
【櫻井ジャーナル】2025.04.19XML: シオニストを寄生バチに準えるスコット・リッター
国際政治アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターはシオニズムを寄生バチの一種であるエメラルドゴキブリバチに準えている。この寄生バチの親は寄主となる動物に卵を産みつけ、卵からかえった幼虫は寄主の体を食べて成長、成長が完了すると宿主を殺すのだが、イスラエルは現代版のエメラルドゴキブリバチだと指摘している。こうしたことは以前から言われていたことで、シオニストは寄生バチであり、宿主はアメリカだということだ。
言うまでもなく、イスラエルは1948年5月14日に建国が宣言されたシオニストの国である。その際に多くの先住民が虐殺され、追放されている。そうした虐殺の中、生き残り、逃げ出さなかった人びとがパレスチナ人と呼ばれているのだが、シオニストは現在に至るまでパレスチナ人を抹殺するため、破壊と殺戮を続けている。アメリカでは「左翼」、あるいは「リベラル」というタグをつけたバーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ・コルテスも「イスラエルには自国を守る権利がある」として虐殺を支持している。
1896年に『ユダヤ人国家』という本を出版したセオドール・ヘルツルが「近代シオニズムの創設者」とされているのだが、「近代」という冠が曲者だ。シオニズムの流れをそこで断ち切りたいのだろうが、そうした見方は正しくない。
シオニズムはエリザベス1世の時代に始まった「ブリティッシュ・イスラエル主義」だと考えられている。アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だとする彼らは信じ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているというのだ。
この時代、エリザベス1世の顧問を務めていたジョン・ディーは数学など学問に秀でた人物だとされているが、その一方で黒魔術へものめりこんでいた。大英帝国の富は海賊によって築かれたが、そのひとりであるフランシス・ドレイク卿はイングランドを「イスラエル」や「新エルサレム」と表現していたという。
イギリスや西側世界にシオニズムを広めた人物としてブリティッシュ外国聖書協会の第3代会長を務めた反カトリック派のアントニー・アシュリー-クーパー(シャフツバリー伯爵)が知られているが、17世紀初頭にイギリス王として君臨したジェームズ1世も自分を「イスラエルの王」だと信じていたという。
その息子であるチャールズ1世はピューリタン革命で処刑されたが、その革命で中心的な役割を果たしたオリヴァー・クロムウェルをはじめとするピューリタンも「イスラエルの失われた十支族」話を信じていたようだ。
エリザベス1世が統治していた1593年から1603年にかけてイングランドはアイルランドで現地の連合軍と戦闘、勝利する。アイルランドを率いていたヒュー・オニールとロリー・オドネルが1607年にヨーロッパ本土へ逃亡するとイングランド王室はアイルランドの先住民を追放し、イングランドやスコットランドから入植者をアイルランドのアルスター地方へ移住させた。
クロムウェルは革命で仲間だったはずの水平派を弾圧、さらにアイルランドへ軍事侵攻して住民を虐殺。侵攻前の1641年には147万人だった人口は侵攻後の52年に62万人へ減少した。50万人以上が殺され、残りは「年季奉公」や「召使い」、事実上の奴隷としてアメリカなどに売られたと言われている。
ダブリン出身でプリマス・ブレザレンを創設したジョン・ネルソン・ダービー牧師が1830年代に活動を活発化させた。彼はキリストの千年王国はすべての文明を一掃し、救われるのは選ばれた少数のグループだけだと考え、世界の邪悪な力はエゼキエル書で特定されている「ゴグ」であり、そのゴグはロシアを指すと主張、ユダヤ人がイスラエルに戻って神殿を再建したときに終末を迎えるとしている。つまりキリストが再臨するということだ。エルサレムに神殿を建設しようとしている人びとの目的は終末をもたらし、救世主を再臨させたいからなのだろう。
19世紀のイギリス政界では反ロシアで有名なヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)が大きな影響力を持っていた。彼は戦時大臣、外務大臣、内務大臣を歴任した後、1855年2月から58年2月まで、そして59年6月から65年10月まで首相を務めている。ビクトリア女王にアヘン戦争を指示したのもパーマストン卿だ。
アヘン戦争でイギリスは清(中国)に勝利したが、これは海戦。陸地を制圧する戦力はなかった。中国大陸を軍事侵攻したのは日本にほかならない。その日本をクーデター、いわゆる明治維新で「近代化」して天皇を中心とするカルト体制を築いたのはイギリスを中心とする勢力である。
イギリスで始まったシオニズムは19世紀に帝国主義と一体化し、パレスチナ侵略が具体化してくる。イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設し、その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査、イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収。そして1917年11月、アーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出してイスラエル建国への道を切り開く。いわゆる「バルフォア宣言」だ。
19世紀後半にイギリスを動かしていたグループ、「選民秘密協会」の中心はセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッドといった人たちだ。少し後からアルフレッド・ミルナーがグループを率いるようになった。アングロ・サクソンとユダヤのエリートが手を組んでいる。
セシル・ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会し、その直後に『信仰告白』を書いた。その中で彼は「私たち(アングロ・サクソン)は世界で最も優れた人種であり、私たちが住む世界が増えれば増えるほど、人類にとってより良いものになる」と主張している。
「より多くの領土を獲得するあらゆる機会を捉えることは我々の義務であり、より多くの領土は単にアングロサクソン人種の増加、つまり世界が所有する最も優れた、最も人間的で最も名誉ある人種の増加を意味するという考えを常に念頭に置くべきである」というのだ。
ガザでの住民虐殺やウクライナを舞台としたロシアとの戦争でイギリスが浮上してきたのは必然だと言えるだろう。
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「シオニストを寄生バチに準えるスコット・リッター 」(2025.04.19ML)
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