【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.12.17XML : ロシア軍はオデッサに対する攻撃を激化、南部全域を制圧する可能性

櫻井春彦

 ロシア軍は12月5日からオデッサに対する大規模なミサイル攻撃を続けている。過去10日間にロシア軍は攻撃用ドローンだけでなく、数百発のイスカンデルM弾道ミサイルと数十発のキンジャール極超音速ミサイルを撃ち込んだという。その際、地下18メートルの場所に建設されていたイギリス陸軍の施設が破壊され、数十人の兵士が犠牲となったとされている。

 

イギリス軍やフランス軍はオデッサを対ロシア戦争の拠点にしているが、そのオデッサに近いオチャコフで今年8月2日、ロシアのスペツナズ(特殊部隊)がイギリス陸軍のエドワード・ブレイク大佐とリチャード・キャロル中佐、そしてイギリスの対外情報機関MI6の工作員ひとりを拘束した。オデッサからMI6はロシア深奥部に対するミサイル攻撃やテロ攻撃を指揮していると言われている。

 

ロシア軍は11月22日、ウクライナとルーマニアの国境にある検問所をドローンで爆撃、その翌日にオデッサからルーマニア近くまでの地域をミサイルなどで攻撃した。ルーマニアからオデッサにかけてはウクライナ軍やNATO軍の重要な兵站線だ。この攻撃によってイギリス、フランス、ルーマニアの兵士も死傷したと伝えられている。

 

11月下旬にロシア軍は5機の短距離弾道ミサイルのイスカンデルでウクライナ南部のニコラエフを攻撃、水上ドローンや飛行機タイプの無人機の製造工場を破壊、そこにいた10名のイギリス人エンジニアが死亡したとされている。

 

昨年5月以降、ウクライナに大統領はいない。選挙が行われていないからだ。ロシアとの関係修復を訴えて2019年の大統領選挙で勝利したウォロディミル・ゼレンスキーは西側の命令に従い、ロシアと戦争する道を進み、自国だけでなくEUを破壊している。ゼレンスキーがイギリスの対外情報機関MI6のエージェントである可能性が高いことは本ブログでも繰り返し書いてきた。

 

ロシアとの戦争でウクライナが勝利する可能性はゼロに等しいが、ロシアに勝利して耕作地や資源を含む富を略奪するという妄想から抜け出せないEUのエリートはウクライナに戦争を継続させ、少しでもロシアを疲弊させようとしている。

 

ある程度疲弊させればロシアは停戦交渉に応じると考え、そうなればメディアという拡声器を利用して自分たちが勝利したかのように宣伝して「西側勝利」のイメージを広めることができる。そのイメージの中、2014年の「ミンスク1」や15年の「ミンスク2」と同じように停戦を利用して戦力を回復させ、再びロシアを攻撃するつもりだったのだろう。

 

NATOが主張する「停戦」とは、ウクライナ軍の戦力を回復させてロシアを攻撃させる時間稼ぎに過ぎないことをウラジミル・プーチン政権も熟知しているはず。そうした「停戦」に応じるはずがないのだ。ロシア政府が求めているのはウクライナの非軍事化、非ナチ化、中立化、西側諸国が凍結したロシア資産の返還、そして領土の「現実」を認めるということである。ロシアが戦闘を終えるのはこうした要求が受け入れられた場合。受け入れないならば、ロシア政府は戦場で決着をつける。

 

イギリス、フランス、ドイツをはじめとする嫌ロシア派はロシアとの戦争を継続しようとしている。「神風」が吹いて大逆転があると信じているのかもしれないが、戦争が終結するとさまざまな悪事が露見すると恐れているのかもしれない。

 

ウクライナでロシアが勝利したと認識しているドナルド・トランプ政権はウクライナから距離を置き、敗者のイメージで見られないようにしているが、その一方で敗北の責任をゼレンスキーに押し付けようとする動きもある。その上でゼレンスキーを排除し、ウクライナ軍の元軍最高司令官で駐英大使のバレリ・ザルジニーを後釜に据えようとする人もいるが、ロシア政府はこうした動きを気にしていないはずだ。ロシアが気にしているのは、イギリスやフランスがルーマニアからオデッサにかけてのラインを対ロシア戦争の拠点にしていることだろう。今後、ロシア軍はオデッサを含むウクライナ南部を制圧する可能性が高くなった。

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※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/のテーマは「ロシア軍はオデッサに対する攻撃を激化、南部全域を制圧する可能性 」2025.12.17XML)
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