【連載】安斎育郎のウクライナ情報

5月13日のウクライナ情報

安斎育郎

5月13日のウクライナ情報
安斎育郎

❶ロシアの提案はテーブルの上にある、交渉に応じるかはウクライナ次第(2025年5月11日)
ロシアはウクライナ側が中止した交渉、これを前提条件抜きで5月15日にイスタンブールで再開することを提案する。プーチン大統領が記者会見で表明した。
プーチン大統領はウクライナ側が中止した交渉を前提条件抜きで5月15日にイスタンブールで再開することを提案した。
また、真に平和を望む者であればこの停戦交渉を支持するはずだと期待を語った。
ウクライナ紛争に関してプーチン大統領が行った声明の要点は以下のとおり。
ロシアはウクライナとの直接交渉を再開する用意がある。あとはウクライナ側とその管理人らによる判断を待つ。
ロシアは交渉を5月15日にイスタンブールで開催することを提案する。
プーチン大統領は月曜日にエルドアン大統領とこの問題について協議する。
これらの交渉中、何かしらの新たな停戦、新たな戦闘停止、そしてロシアだけでなくウクライナ側も遵守するような真の停戦について合意できる可能性を排除しない。
ロシアは交渉を通じてウクライナにおける長期的な平和の達成を目指す。
ロシアはウクライナと真剣な交渉を行う用意がある。その目的とは紛争の根本原因を排除することである。
今は戦争が起きている。我々は交渉する。それの何が問題なのか。
プーチン大統領は中国、ブラジル、中東諸国、そして米国のトランプ政権による仲介努力に感謝の意を表した。
https://twitter.com/i/status/1921351598053143022
https://sputniknews.jp/20250511/515-19898931.html

❷悪と鉄のカーテンの政策を追求してはならない(2025年5月11日)
スロバキアのフィツォ首相は国民向けのビデオメッセージで、欧州はロシアを必要としており、ロシアは欧州を必要としていると述べた。
「我々は憎悪と鉄のカーテンの政策ではなく、協力の政策を追求しなければならない」
フィツォ首相はまた、「この(可能性のある)カーテンを貫いて互いに握手を交わせるように全力を尽くす」と指摘した。
同氏はモスクワ訪問について、極めて有意義だったと評価した。フィツォ首相は9日の戦勝記念式典に出席するためモスクワを訪問した。
「ここ(モスクワに)来た価値はあった。これはスロバキアの『主権ある外交政策』の表明であり、我々に対して『何をしてよいか、何をしてはならないか』を指示できる者は誰もいない」
フィツォ首相は9日、EUの外交トップを務めるカヤ・カラス氏がフィツォ氏のモスクワ訪問に怒りをあらわにしたことに反応した。
フィツォ首相は、「欧州の課題に対して建設的なアプローチをとる主権国家の主権ある首相」を批判する権利はカラス氏にはないとの考えを示した。
またフィツォ首相は、カラス氏が取り組んでいる新しい鉄のカーテン政策には同意しないと述べた。
https://sputniknews.jp/20250511/19897910.html?rcmd_alg=collaboration2

❸ 「その元を作った方が一番悪い」という教えは国対国にも言える=鈴木宗男氏(2025年5月10日)
「戦勝記念日を機に、プーチン大統領が停戦に向け、大きな舵を切っていくのではと私は考える次第だ」。鈴木宗男参院議員は自身のブログでこのような見解を示した。ロシアでは9日、大祖国戦争(独ソ戦)での勝利80年が祝われた。
鈴木氏はまた、次のように綴った。
「子供の頃、学校でケンカをすると先生から『ケンカ両成敗だ』と言われ、次に『先に手を出した者が悪い』と言われた。最後に『その元を作った方が一番悪い』と教えられた。このことは国対国にも言える。ウクライナ戦争の元を作ったのは誰か。そのことを議論がないことが不思議である」
そして鈴木氏は「ロシアが悪い、ウクライナが正しいと、竹を割ったような話しかなかった時から私は『一にも二にも停戦』と発言してきた」と強調した。
https://sputniknews.jp/20250510/19897331.html?rcmd_alg=collaboration2

