
☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年10月9日):NATOとキエフ政権が追い詰められる中、横行する偽旗作戦による挑発
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
ロシアは非難の嵐の中で責められたが、状況を見ればNATOのウクライナ傀儡政権に罪があることははっきりしている。
今週は、NATOの支援を受けるキエフ政権が画策した偽旗挑発行為が立て続けに2件発生した。さらに言えば、ロシアや独立監視団が熟慮した対応を示す前に、欧州の政治家たちはロシアによる嘘や偽情報の拡散を警戒し、公開討論を封じ込めていた。
つまり、事件に対する批判的な検証は一切許されない。これらはロシアによる「野蛮な」「無謀な攻撃」だ・・・我々(NATO)の言葉を信じよ。信じないなら、お前はロシアの手先だ。
ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相は動画声明でロシアの侵略を非難し、NATO政府の情報だけを信じるよう教条的に訴え、事情通には相手にされない演技をして見せた。ドナルド・トゥスク首相はヒステリーを競うように、欧州が第二次世界大戦以来最も全面戦争に近いと主張した。これは欧州の情報空間が、ジョージ・オーウェルやヨーゼフ・ゲッベルスも驚嘆するほどの戦争プロパガンダに完全に支配されている実態を示している。
それで、今週起こったことは何なのか?
ポーランドはロシアが19機のドローンで自国の主権領域を意図的に攻撃したと主張している。これを受け欧州のNATO同盟国は「ポーランド防衛」のため戦闘機と防空システムを緊急配備している。9月は86年前にナチス・ドイツがポーランドを侵攻し第二次世界大戦を引き起こした月である。このタイミングが現在の事態にノスタルジックな彩りを添えているのかもしれない。ドナルド・トゥスク首相がメロドラマさながらの台詞を語っているように。
大々的に宣伝された「ドローン侵攻」の前日である9月9日、キエフ政権はロシアが重爆弾FAB-500を村に投下、年金を受け取りに来ていた24人が死亡したと主張した。
しかし、どちらの事件も、事実を冷静に検証しようとする者にとっては、偽旗作戦による挑発行為であるとの証拠がはっきりしている。
ウクライナ支配下のドネツク州ヤロヴァヤ村で発生したとされる虐殺事件は、ロシア製FAB-500爆弾によるものではない。キエフ政権が公開した被害映像には、浅い爆撃クレーターと周辺建物への限定的な損傷しか確認できなかった。爆発が250kgのロシア製航空爆弾によるものだった場合、巨大なクレーターを中心に周辺全域が壊滅状態となるはずである。ロシア国防省はまた、当該日時に自軍部隊が同地域で活動していなかったと言っている。
キエフ政権が間を置かずその動画を投稿したこと、「これはロシアによる虐殺だ」と明らかに台本どおりの主張したこと、そして西側メディアがそれらを検証することもなく何の疑いももたず増幅して報道したことは、これが組織的な物語構築であることを強く思わせる。
深刻な見方をすれば、NATOが支援する政権が爆発物を起爆させ、ロシアを罪に陥れる手段として意図的に民間人を殺害したかもしれないのだ。
この政権によるこのような凶悪な行為は今に始まったことではない。過去3年間、ウクライナ軍が自国領土を砲撃し、ロシアに対するプロパガンダ効果を狙って民間人の命を危険に晒す事件が頻発してきた。これは西側支援国からより多くの軍事・財政支援を引き出すための手段である。二つの事例:2023年10月5日にグロザ村で実行された虐殺事件では52名が死亡した。これはキエフの傀儡指導者ウラジーミル・ゼレンスキーがスペイン・グラナダで開催されたEUサミットで追加支援を訴えた時期と重なる。
その前月、2023年9月6日、ウクライナ領内のコンスタンチノフカ村で空爆により17名が死亡した。これはアントニー・ブリンケン前国務長官がキエフを訪問し、米国による追加支援10億ドルを発表した時期と重なっていた。
両事件とも、ロシアが非難の嵐に晒されたが、状況を見ればNATOのウクライナ傀儡政権が犯人であることははっきりしている。今週起きた年金生活者殺害事件も、同じ卑劣な類いの残虐行為に属する。
キエフ政権は偽旗作戦を駆使する死の商人である。2022年3月から4月にかけてブチャで実行された悪名高い処刑は、またしても典型的な卑劣な茶番劇だった。我々は前回の社説で詳細に報じたとおり、ウクライナ市民がロシアを貶めるためキエフの工作員によって冷酷に殺害された。この茶番はある程度成功した。西側メディアや政治家が証拠を完全に無視し、ロシアの責任を非難し続けているからだ。ブチャ偽旗作戦が重要なのは、ロシアがウクライナ紛争早期終結に向けた和平案を提案した決定的時期に発生した点だ。「虐殺」後、NATO代理戦争が激化し、平和的解決は頓挫した。
