【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.09.09XML: ドイツではこれまでの自爆政策を隠蔽し、AfDを崩壊させるための工作が進行中

櫻井春彦

 ​ドイツではノルトライン・ベストファーレン州で実施された地方選挙の前、数週間にAfD(ドイツのための選択肢)の候補者立て続けに死亡した​。警察はいずれも自然死だとしているが、疑惑の目が向けられている。当初、死亡した候補者は6名だとされたが、その後ひとり増えて7名だという。

ドイツの治安機関であるBfV(連邦憲法擁護庁)は5月、AfDを「過激派政党」に指定した。その指定は一時停止されているが、有権者に支持されているAfDが政府機関に敵視されていることは確かだ。「過激派」というタグをつければ、どのような団体でも誰でも摘発できると彼らは主張している。摘発の対象を選ぶのは自分たちの特権だと考えているのだろう。論争や宣伝ではAfDの勢いを止められないため、強権を発動するしかないのだろう。

 

しかし、ドイツの少なからぬ国民はBfVを含む支配層とは考え方が違う。政府が進めてきた政策、例えばネオ・ナチを利用したクーデターで成立したウクライナの現体制への支援、それに伴うロシアとの戦争、ロシア産天然ガスを輸送していたノードストリーム(NS1)とノードストリーム2(NS2)の爆破に対する政府の姿勢、大量移民に対する姿勢、あるいはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動での取り組み方に国民は納得していない。

 

一連の政策はドイツの経済を破綻させ、社会を破壊し、遺伝子操作薬による副作用で人びとの健康を害してきた。そうした政策に反対する政党がBfVやBSW(ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟)。

 

また、​SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)によると、イスラエルへ供与された軍事物資の69%はアメリカから、30%はドイツから​。そうした物資の空輸やパレスチナの武装勢力を偵察する飛行で中心的な役割を果たしてきたのはイギリス。ドイツも大量虐殺の共犯者だ。

 

ドイツの経済や社会は安価なロシア産天然ガスを購入できなくなったことで大きなダメージを受けた。天然ガスをロシアからヨーロッパへ運ぶパイプラインが通っているウクライナでは2014年2月にバラク・オバマ政権が主導するクーデターでネオ・ナチ体制が樹立され、主要なパイプラインによる輸送が止められた。

 

ロシアとヨーロッパを結ぶパイプラインの多くはウクライナを通過している。特に重要なパイプラインはソユーズ。このパイプラインとベラルーシやポーランドを経由してドイツへつながるヤマル-ヨーロッパは遮断されたが、ドイツとロシアはウクライナを迂回するパイプラインも建設していた。バルト海を経由する2本のパイプライン、NS1とNS2だ。そのパイプラインがン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」は2022年9月に破壊されている。

 

アメリカやポーランドは、NS1やNS2の建設や稼働に強く反対していた。ドナルド・トランプ政権下の2020年7月には国務長官のマイク・ポンペオがNS2を止めるためにあらゆることを実行すると発言。2021年1月に大統領がジョー・バイデンに交代しても状況に変化はなく、22年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官はロシアがウクライナを侵略したらNS2を止めると発言していた。同年2月7日にはジョー・バイデン大統領がNS2を終わらせると主張し、アメリカはそうしたことができると記者に約束している。そして9月の爆破だ。

 

今年8月22日、イタリア当局はNS1とNS2を爆破した容疑でSBU(ウクライナ安全保障庁)の元大佐、セルゲイ・クズネツォフを逮捕した。ドイツが指名手配していたというが、逮捕は別荘で行われたようで、クズネツォフは警戒していなかった。

 

ドイツ当局の主張は、2022年9月にドイツ企業から借りたヨットを利用し、パイプラインに少なくとも4つの遅延起爆装置付き爆発物を仕掛けた7名のグループをクズネツォフが率いたとしているのだが、クズネツォフは爆発当日のアリバイ工作を主張しているようだ。そもそもドイツ当局のシナリオではパイプラインを爆破できない。

 

調査ジャーナリストの​シーモア・ハーシュは2023年2月8日、アメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表​している。

 

ハーシュによると、アメリカのジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合ったという。そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申した。

 

2022年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官は、ロシアがウクライナを侵略したらノード・ストリーム2を止めると発言、2月7日にはバイデン大統領がノード・ストリーム2を終わらせると主張、記者に実行を約束した。こうした発言の背後には爆破計画があったわけだ。

 

爆破計画の拠点として選ばれたのはノルウェー。イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長の母国だ。ハーシュによると、3月にはサリバンのチームに属すメンバーがノルウェーの情報機関に接触、爆弾を仕掛けるために最適な場所を聞き、ボルンホルム島の近くに決まった。

 

プラスチック爆弾のC4が使われたが、仕掛けるためにはロシアを欺くためにカムフラージュが必要。そこで利用されたのが​NATO軍の軍事演習「BALTOPS22」​だ。その際にボーンホルム島の近くで無人の機雷処理用の潜航艇を使った訓練が行われた。

 

それに対し、ロシア連邦保安庁(FSB)の元長官で、現在は大統領補佐官を務めているニコライ・パトルシェフは9月7日、NS1とNS2の爆破テロは高度に訓練されたNATO特殊部隊の関与のもとで計画、監督、実行された可能性が高く、実行犯は深海での作戦経験が豊富で、バルト海での活動にも精通していたとしている。こうした条件に合致する情報機関として彼はイギリスの特殊舟艇部隊(SBS)を挙げている。

 

アメリカかイギリスの機関が実行した可能性が高いということだが、真犯人が特定されては困る人たちが崩壊寸前のウクライナに責任を押し付けようとしている。真相が明確になれば、ドイツの現体制は崩壊、EUも崩れ去る可能性がある。

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【​Sakurai’s Substack​】
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