【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.04.11XML: ドナルド・トランプ政権の金融経済政策は反ロシアのソロス人脈が動かす

櫻井春彦

 ドナルド・トランプ政権が打ち出した高関税政策で世界は混乱している。そうした政策で中心的な役割を果たしているのは財務省だろうが、同省の長官、スコット・ベセントはソロス・ファンド・マネジメントのロンドン事務所長を務めた金融界の人間だ。ソロス・ファンド・マネジメントを2015年に退社、自分自身の投資会社であるキー・スクエア・グループを設立したが、その会社にジョージ・ソロスは20億ドルのアンカー投資をしている。財務長官に就任したからといってソロスとの関係が簡単に切れるとは思えない。

 ソロスはハンガリーのブダペストで1930年に生まれた。家族はユダヤ教徒の中でもエリートに属していた。1938年11月にドイツでは「水晶の夜」と呼ばれるユダヤ人襲撃が引き起こされ、弾圧が始まるのだが、ソロス家は弾圧の対象になっていない。

 当時、ソロスは父親から自分の身を守る方法を教えられたという。危険を察知したなら周囲の風景に溶け込み、姿を消せというのだ。それだけでなく、10代のソロスはユダヤ人からの略奪に加担、彼自身も財産を築いたと言われている。ソロスは道徳に左右されるようなタイプの人間ではなく、そうした行動に罪悪感を感じなかったとしている。それは投機家として必要な資質だ。

 ソロスは第2次世界大戦後、1947年にイギリスへ移住、54年から金融の世界へ入った。そして彼のビジネスにとって目障りな体制を転覆させる活動を本格化、1984年にはハンガリーで「オープン・ソサエティ協会」を設立する。1991年12月にソ連が消滅すると旧ソ連圏での活動を活発化させ、体制の転覆と新自由主義化を推進した。

 2009年1月から17年1月にかけてアメリカ大統領を務めたバラク・オバマはロシアを敵視、軍事的な緊張を高めた。その間、2014年2月にはウクライナでネオ・ナチを使ってクーデターを仕掛け、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒している。その政権で副大統領を務めたジョー・バイデンも反ロシア感情が強い人物。バイデンは大統領に就任した後、ロシアに対して軍事的な挑発を繰り返している。またオバマ政権の第1期目で国務長官を務めたヒラリー・クリントンはロッキード・マーティンをスポンサーにする政治家で、ソロスの強い影響下にあった反ロシア派だということでも知られている。

 2014年にクーデターを仕掛けた理由のひとつは、NATOがいつでもモスクワを軍事的に破壊できる態勢を整えることだったが、もうひとつはロシアとヨーロッパを結びつけていた天然ガスのパイプラインを止めることにあった。

 パイプラインが断ち切られれば、ロシアから天然ガスのマーケットを奪い、ヨーロッパから低価格のエネルギー源を奪うことで両方の経済を弱体化させられると計算したのだ。実際、ヨーロッパ経済は崩壊しはじめて国民の怒りが強まっているが、ロシアは経済が成長、軍事力も強化された。オバマ政権で副大統領を務めたジョー・バイデンは大統領に就任した後、ロシアとの軍事的な緊張を高め、戦争へと向かった。

 しかし、ロシアとヨーロッパはウクライナを迂回するルートでも天然ガスを運んでいた。バルト海を経由する「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」だが、これらは2022年9月に爆破された。

 この爆破をジョー・バイデン政権は予告していた。ビクトリア・ヌランドは2022年1月27日、ロシアがウクライナを侵略したらNS2は前進しないと発言し、同年2月7日にバイデン大統領がNS2を終わらせると主張、記者に実行を約束している。そして2022年9月、NS1とNS2は爆破された。この爆破によってヨーロッパ経済は大きなダメージを受け、社会は破壊された。それを現在のEU指導部は容認している。

 ソロスは意に沿わない体制を「カラー革命」や為替攻撃などで倒してきたが、体制転覆には有力メディア、裁判所、検察当局なども利用される。

 ここにきて欧米の手先としての活動が目立つICC(国際刑事裁判所)もソロスから資金が提供されている。旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所にもソロスは資金を直接提供していた。「人権団体」のヒューマン・ライツ・ウォッチもソロスの影響下にある。

 ウクライナの場合、ウォロディミル・ゼレンスキーはブラックロックのほか、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスと協力関係にあることを明らかにしている。ブラックロックやJPモルガン・チェースのほか、バンガード、フィデリティ、ステート・ストリート、モルガン・スタンレーはメガバンクとも呼ばれ、アメリカ政府と連携している。この連携は世界の金融経済に対する支配力を強めてきた。

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「ドナルド・トランプ政権の金融経済政策は反ロシアのソロス人脈が動かす」(2025.04.11ML)
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