【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年9月20日):チャーリー・カーク氏を殺(や)ったのはイスラエルだったのか。

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

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トランプ政権の関係者でチャーリー・カーク氏の長年の友人がグレイゾーンに対し、暗殺された保守派指導者であるカーク氏がイスラエルの影響力に対する立場を変えたことがネタニヤフ首相の同盟者から個人的な反発を引き起こし、首相に怒りと恐怖を与えた経緯を語った。

この情報提供者によると、イスラエルによるスパイ活動が明らかになった後、トランプ政権内で不安が広がった、という。

殺害されたこの解説者の長年の友人が匿名を条件に語ったところによると、チャーリー・カーク氏は今年初め、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相から、米国最大の保守系青年団体であるターニング・ポイントUSA(TPUSA)へのシオニストからの巨額の新規資金注入の申し出を拒否した、という。この情報提供者はグレイゾーンに対し、トランプ支持派のインフルエンサーであった故カーク氏は、米当局におけるイスラエルの圧倒的な影響力に公然と疑問を呈し、それを批判する機会をさらに求め始めたため、ネタニヤフ首相がカーク氏を脅迫して沈黙させようとしていると考えていた、と語った。

この情報提供者によると、9月10日の暗殺に至るまでの数週間、カーク氏はイスラエルの指導者を「いじめっ子」と呼び、嫌悪するようになった、という。カーク氏は、ネタニヤフ首相が大統領人事を個人的に指示しようとし、億万長者の献金者ミリアム・アデルソン氏をはじめとするイスラエルの資産を武器にホワイトハウスを掌握しようとしていたトランプ政権内部の状況を目の当たりにして、嫌悪感を募らせていた、という。

ドナルド・トランプ大統領とその側近とも面会の場を持っていたカーク氏の友人によると、カーク氏は昨年6月、イスラエルのためにイランを爆撃しないようトランプ大統領に強く警告した、という。「そうしたのはチャーリーだけだった」と友人たちは語り、トランプ大統領が「彼を怒鳴りつけ」、怒りのあまり会話を打ち切ったことを振り返った。この情報提供者は、この出来事によってカーク氏は、アメリカ合衆国大統領が悪意ある外国勢力の支配下に陥り、自国を一連の悲惨な紛争へと導いているという確信を強めた、と考えている。

翌月までに、カーク氏は、ネタニヤフ首相の裕福で有力な同盟者たちによる継続的な脅迫と奔放な怒りの私的な工作の標的になった、という。インタビューの中でカーク氏は、これらの人物たちをユダヤ人の「指導者」や「利害関係者」と表現していた。

「カーク氏は彼らを恐れていた」とこの情報提供者は語気を強めた。

TPUSAではイスラエルとの亀裂が拡大

カーク氏は2012年にTPUSAを設立した当時、18歳だった。設立当初から、彼の職歴はシオニストの寄付者たちによって支えられてきた 。彼らは、デイビッド・ホロウィッツ自由センターのようなネオコン団体を通して、この若年層組織に惜しみない資金を提供していた。彼は長年にわたり、反パレスチナとイスラム嫌悪を煽る容赦ない非難を浴びせ、イスラエルへの宣伝のための訪問を受け入れ 、TPUSAの催し中にイスラエルへの支持に異議を唱える民族主義勢力を断固として排除することで、裕福な支援者たちに報いてきた。トランプ政権下において、チャーリー・カーク氏ほど自称ユダヤ国家にとって貴重な存在であった米国民はほとんどいなかった。

しかし、イスラエルによる包囲されたガザ地区への大量虐殺攻撃が、草の根右派の間で前例のない反発を引き起こし、現在では若い共和党員のうちパレスチナ人よりもイスラエルに同情する人はわずか24%にとどまっていることから、カーク氏の姿勢は変化し始めた。ときにはイスラエルの路線に同調し、10月7日にハマスによって斬首された赤ん坊に関する偽情報を拡散したり、ガザの住民にもたらされた飢餓を否定したりした。しかし同時に、 カーク氏は自身の支持基盤に譲歩し、ジェフリー・エプスタイン氏がイスラエルの情報機関の手先ではないかと声高に疑問を呈したり、 イスラエル政府が長期的な政治目標を推進するために10月7日の攻撃を容認したのではないかと疑問を呈したり、右派からの最も声高な批判者である配信者のニック・フエンテス氏の論調に同調したりしていた。

