【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年11月 8日 (土) 国会質疑のガバナンス不全

植草一秀

「働いて働いて働きまくる」と意気込んでいる者がいるが世間の感覚を何も理解していない。

「一生懸命働いているのに正当な処遇を受けていない」

これが一般市民の感覚。

焦点は「分配」にある。

生産活動の結果として果実が生まれる。

その果実が所得。

所得を資本と労働で分け合う。

「改革」と称されてきたものの正体は果実の分配において労働の取り分を減らし資本の取り分を増やすというものだった。

これを「改革」と称してきた。

具体的には

正規労働を非正規労働に変える。

長時間残業を合法化する。

定額残業させ放題労働制度を導入し拡大する。

これらを合わせて「働き方改革」と称した。

しかし、実態は「働かせ方改悪」に過ぎなかった。

日本経済は過去30年間、ほとんど成長していない。

実質GDP成長率は平均で0.6%。

ほぼゼロ成長だ。

労働者一人当たりの実質賃金は1996年から2024年までの28年間に17%減少した。

アベノミクス以降の2012年から2024年までの12年間でも9%減った。

他方で大企業利益だけは史上空前の水準に拡大した。

企業利益が史上空前の水準に拡大したことを受けて株価が上昇した。

国税庁民間給与実態調査によれば1年を通じて勤務した給与所得者5000万人の51%が年収400万円以下。

20%が年収200万円以下だ。

これに対して国会議員はどうか。

国会議員は

歳費が月額129万4000円、年額1552万8000円。

期末手当(ボーナス)が年額635万円。

両者合計で2187万8000円。

さらに、調査研究広報滞在費(従来の文書通信交通滞在費)が月額100万円で年額1200万円。

立法事務費が月額65万円、年額780万円。

両者合計の1980万円を「手取り」で受け取るには税前収入で3300万円が必要(限界税率40%で計算)。

歳費との合計は5487万8000円。

議員の年収は5500万円水準ということになる。

その国会議員が「働いて働いて働きまくる」と述べるのを絶賛することがおかしい。

国会答弁準備のために朝3時に公務員を大量に動員してしわ寄せを受けるのは公務員。

国会審議の質問の事前通告期限は質疑期日の2日前の正午とされている。

これを厳格なルールとして設定すべきだ。

事前通告は大きなテーマでもよい。

問われるのは閣僚の答弁能力。

前日夕刻までに館長の準備が完了すれば法外な時間帯に公務員を駆り出す必要もない。

閣僚は各分野に精通する必要がある。

総理はあらゆる問題に即位即応で対応すればよいだけのこと。

役所の勤務状況を適正化する。

これが本当の改革。

午前3時から公務員を駆り出して準備することを美徳であるかのように伝えることがおかしい。

霞ヶ関官庁の労働正常化を断行すべきだ。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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