
☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年4月7日):西側世界は民主主義を放棄した。
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
かつては、政治的権力者は選挙で相手候補を打ち負かすことに重点を置いていた。しかし今では、民主党が4件の刑事告発でトランプを陥れようとしたように、相手候補を投獄したり、出馬を阻止したりしている。ブラジルでは、ジャイル・ボルソナロがクーデター容疑に直面している。ルーマニアでは、ロシアとの国境沿いに米国のミサイル基地が置かれることになったが、カリン・ジョルジェスクは「憲法秩序への攻撃扇動」という不当な容疑で起訴された。「憲法秩序への攻撃扇動」とは、ワシントンの傀儡政権に反対して大統領選に出馬しようとしたことを意味し、現在では彼の出馬は禁じられている。フランスでは、マリーヌ・ル・ペンが2年の実刑判決と5年間の大統領選出馬禁止を言い渡された。
ル・ペンの政党は、フランス議会または国民議会で最多の議席を占めている。最近の世論調査では、彼女は体制側の候補者に10ポイントのリードを保っており、体制側は彼女を投獄することで自らを守った。これが何を意味するか理解して欲しい。フランス国民は、彼らが望む政治的代表権をフランス政府によって否定されているのだ。
ウクライナでは、西側諸国が守ろうと懸命な「民主主義」が、任期切れとなった独裁者によって長らく統治されてきた。トランプ自身が西側諸国の民主主義の解体に加担するのではないかと、私は懸念し始めている。トランプは、合意を守ったロシアのプーチン大統領を激しく非難する一方で、合意を守らなかったゼレンスキー大統領をプーチン大統領の批判から守るのはなぜか。それは、トランプがゼレンスキーの任期終了後の統治能力を見極めているからだろうか。他の展開も、米国の民主主義が弱まっていることを示している。トランプのイスラエルへの屈従は、米国民主主義の基盤である憲法修正第1条を破壊し、民主党の判事はトランプ大統領の権限に介入することで司法判断への信頼を破壊している。これらは健全な展開ではない。自ら信用を失った司法は、野心的な指導者を抑制することはできない。
私は西側における信念体系の崩壊について、昨日の記事など、これまでにも多くを書いてきた。 https://www.paulcraigroberts.org/2025/04/02/the-west-has-been-destroyed-by-inconsistencies-in-its-enlightenment-heritage-not-by-jews/ これは非常に深刻な問題であるにもかかわらず、私はこの問題に注目してもらうことができていない。
西欧諸国全体で、教育制度の主な焦点は、説明責任のある政府、つまり既得権益の確立に対してではなく、国民に対して説明責任のある政府を維持する信念体系を弱体化させることである。信念体系の侵食ははるかに進んでいる。イスラエルを批判から守るために米国憲法を犠牲にすることで、トランプ大統領がこの流れに棹さしていることは確実だ。
思想には結果が伴う。そして、自由を支えるわれわれの思想が破壊された結果が専制であり、それはフランス、ルーマニア、ブラジル、そして恐らくアメリカでその醜い頭をもたげている。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2025年4月7日)「西側世界は民主主義を放棄した。」
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からの転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒The Western World Has Abandoned Democracy
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身のブログ 2025年4月3日
https://www.paulcraigroberts.org/2025/04/03/the-western-world-has-abandoned-democracy/