今年7月、カーク氏は自身の主催するTPUSA学生行動首脳会議で、イスラエルによるトランプ政権への政治的圧力に対する右派草の根運動の怒りをぶちまける場を提供した。元FOXニュースの常連タッカー・カールソン氏や メーガン・ケリー氏から、 反シオニストのユダヤ人コメディアン、 デイブ・スミス氏まで、登壇者たちは、包囲されたガザ地区へのイスラエルの血塗られた攻撃を非難し、ジェフリー・エプスタイン氏をイスラエルの情報機関の工作員と糾弾し、ビル・アックマン氏のようなシオニストの億万長者たちを「実力がない」にもかかわらず「詐欺行為を働いて逃げおおせている」と公然と嘲笑した。

この会談の後、カーク氏は、TPUSAに資金を提供していた多くの関係者を含む、ネタニヤフ氏の米国における裕福な同盟者たちから、激怒したテキストメッセージや電話の嵐に見舞われた。長年の友人によると、シオニスト系の寄付者たちはカーク氏を露骨に軽蔑し、従順に従うよう命じたという。

「彼は何をしてはいけないかを教え込まれ、気が狂いそうでした」とカーク氏の友人は回想する。保守派の青年指導者であるカーク氏は、敵対的なやり取りに疎外感を覚えただけでなく、反発に「恐怖」を覚えていた、という。

この友人の説明は、カーク氏と面識のある複数の右翼評論家の説明と一致している。

「結局のところ、チャーリーは精神的な変容を遂げていたのだと思います。分かります。彼は大変な思いをしていたんです。かなりのプレッシャーがかかっていましたし、彼にプレッシャーをかけていた人たちが、いま言っている様なことを平然と口にしているのを見るのは、私にとって辛いことです」と、10月7日以降、イスラエルに対する立場を決定的に転換した保守派インフルエンサーのキャンディス・オーウェンズ氏は、 友人の殺害後に振り返った 。

彼女は続けた。「彼らは、意見を変えたり、少しでも修正したりしただけで、彼にすべてを失うよう仕向けたのです。私にとって、それはとても辛いことです。」

カーク氏は、 8月6日に 行われた保守派司会者メーガン・ケリー氏とのインタビューで、親イスラエル派の有力者らから受け取っている脅迫的な伝言について語り、明らかに憤慨している様子を見せた。

「突然こんなことを言われたのです。『ああ、チャーリー、彼はもう我々と共にいない』と。ちょっと待ってください。『我々と共にいる』って、一体どういう意味ですか? 私は米国民です、いいですか? この国を代表しているんです」と彼は説明し、自身を悩ませている強力なシオニスト勢力について言及していた。

「皆さんが私的にも公的にも私たちの人格を疑問視すればするほど――それは単発的なものではなく、たった1通や2通のメールならまだしも、何十通ものメールが届くと――私たちは『ちょっと待て』と言い始めます」とカーク氏は続けた。「公平を期すために言うと、本当に親しいユダヤ人の友人の中には『私たち全員がそんなことをしているわけじゃない……しかし、彼らは指導者であり、力を持っているので』と語る人もいました」と。

彼はさらにケリー氏に不満を漏らした。「イスラエル政府を批判する能力は、イスラエル国民のそれに比べて私にはありません。本当に、本当におかしな話です」と。

カーク氏は、米国におけるイスラエルの第一の影響力者ベン・シャピロ氏とおこなった最後のインタビューの一つで 、イスラエル批判者に対する検閲の問題を再び取り上げようとした。

