【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年12月1日):トランプ大統領の和平提案は代理戦争の敗北を渋々認めている

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。


4年近くが経過し、米国はウクライナで自ら作り出した泥沼から抜け出そうとしている。ロシアの目的は依然として合理的かつ正当であり、達成可能である。ロシア側には、妥協の余地はない。

この紛争は、米国とヨーロッパの歴代政府がその原因を作ってきたのであり、その開始は2014年キエフで起こったCIAの支援を受けた選挙で選ばれたウクライナ大統領に対する武力政変にまで遡る。オバマ元大統領や第一期トランプ政権、そしてバイデン前大統領は、ヨーロッパのNATO加盟諸国と共に、ウクライナを砲弾の餌食としてロシアを戦略的に打ち負かすという代理戦争の展開を推進してきた。

これらの挑発行為は、2014年から2022年にかけてウクライナ国内のロシア語圏の人々に対する大量虐殺的な攻撃とともに蓄積されてきた。米国主導のNATO同盟は、キエフのネオナチ政権を軍事武装させ、汚れ仕事を遂行させてきたが、ついにロシアはこのような殺人的な行為に耐えきれなくなり、2022年2月に特別軍事作戦を開始するに至った。ロシアの目的は正当であり、ロシア国民を保護すること、ウクライナ政権を非ナチ化すること、そして数十年にわたるNATOの容赦ない攻撃に決定的な停止をもたらすことであった。

ウクライナの歩兵だけでなく、米国やカナダ、英国、フランス、ドイツ、ポーランド、バルト諸国などからの何千人もの軍隊を秘密裏に派遣して、代理軍を武装化するために何千億ドルとユーロを費やしたにもかかわらず、犯罪的な戦争の策略はロシアによって敗北した。

ドナルド・トランプ大統領は、第二期政権において、この汚いゲームは終わりを迎えた、と悟りつつある。米国帝国主義の利益は、中国を含むアジア太平洋地域や中東、そして米国が「裏庭」とみなすラテンアメリカのベネズエラといった地域にも向けられている。

ヨーロッパ諸国は、高いツケを払わされる、血みどろの混乱に陥っている。ウクライナとそのNATO支援国は完敗した。兵力や武器、資金が尽きたのだ。キエフ政権が自らの腐敗の重圧で崩壊する中、これはロシアの侵略から民主主義を守るための崇高な目的だったという西側諸国の荒唐無稽な言説も崩壊しつつある。CIAが画策したネオナチの武力政変から民主主義が生まれることなどありえるのだろうか?

ロシアは、かつてウクライナ領であった東部および南部の一部の歴史的ロシア領土の大部分、すなわちクリミアやドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポリージャを確保した。今後ロシアは、ハリコフやニコラエフ、オデッサ、スムイを含む残りの領土確保に向けて前進するだろう。

西側諸国の報道機関は、この紛争の間ずっと(そしてそれ以前からずっと)嘘をつき続けてきた。西側諸国が騎士道精神に則り、民主的なウクライナを侵略から支援している、という見方は、現実を大胆に歪曲したものだ。ウクライナは西側の支援とNATO傭兵の支援があれば軍事的に勝利できる、という考えは、何百万人ものウクライナ人の犠牲を伴う無益な戦争を煽ってきた。それでもなお、西側報道機関は戦場が「膠着状態」にあるかのように報じているが、実際にはロシア軍がNATO軍を包囲している。今後数週間で、ウクライナの防衛線は急速に崩壊するだろう。

ロシアはウクライナ全土を占領するつもりなどなく、ましてやヨーロッパ諸国を征服し続けるつもりなどなかった。西側諸国が描くのは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領をヒトラーの生まれ変わりと描く、滑稽で幼稚な幻想である。この幻想は、西側諸国の経済と国民を途方もない規模で欺くために利用されてきた。

ロシアの目標は常に、国民と歴史的領土を守り、NATOとその代理組織であるネオナチの脅威を根絶することだった。これはウクライナ全土を征服することなく達成されつつある。

トランプ大統領の和平提案は、代理戦争計画の限界を西側諸国の一部がようやく認識したことを反映している。NATOは、かつとロシアにとっての歴史的敵国が敗走したのと同様に、その残忍な策略に敗北した。わずか80年前、ナチス・ドイツの戦争機構はロシア国民によって破壊された。しかし、ファシズムは完全には破壊されなかった。西側諸国が民主主義国家を装う形で、地下に潜っただけだった。

プーチン大統領は、トランプ大統領の提案に対し、将来の平和的解決の基盤となり得る、と外交的に反応した。これは寛大な対応と言える。トランプ大統領の漠然とした提案の中には、ロシアの正当な要求を満たすものはほとんどないからだ。実際、ロシアの分析家、スタニスラフ・クラピヴニク氏が痛烈なまでに明確に指摘しているように、米国の「計画」はロシアが求める厳しい条件を満たしていない。

トランプ大統領が米国を仲介役として提示するという傲慢な思い上がりもまた、軽蔑すべきものだ。米国はロシアとの戦争の主たる立役者であり、その手には何百万人もの血が流れている。ヨーロッパの共犯者たちも同様だ。

2014年から2015年のミンスク合意、そして2022年3月のイスタンブール和平提案のことを考えれば、歴史は米国とそのNATO従属諸国が名誉ある合意に参画する能力がないことを示している。さらに、米国側が一方的に破棄した軍備管理条約もいくつかある。

したがって、ロシアは、ウクライナにおける敵の決定的な軍事的敗北を通じて、自らの条件でこの紛争を終わらせる権利と義務を有している。

トランプ大統領の粗雑な和平提案は、永続的な合意や安全保障条約の根拠として受け止められるべきではない。

米国とそのヨーロッパの手先たちが示す混乱の中で、唯一明るい兆しは、彼らの戦争計画が挫折したことを彼ら自身が暗黙のうちに認めていることだ。少なくとも今のところは。ロシアの勝利によって、西側諸国の帝国主義者たちが二度と同じことを繰り返さないことが確実になるはずだ。

少なくともトランプ大統領には、たとえ無秩序な急ぎ足であっても、この泥沼状態から脱却しなければならない、という現実的な感覚が少しはある。しかし、欧州の支配者層は嘘と喧伝広報とロシア嫌いに囚われすぎて、敗北という現実を直視することすらできていない。困難に直面すればするほど、彼らはより激しく転落していくのだ。

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/

の中の「トランプ大統領の和平提案は代理戦争の敗北を渋々認めている(2025年12月1日)

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また英文原稿はこちらです⇒Trump’s peace overtures are a reluctant admission of proxy war defeat

トランプ大統領の粗雑な和平提案は、永続的な合意や安全保障条約の根拠として受け止められるべきではない。
出典:Strategic Culture Foundation 2025年11月28日https://strategic-culture.su/news/2025/11/28/trump-peace-overtures-reluctant-admission-of-proxy-war-defeat/

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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