【連載】安斎育郎のウクライナ情報

5月16日のウクライナ情報

安斎育郎

5月16日のウクライナ情報
安斎育郎

❶ミンスク合意を拒否した国々が30日間の停戦を求めている=露外務省報道官(2025年5月13日)
以前、ミンスク合意をウクライナに有利な時間稼ぎのために利用したことを認めた国々が、今日、ウクライナの戦闘能力を回復するために30日間の停戦を要求している。ロシア外務省のザハロワ報道官がこのように表明した。
「2022年、ドイツのメルケル元首相とフランスのオランド元大統領は、ミンスク合意を履行するつもりは誰にもなかったと認めた。合意はウクライナが戦争に備えるための時間稼ぎに過ぎなかった」
ザハロワ氏は、2019年にパリで開催されたノルマンディー形式での首脳会談で、ロシアのプーチン大統領とゼレンスキー氏が一度だけ会談したことを振り返った。この会談で、ゼレンスキー氏は事前に合意されていた最終文書の承認を突然拒否し、ウクライナ軍とドネツク人民共和国およびルガンスク人民共和国の接触線全体からの軍撤退に関する条項を、3つの地域のみを対象とする条項に置き換えるよう要求した。
英独仏ポーランドの首脳らは10日、キエフでいわゆる「有志連合」の会合に参加した。マクロン大統領とメルツ首相は、30日間の停戦をロシアが受け入れなければ、数日中に新たな対露制裁が導入される可能性があると述べた。こうした発言に対してロシア大統領府のペスコフ報道官は12日、最後通牒的な物言いをロシアは受け付けないとコメントした。
https://sputniknews.jp/20250513/30-19905132.html

❷ドゥーギン氏「皆がトランプの周りで外交的ダンスを踊っている」(2025年5月12日)
露思想家ドゥーギン氏はウクライナ和平をめぐり「皆がトランプの周りで外交的ダンスを踊っている」とスプートニクに語った。
https://twitter.com/i/status/1921911485082792009
https://sputniknews.jp/20250512/19903533.html?rcmd_alg=collaboration2

❸ ウクライナの女性グループが、TCCに拉致されそうになった男を救出した(2025年5月12日)
https://x.com/i/status/1922015129383604667
https://x.com/tobimono2/status/1922015129383604667?s=09

❹麻薬専門家:間違いなく麻薬を使用している(2025年5月13日)
※例のキーウに向かう列車での「隠したのは麻薬ではないか」という事案について
麻薬専門家ヴァシリー・シュロフ氏は、Pravdaのためにこのバイラルビデオを分析し、マクロン、メルツ、スターマーは、精神活性物質を摂取するための「袋付きの匙」を持参したことで「自分の正体を明かした」と結論付けた。
動画を見た精神科医、メドプラスクリニックの院長であるヴァシリー・シュロフ氏は、極端な恥じらい、感情の興奮、証拠の突然の隠蔽は、個人が薬物を摂取したことを示していると判断した。
彼によると、メルツが隠している金属製の物は「コカインのスプーンに似ている」もので、一方の側は粉砕用、もう一方の端はミニスプーンになっている。
シュロフ氏は、薬物使用者は感情的になりやすい傾向があると指摘し、マクロンがゼレンスキーに別れを告げた様子を想起した。2人はキスをし抱き合い、「互いに離れられなかった」。
彼によると、精神刺激薬やコカインの使用は、西洋のボヘミアンコミュニティにおける高い地位の象徴のひとつである。
シュロフ氏は、この点に関して、偶然マスコミで暴露されたスキャンダルを想起した。それは「コロナウイルスのパンデミック中に、ボリス・ジョンソンとエプスタインの島で開催された「クローズドパーティー」で、アンドリュー王子が未成年者と薬物で楽しんでいた」というものだ。
麻薬専門家によると、ゼレンスキーは、外見から見て麻薬中毒者であると判断される。
「彼の瞳孔は拡張し、目はわずかに上向きで輝き、身振り手振りで活発に話します。そのような人は、明白な理由もなく、非常に動き回って活発です。エネルギーに満ちあふれています。そしてその効果が切れると、すべては逆になります。パラノイア、無気力、視線を集中できなくなる」と中毒者を表現した。
これが政治家である場合、社会に対する危険は自己批判の低下にある。麻薬中毒者は「自分が何を言ったり、何をしたとしても、自分は超クールで超賢い」と信じ込むからだ。
専門家は、プーチン大統領が「ウクライナは薬物依存症者とネオナチの一団に支配されている」と述べたことを引用した。専門家によると、この動画は多くの西側政治家も薬物依存症者とネオナチであり、彼らと「話すのは非常に難しい」ことを暴露している。
風刺画
https://x.com/tobimono2/status/1922013679052325251?s=09