「面白いことに、ある友人がこう言ったんです。『チャーリー、いいかい、我々はCOVID-19やロックダウン、ウクライナ、国境問題で報道機関に抵抗してきたんだ』と。もしかしたら、彼はこういう疑問も持ち合わせているかもしれません。『イスラエルに関して、報道機関は完全に真実を伝えているのだろうか? 聞いてみたい』と」とカーク氏は9月9日、シャピロ氏に語っていた。

カーク氏の長年の友人によると、カーク氏のネタニヤフ首相とイスラエル圧力団体に対する憤りはトランプ氏の側近の間で広がっていたという。実際、大統領自身もネタニヤフ首相の怒りを恐れ、彼に逆らうことの結果を恐れていたという。

過去1年間、トランプ政権の内部関係者はホワイトハウスの関係者から、イスラエル政府職員が緊急対応車両に電子機器を設置しているところを要人警護団が2回にわたって捉えた、と聞かされた。

グレイゾーンは要人警護団やホワイトハウスに確認を取ることはできなかったが、このような事件は前例のないことではなかっただろう。実際、 ポリティコ紙が元米国高官3人の発言を引用して報じたところによると、2019年のトランプ大統領の最初の任期末に、イスラエルの工作員が「ホワイトハウスやワシントン周辺のその他の重要施設付近」に携帯電話の盗聴装置を設置した、という。

英国のボリス・ジョンソン元首相も回顧録で同様の事件を詳しく述べ、ネタニヤフ首相が個人用トイレを使用した直後に警備団がバスルームで盗聴器を発見したと記している。

イスラエルによる犯行説

カーク氏は今年9月10日、200メートル離れた屋上にいたと思われる狙撃兵の一発の銃弾によって殺害された。彼は米国に帰ってきたことを記念する一連の講演会の初講演で、ユタ州オレムにあるユタ・バレー大学で数千人の観衆を前に着席中に銃撃された。トランスジェンダーの銃乱射犯についての質問に答え始めた直後、首に銃弾を受け倒れたカーク氏の姿は、おそらく人類史上最も衝撃的で生々しい暗殺劇であり、間違いなく最も拡散された出来事だった。

カーク氏暗殺にイスラエル政府が関与したという証拠は今のところ見つかっていない。しかしながら、何千人ものソーシャルメディア利用者は、トランプ支持派の彼のイスラエル問題に関する見解の変化が、彼の死に何らかの形で影響したのではないか、と推測している。本稿執筆時点で、10万人以上のTwitter/X利用者が、リバタリアン(完全自由主義者)のインフルエンサー、イアン・キャロル氏が9月11日にカーク氏について「彼は彼らの友人だった。彼は基本的に彼らに人生を捧げていた。そして彼らは彼の家族の目の前で彼を殺害した。イスラエルは自爆したのだ」と宣言したとある投稿に「いいね!」を付けている。

この根拠のない説を唱える多くの人々は、トランプ支持派のインフォウォーズ・ネットワークの司会者であるハリソン・スミス氏のTwitter/Xへの投稿を指摘している。スミス氏はカーク氏暗殺のほぼ1か月前の8月13日に、「チャーリー・カーク氏に近い人物から、イスラエルに背けばイスラエルに殺されると考えている、とカーク氏は考えている」と聞かされた、と述べている。

この熱狂的な憶測はテルアビブで衝撃波を引き起こし、ネタニヤフ首相は 9月11日のニュースマックスとのインタビューで、自国政府がカーク氏を殺害したという説を明確に否定せざるを得なくなった。

ネタニヤフ首相とその同盟者は「包括政党」が崩壊する中、カーク氏危機を葬り去った

この演説は、首相がカーク氏暗殺後にカーク氏に捧げた数々のインタビューや声明の一つに過ぎなかった。首相は、故保守党指導者の功績を一貫して親イスラエル的な形で位置づけようと努めたのだ。この大規模な広報活動は、ネタニヤフ首相が7つの戦線で軍事作戦を展開し、最近では米国の同盟国であるカタールの中心部にまで及ぶ地域的な暗殺事件が頻発する中でおこなわれた。

