
評論:WHO(世界保健機関)とは何者・何様なのか? ―コロナ禍とワクチン禍の真相を掘り下げる映画『WHO?』が好評上映中
映画・書籍の紹介・批評2020年末に、中国・武漢で「新型コロナウイルス」と称される病原体が発見されたと報道されてから、既に5年近くがたとうとしています。世界規模の「パンデミック」への対策として投入された、事実上の遺伝子製剤であるmRNAワクチン接種推進も含め、世界の公衆衛生政策を主導してきたのが、WHOです。『WHO?』という簡潔な表題からは、主権国家の政策を操る至高の権威を持つこの国際機関は一体「何者」、もしくは「何様」なのかを見極めんとする気概が伝わってきます。
WHOといえば、特に日本では、世界中で病気と闘う“正義の組織”といわんばかりの好印象が、政府広報と巨大組織メディアを通じて、形成されてきたのではないでしょうか。そんな組織からの脱退を表明したトランプ米大統領はやはりどうかしており、我々日本人が助けなければ、という意見の方もいるかもしれません。本作でも大きく取り上げられた組織「WHOから命をまもる国民運動」に至っては、まるでパラレルワールドから来た人々に見えることでしょう。
もちろん個別のWHOの政策に関して正当なものがあることまで否定しませんし、”悪魔化”するつもりはありません。しかしその負の側面に対して我々日本人の大多数はあまりに無知だったのではないか、とこの作品を鑑賞した上で、問い直すべきだと思います。
しかし、参院選では、WHOの親善大使を務め、日本のワクチン政策を主導してきた前厚労相の武見敬三氏が東京選挙区で次点にすらなれずに落選するなど、多少の変化も見られます。
WHO:A New WHO Goodwill Ambassador for Universal Health Coverage.
2019年6月27日。
https://www.who.int/news/item/27-06-2019-a-new-who-goodwill-ambassador-for-universal-health-coverage
本作の監督は、なるせゆうせい氏。移民問題を扱った『縁の下のイミグレ』等、社会問題を扱う作風で知られます。
本作で扱われるのは、次のような問題です。
〇新型コロナウイルスは人工的に製造された、という疑惑。長年陰謀論扱いされてきましたが、日本以外では多くの科学者が賛同し、米国連邦下院および連邦政府の公式見解にすらなりました。偶然にも20年秋に米国で行われた、新型コロナウイルス対策の迫真の図上演習”Event 201“にも踏み込みます。計画されたパンデミックとしての「プランデミック」という言葉にも言及されます。
Event201: https://centerforhealthsecurity.org/our-work/tabletop-exercises/event-201-pandemic-tabletop-exercise
White House: LAB LEAK
https://www.whitehouse.gov/lab-leak-true-origins-of-covid-19/
〇コロナワクチン薬害の闇深い真相。具体的には、ファイザーワクチンがもたらしうる1291種類の有害事象の問題。そして、コロナワクチンに対する予防接種健康被害救済制度の救済件数が、記録を更新し続けていること。政府も、間接的には、コロナワクチンが史上最大の薬害事件であることを認めざるを得なくなっているわけです。新型コロナウイルス禍が始まった20年、日本の死亡者数は前年よりむしろ減少しました。ワクチン接種開始後の21年以降、高齢化やコロナ死だけでは到底説明できない「謎の大量死」が発生しています。歴代厚労相らは「審議会」による審査によりコロナワクチンに「重大な懸念はない」と主張し続けますが、その委員らの多くに、製薬企業からの―合法的ではあるが道義的に問題のあるといえる―資金の流れがあることが判明しています。
〇WHOの資金源の問題。米国等各国政府より、ビル・ゲイツ氏率いるゲイツ財団や、それに関連するワクチン推進組織のGAVIの方が、拠出額が多いこと。よりによって感染症対策への貢献で、旭日大綬章を日本政府から授与されたゲイツ氏の優生思想の背景にも焦点が当てられます。
〇ユーチューブ、旧ツイッター等、インターネット上の言論統制の問題。日本政府も特定のインフルエンサーに資金提供するなどの形で、情報操作を行っていました。
〇WHOの権限を強化するパンデミック条約および国際保健規則(IHR)の問題。WHOから見た偽情報・誤情報としての「インフォデミック」は、反対が強かったこともあり、条約・規則に今のところ入れることはできていませんが、日本の「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」には明記されています。
行動計画:https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001298089.pdf
〇MeijiSeikaファルマが製造し、主要国では日本でのみ承認された自己増殖型のレプリコンワクチンの問題。このワクチンが被接種者から他者へ成分を伝播させるという「シェディング」の有無については批判的に考える専門家の間ですら、意見が分かれています。しかし、従来型で大きな失敗が犯されてきたのに、新型をあえて投入することは妥当なのか、問い直すべきです。
