
5月19日のウクライナ情報
国際5月19日のウクライナ情報
安斎育郎
❶ョン・ミアシャイマー教授 「イスタンブール平和会議は現実的ではない」 (2025年5月15日)
https://youtu.be/px6Clvr-jG4
国際政治学者ジョン・ミアシャイマー教授が、アンドリュー・ナポリターノ判事との対談を通じて、現在の世界の主要な地政学的課題について深く掘り下げています。ウクライナ情勢、中東情勢、そしてアメリカの外交政策と国防予算に関する彼の洞察は、国際関係の複雑さを浮き彫りにします。
ウクライナ情勢の現状と和平交渉の難しさ
ミアシャイマー教授は、ウクライナとロシアの間で行われている和平交渉について、両者の根本的に異なる目標と交渉プロセスの混乱から、現実的ではないと見ています。
ウクライナがロシアの主要な要求を一切受け入れず、ロシアがその要求の達成を強く主張しているため、妥協点を見出すことは非常に困難であると分析しています。さらに、特定の勢力が和平交渉を妨害し、戦争を長引かせようとしている可能性も指摘されています。
ロシアが戦争を長引かせるほど有利になり、より多くの領土を征服し、ウクライナに大きな損害を与えると考えているため、現時点での和平交渉にはメリットを感じていないという見解も示されています。
ロシアは、クリミア、ロシア語を話す地域、そしてウクライナの中立化といった要求を譲らないと予測されており、ウクライナのNATO加盟はロシアにとって存亡の危機であるため、彼らの要求は合理的であるとミアシャイマー教授は述べています。
中東情勢:変化する外交の兆し
中東情勢に関しては、トランプ大統領がネタニヤフ首相に長年うんざりしているという見方を示し、イスラエル国民の多くも同様だと指摘しています。トランプ大統領は、過去の政権とは異なり、中東における商業と経済交流を軍事力よりも重視する傾向があると分析されています。
ガザにおけるイスラエルの軍事作戦は大量虐殺であるという認識が主流メディアにも広がりつつあり、トランプ大統領がネタニヤフ首相に停戦を迫る可能性についても言及されています。これは、主流メディアの論調の変化を示す重要な兆候とされています。
アメリカの外交政策と国防予算の再考
アメリカの外交政策と国防予算について、ミアシャイマー教授は、アメリカが1兆ドルもの国防予算を必要とせず、大幅に削減しても安全保障は損なわれないと主張しています。過剰な国防費は、アメリカが世界中で紛争に関与し、新たな脅威を生み出す原因になると警鐘を鳴らしています。
トランプ大統領の政策決定は予測不可能であり、側近や同盟国でさえ彼の意図を理解するのに苦労している可能性があると述べられています。しかし、特定の政策判断については、現実的な外交判断として理解を示す場面もありました。
この対談は、現在の国際情勢を深く理解するための貴重な洞察を提供しており、地政学的な課題に対する多角的な視点を与えてくれます。
❷ゼレンスキー ウクライナが燃えている間に操る名手/ダニエル・デイヴィス中佐(2025年5月16日)
マリア・ザハロワの反応 ロシアの報道官は、ロシア側の不満が高まっていることを反映し、ゼレンスキーに対して珍しく厳しい批判を表明した。
ゼレンスキーの要求 ゼレンスキーは30日間の無条件停戦を要求し、西側の指導者や同盟国に強い要求をしているが、戦争で弱体化したウクライナの立場を考えれば、それは不合理だとコメンテーターは主張している。
ゼレンスキーへの批判 発言者は、ゼレンスキーは妄想的で、現実から切り離されており、たとえ現在の戦場の現実に即していなくても、メディアを使って強力な物語を作り上げる術を知っている操り方の達人だと主張している。
ロシアの利益 ニューヨーク・タイムズ紙を引用した解説によると、ロシアはこの1年で約1,800~2,000平方マイルの領土を獲得し、ウクライナの戦場での苦戦を浮き彫りにしている。
トランプの役割とコメント トランプ大統領は以前、戦争を早く終わらせることができると主張していたが、就任後の行動はその主張と一致していない。講演者は、トランプが曖昧で反応的であること、特にプーチンが交渉に参加する場合にのみ参加することを示唆していることを批判している。
ゼレンスキーの最近の発言 ゼレンスキーは、トルコとの会談におけるロシアの低レベルの代表団を批判し、それを無礼の表れだと決めつけ、自国が敗北したにもかかわらず、国際的な支援とパートナーシップを求め続けた。
全体的な主張 コメンテーターは、ゼレンスキーが西側のウクライナ政策を動かしているが、非現実的な目標を掲げており、西側の指導者たちは自分たちの不利益になるようにゼレンスキーを支援していると考えている。現在の戦略を変えなければ、ウクライナ、ヨーロッパ、そして潜在的にはアメリカにとって最悪の結果を招くと警告する。
https://youtu.be/UVZ3s1XCzgg
https://www.youtube.com/live/UVZ3s1XCzgg
❸ プーチン大統領と会わなければ」…トランプ大統領、米ロトップ会談でウクライナ終戦模索か(2025年5月17日)