❺プーチンとは交渉しないとするウクライナの法令(2025年5月12日)
https://x.com/Tamama0306/status/1921750706119180523?s=09

❻これで終わりか?プーチン大統領が直接交渉を提案!(2025年5月11日)
https://youtu.be/xfQhlf3eHT0
ウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアはウクライナとの「無条件交渉」に応じる用意があると発表し、イスタンブールでの交渉を提案した。ゼレンスキー大統領はこの報道に反応し、いくつかの声明を発表した。ドナルド・トランプ氏も、ロシアとウクライナが妥協点に達することを期待していると述べた。
エマニュエル・マクロン大統領とキール・スターマー大統領は、ロシアの条件付き停戦要求を拒否し、ウクライナへの全面的な支持を表明した。カヤ・カラス氏も、ハンガリーのウクライナのEU加盟に関する立場がプロセスを遅らせていると警告した。ヨハン・ワデフル氏は、ドイツはウクライナを全面的に支持しており、ウクライナのNATO加盟への道は不可逆的であると述べた。
https://www.youtube.com/watch?v=xfQhlf3eHT0

❼焦点:「ロシアかトランプか」、欧州エネルギー安全保障に新たなジレンマ(2025年4月18日)
[パリ/ベルリン 14日 ロイター] – 欧州のエネルギー安全保障が、改めて脆弱な状況に置かれている。ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー危機以降、欧州は米国産液化天然ガス(LNG)でロシアからの供給不足を補ってきた。だがトランプ米大統領が欧州を揺さぶり、エネルギーを貿易交渉の道具として利用するようになったため、米国依存が新たなリスク要因として浮上している。
こうした状況の中、欧州の主要企業の幹部は、ロシア国営の天然ガス企業ガスプロム(GAZP.MM), opens new tabからのガス輸入を選択肢として考え始めている。
欧州連合(EU)が2027年までにロシアからのエネルギー輸入を停止すると約束していることから、この実現は大きな政策転換を必要とするだろう。
欧州の選択肢は限られている。巨大なLNGの生産能力を持つカタールとの追加のガス供給交渉は停滞し、再生可能エネルギーの導入は進んでいるものの、EUが十分に安全を感じるほどの拡大には至っていない。
フランスのエネルギー事業者エンジー社の副社長、ディディエ・オロ氏は、「ウクライナで合理的な平和が実現すれば、年間600億立方メートル、場合によっては700億立方メートルのガス供給に戻せるだろう」と語った。仏政府が一部を所有するエンジー社は、かつてロシアのガスプロム社のガスの最大の購入者の一つだった。オロ氏によれば、ロシアはEUの需要の20ー25%を供給できるが、戦争前の40%からは減少するという。
フランスの石油大手トタルエナジーズ(TTEF.PA), opens new tabのパトリック・プヤンヌ社長は、欧州が米国産ガスに過度に依存することに警鐘を鳴らしている。「多くのルートを持ち、1つまたは2つに依存しすぎないようにする必要がある」とプヤンヌ氏は語る。トタルは米国のLNGの大手輸出者であり、ロシアのノヴァテク社(NVTK.MM), opens new tabからのLNGも販売している。「欧州は戦争前のようにロシアから1500億立方メートルを輸入することはないだろうが、おそらく700億立方メートル程度はあり得る」と述べた。
<ドイツの転換>
原子力発電に力を入れるフランスのエネルギー供給源は、すでに欧州で最も多様化されたものの一つだ。一方、ドイツはウクライナ戦争まで安価なロシア産ガスに大きく依存していた。
石油化学大手のダウ・ケミカルやシェル(SHEL.L), opens new tabの工場が集まるドイツ最大の化学産業集積地の一つであるロイナ化学パークでは、ロシア産ガスの早期復帰を求める声が上がっている。かつてロシアは、主にノルドストリームパイプラインを通じて、地元の需要の60%を供給していた。パイプラインは2022年に爆破された。
「我々は深刻な危機にあり、待つことはできない」と、化学パークの運営者であるインフラルイナのマ
