【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年11月 1日 (土) 山上被告殺人罪の合理的疑い

植草一秀

2020年7月8日に発生した安倍晋三元首相暗殺事件の公判が始まった。

第1回公判は10月28日。

10月30日まで3日連続で公判が開かれ、12月18日の第18回公判で結審する予定。

判決公判は2026年1月21日が予定されている。

被告側は殺人罪について争わない方針。

わずか2ヵ月で裁判が終結してしまう予定。

結審から判決公判までの日数はほぼ1ヵ月しかない。

真実を闇に葬る姿勢が鮮明だ。

事件には重大な疑問が残されている。

安倍元首相が銃撃された後、救命活動を行ったのは奈良県立医大病院。

事件のあった2020年7月8日に記者会見を行っている。

この会見で示した所見と、その後に公表された警察の検死結果がまったく違う。

どちらか一つが真実で別の一つが虚偽である。

裁判ではこの点が明らかにされる必要がある。

なぜか。

事件当日に行われた会見での説明を前提とすると安倍元首相を殺害した実行犯が山上徹也被告であることに合理的な疑いが生じる。

そうなると山上氏を殺人罪で有罪とすることの正当性が根底から揺らぐ。

山上被告の弁護団は殺人罪について争わないとの方針を示しているが、上記の重大な疑問があるなかで事件の真相を究明しないことは極めて重大な問題だ。

事件当日に救命活動および検死を行った奈良県立医科大学附属病院の福島英賢教授が同日記者会見で詳細を述べている。

会見での発言内容を文字起こししたものをMBS(毎日放送)が記事にしてウエブ上に公開している。

「【記者会見の全容】安倍元総理が銃撃され死亡
「搬送時点で心肺停止」「最終的には20人以上の態勢で処置」
https://x.gd/vWuu6

会見での説明内容における重要点は

1.安倍氏の銃創が首の真ん中のところと少し右の2か所だった

2.傷は前頸部にあり、後ろに傷はなかった

3.銃弾が銃創から入って心臓にまで到達し、心臓大血管が損傷して出血して死亡した

安倍氏が銃撃を受けて倒れる状況を撮影した動画はいまもウェブ上に公開されている。

この動画を検証すると安倍氏は左回りに後ろを振り向く過程で銃撃を受けたと見られる。

上半身を左側に90度ほど回した瞬間に後ろから銃撃を受けたということになる。

福島英賢教授は、死因は首の真ん中と少し右から入った銃弾が心臓に到達して心臓大血管を損傷したことに伴う出血だと説明した。

山上被告が弾丸を発した位置から見て安倍元首相は山上氏の前方におり、山上氏に背を向ける状態で演説していた。

銃声が響き、安倍氏は左回りに後ろを振り返ろうとし、真左、時計の針で9時の方向を向いた瞬間に銃撃を受けて倒れ込んだ。

首の前方2か所に銃創があり、銃弾が心臓に達して心臓大血管が損傷して失血死したのであれば、銃弾は安倍氏が演説していた場所の左斜め前方上方から飛来したと考えるのが順当。

安倍氏が演説していた場所の左斜め前方に地上7階建ての「サンワシティ西大寺ビル」がある。

ビルの屋上は人のいない空間になっており、このあたりから銃弾が飛来したと考える方が合理的ということになる。

刑事訴訟法に次の条文がある。

刑事訴訟法第三百三十六条
被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない。

山上被告を殺人罪で有罪にするためには「犯罪の証明」が必要。

事件当日に検死を行い、記者会見で詳細を述べた奈良県立医科大学附属病院の福島英賢教授の説明は山上被告による安倍元首相殺害に合理的な疑問を差しはさむ。

公判では司法解剖を行った奈良県警の医師が証言したが、その証言内容と奈良県立医大の福島英賢教授の説明はまったく異なる。

いずれかが真実でいずれか虚偽。

この疑問を解消せずに山上被告を殺人罪で有罪にすることは許されない。

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植草一秀の『知られざる真実』2025年11月 1日 (土)「山上被告殺人罪の合理的疑い」

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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