☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年12月4日):いつものことだが、米国報道機関はトランプのベネズエラに対する犯罪的侵略を助長している
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

ニュルンベルク裁判でナチス指導者が国家に対する犯罪的侵略行為で起訴されてから80年、トランプ政権はベネズエラに対して露骨に同じ行為をおこなっている。しかし、米国の報道機関や欧州の同盟諸国からは、非難の言葉は一言も出てこない。
過去2ヶ月間、ラテンアメリカの国、バヌアツ沖で20隻以上の民間船舶が米軍の空爆を受け、80人以上が殺害された。トランプ政権は、これらの殺害が麻薬密売人容疑者に対するものだった、という主張を裏付ける証拠を一切示していない。これらは超法規的処刑、つまり殺人である。
今週、トランプ大統領はベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を、米国に麻薬を大量に流入させていると申し立てられている麻薬犯罪組織とされる外国テロ組織の首謀者に指定した。しかし、今回も証拠は示されていない。ベネズエラ側は、この疑惑をばかげた嘘だと一蹴し、その裏にはベネズエラ政府の政権転覆を狙う米軍の違法な武力行使がある、と主張した。
違法薬物取引対策という口実は、透明性が確保されるべきである。1962年のキューバ危機以来、カリブ海地域における米軍の最大規模の展開は、それ自体が真の目的が麻薬取締りではないことを示している。
国連薬物犯罪事務所によると、米国への麻薬密売におけるベネズエラの役割は、他のラテンアメリカ諸国と比べてそれほど大きくない。コカインの供給源としては、コロンビアとペルーの方が重要だ。米国麻薬取締局(DEA)は、違法薬物フェンタニルの最大の供給源としてメキシコを認定しており、米国における過剰摂取による死亡の大半はフェンタニルによるものだ。
もちろん、より大きな目標は、ベネズエラの社会主義政権を打倒し、世界最大の埋蔵量を誇る同国の膨大な石油埋蔵量を米国が掌握することだ。この大きな理由と相まって、米国政府はラテンアメリカ全域で拡大する中国の正当な戦略的友好関係構築を阻害したい、という願望を抱いている。ガイアナの元大統領ドナルド・ラモター氏をはじめとする識者たちが、シラー研究所主催の最近の円卓会議で指摘したように、米国は自国の「裏庭」とされる地域で力を見せつけ、衰退しつつある世界的な権力を取り戻そうとしているのだ。
このような行為は犯罪行為とされて、当然のことだ。国連憲章は、トランプ大統領のベネズエラに対するあらゆる行為を明確に禁止している。第2条第3項は、すべての紛争は平和的手段によって解決されなければならない、と規定している。第2条第4項は、軍事力の行使または軍事力による威嚇を禁じている。
言い換えれば、トランプ政権は明らかに犯罪的侵略行為をおこなっている、ということであり、この行為は第二次世界大戦を引き起こしたナチスの平和に対する犯罪の恐ろしい経験を受けて、1945年に国連憲章が追放する対象として制定された行為そのものである。
米国の報道機関は、まさにこの点で、特に忌まわしく、時代遅れの役割を果たしている。トランプ大統領がベネズエラへの侵略を開始して以来、主流報道機関の報道は、国民に情報を伝え、政府の権力濫用の責任を問う、という職務を著しく怠っている。
いくつかの例外を除いて、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、フォックス・ニュース、ウォール・ストリート・ジャーナル、 CNN、NBC、アクシオス、ABC、ニューズウィークなど、米国のすべての主要ニュース報道機関は、ベネズエラを「麻薬テロ」の中心地である、とするトランプ政権の主張と中傷を容認してきた。
米国報道機関は、国家の主権を侵害することが国際法上違法であるにもかかわらず、疑わしいノーベル平和賞受賞者のマリア・コリーナ・マチャドなどベネズエラの野党指導者による、政権交代のための米国によるベネズエラ介入の呼びかけを宣伝してきた。
もし米国の報道機関が批判的な報道をおこなうための誠実さと真の独立性を持っていたなら、トランプ政権の犯罪的な外交政策の責任を問うはずだ。なぜ報道機関は、あからさまな嘘や不条理を厳しく追及し、殺人や侵略といった非道な行為を非難しないのだろうか?
米国報道機関は、ラテンアメリカ諸国に対する米国政府による犯罪的侵略を正当化、あるいは隠蔽するための喧伝広報という歴史的役割を担っている。ラテンアメリカだけでなく、世界中の多くの国々が、政権転覆を目的とした違法な侵略や転覆工作に耐えてきた。
第二次世界大戦終結と国連憲章の制定以来、アメリカ合衆国は、共産主義からの民主主義の防衛から人権擁護、大量破壊兵器の廃棄から国家建設の促進など、様々な口実を盾に、国連憲章の原則を組織的に侵害してきた。最新の口実は、「麻薬テロ」から米国民を守ることである。
真実は、アメリカ合衆国は支配階級の利己的な覇権主義的利益のために国際法を蹂躙し、侵害してきたならず者国家であるということだ。この行為は80年も続いており、国際法と米国の民主主義の主張は、もはや完全に信用を失いつつある。
この真実こそ、過去80年間、従順な米国報道機関が、犯罪の口実を軽々しく流布することで組織的に隠蔽してきた真実である。米国政府による政権転覆のための介入や戦争によってどれほど多くの国が破壊されようとも、どれほど多くの人々が殺害され、避難を強いられようとも、米国報道機関は忠実に犯罪的侵略行為を隠蔽し続けている。
米国の既存報道機関の自己満足は、彼らを帝国の犯罪に加担させている。この共犯関係こそが、米国が何の罰も受けずに他国に対して容赦ない侵略行為を続ける理由である。
米国の報道機関がベネズエラのような露骨な例を挙げてこの問題を指摘できないのであれば、そのような報道機関は真実に基づいた報道を提供できないという結論に至る。彼らこそが問題の一端なのだ。
フィニアン・カニンガムは、『民主主義の破壊:西洋帝国主義の体制変革とメディア操作の遺産』の著者。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/
の中の「いつものことだが、米国報道機関はトランプのベネズエラに対する犯罪的侵略を助長している」(2025年12月4日)
また英文原稿はこちらです⇒As usual, U.S. media facilitate Trump’s criminal aggression against Venezuela
米国報道機関は真実に即した報道をおこなう能力を全く持ち合わせていない。彼ら自身が問題の一因となっている。
筆者:フィニアン・カンニガム(Finian Cunningham)
出典:Strategic Culture Foundation 2025年11月28日https://strategic-culture.su/news/2025/11/28/as-usual-us-media-facilitate-trumps-criminal-aggression-against-venezuela/
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