【連載】社会学作家・秋嶋亮の「リアリティ・オブ・ジャパン」

秋嶋亮(社会学作家)連載ブログ/30:「イデオロギーの終焉」を迎えた

秋嶋亮

僕は今回の選挙に際し、この時代が「イデオロギーの終焉」の時代であることを確信したのだ。

もう一度整理して言えば、「イデオロギーの終焉」とはフランシス・フクヤマの「歴史の終焉(政治の終焉)」と同義の概念である。かいつまんで言えば、資本主義VS社会主義、右派VS左派、などのステレオタイプな対立軸が消失し、政治の主題が信念から利害に収斂する状況を意味するのだ。

共産党や社民党は、かつての急進的な反資本主義の姿勢を放棄しており、それは今回の選挙のマニフェストにも如実に表れている。どういうことかと言うと、派遣労働や低年金問題(70歳以上の高齢者が500万人以上も働いていること)など左派が中心的な争点にすべき論件が皆無なのである。

環境問題についても精彩を欠いており(脱原発を唱え、再生可能エネルギーへのシフトを主張するものの)福島原発事故が深刻な健康被害をもたらしている問題については全く触れておらず、汚染水放出や除染土の再利用についてもスルーなのだ。

僕が日本共産党を見切ったのは、福島原発事故が起きた際(旧ソ連共産党はチェルノブイリ事故が起きた直後に子どもを避難させたのに対し)何も対処せず児童を被災地に放置したことが契機だったのだが、思えば「コンセンサス政治(国民の味方であるはずの左派政党が圧制者側と癒着する政治)」はその頃すでに鮮明化していたのだ。

また共産党も社民党も改憲問題を争点にしていない。つまり改憲案が統一教会によって起草されたこと、改憲案が天皇の元帥化や国防軍の創設を謳い基本的人権を抹消していること、国民投票が相対得票率制のため(莫大な宣伝費と組織票を持つ改憲派が圧勝し)実施されると100%改憲されること、などには一言も触れていないのだ。

ここでよく考えなくてはならないことは、すでに参院の3分の2以上が改憲派で占められていることだ。しかも参院の任期は6年である。だからここで議席を覆さなければ、なし崩しに改憲を発議されてしまうのだ。つまり改憲を阻止するためには、今回の選挙で絶対に護憲派が議席を上回らなくてはならないのだが、彼らはこの最重要のイシューを全く訴求していないのだ。

つまりこれは与野党が「戦争準備体制」に向けて連衡する「共謀的選挙行為」なのである。

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秋嶋亮 秋嶋亮

☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。

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