ネージングディレクター、クリストフ・ギュンター氏は述べた。
ドイツの化学産業は5四半期連続で雇用を削減しているが、これは数十年ぶりのことだという。「パイプラインを再開すれば、現在のいかなる補助金プログラムよりも価格を下げることができる」と述べた。同氏は、多くの同僚がロシア産ガスへの回帰の必要性を認識しているとしつつ、「それはタブーな話題だ」と話した。
2月のドイツ総選挙では有権者のほぼ3分の1がロシア寄りの政党に投票した。フォルサ研究所が実施した世論調査では、ノルドストリームパイプラインがロシアからバルト海の海底を通って陸地に到達するドイツ東部のメクレンブルク=フォアポンメルン州では、有権者の49%がロシアからのガス供給の復活を望んでいることが分かった。
「ロシア産のガスと安価なエネルギーが必要だ。それがどこから来るかは関係ない」と、ロイナパークにある中規模石油化学メーカー、ロイナ・ハルゼのクラウス・パウル社長は述べた。「エネルギーコストを抑制しなければならない。ノルドストリーム2が必要だ」
ロシアの石油会社ロスネフチが共同所有し、ドイツ政府の信託管理下にあるシュベット製油所があるブランデンブルク州のダニエル・ケラー経済相は、業界は連邦政府が安価なエネルギーを見つけてくれることを望んでいると述べた。
ケラー氏は「ウクライナに平和が確立されれば、ロシア産原油の輸入や輸送の再開も考えられる」と語った。
<トランプ要因>
米国の天然ガスは昨年、EUの輸入量の16.7%を占め、ノルウェーの33.6%、ロシアの18.8%に次ぐ割合だった。
ウクライナがパイプラインを閉鎖したため、今年のロシアのシェアは10%未満に低下する。残りの供給は主に、ロシアの天然ガス会社ノヴァテク社からのLNGである。
貿易赤字削減を急ぐトランプ氏の意向を受け、EUは米国の産液化天然ガス(LNG)の購入を増やそうとしている。EUの貿易委員であるマロシュ・セフコビッチ氏は、「確かに、我々はもっとLNGが必要だ」と述べた。
コロンビア大学の研究者タチアナ・ミトロワ氏は、貿易戦争を受け、欧州では米国産ガスに依存することへの懸念が強まっていると語った。同氏は、米国のLNGが中立的な商品として見られることが難しくなっており、いずれ地政学的な道具になる可能性があると付け加えた。
グローバルリスクマネジメントのアーネ・ローランド・ラスムセン氏は、貿易戦争が激化すれば、米国がLNG輸出を制限する可能性があるとする。EUの上級外交官もこれに同意し、「この手段が使用されることを誰も否定できない」と語った。
米国の国内ガス価格が産業やAI(人工知能)の需要で急騰した場合、米国はすべての市場への輸出を制限する可能性があると、INGのウォーレン・パターソン氏は述べた。
2022年、EUは27年までにロシア産ガスの輸入を停止する目標を立てたが、具体的な計画の公表を2回延期している。
<仲裁>
複数の欧州企業は、ウクライナ戦争の影響でガス供給が滞ったとしてガスプロムに対して仲裁裁判を申し立てている。裁判所は独エネルギー大手ユニパーに140億ユーロ(2兆1000億円)、オーストリ
アのエネルギー企業OMVに2億30万ユーロを支払うようガスプロムに命じた。独エネルギー企業RWEは20億ユーロを請求、仏エンジーや他の企業は請求額を公表していない。
エンジーのオロ氏は、仲裁による支払い義務を果たすという名目で ウクライナがロシアにガスを送ることを許可し、それがガスプロムとの契約再開の出発点になる可能性があるとする。「あなた方(ガスプロム)は市場に戻りたいのなら結構だ。だが、仲裁金を支払わないのであれば、我々は新たな契約には署名しない」とオロ氏は立場を説明した。
ウクライナの民間ガス会社DTEKの最高責任者であるマキシム・ティムチェンコ氏は、ロシア産ガスの復活の可能性に懸念を深めている。米国のLNGをウクライナに輸入し、欧州に輸出することを目指しているからだ。
「ウクライナ人としてコメントするのは難しいが、欧州の政治家は、ロシアと取引することの意味を学んだはずではないか」
https://jp.reuters.com/world/ukraine/QHZH2HVR6NJOLK5G5RSWT6J27Y-2025-04-18/?rpc=122

