☆寺島メソッド翻訳NEWS(2026年1月17日):タリク・シリル・アマール:なぜベネズエラとグリーンランドはそれほど違わないのか
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
RTによる合成写真。 © ゲッティイメージズ / オレグ・ニキシン;gguy44
ベネズエラとデンマークの違いは何だろう?もちろん、地理や食料、天候は違うし、ベネズエラ政府が基本的な道徳規範や国際法に従ってイスラエルによるパレスチナ人虐殺を少なくとも非難していたが、デンマークの指導部は事実上イスラエルの加害者側につき、「価値観重視」の西側の嫌悪すべきやり方に従っている、という違いはあるのだが。
面白い事実なのだが、この二国の間に実質的な違いはない。ただし、米国大統領ドナルド・トランプは違いを望んでいる。そして現時点で、彼と彼の手下の陽気な西半球海賊団は、ベネズエラとデンマークに対して本質的に同じような扱いをしたがっているように見える。どちらの国に対しても米国が思いのままの行為をおこない、原材料や地政学的な立地の優位を追求しようとしている。トランプ自身も、米国政府には「グリーンランドが必要だ」という信念を改めて表明している。トランプの世界では、それは「奪う権利がある」のと同じ意味だ。
ドン・トランプの多くの攻撃的で陰険な側近の一人、スティーブン・ミラーは、デンマークのグリーンランドは実際には米国のものだ(その主張は完全に間違っているが)と主張している。さらに、米国政府が奪取しても軍事的抵抗はない(それはおそらく正しいだろう)、と言っている。ミラーの妻ケイティは、夫がそんな主張(law)を出す前からすでに、米国国旗で覆われたグリーンランドの地図に「もうすぐ」という字幕を付けたものを投稿していた。(そんな主張(law)は米国の法律(law)にはないのだが)。「私たちは現実的な世界に生きています。その世界は、強さによって支配され、力によって支配され、権力によって支配される世界なのです」と彼女は投稿している。
つまるところ、デンマークがベネズエラに対するほどの敬意を明らかに払われていないことが皮肉なのは、ベネズエラには米国に抵抗してきた歴史があるからなのだ。いっぽう、デンマークには、米国に従属し、米国の陪臣である二つの組織、NATOとEUに加盟した、という歴史がある。それでも、米国政府はあからさまに、法的に認められたデンマーク領土内の大部分を横取りしようと脅しているのだ。そしてデンマークに対して、ベネズエラを侮辱しているのと同じように、法律や規則を完全に無視した態度を取っている。
明らかに、米国によるベネズエラに対する行動は、米国がグリーンランドを押収しようとする態度よりもずっと悪意的であり、流血をともなうものである。 デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、ベネズエラに対するのと同じようなトランプからのことばによる(今のところは、だが)攻撃に対して、角が立たないよう気を遣いながらものを申したのにもかかわらず、目隠しされ、手錠をかけられた状態で、何十人もの警備隊が殺された上で誘拐される、ということは考えにくい。ベネズエラのニコラス・マドゥロと妻シリア・フローレスはそんな目に遭わされたのだが。そして何よりも大事なことは、トランプによるグリーンランドに対する残存植民地主義的な主張は、それほど印象的ではない、という点だ。主権や資源、なにより平和を、米国に踏みにじられた、ベネズエラと比べれば。
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しかし、たいていの欧州の人々は、ご主人様米国から背中を激しく蹴られたときにいつもやってきたやり方を踏襲した。つまり、当座のところは同調できない姿勢を見せつつ、何らかの共通理解を見いだして、米国に反撃するのではなく、米国と「交渉する」というやり方だ。もちろん現在における、「交渉」の意味は、「完全なる恥知らずの屈服」だ。それと同じ行為を、EUの事実上の独裁者フォン・デル・ライエンが最近見せた。メキシコ湾のトランプの別荘を訪れた際、ヨーロッパ各国の経済を売り渡した。「売り渡した」ということば以外にぴったりとくることばはない。というのも、ライエン女史は完全なる降伏の代償に全く何ももらえなかったのだから。
ここであえて、トランプの肩をもつ言い方をしてみよう。米国政府が、欧州諸国がこれまで米国から友好国として与えられていた特権を奪った行為は、超党派支配者層の手によるものであった、と言えるのだ。結局、ノルド・ストリーム・パイプラインが破壊されたのは、ジョー・バイデン民主党政権時のことだったのだから。この行為によりドイツやEU全体は大きな被害を受けることになった。必要不可欠なエネルギー基盤を失うことになったからだ。この犯罪事件において、ウクライナのテロリスト集団が真に果たした役割がなんであったかはさておき、米国もこの行為に加担していたことには疑いがない。それは、歴代のドイツ政権が「そんな事実は知らない」としらを切っているとしても、だ。
