【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.09.03XML: SCOでインドがロシアや中国との緊密な関係を示し、英語帝国主義からの離脱も

櫻井春彦

 ​欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長を乗せた航空機のGPSが8月31日にブルガリアの空港へ着陸する際に使えなくなり、存在しないはずの紙の地図を利用して着陸したとフィナンシャル・タイムズが仰々しく伝えた​。

 

ロシアはミサイルやドローンによる攻撃に対処するためにGPSを妨害しているが、そうした場合、その周辺を走行している自動車に搭載されたGPSも機能しなくなる。ところがブルガリアでのケースでは、そうしたことが起こっていないようだ。他の航空機に影響が出たとする話も聞かない。

 

この怪しげな話をイギリスの有力紙が伝えた時、中国の天津ではSCO(上海協力機構)の首脳会議が開催され、24カ国と9国際組織の首脳が参加しているが、特に注目されたのはロシア、中国、インドの結束。ロシアのウラジミル・プーチン大統領とインドのナレンドラ・モディ首相は同じリムジンに乗って移動するなど親密さをアピール、二国間会談でロシアの通訳は英語でなくヒンディー語を使ったことも話題になった。脱ドルに続き、「英語帝国主義」への挑戦だ。

中国やロシアと同じようにアメリカもインドを重要視しているが、今回のSCOサミットはアメリカのドナルド・トランプ大統領を刺激したようで、同大統領は年内にインドを訪問する計画をキャンセルした。

 

インドはアメリカ、オーストラリア、日本とクワドなるグループを編成、軍事的な連携を強めているように見えたが、アメリカの服従することを拒否したようだ。トランプ政権のインドに対する圧力は逆効果だった。今回、インドと中国との関係が改善されたことがアピールされていたが、パキスタンとインドの関係も修復に向かうかもしれない。

 

イラン、パキスタン、モンゴルも存在感を示したものの、欧米の戦略に加わっているアルメニア、アゼルバイジャン、トルコはそそくさと立ち去っている。

アルメニアのニコル・パシニャン首相とアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は8月8日、アメリカのトランプ大統領と南コーカサスに関する覚書に署名、アルメニアはアメリカに対し、TRIPP(国際平和と繁栄のためのトランプ・ルート)なる回廊の独占的な特別開発権を長期間付与する計画だという。つまり、アメリカを南コーカサスへ引き込むということであり、地域を不安定化させることになるだろう。

 

SCOの会議後にプーチン大統領は北京でスロバキアのロベルト・フィツォ首相と会談、両国の結びつきの強さを示した。プーチンとフィツォは共に、ウクライナのNATO加盟は認められないとしている。

 

プーチンは天然ガスを重要な外交手段として利用しているが、西シベリアのガス田からモンゴルを経て中国の新疆ウイグル自治区へ至るパイプライン「シベリアの力2」が計画されている。

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