
☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年6月9日):ポール・クレイグ・ロバーツ:ロシアの核施設攻撃を「テロ行為」として片付けようとするプーチンのせいで、戦争は拡大の一途
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
スコット・リッターは、ロシアの戦略爆撃機への攻撃はCIAも知っていた英国による作戦だった、と述べている。https ://www.youtube.com/live/5p_faUdJT3w
ホワイトハウスによると、トランプ大統領には知らされていなかったようだ。ロシアの戦争指針では、このような攻撃に対して戦略的対応が求められているため、英米の情報機関は、ロシアがこの攻撃に責任があると判断する国または国々への核攻撃を敢行する危険を負っていたことになる。
言い換えれば、核戦争を開始できるのは大統領や議会ではなく、安全保障機関である、ということだ。「安全保障機関」が行動の独立性を持っていることは明らかであり、それが我々を非常に不安にさせているため、説明責任を果たさない状況は終結させなければならない。
プーチン大統領は、この攻撃を戦争行為ではなくテロ行為と分類することで、ロシアの戦争教義が定義する責任を回避した。プーチン大統領は、現実を偽善にすり替え、ロシアの核戦力三本柱への攻撃を無意味な出来事として受け入れ、より広範な合意につながる可能性のある和平合意の締結、というクレムリンの非現実的な期待を生かそうとしている。
拡大し続ける戦争は、ますます拡大し続けている。プーチン大統領の善意の帰結は、より挑発的な攻撃となる可能性が高い。遅かれ早かれ、ロシアは対応するか、降伏するかを迫られるだろう。
現実はもはや認められるのだろうか?
ポール・クレイグ・ロバーツ
https://www.paulcraigroberts.org/2025/06/05/can-reality-any-longer-be-acknowledged/
ウクライナによるロシア戦略軍への攻撃は、トランプ大統領の承知の有無、米国と英国の支援の有無に関わらず、私の生涯における東西関係における最も危険な出来事となり得た。その理由は、最近改訂されたロシアの戦争指針において、たとえ非核保有国によるものであっても、ロシアの戦略三本柱への攻撃には戦略的対応が必要である、と規定されているからだ。戦略対応とは、通常、核兵器による、あるいは少なくとも無力化のための対応を意味する。
プーチンは責任を逃れた(後述)が、彼が必ずそうするとは誰も確信していなかった。言い換えれば、ロシアの戦略爆撃機への攻撃の責任者が誰であれ、ロシアが誰をこの攻撃の責任者と判断するかに応じて、ウクライナやヨーロッパ、米国を核攻撃の可能性にさらしたことになる。この攻撃をおこなった人物または人物らは狂人であり、特定され、その地位から排除されなければならない。例えばゼレンスキーが、米ロ間の核戦争につながるような攻撃を仕掛けることが、どうして可能になるのか想像してみてほしい。米国が核戦争に直面するかどうかを、ゼレンスキーの手中に置くことができるだろうか?ゼレンスキーに責任があるのなら、米国とNATOは指揮統制に大きな欠陥があることになる。トランプまたはトランプ政権の誰かが青信号を出したのであれば、私が生きている間に最も潜在的に危険な行為を犯したとして、彼らは解任されるべきだ。
ロシアの核三本柱に対する極めて無謀かつ極めて危険な攻撃は、関係者全員から、戦争行為ではなく、単なるテロ行為として扱われている。米国や欧州、ロシア、そして報道機関が、ロシアの戦略戦力への攻撃の重大性を認識しておらず、したがって、このような危険な行為を阻止するための措置も講じていないという事実は、ロシアと西側諸国の間で代理戦争ではなく、本格的な戦争が起こるか、あるいはロシアが降伏することを意味する。プーチン大統領は核戦争を避けるために降伏を望むかもしれないが、降伏は許されないだろう。
プーチン大統領は、ロシアの核三本柱への攻撃の重大性を覆い隠す主導的な役割を果たした。この攻撃を「テロ行為」と称することで、ロシアの戦略指針が自らに課している戦略的対応の責任を回避したことになるからだ。
ロシア大統領は「重大なことは何も起こっていない」と述べている。米国と欧州は「アーメン」と言っている。したがって、今回の攻撃の責任者が誰であれ、次の攻撃はさらに規模が大きくなる可能性があることは分かっている。そして、それもまた戦争行為として認められることはないだろう。
プーチンは、ロシアの主権に対する攻撃、つまりロシアの核三本柱への攻撃は単なるテロ事件だと偽り、ロシア国民の間で信用を失うまで何度そうできるのだろうか?