❹露越、防衛と安全保障分野で協力強化の方針=プーチン大統領
2025年5月11日
プーチン露大統領はまた、モスクワで行われたロシア・ベトナム首脳会談後の声明で、2国間の相互決済において自国通貨へ移行することの重要性も指摘した。
ベトナム最高指導者のトー・ラム共産党書記長は8から11日の日程でロシアを公式訪問している。同氏は、ロシアを訪れる度にまるで家にいるかのように感じると述べた。
スプートニク特派員によると、両首脳はロシアとベトナムの関係発展に関する共同宣言を採択した。
両国は、相互に利益のある貿易・経済協力を拡大する方針。また、石油・ガス、エネルギー、観光分野における協力強化でも合意した。
https://sputniknews.jp/20250511/19897613.html?rcmd_alg=collaboration2

❺プーチン氏、ウクライナと「直接協議」の用意 米欧首脳は停戦要求(2025年5月11日)
(CNN) ロシアのプーチン大統領は11日までに、トルコのイスタンブールで15日にウクライナとの「直接協議」を開催することを提案した。欧州の首脳と米国は3年に及ぶ戦争に終止符を打つため、30日間の停戦に応じるようロシアに迫っている。
プーチン氏は異例の夜遅いテレビ演説で協議に触れ、「イスタンブールで直ちに、早くも来週木曜日に開始したい。イスタンブールは以前に協議が開催されて中断された場所だ」と発言。協議は「いかなる前提条件もなしに」行われるべきだと強調した。
「我々はウクライナと真剣な交渉に臨む用意がある」とも述べ、協議の狙いは「紛争の根本原因を取り除き」「長期的かつ持続的な和平の確立に至る」ことにあると言い添えた。
フランスのマクロン大統領によると、この提案の数時間前、ウクライナの首都キーウを訪問した独仏英とポーランドの首脳はプーチン氏に対し、12日から30日間の停戦に応じなければ「大規模制裁」に直面する可能性があると通告していた。
欧州の首脳らによれば、この要求はトランプ米大統領との電話協議を経て、ホワイトハウスの支持を得たうえで示されているという。
ロシアのペスコフ大統領報道官は欧州の首脳らによる停戦の呼びかけの直後、ロシアは「いかなる圧力にも屈しない」と表明した。
ペスコフ氏は「欧州は実のところ、公然と我々に立ち向かっている」と指摘。「一般論としては」プーチン氏は停戦案を支持するが、今回の提案には説明が必要な「多くの疑問点がある」と付け加えた。疑問点の内容については詳しく触れなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/659cd1ab044cbdacd1bc54899036d8d30bb037e1/images/000
〈関連情報〉プーチン大統領 30日間停戦を拒否か ウクライナに直接協議を提案(2025年5月11日)
ウクライナのゼレンスキー大統領とヨーロッパの首脳らが新たな停戦を求めるなか、ロシアのプーチン大統領はウクライナとの直接協議の開催を提案しました。
ロシア プーチン大統領
「ウクライナとの真剣な交渉の目的は、歴史的観点で長期的、かつ永続的な平和を確立することだ」
プーチン大統領は、これまでウクライナがロシア側の停戦提案に応じなかったと非難した一方で、ウクライナ側に前提条件を付けない直接協議の開催を提案しました。
協議は15日にトルコのイスタンブールで行うとしていて「交渉において新たな停戦に合意する可能性も排除しない」としています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は10日、ヨーロッパ4カ国の首脳やアメリカのトランプ大統領とともに少なくとも30日間の無条件停戦を求めていて、プーチン大統領がこれを事実上、拒否した形とみられています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1ad80e538bb47d637a766b6c47c7338ae8eb7393

❻トランプ大統領がプーチン大統領の提案を歓迎、「新しい世界の訪れ」(2025年5月11日)
トランプ大統領はプーチン大統領によるウクライナとの直接交渉に関する提案に反応、これは双方にとって素晴らしい日となる可能性があると指摘した。
「ロシアとウクライナにとって素晴らしい日になる可能性がある!何十万人もの命が救われることを想像してほしい。この際限ない流血が終結するかもしれないのだ。これは全く新しい、より良い世界の訪れだ。私は、その実現に向けて双方と引き続き協力する。一方、米国は復興と貿易に注力したいと考えている。素晴らしい一週間となるだろう!」
先にプーチン大統領はウクライナ側との直接交渉を前提条件抜きで5月15日にイスタンブールで再開することを提案した。
https://sputniknews.jp/20250511/19900268.html