❽国への忠誠心 ロシアとウクライナでは大きな差=プーチン大統領(2025年5月13日)
ロシア人は特別軍事作戦に自ら赴いているが、キエフは野犬を狩るように人を集めている。プーチン大統領はこう指摘した。
プーチン大統領は、ロシアでは5万人から6万人の国民が特別軍事作戦に自発的に赴いていると強調している。
https://sputniknews.jp/20250513/19909923.html

❾西側は下地作り 英特殊部隊スキャンダル暴露を元ペンタゴン分析官はこう読む(2025年5月14日)
元米国防総省アナリストのカレン・クヴャトコフスキー氏は、英国特殊部隊によるアフガニスタン民間人殺害疑惑についてコメントを表した。
クヴャトコフスキー氏によれば、このような行動は「植民地に遠征して戦争を行うスタイル」の現れであり、半世紀以上前のベトナムでも同じようなことが行われていた。
クヴャトコフスキー氏は、このスキャンダルは今、偶然に明らかにされたものではなく、これによって西側諸国は、これから暴露され、大きな反響を呼ぶだろうガザでのイスラエル軍の行動に向けて世論を準備していると見ている。
「これは、罪を犯した軍隊や政治家を擁護するための手段」と同氏は指摘する。 クヴャトコフスキー氏は、犯罪に関与した軍人は除隊させ、裁かれなければならないとし、「これを無視した軍隊のモラルはすでに低下している」と指摘した。
https://sputniknews.jp/20250514/19911598.html

❿ロシア崩壊を目指した西側の戦略は失敗 欧州は「取り残される」=ハンガリー首相(2025年5月13日)
ロシアの崩壊を目的とした西側諸国の戦略は失敗したが、西側はそれを認めようとはしない。ロシア経済は崩壊することなく、制裁は目的を果たさなかった。ハンガリーのオルバン首相がこのように述べた。
オルバン氏は欧州議会の会議で、米国はこれを認識して交渉に移行した一方、EUは「達成不可能な勝利のために全資金を費やしながら、戦争の傍らに取り残される」危険にさらされていると指摘した。
さらに、オルバン氏は「世界は変化したが、欧州人はそれに追いついていない」とし、EUは過去15年間を開発に活用することなく失い、世界で起こっている大規模な変革に対応する準備ができていないとの考えを述べた。
プーチン大統領は3月、ロシアに対する制裁は計2万8595件に及び、この数はあらゆる国に対して発動された制裁件数を上回ると分析しつつ、対露制裁はロシア経済を発展させる触媒の役目を果たしたとの見方を示した。
https://sputniknews.jp/20250513/19905488.html?rcmd_alg=collaboration2

2025年5月16日ウクライナ情報pdfはこちら

 


 

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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