【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年4月30日):ポール・クレイグ・ロバーツ:この「和平交渉」ただの欺瞞にすぎず、さらなる戦争の口実にしかならない

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

プーチン大統領が8日後に開始する3日間の停戦は、ウクライナとの交渉とは無関係だ。この停戦は、第二次世界大戦におけるロシアのドイツ敗北80周年を記念するものだ。このドイツの敗北において、米英仏の戦果は小さく、犠牲者の総数からもそれが伺える。ロシアは第二次世界大戦の矢面に立たされた。もしロシアがいなかったら、第三帝国は今もドイツを支配していたことだろう。しかし、真実を語り、イスラエルによるパレスチナ人虐殺を批判する人々を積極的にドイツが迫害していることから、実際には今もドイツは第三帝国の支配下にある、と考える人もいる。実際、ドイツでは、新型コロナウイルス「ワクチン」を批判するだけで、ライナー・フュールミヒのような政治犯にされてしまうからだ。

売春婦のような西側報道機関と西側の愚かな「ロシア専門家」は、ラブロフ外相がロシアには和平交渉の用意がある、と明言した際に、和平交渉の目的を「紛争の根本原因の除去」にある、と定義していることに気付いていない。

紛争の根本原因はロシアによる介入ではない。ニューヨーク・タイムズの記事が認めているように、紛争の根本原因は、ロシアを不安定化させる、あるいは不安定化させる可能性のある紛争を起こそうとする米国側の試みにある。

ロシアと平和的かつ互恵的な関係にあった、民主的に選出されたウクライナ政府を打倒したのは、ロシア当局ではなく米国当局だった。当時のウクライナ政権に対しては、プーチンは何も手を下していなかった。

ウクライナ軍に武器と訓練を与え、分離独立していたドンバスの二つの共和国を奪還させたのは米国側であり、ミンスク合意を利用してロシアの介入を必要としない解決策が達成された、とロシア側を欺いたのは米国側であった。フランス大統領とドイツ首相は共に、ミンスク合意はプーチン大統領を欺き、米国主導のウクライナによるドンバス侵攻計画にロシアが備えられないようにするために利用された、と公言している。

2021年12月から2022年2月にかけて、プーチン大統領とラブロフ外相は、米国務長官ブリンケン、NATO、そしてEUに対し、相互安全保障協定の締結を訴えた。しかし、その点に関してロシアは冷遇され、旧ソ連の支配者層と米国によるソ連解体によって引き裂かれたロシアへの再加盟を全会一致で決定した地域のロシア国民の虐殺を阻止するために介入せざるを得なかった。

プーチンによるウクライナ紛争は、スターリンの赤軍が規律の整ったドイツ国防軍を駆逐し、ロシアと東欧の数千マイルも離れた地域に追い払い、ベルリンの街頭に踏み込むまでに要した時間よりも長く続いている。プーチンがなぜ、米国やNATO、EU、そして「ウクライナには決して供給されないはずの」西側諸国の兵器体系を巻き込みながら、拡大し続ける紛争を進め、ついには西側諸国から供給された長距離ミサイルがロシアの奥深くまで到達するに至ったのか、理解できないのは私だけではないだろう。

考えられる説明の一つは、プーチン大統領が、彼の支持層の多くと同様に、西側諸国との平和と西側諸国への包摂を非常に重視しているということだ。ロシアの心はBRICS諸国にはあまり向いていない。そのため、プーチン大統領はウクライナへの介入を通じて、大国間協定、いわゆる「新たなヤルタ」が生まれることを期待している。

プーチンの期待が見落としているのは、米国外交政策の覇権主義的主義である。1991年にウォルフォウィッツ国防次官が述べたこの主義は、トランプ大統領を含め、どの米国大統領も否定したことがない。

この主義のもとでは、米国外交政策の主目的は世界における覇権である、と宣言している。これが米国当局の政策であり続ける限り、ロシアや中国、イランとの和平は、これらの国々の降伏か敗北によってのみ達成できる。

プーチンは降伏する覚悟があるのだろうか? 中国は降伏する覚悟があるのだろうか? イランは降伏する覚悟があるのだろうか? 彼らがそうしない限り、私たちの未来は平和ではなく戦争となるだろう。

トランプ大統領と議会が米国の覇権を否定するのを聞いて初めて、私たちは平和への希望を持つことができるのだ。

我々は米国の覇権の否定を待ち望んでいる。
https://www.rt.com/russia/616400-lavrov-cbs-interview-ukraine-ceasefire/

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2025年4月30日)「ポール・クレイグ・ロバーツ:この「和平交渉」ただの欺瞞にすぎず、さらなる戦争の口実にしかならない」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-3132.html
からの転載であることをお断りします。

また英文原稿はこちらです⇒The “Peace Negotiations” Are Just Another Deception Creating a Narrative for More War
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身ブログ 2025年4月29日
https://www.paulcraigroberts.org/2025/04/29/the-peace-negotiations-are-just-another-deception-creating-a-narrative-for-more-war/

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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