【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.04.27XML: 水は基本的人権でなく商品だと主張する元ネスレCEOがWEFの暫定会長に就任

櫻井春彦

西側世界に君臨している金融資本の広報的な役割を果たしているWEF(世界経済フォーラム)を1971年に創設したクラウス・シュワブはスイスのチューリッヒ工科大学で工学博士号を、またフリブール大学で経済学博士号を取得した後、66年から67年にかけてハーバード大学の公共政策大学院で修士号を取得している。ハーバード大学でシュワブはヘンリー・キッシンジャーの教えを受け、大きな影響を受けた。そのシュワブが4月21日に高齢を理由にしてWEF会長の職を辞した。

 

シュワブとその妻がWEFの資金を不正流用したと告発する匿名の手紙が評議会に送られ、調査が開始されたと伝えられている。部下に数千ドルをATMから引き出させ、ホテルで頼んだ個人的なマッサージの費用をフォーラムに請求、贅沢な休暇や高級不動産の取得を正当化するため、妻に形式的な会合を手配させたという。また職場におけるセクハラやその他の差別的行為を野放しにしていたとも非難されている。

 

シュワブ本人はこうした告発を否定しているが、WEFの評議会は告発を受け、外部の法律顧問と協議した上で独立調査を開始することを全会一致で決めたという。別の理由でシュワブを処分しなければならなくなり、その口実として「内部告発」が利用されたのかもしれない。

 

WEF評議会メンバーにはシュワブのほかブラックロックのラリー・フィンクCEO、カナダの副首相兼財務相を務めるクリスティア・フリーランド、アル・ゴア元米副大統領、ヨーロッパ中央銀行頭取で元IMF専務理事のクリスティーヌ・ラガルド、カーライル・グループの共同設立者兼共同会長のデイビッド・ルベンシュタイン、CCIEE(中国国際経済交流センター)の朱民副理事長、チェロ奏者のヨーヨー・マ、竹中平蔵などが名を連ねている。2016年から19年にかけての時期にはウルスラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長も評議員だった。

 

WEFはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動でも重要な役割を演じ、遺伝子操作薬の接種、ロックダウン、デジタルIDの推進などを後押ししてきた。

 

デジタルIDの背景には、2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」の「SDGs(持続可能な開発目標)」がある。デジタルIDをチップ化し、それを体内にインプラントするという計画もある。

 

その計画についてシュワブも話している。例えば、​彼は2016年1月にスイスのテレビ番組に出演し、そこでマイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している​のだ。チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合、人間を端末化しようと考えているようだ。

 

シュワブの辞任を受けて暫定会長に就任したピーター・ブラベック-レッツマットは1997年から2008年までネスレのCEOを務めた人物で、水について「他の食料と同じように市場価値を持つべきだ」、つまり商品にすぎないと主張、水を基本的人権だとする主張を否定している。

 

言うまでもなく、生物は水なしに生きることはできない。水がなければ食糧を生産することもできない。エネルギーと同様、水を支配すると言うことは生殺与奪の権を握ることを意味し、人類を支配することができる。だからこそ、WEFの背後にいる強大な私的権力は水を商品として独占しようとしているのだ。水道の「民営化」はその一環であり、人びとを苦しめてきた。

 

ちなみに、ロマン・ポランスキーが監督、1974年に公開された映画「チャイナタウン」ではストーリーの背景としてカリフォルニアの水戦争、つまり水道の私物化によって生じる問題が描かれている。

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※なお、本稿は櫻井ジャーナルhttps://plaza.rakuten.co.jp/condor33/
「水は基本的人権でなく商品だと主張する元ネスレCEOがWEFの暫定会長に就任 」(2025.04.27ML)https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202504270000/
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