これが現在の偽旗作戦の横行期へとつながる。挑発を見抜く一つの方法は、反応を観察し、その事件がどのように動機や要求に利用されるかを注視することである。
第一に、キエフ政権とその欧州のNATO支援者たちの組織的で芝居がかった反応は、まるで台本みたいに、準備万端整えたものなのだ。
ポーランドを標的としたとされるドローンはロシア製だった。武器は搭載せず、監視用もしくは囮型のガーベラモデルである。射程700キロメートルであることから、ロシア支配地域からの発射は不可能だとロシアは主張している。複製した(簡単にできる)ドローンをウクライナが発射した可能性がある。しかし重要な点は次の点にある。つまり約19機の非武装ドローンが、ポーランド領空で、ポーランドのF-16戦闘機、オランダのF-35戦闘機、イタリアのAWACS監視機、NATO給油機、そしてドイツのパトリオットミサイルシステムなどの複数の高出力NATO兵器によって迅速に迎撃されたこと。これはロシアの違反疑惑を最大限に強調するための、周到な全面動員を示唆している。まさに「鶏を割くに牛刀を用いる」という表現がふさわしい状況だ。
モスクワは、ロシア製とみられるドローンがポーランド領空に侵入した経緯を解明するため、ワルシャワとの協議開催を提案したが、この申し出は拒否された。ポーランドは事実関係を明らかにするための合理的な協議を一切拒否し、代わりにNATO条約第4条を発動して加盟国との緊急安全保障協議を強く求めた。この過剰反応は、意図的な標的攻撃という根拠薄弱な主張を正当化しようとする芝居の匂いがする。
フランス、ドイツ、イギリスの指導者たちはこぞって、証拠のかけらもない無謀な越境を理由にロシアを非難する流れに乗った。注目すべきは、彼らがロシアを「攻撃」ではなく「越境」と表現することに細心の注意を払っている点だ。これは彼らが段階的なエスカレーションは望んでも全面戦争は望んでいないことを示唆している。結局は臆病なのだ。
フランスのエマニュエル・マクロンは、ポーランドの領空を守るためラファール戦闘機3機を派遣すると発表した。ドイツと英国も同様に、ポーランド防衛への支援を表明しようと躍起になっている。道化師の集団による騎士道ごっこに過ぎない。
これはまったくの茶番劇だ。ロシアが欧州征服を企てているという非難は、NATOの代理戦争がウクライナで勃発して以来、ほぼ4年間にわたって繰り返されてきた陳腐なプロパガンダだ。ロシアは第三次世界大戦を始める意図はなく、ウクライナにおける唯一の目的は、歴史的なNATOの侵略が自国国境に迫るのを阻止することだと繰り返し表明している。
欧州のエリート層は自国で高まる政治危機に直面している。その主因は、ウクライナでの失敗した代理戦争への膨大で無駄な支出にある。例えばフランスでは、2年間で4人目の首相が解任される中、今週全国的な街頭抗議が示すとおり、社会的な緊張が爆発寸前だ。ドイツと英国も崩壊の危機において大きな遅れを取ってはいない。
間違いなく、ユーロのエリート層とそのキエフの傀儡政権は、ウクライナにおける汚職や犯罪的な陰謀から国民の注意をそらそうと必死になっている。ドナルド・トランプ米大統領の戦争終結に向けた外交努力は、欠点は多々あるが、欧州の指導者たちにとって歓迎すべき展開ではない。自分たちの哀れな立場を露わにしてしまうからだ。ポーランドのシコルスキ外相は、ロシアが「意図的にポーランドを標的にしている」と非難しながら、モスクワは同時に「トランプ氏の和平努力を嘲笑している」と、卑劣な発言をした。シコルスキ外相や欧州の NATO 陰謀団は、あらゆる外交努力を妨害する手段として、ウクライナへの軍事援助の強化とロシアへのさらなる制裁を課すようトランプに働きかけようとしている。無辜の民が殺害され、世界平和が危険に晒されることも意に介さず、彼らの絶望は絶望的な手段を生みだしてゆく。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/
の中の「NATOとキエフ政権が追い詰められる中、横行する偽旗作戦による挑発」(2025年10月9日)
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また英文原稿はこちらです⇒Open season for false-flag provocations as NATO and Kiev regime get desperate
出典:Strategic Culture Foundation 社説 2025年9月12日https://strategic-culture.su/news/2025/09/12/open-season-for-false-flag-provocations-as-nato-and-kiev-regime-get-desperate/