〇パンデミック条約・IHR改正、そしてレプリコンを含むコロナワクチンに対する「国民運動」の動き。2024年に始まり、5月には東京・日比谷で約2万人、9月には東京・有明で3万人もの人々が結集し、デモが行われました。後者では、「集会に参加すれば主催者から報酬が出る」といった偽情報を何者かが拡散した結果、大量の若者が集まりました。これに対して既存メディアの一部は集会の趣旨を無視して、この金配り事件だけを大きく取り上げる、といった偏向報道を行いました。
〇危機は新型コロナとそのワクチンにとどまりません。東京の国立感染研究所と長崎大学では、あえて市街地にエボラウイルスを含む高リスクな病原体を扱うBSL(Biosafety Level)-4の研究所が造られています。震災の被災地である福島県南相馬市等、日本各地で巨大ワクチン工場が建設され、コロナ以外のワクチンも―失敗だらけの―mRNA方式に移そうという動きがあります。
このようなテーマが、井上正康・大阪市立大学名誉教授、林千勝氏、小島勢二・名古屋大学名誉教授、佐野栄紀・高知大学名誉教授、内海聡医師、原口一博・衆院議員、川田龍平元参院議員、奥野卓志氏、藤江成光氏、深田萌絵氏、佐藤和夫氏といったこの分野の著名な専門家および活動家ら勢揃いの下、インタビュー映像やデモの映像、過去のメディア映像を交え、躍動感をもって回顧されます。巨大組織メディア群が無視するか、もしく貶めるかの二者択一である現在進行形の闘いを振り返り、将来の指針を誤らないためにも、今年一番見るべきドキュメンタリー映画の一つであると私は思います。
映画の最後に流れたChage and Askaの往年の名曲「YAH YAH YAH」は、厳しい危機の時代にあって抵抗の精神をかきたてるかのように響き、身に沁みました。
https://www.youtube.com/watch?v=yfZIaTZJo0o
https://www.uta-net.com/song/4558/
本作の内容の多くは、ISFの「特集 新型コロナ&ワクチン問題の真実と背景」と重なるものです。
https://isfweb.org/feature/covid-19/
特に本作に関わるものとして、井上正康氏らを招いて過去4回開かれたコロナとワクチンについてのシンポジウム動画や、薬害問題に取り組む全国有志医師の会のメールマガジンの他、以下の記事を参照してください。
嶋崎史崇「【寄稿】:5月31日の反WHO巨大デモを振り返る ―左派・リベラルは右派・保守主導の反グローバリズム運動にどう向き合うのか?(上下)、2024年6月18・19日。
https://isfweb.org/post-38874/
https://isfweb.org/post-38878/
嶋崎史崇「反WHOデモの呼び掛け人、佐藤和夫さんへのインタビュー:ウクライナ問題等国際情勢にも通じ、「大同団結」と日本の真の独立を目指す行動の人」、2024年7月4日。https://isfweb.org/post-39678/
藤井良彦「登校拒否新聞書評欄:原口一博著『プランデミック戦争 作られたパンデミック』」、2024年12月28日。https://isfweb.org/post-48664/
嶋崎史崇「書評:林千勝『プランデミックの衝撃 WHOの大罪』 ―トランプ大統領が脱退を表明したWHOの負の側面と、『医産複合体』の本性を暴く書物」、2025年2月4日。https://isfweb.org/post-50041/
嶋崎史崇「【書評】藤江成光『おかしくないですか⁉ 日本人・謎の大量死―知ってください、衝撃の事実』―現在進行形の危機を、公式資料に基づくグラフで可視化する」、2025年5月2日。https://isfweb.org/post-55156/
8月16日に上映を始めた東京都の映画館Morc阿佐ヶ谷では、本作は連日大入り満員、という快挙を成し遂げました。同じく東京のシネマハウス大塚、大阪の新世界ZAZA、名古屋のシネマスコーレをはじめ、全国の独立系映画館で、8月末もしくは9月初めから上映するところがほとんどなので、まだまだ鑑賞する機会はあります。
「陰謀論」ならぬ確かな事実と学術的根拠に立脚しつつも、草莽崛起の「国民運動」から生まれた映画が、国民的作品になることを期待しつつ、本稿を閉じさせていただきます。
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独立研究者・独立記者、1984年生まれ。東京大学文学部卒、同大学院人文社会系修士課程修了(哲学専門分野)。著書に『ウクライナ・コロナワクチン報道にみるメディア危機』(2023年、本の泉社)。主な論文は『思想としてのコロナワクチン危機―医産複合体論、ハイデガーの技術論、アーレントの全体主義論を手掛かりに』(名古屋哲学研究会編『哲学と現代』2024年)。ISFの市民記者でもある。 論文は以下で読めます。 https://researchmap.jp/fshimazaki ISFでは、書評・インタビュー・翻訳に力を入れています。 記事内容は全て私個人の見解です。 記事に対するご意見は、次のメールアドレスにお願いします。 elpis_eleutheria@yahoo.co.jp Xアカウント: https://x.com/FumiShimazaki