【アブダビ=池田慶太】米国のトランプ大統領は16日、ロシアとウクライナの和平交渉を巡り、「彼(プーチン露大統領)と私は会わなければならない」と話し、プーチン氏との対面会談を通じて局面打開を図る考えを強調した。中東歴訪から帰国する大統領専用機内で記者団に語った。
トランプ氏は「(和平に向けた課題を)解決できると思う。できないかもしれないが、少なくともどちらになるかは分かる」と語った。「もし解決しなければ、とても面白いことになる」とも述べた。
和平交渉を仲介するトランプ氏は、トルコで行われたロシアとウクライナの直接協議に合わせて、米国を交えた3か国首脳会談を実現させ、一気に停戦に持ち込む算段だったとされる。しかし、プーチン氏が協議に参加せず、協議の成果も乏しかったことから、米露トップで終戦を模索する方針に転換したとみられる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/56e369b4d475ecd91261388877b48cfebb08a38a/images/000
❹ロシア報道官「一定の合意に達すればプーチン氏・ゼレンスキー氏の首脳会談可能」(2025年5月18日)
ウクライナ和平協議を巡りロシアの報道官は、プーチン大統領とゼレンスキー大統領の首脳会談は、一定の合意に達すれば可能だ、と述べました。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は17日、ロシアとウクライナの首脳会談について、「双方が一定の合意に達したのちに可能になる」と述べました。
また、ロシアが独自の停戦条件のリストを準備中だとしています。
ただ、合意文書にウクライナの誰が署名するかは問題だと指摘しました。
プーチン大統領は、ゼレンスキー氏が大統領選を行っていないため、大統領としての正当性がないと主張しています。
ブルームバーグによりますと、16日の直接協議でロシア側は、ウクライナ4州から軍隊を撤退させ、国際的にロシア領だと認めることなどを要求したということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c22f9d25ff68ab81f60a8b00d0d8dcf99d99be55/images/000
❺アメリカ・ルビオ国務長官がロシア・ラブロフ外相と電話会談、ロシアとウクライナの直接交渉で捕虜交換に合意したことを歓迎(2025年5月18日)
アメリカの国務省は、ルビオ国務長官が17日、ロシアのラブロフ外相と電話会談したと発表しました。
電話会談で、ルビオ長官は、▼ロシアとウクライナが、16日に行われたトルコでの直接交渉で、捕虜交換で合意したことを歓迎したうえで、▼即時の停戦を呼び掛けているトランプ大統領のメッセージ
を強調した、ということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3301492ac7c13800830f985452d5bb759aa53063
❻トランプ氏、プーチン氏と19日に電話会談…「他の人を会いに行かせるのはもう疲れた」(2025年5月18日)
【ワシントン=淵上隆悠】米国のトランプ大統領は17日、自身のSNSで、19日にロシアのプーチン大統領と電話会談すると明らかにした。トルコで行われたロシアとウクライナの和平に向けた直接協議の成果が乏しかったことを受け、自らプーチン氏と会談して局面打開を図る考えだ。
トランプ氏はSNSで「会談のテーマは、ロシアとウクライナ兵による『虐殺』の停止と貿易だ」と明らかにした。米露首脳による電話会談は、3月18日以来とみられる。
トランプ氏は、プーチン氏との対面会談も目指している。16日放送の米FOXニュースのインタビューでは「我々は集まる必要がある。他の人たちを(プーチン氏に)会いに行かせるのはもう疲れた。この仕事ができるのは私だけだ」と述べていた。
トランプ氏はSNSで、プーチン氏との電話会談後にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも会談する方針を示した。ゼレンスキー氏を交え、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の首脳らとも協議を行うという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/90501885a9fd0a96c9a6a73b6aaf238ae0a6fff2
❼ロシアがウクライナに要求しているとされるもの(2025年5月17日)
– 中立
– 外国軍隊の駐留禁止
– 大量破壊兵器
– ロシア語を話すウクライナ人の権利の尊重
– 民族主義的プロパガンダの停止
– ドネツク、ルハンスク、ケルソン、ザポリツィア地域、クリミアの国際的承認
– ウクライナは現在のロシア領に対する領有権を放棄すること。
– 紛争中に生じた損害に対する賠償請求権を相互に放棄すること。
