国会参議院決算委員会第 9 号令和 5 年 5 月 22 日」。

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121114103X00920230522&current=1

(13) 以上掛谷『学者の正義』35 頁以下。

(14)『学者の暴走』39-40 頁。Roland Wiesendanger, The Origin of the

Coronavirus Pandemic, in: ResearchGate, 2021年4月。

https://www.researchgate.net/publication/350709266_The_Origin_of_the_Coronavirus_Pandemic

(15)『学者の正義』35 頁。河岡らの元の論文は、次の通り。

Experimental adaptation of an influenza H5 HA confers respiratory droplet transmission to a reassortant H5 HA/H1N1 virus in ferrets, in: Nature.

https://www.nature.com/articles/nature10831

掛谷が同書 45 頁以下で言及する、河岡の研究班が 2013 年と 19 年に起こした実験事故と不十分な対応については、次の記事を参照。

USA TODAY: Lab-created bird flu virus accident shows lax oversight of risky ‘gain of function’ research.2023 年 4 月 11 日。

https://www.usatoday.com/story/opinion/2023/04/11/lab-leak-accident-h-5-n-1-virus-avian-flu-experiment/11354399002/

(16) United States Government Accountability Office: FEDERAL RESEARCH. NIH Could Take Additional Actions to Manage Risks Involving Foreign Subrecipients. 2023 年 6 月。

https://www.gao.gov/assets/gao-23-106119.pdf

(17) New York Post: NIH official finally admits taxpayers funded gain-of-function research in Wuhan — after years of denials. 2024年5月16日。

https://nypost.com/2024/05/16/us-news/nih-director-admits-taxpayers-funded-gain-of-function-research-in-wuhan-four-years-after-covid-pandemic-began/

(18) White House: Doing Diligence to Assess the Risks and Benefits of Life Sciences Gain-of-Function Research.2014 年 10 月 17 日。

https://obamawhitehouse.archives.gov/blog/2014/10/17/doing-diligence-assess-risks-and-benefits-life-sciences-gain-function-research

(19)コロナ人工説論者らには、中国主犯説を唱える者が多い。中国側の情報公開が不十分であることや、一部の中国人研究者が現場レベルで関わっていたことも否定し難い。しかし、私はこうした資金の流れに鑑み、疑われている実験の主導権があったのは米国側だ、と推測している。本稿で深く踏み込むことはできないが、横浜市立大学名誉教授の矢吹晋のように、具体的な根拠をもって、新型コロナの米国起源説を探究した論者も存在することを紹介しておきたい。「コロナ禍の起源についての検証」(全4回の連載)、「第1回世界軍人オリンピックのナゾその(一)―コロナ禍の起源―」、『ISF独立言論フォーラム』、2022年4月4日~5月26日。https://isfweb.org/post-873/

(20) Science: Lab incidents lead to safety crackdown at CDC.2014年7月11日。https://www.science.org/content/article/lab-incidents-lead-safety-crackdown-cdc

(21) 掛谷『学者の正義』39 頁以下。Guardian: Mouse bite may have infected Taiwan lab worker with Covid.2021 年 12 月 10 日。

https://www.theguardian.com/world/2021/dec/10/mouse-bite-infected-taiwan-lab-woker-covid

(22) Intercept: Leaked Grant Proposal Details High-Risk Coronavirus Research.2021 年 9 月 23 日。

https://theintercept.com/2021/09/23/coronavirus-research-grant-darpa/

(23) DEFUSE proposal(特に 11 頁を参照):

https://www.documentcloud.org/documents/21066966-defuse-proposal

(24) 『学者の正義』17 頁以下。

(25) Hideki Kakeya and Yoshihisa Matsumoto: A probabilistic approach to evaluate the likelihood of artificial genetic modification and its application to SARS-CoV-2 Omicron variant, in: IPSJ Transactions on Bioinformatic. 2022 年 11 ⽉ 16 ⽇. https://doi.org/10.2197/ipsjtbio.15.22

この論文は数学的に難解であるが、幸い掛谷自身による解説記事が筑波大学から発表されている。「オミクロン株の変異プロセスを数理モデルで評価」、2022年 11 月 16 日。https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p20221116143000.pdf

(26) 荒川央『コロナワクチンが危険な理由 2 免疫学者の告発』、花伝社、2023 年、215 頁。

(27) Hiroshi Arakawa, The Natural Evolution of RNA Viruses Provides Important Clues about the Origin of SARS-CoV-2 Variants, in: SynBio.

2024 年 8 月 16 日公開。https://www.mdpi.com/2674-0583/2/3/17

(28) 荒川央「【後編】 新型コロナ人工ウイルス論: アルファ株からオミクロン株の新型コロナ変異株が人工ウイルスである確率は 99.999999%以上である」、note、2024 年 9 月 11 日公開。

https://note.com/hiroshi_arakawa/n/nb942fa295da9?magazine_key=m3c2510d7d72d

(29) Atsushi Tanaka, Takayuki Miyazawa: Unnatural evolutionary processes of SARS-CoV-2 variants and possibility of deliberate natural selection, in: Zenodo. 2023 年 8 月 15 日。https://zenodo.org/records/8361577

なお発表媒体のZenodo は査読前原稿を公開するプレプリント・サーバーであるが、複数の国際的なウイルス専門誌や他のプレプリント・サーバーに掲載を拒否された結果である、という経緯を知る必要がある(『新型コロナは人工物か?』95 頁以下)。こうした問題について荒川央は、「一流雑誌に掲載されたから素晴らしい論文だ」「未査読だからくだらない論文だ」と考えないように、と科学リテラシー上重要な注意喚起をし、権威主義を戒めている(『コロナワクチンが危険な理由』225 頁)。

(30) 以上『新型コロナは人工物か?』67 頁以下、特に 83-84 頁。また、同書冒頭の図0-2 として、「BA.1 に見られたシステマティックな復帰突然変異」がカラーで収録されている。斜めに1列に並んだ変異パターンの一覧から、これらが人為的かつ体系的に引き起こされた疑いについて、視覚的に理解することができる。

(下に続く)

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嶋崎史崇(市民記者・MLA+研究所研究員) 嶋崎史崇(市民記者・MLA+研究所研究員)

1984年生まれ。東京大学文学部卒、同大学院人文社会系修士課程修了(哲学専門分野)。著書に『ウクライナ・コロナワクチン報道にみるメディア危機』(2023年、本の泉社)。主な論文は『思想としてのコロナワクチン危機―医産複合体論、ハイデガーの技術論、アーレントの全体主義論を手掛かりに』(名古屋哲学研究会編『哲学と現代』2024年)。 論文は以下で読めます。https://researchmap.jp/fshimazaki ISFでは、書評とインタビューに力を入れています。 記事内容は全て私個人の見解です。 記事に対するご意見は、次のメールアドレスにお願いします。 elpis_eleutheria@yahoo.co.jp Xアカウント:https://x.com/FumiShimazaki

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