
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年7月 4日 (金) 日経新聞劣化が止まらない
社会・経済7月4日の日経新聞1面。
政治部長・佐藤理氏の署名記事。
タイトルは
「参議院選挙、甘言で選ぶ6年なのか」
https://x.gd/FI7zx
さながら、日経新聞は〈ザイム真理教〉の広報誌と化している。
日経新聞の紙面には頻繁にシンポジウムの広報が掲載される。
政府が関与するシンポジウム。
政府資金で経営を成り立たせている部分が大きいのだろう。
1997年、2014年、2019年に消費税増税が繰り返されてきた。
そのたびに日経新聞は
「消費税増税の影響軽微」
と大見出しを付した記事を1面トップに頻繁に掲載してきた。
「消費税増税の影響軽微キャンペーン」。
私は「消費税増税の影響甚大」のキャンペーンを展開した。
どちらが正しかったかは歴史の事実が証明している。
97年には消費税増税を契機に株価下落=景気悪化=金融危機という〈魔の悪循環〉が形成されて、日本は金融恐慌に足を踏み入れた。
「消費税増税の影響軽微キャンペーン」は完全な誤りだった。
7月4日朝刊1面で佐藤氏は次のように主張。
「「消費税の減税か、給付金か」。これが今回の参院選の構図なのか。
そうではないはずだ。
各政党は「有権者が望んでいる」と説明し、物価高への緊急の対応だと唱える。
確かに減税やバラマキは目先の恩恵になるかもしれないが、根本的な策ではない。
むしろ財政や社会保障に打撃を与え、国民や社会の将来に禍根を残す危険な甘言との指摘もある。」
「指摘もある」の表現が用いられているが、記事タイトルが
「参議院選挙、甘言で選ぶ6年なのか」
であり、
「財政や社会保障に打撃を与え、国民や社会の将来に禍根を残す」
というのが、この記事の結論。
財務省の主張を完全に代弁するものだ。
さらに、
「真摯に国民の将来を考える候補者なら、財源や負担に言及し、財政や社会保障が破綻しないような改革も訴えるだろう。
そこに踏み込まないなら、国民のためというより候補者自身が当選するための手段、選挙対策とのそしりも免れない。」
と主張。
せめて、拙著に目を通してから記事を書くべきだと思う。
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7月3日付日経新聞朝刊3面には、24年度税収が1.8兆円上振れするとの記事が掲載された。
サブの見出しは
「「2万円給付」に届かず」。
税収が見積りを1.8兆円上回るが「2万円給付」の財源には達しないとの意味の記事。
しかし、24年度税収は当初の見積もりから激増する見通しなのだ。
当初予算での税収見積もりは69.6兆円。
これが補正予算編成時に73.4兆円に上方修正された。
さらに、現時点で実績値がほぼ判明したが、75.2兆円に達する見通し。
当初予算比で5.6兆円上振れする。
2020年度の税収が60.8兆円。
さらに24年度は定額減税で2.3兆円税収が減額されている。
定額減税分を含めると24年度税収は77.5兆円に達し、20年度比で16.7兆円の税収増になっている。
この税収激増を国民に還元しなければ国民は干上がる。
財務省の広報しか果たさないなら日経新聞は言論機関として失格だ。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050