ロシアの戦略指針の最近の改訂の目的は、ウクライナなどの西側代理勢力によるロシア戦略軍への攻撃を差し控えさせる、あるいは阻止することだった。しかし、プーチン大統領が西側諸国に彼を真剣に受け止めないよう教え込んだため、この改訂は失敗に終わってしまった。彼は常に「もう一方の頬を差し出す」用意ができている。今、プーチン大統領はロシア戦略軍への攻撃を戦争行為ではなく、テロ行為としてしか認めないことを示した。つまり、プーチン大統領はロシアの戦略指針を否定したのだ。これは何の意味も持たない。西側諸国がこれを知った今、ロシアは挑発の激化を覚悟しなければならない。プーチン大統領の善意はすべて悲惨な結果に終わり、その結果は大規模な戦争となるだろう。
ロシアは破滅の運命にあるのかもしれない。何十年にもわたる西側諸国の喧伝広報の成功により、ロシアの専門職・知識階級の大半は大西洋統合主義者へと変貌を遂げた。彼らはロシアが西側諸国の一部であると信じており、西側諸国の一員となるために主権を譲歩することも厭わない。この考え方は明らかにクレムリンとロシア外務省に強く根付いている。
米国のシオニスト系ネオコンは、ロシアのこの弱点を熟知しており、それを巧みに利用している。プーチンが彼らの代わりに仕事をしてくれるので、彼らは大したことをする必要もない。
プーチン大統領は、ウクライナがロシアに対して戦争ではなくテロ行為を行っていると宣言した。また、プーチン大統領の宣言は、米国と欧州のいかなる責任も免除するものである。
プーチン大統領が現実から目を背けているという、ロシア語の英語版見出しをご紹介しよう。どうやら彼は現実を直視できないようだ。あるいは、米国やNATOに抵抗できない強力な軍事力の構築に取り組んでいるため、まだ準備ができていないのかもしれない。
「『非合法なキエフ政権』がテロ組織に変貌している」プーチン
「ウクライナがロシア国内で行った最近のテロ行為は、ウクライナの政治指導者が下した決定の結果である」とプーチン大統領は述べ、「このような犯罪を実行する決定は、もちろんウクライナ国内で、ウクライナの政治指導者によって下された」と付け加えた。言い換えれば、米国と欧州は、この戦争行為に対して一切の責任を負わない。これは戦争行為ではなく、単なるテロ行為であるとされたのだから。https ://www.rt.com/russia/618651-kiev-regime-rejecting-peace/
言い換えれば、クレムリンは、米国とヨーロッパはロシアの戦略的三本柱への攻撃とは何の関係もなく、ウクライナは単にテロ事件を起こしているだけで、ロシアに対して戦争をしているわけではないと主張しているのだ。https ://www.washingtonpost.com/opinions/2025/01/31/russia-ukraine-rubio-trump/? utm_source=facebook&utm_medium=social&utm_campaign=wp_opinions
プーチンがこんなに愚かだとは信じられない。おそらく彼はまだ準備ができていないのだろう。NATOをロシア国境から撤退させる準備を進めながら、ウクライナの小規模な紛争を継続させているからだ。
トランプは、ロシアが長年求めてきた相互安全保障協定をプーチン大統領に与えることで、今後の紛争を回避できる。これは費用のかからない解決策となるだろうが、トランプは実際には権力を握っておらず、米国の軍安保複合体の権力と利益はロシアの敵を必要としている。
では、壊滅的な戦争はどのようにして回避できるのだろうか?いま述べたような情報は、公式見解では禁じられている。米国の外交政策関係者は、それを疫病のように避けているからだ。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/
の中の「ポール・クレイグ・ロバーツ:ロシアの核施設攻撃を「テロ行為」として片付けようとするプーチンのせいで、戦争は拡大の一途
」(2025年6月9日)http://tmmethod.blog.fc2.com/
からの転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒The Ever-widening War
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身ブログ 2025年6月6日https://www.paulcraigroberts.org/2025/06/06/the-ever-widening-war-84/