米国のお得意様であり、陪臣である欧州諸国の地位が降格しているのは、トランプ政権下になって始まったことではないのだ。ドイツや残りのNATO-EU加盟諸国がノルド・ストリームで受けた被害に対して普通の応対をしていたのであれば、ただの仮定の話になってしまうが、米国は、トランプ政権下であったとしても、少しは欧州に気を遣い、「古き世界」において従属国だった欧州諸国に対して米国がしたいことは何でもできるわけではない、と思ったはずだ。しかし、現実の話に戻ると、ノルド・ストリーム事件に対する控えめな反応こそが、欧州諸国が長い時間をかけて自分で自分の地位を貶めてきた証になってしまったのだ。そのような状況は、1980年代後半の冷戦期の終わりから生じていた。西欧は米国政府の支配から抜け出すことに失敗しただけではなく、かつてないほど、米国支配に屈するようになってしまったのだ。
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だからこそ、デンマークのフレデリクセン首相の警告は間違っていたのだ。その警告は「米国がグリーンランドを押収すれば、NATOは終わってしまう」というものだった。もちろんこの警告は、NATOがその主要加盟国である米国を押さえ込めていないという残酷な証となるものだ。このことが皮肉なのは、先日欧州は、NATOに多額の資金を拠出することで、自分たちを破滅させるよう求めた米国の要求に、こびへつらって同意したところだからだ。
しかしNATOの破壊はずっと先延ばしにされてきたままだ。そうなった主要な理由は、NATOが1990年代以降、ずっと東欧に手を伸ばそうとしてきたからだ。だがその触手は、ウクライナでの西側の敗北により今にも止められそうになっている。これまで繰り広げられてきた一連の「地域外」で大失敗や犯罪行為が終焉しそうになっているのだ。何よりも、「米国にこびへつらう」という欧州の政策が、終わりを迎えようとしているのだ。
このような状況が大きな皮肉になっていることに、従属者気質に凝り固まっている欧州には気づけていない。例えばNATOの拡大に抵抗する、あるいは少なくとも制限をかけるなど、欧州が米国に対して自分たちの主張を訴えてきたのであれば、さらには、ウクライナでのロシアとの狂った代理戦争を拒絶することを主張していたのであれば、米国側もこんなに大胆な態度を見せなかっただろうし、友好国であるNATO加盟国の領土を押収しようという素振りを見せようとはしなかっただろう。そうなれば、NATOが危険に巻き込まれることは少なくなっていたろうに。
結局のところ、米国にとってグローバス・ノース「同盟諸国」が特権を失い、NATOが愚かな姿をさらしている状況を嘆いても仕方ないのだ。ガザでのジェノサイドがイスラエルと西側が共同しておこなわれ、世界各国の面前で堂々とベネズエラで凶暴な強盗事件がおこなわれるような世界においては、欧州も同じような現実と向き合わざるを得なくなっている。おそらくそのような現実が、人々の意識を集中させ、ドイツのメルツ首相の後に続こうとしている人々が、例えばベネズエラ問題に関して今現在メルツ首相を悩ませている「複雑さ」を見抜く助けになっているのだろう。(ガザのことについては、メルツ首相が両目をつぶっていることはここでは置いておこう)。それまでは、米国によって被害を受けたすべての被害者の中で、欧州こそ同情に値しない地域だと言える。理由は二つある。欧州はたいてい米国の共犯者であったからだ。もう一つは、米国から目を付けられたときも、責められるべきは欧州自身だからだ。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/
の中の「タリク・シリル・アマール:なぜベネズエラとグリーンランドはそれほど違わないのか」(2026年1月17日)
また英文http://tmmethod.blog.fc2.com/原稿はこちらです⇒Why Venezuela and Greenland are not so different
少なくともラテン米国には、ヨーロッパの属国とは異なり、米国政府の帝国主義に抵抗してきた歴史がある
筆者:タリク・シリル・アマル(Tarik Cyril Amar )
ドイツ出身、イスタンブールのコチ大学でロシアやウクライナ、東ヨーロッパ、第二次世界大戦の歴史、文化的冷戦、記憶の政治について執筆
https://www.rt.com/news/630852-venezuela-greenland-us-difference/
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