❼ロシアの軍事パレードを見れば勝者は誰か一目瞭然=米退役中佐(2025年5月11日)
退役中佐のダニエル・デイビス氏は戦勝記念日を祝ったロシアと敗戦ムードのウクライナを比較、ウクライナ支援は負け戦だとし、方針を転換するようトランプ大統領に進言した。
https://twitter.com/i/status/1921449262308528593
https://sputniknews.jp/20250511/19900544.html

❽西側はロシアに命令できる立場にいると誤解している=元米陸軍大(2025年5月11日)
西側の指導者らはロシアに要求できる立場にいると勘違いしている。元米陸軍大佐のダニエル・デイビス氏はユーチューブの番組で次のように発言した。
「どこを見ても、ロシアは軍事的にも経済的にも、工業的にもリードしています。西側諸国は既にあらゆる手を尽くし、何千もの制裁を課してきました。新たな制裁で何かが変わると本当にお考えですか。そこに何か論理はあるのでしょうか」
また西側は、紛争のあいだウクライナの破綻した考えを常に支持し、ロシアが負けているという空想の世界に深く閉じこもっていたと指摘した。
そのうえで、ロシアは西側の決定に対抗できることから、西側の指導者らによる言動には警戒する必要があると分析した。
https://sputniknews.jp/20250511/19900173.html

❾停戦交渉でロシアに圧力をかけても無意味=露大統領府報道官(2025年5月11日)
西側が30日間の停戦を要求し、これにロシアが応じない場合は追加制裁を科すとけん制している点について、ロシア大統領府のペスコフ報道官はコメントした。
「ロシアは制裁の脅しで追い込まれているか」と問われると、「そうは思わない」と語った。
https://sputniknews.jp/20250511/19899584.html?rcmd_alg=collaboration2

❿露大統領、和平交渉の提案でグローバルサウスに接近=元CIAアナリスト(2025年5月11日)
和平交渉に向けたプーチン大統領の提案はウクライナではなく、グローバルサウスに向けられている。CIAの元情報員、ラリー・ジョンソン氏が表明した。
ジョンソン氏によると、真の主導権はウクライナではなく、米国とEUにあるという。
「この脅威はウクライナから来るのではない。米国とNATOから来るのだ。もし西側がロシアに対してとるような行動をロシアがとっていたとしたら、我々は何年も前に宣戦布告していただろう」
ジョンソン氏によると、プーチン大統領による今回の行動はBRICS諸国へのメッセージだという。ジョンソン氏は「ロシアは平和を望んでおり、西側は戦争を望んでいる」としたうえで、仮にプーチン大統領の忍耐を「弱さ」だと勘違いすれば、「それは危険な妄想だ」と警告した。
https://sputniknews.jp/20250511/cia-19899839.html?rcmd_alg=collaboration2

⓫「木曜にトルコでプーチン大統領を待つ」ゼレンスキー大統領 ロシアとの直接交渉に自ら赴く意向表明(2025年5月12日)
アメリカのトランプ大統領はウクライナに対してロシアとの直接交渉に臨むよう強く求め、ウクライナのゼレンスキー大統領も応じる考えを示しました。
ロシアのプーチン大統領は11日、ウクライナとの直接交渉を15日にトルコのイスタンブールで行うと一方的に提案し、これに対してゼレンスキー大統領や西側の首脳らは、30日間の即時停戦が先だとロシアに求めていました。
こうした中、トランプ大統領は11日、自身のSNSで、ウクライナに対してロシアとの直接交渉にす
ぐに臨むよう強く求めました。
直接交渉で、合意が可能かどうか判断できるとして、不可能であれば、「アメリカとヨーロッパは状況を把握して適切な対応ができるようになる」と警告しました。
トランプ大統領の投稿の直後、ゼレンスキー大統領は「木曜にトルコでプーチン大統領を待つ」と応じ、自ら交渉に赴く意向を表明しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bf8206e93101624d4659fd7b7775ed53202072f5/images/000

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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