ネタニヤフ首相は、9月10日午後3時2分、銃撃事件のニュースが報じられてから数分後に、カーク氏のために祈りを捧げるツイートを初めて投稿した。その後もカーク氏に関する投稿を3件投稿し、イスラエルの戦争内閣を離脱して9月11日の午後をFOXニュースで保守派指導者の追悼に費やした。

そのインタビュー中、ネタニヤフ首相は、当時容疑者の名前が公表されておらず、拘束もされていなかったにもかかわらず、イスラエルの敵がカーク氏殺害の責任を負っていると仄めかそうと全力を尽くした。

「イスラム過激派と超進歩主義者たちは、『人権』や『言論の自由』についてよく語るが、敵を倒すためには暴力を用いる」と同首相はハリス・フォークナー氏に語った。

イスラエル首相は9月10日、この保守派指導者を追悼するTwitter/Xの投稿で、カーク氏との最近の電話での会話について語った。

「わずか2週間前に彼と話し、イスラエルへの訪問を招待していたが、残念ながら、その訪問は実現しない」とネタニヤフ首相は明言した。

言及されなかったのは、カーク氏がこの招待を断ったかどうか、である。同首相が、TPUSAの金庫に裕福な米国のユダヤ人支持者たちの寄付金を再び投入するという申し出をした時と同じように。

本稿執筆時点では、ユタ州在住の22歳の男性がカーク氏殺害を自白したとされ、拘束されている。国民は間もなく、この容疑者の真の動機を知ることになるだろう。おそらく、その動機は、銃撃事件直後にトランプ大統領とその支持者たちが主張した、左翼過激派が犯行に関与し、その後に厳しい弾圧の波が押し寄せるという構図をさらに強めることになるだろう。

しかし、銃撃犯の最初の逃走と連邦法執行機関による一連の失態の後、米国民の大部分は公式発表を決して信じないだろう。また、カーク氏のイスラエル問題に関する立場の転換が保守運動をどこへ導いたのかを知ることもないだろう。

暗殺の4日前、ベン・シャピロ氏がカーク氏の名前を明かさずに激しい攻撃を開始したフォックスニュースのインタビューで、親イスラエル派の評論家たちの不満が公に噴出していた。

「『包括政党』の問題は、結局、中に道化師がたくさんいるということです」とシャピロ氏はフォックスの司会者でシオニスト仲間の門番マーク・レビン氏に語り、明らかにTPUSAを批判した。

「誰かが共和党に投票すると言うからといって、その人が教会の先頭に立つ説教者であるべきだ、ということにはなりません。もしその人が一日中、米国大統領を『モサドの強姦組織を隠蔽している』とか『イランの核施設を攻撃するためにイスラエルの道具になっている』などと批判しているのであれば、その人は運動を主導するべき人物ではありません。」

4日後、カーク氏が「教会の正面」のいつもの場所に戻ったとき、彼は狙撃兵の銃弾によって倒れた。

カーク氏の死後24時間以内に、シャピロ氏は 独自のキャンパス講演ツアーを開始すると発表し 、「チャーリー氏が残した血まみれのマイクを回収するつもりだ」と誓った。

 

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/

の中の「チャーリー・カーク氏を殺(や)ったのはイスラエルだったのか。(2025年9月20日)

http://tmmethod.blog.fc2.com/

からの転載であることをお断りします。

また英文原稿はこちらです⇒Charlie Kirk refused Netanyahu funding offer, was ‘frightened’ by pro-Israel forces before death, friend reveals
筆者:マックス・ブルーメンタルとアンニャ・パランピル(Max BLUMENTHAL and Anya PARAMPIL)
出典:Strategic Culture Foundation 2025年9月16日https://strategic-culture.su/news/2025/09/16/charlie-kirk-refused-netanyahu-funding-offer-was-frightened-by-pro-israel-forces-before-death-friend-reveals/

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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