【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.06.20XML: イスラエルがイランを攻撃するために使ったモサドの工作員や協力者の本格的摘発

櫻井春彦

イスラエル軍が6月13日、イランに対してサイバー攻撃を仕掛けると同時にイラン領内からドローンやミサイルを発射したと言われている。8時間から10時間にわたって防空システムが麻痺したので、その間、戦闘機による攻撃もあったようだが、軍の幹部や核科学者らの殺害は「テロ」に近い手段による。

 

アメリカでの報道によると、イスラエルは数カ月かけてドローンの部品を商業貨物として秘密裏にイランへ持ち込み、組み立て、主要地域に配置し、トレーラーに設置された発射装置などから攻撃したという。軍の作戦ではなく情報機関の工作だったわけだ。こうした手法はロシアの空軍基地に対する攻撃でも使われた。その類似性から、計画の指揮者は同じではないかとも言われている。

 

イランではイスラエルの情報機関、つまりモサドの協力者を摘発し始めた。これまで活動してこなかったようなので、スリーパーということになるだろう。

 

しかし、イランの防諜機関がそうしたスリーパーのネットワークを摘発できず、ドローンの部品をイラン国内へ運び込むことを許したのは大きな失態だ。しかもターゲットになった軍人や科学者の動きが把握されていた。

 

ドローンやミサイルをイラン領内から発射するという方法にイスラエル軍が切り替えた理由は昨年の経験が影響しているのだろう。

 

昨年、イスラエル軍はイラク、シリア、イランの防空軍を破壊した上で侵入し、標的を破壊するという計画を立て、実行に移したのだが、イランの領空へ侵入することができなかったと言われている。防空システムを破壊するための長距離ミサイルを搭載したイスラエルの航空機はイランから70キロ以内に近づけなかったという。

 

アメリカは6月10日に空対地ミサイルのヘルファイア約300機をイスラエルへ渡しているが、その理由もイランの防空システム対策だと考えられている。イスラエルは空中発射弾道ミサイルも使っているが、これも同じ理由だろう。今回、攻撃前に防空システムを麻痺させたのも前の経験に学んでのことだと見られているが、それでもイラン国内からの攻撃の方が効果的だったようだ。

 

こうした国内からの攻撃を実行したモサドの工作員や協力者の摘発が始まっている。イラン情報省は国民に対し、警戒を強め、不審な人物、住宅、小型トラック、ピックアップトラックを見つけたら通報するよう呼びかけ、イランの一般人はそれに応えている。

 

それに対し、イスラエル側は自動車を使った爆破工作に切り替えたという。革命防衛隊(IRGC)情報部長官モハメド・カゼミらは6月15日に自動車爆弾で殺されている。

 

ちなみに、ロシアでは昨年12月17日、同国軍の放射線・化学・生物防衛部隊を率いていたイゴール・キリロフ中将がモスクワで暗殺されたが、この時は電動スクーターに取り付けられた爆発物が遠隔操作で作動する仕組みだった。

 

こうした破壊工作を実行しているモサドの協力者は、ムジャヒディーン・ハルク(MEK)の関係者だとする情報が流れている。MEKは王政時代、革命組織として活動していたのだが、イスラム革命後の弱体化、「テロ請負組織」のような存在になり、イスラエルや西側諸国の情報機関と関係が深くなったと言われている。

 

今回のイランに対する攻撃では西側諸国の情報機関が関係していると疑われている。

**********************************************

【​Sakurai’s Substack​】

**********************************************
【​Sakurai’s Substack​】
※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/
のテーマはイスラエルがイランを攻撃するために使ったモサドの工作員や協力者の本格的摘発 」 (2025.06.20ML)
からの転載であることをお断りします。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202506200000/#goog_rewarded

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


★ISF(独立言論フォーラム)「市民記者」募集のお知らせ:来たれ!真実探究&戦争廃絶の志のある仲間たち

※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202410130000/

ISF会員登録のご案内

「独立言論フォーラム(ISF)ご支援のお願い」

櫻井春彦 櫻井春彦

櫻井ジャーナル

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