☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年12月31日):拡大し続ける戦争
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
2026年を迎え、拡大し続ける戦争はさらに拡大している。ロシアのラブロフ外相は、欧州連合(EU)が紛争をエスカレートさせ、ロシアとの戦争準備をしていると非難している。紛争5年目を迎える中、プーチン大統領による限定的な軍事作戦は、欧州とロシアの間の全面的な紛争へと拡大している。EUは、ウクライナが紛争を継続する一方で、欧州がロシアとの戦争に直接介入するための軍事力を強化するため、銀行からの融資で約1000億ドルを調達したようだ。これは単なる私の意見ではない。ドイツ首相、英国首相、そしてフランス大統領が表明した方針だ。
プーチン大統領によるドンバスでの限定的な軍事作戦が始まった当初から、私はこれを紛争を長引かせ、全面的な戦争へと拡大させる愚行だと述べてきた。今やロシア外相も私の意見に賛同したようだ。
この紛争は、非常に迅速に解決されるべきだった。ロシアはウクライナへの鉄道と海路をすべて遮断し、西側諸国の兵器輸送を阻止すべきだったのだ。キエフの政府は攻撃を受け、ウクライナの電力供給は完全に停止されていたはずだ。ウクライナ政府が混乱に陥り、ウクライナが軍隊と兵器を移動できなくなったことで、紛争は速やかに終結していたはずだ。
しかし、プーチン大統領には備えがなかった。親西側寄りの中央銀行総裁から、ロシアには軍事力を十分に保有する余裕はないとの考えを聞かされたのか、プーチン大統領は避けられない紛争に備える代わりに、いわゆるミンスク合意を信じた。ドイツ首相とフランス大統領は、この合意は西側諸国がロシアを欺くために利用したものだと主張した。こうして2022年2月、プーチン大統領は西側諸国によって訓練・装備された60万人のウクライナ軍によるドンバスと呼ばれる二つの分離独立共和国への侵攻に直面した。プーチン大統領がロシアに備えを怠っていたため、彼に残された唯一の選択肢は、ドンバスのロシア国民をウクライナ軍から守ることだけだった。
プーチン大統領の躊躇を逆手に取り、それを西側諸国は紛争を拡大させる機会と捉え、紛争は拡大の一途を辿った。西側諸国がウクライナには決して供給しないと明言していた兵器システムが次々と送り込まれ、ロシアの戦略爆撃部隊(核兵器装備)までも攻撃を受けることとなった。そして今や、ロシア国内の奥地では、西側諸国の支援を受けたウクライナの無人機攻撃によって生活が混乱に陥っている。市民が殺害され、エネルギー施設が破壊されている。プーチン大統領が交渉を通じて紛争を終結させようとした望みは叶わなかったのだ。トランプ大統領は未だ、プーチン大統領と会談し米国がプーチン大統領の紛争の根本原因を終わらせるための条件を受け入れられるかどうかを見極めていないし、さらに受け入れられない場合の妥協点を見出そうともしていない。
西側諸国では、戦争の継続は強力な経済的・政治的利益につながる。軍安保複合体は戦時中に利益を享受するのだ。政治家は兵器契約の締結で手数料を受け取る。混乱状態にある欧州連合(EU)は、EUをまとめるためにロシアを共通の敵として利用している。プーチン大統領の終わりなき戦争拡大政策は、ウクライナの平和を阻む強力な勢力を生み出した。プーチン大統領の失策は、大規模な紛争へと直結している。
おそらく、この紛争は欧州連合(EU)の崩壊によって終結するだろう。混乱は明らかだ。ベルギー首相は凍結されたロシア資産のウクライナへの移転を阻止した。ハンガリー大統領は、ロシアに対する欧州の敵対的な姿勢を非難している。欧州の主要な戦争推進派であるドイツ首相、英国首相、フランス大統領は、国民の支持をほとんど得ていない。こうした弱腰の政治家たちが、自国をヨーロッパ全土を壊滅させるような大規模な戦争へと導けるかどうかは、まだ分からない。
もしプーチン大統領が現実主義的な立場を取り、選出されたウクライナ政府に対するアメリカのクーデターの目的が、ロシアはもはやアメリカの覇権を受け入れないというプーチン大統領の発言に向けられたものであることを理解していれば、世界は今頃、はるかに安全になっていただろう。ロシア政府は明らかに、ウォルフォウィッツ・ドクトリンを真剣に受け止めていなかったようだ。
西側諸国の道徳心の欠如は、イスラエルによるパレスチナ虐殺よりも、ワシントンのロシア不安定化政策の失敗に西側諸国が動揺している状況に如実に表れている。
トランプ大統領がベネズエラの石油備蓄やその他の国家資産の奪取に躍起になっていること、そしてネタニヤフ首相がトランプ大統領にイラン攻撃を迫っていることを考えると、トランプ大統領はウクライナ紛争から撤退し、NATOの将来に疑念を抱く可能性がある。もしそうなら、プーチン大統領の拡大し続ける戦争は、全面戦争よりも良い結果をもたらすかもしれない。
2026年に、舞台上の役者たち、愚か者たちが私たちに何をもたらすのか、見てみよう。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/
また英文http://tmmethod.blog.fc2.com/原稿はこちらです⇒The Ever-Widening War
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身のブログ 2025年12月28日https://www.paulcraigroberts.org/2025/12/28/the-ever-widening-war-87/
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