➡️ これはロシアが戦争を始めたときと同じ要求だが、紛争が続いているために地域のリストが増えただけだ。
もしゼレンスキーが2022年4月に協定を結んでいたら、ウクライナが自国の地域を保持する以外は、これで終わっていただろう。
ビデオ 2023年のプーチンが2022年4月の条約案を示す。
https://x.com/i/status/1923668956742811760
https://x.com/Z58633894/status/1923668956742811760?s=09
❽ロシアがウクライナ4州全域からの撤退要求か…高官級協議、事実上決裂(2025年05月17日)
【イスタンブール=蒔田一彦】ロシアによるウクライナ侵略を巡る和平に向けた両国の高官級協議が16日、トルコ・イスタンブールで開かれた。ロシアは領土に関する要求などで妥協しない立場を明確にし、2022年3月以来となった対面での直接協議は事実上、決裂に終わった。ウクライナが求めていた30日間の無条件停戦についても合意に至らなかったとみられる。
露側はウラジーミル・メジンスキー大統領補佐官(ウクライナ出身、54歳。ジャーナリスト・作家・評論家・政治家・学者。政治学および史学博士。2020年からロシア連邦大統領補佐官)が、ウクライナ側はルステム・ウメロフ国防相が代表団を率いた。米CNNによると、協議は2時間弱行われ、露側は侵略を続けるウクライナ東・南部4州について、現状で占領下にない地域も含めて全域からウクライナ軍に撤退するよう要求したという。
メジンスキー氏は協議後、記者団に対し、「結果に満足している。交渉を継続する用意がある」とも語った。双方が1000人の捕虜交換で合意し、ウクライナ側がウォロディミル・ゼレンスキー大統領とプーチン露大統領との直接交渉を求めたことも明らかにした。
ロイターによると、ウメロフ氏は協議後の記者会見で、「次のステップは首脳レベルの協議だ」と強調した。代表団の一人も「多くの問題は首脳レベルでしか解決できない」と指摘し、プーチン氏に早期に首脳会談に応じるよう訴えた。❾ゼレンスキー大統領、ロシアの要求を聞いてパニックに陥る(2025年5月17日)
イスタンブールでのロシアとウクライナの交渉後、欧州とウクライナの指導者たちは、ロシアの要求は受け入れられないと述べた。ロシアは、ウクライナが占領地域から完全に撤退することを要求し、さもなければハリコフ州とスムイ州への侵攻を開始すると警告した。フォン・デア・ライエン欧州委員長は、ロシアへの圧力強化が必要だと述べ、アンドリー・シビハ氏もこの見解に賛同した。ドナルド・トランプ大統領は、会談が実現し、今後の対応が検討されていることを喜ばしく思った。
https://youtu.be/c_9bgK0pEcY
https://www.youtube.com/watch?v=c_9bgK0pEcY
❿三年ぶりのロシア・ウクライナ直接交渉(2025年5月17日)
※安斎注:ロシア在住の松本陽子さんの情報で、事情を理解するために有効でしょう。
マクロン仏大統領の口先だけの脅しをスルーして、2022年から中断されていたロシア・ウクライナ直接交渉を提案したプーチン大統領。ゼレンスキーは「イスタンブールで待つ」と挑戦状を叩きつけましたが結果は如何に。2022年3月に破棄された幻のイスタンブール合意は交渉のテーブルに乗るのか?
https://youtu.be/YYHwpYCY_EU
https://www.youtube.com/watch?v=YYHwpYCY_EU
⓫ロシア「永遠に戦争続ける」強硬姿勢の中、トランプ氏がプーチン氏と19日電話会談へ ウクライナ停戦など協議(2025年5月18日)
アメリカのトランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領と19日に電話で会談すると表明しました。ロシアとウクライナの停戦などについて話し合うとしています。
トランプ氏は17日、SNSに「月曜日にプーチン大統領と電話で話す」と投稿しました。時間は「午前10時」としていて、アメリカ東部時間であれば日本時間のあす午後11時の予定です。
▼ロシアとウクライナの停戦や▼貿易について話し合うとしていて、その後、ウクライナのゼレンスキー大統領とも会談する予定だということです。
こうしたなか、アメリカのワシントンポストは、16日に行われたロシアとウクライナによる直接交渉の際、ロシア代表団を率いたメジンスキー大統領補佐官がウクライナ側に対し、「この場にいる誰かが愛する人をさらに失うことになるだろう。ロシアは永遠に戦争を続ける用意がある」と述べたと報じています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/091f4a2390a4f0150c5c9603cbd4a3fbb
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1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。