【連載】ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン
ノーモア沖縄戦

メールマガジン第50号:「沖縄県知事の一番の使命は県民の命と安全を守ること」-県への要請行動を行いました。

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会

今週の南西諸島軍事強化トピック(8月15日~21日)

◇岐路の「戦後」 続く緊張(琉球新報 2022.8.16)
◇中国侵攻シナリオ初掲載 防衛白書 台湾演習と酷似(沖縄タイムス 2022.8.15)

戦後77年、8月15日の沖縄2紙の社説を引用しよう。両紙とも「終戦」ではなく「敗戦77年」のタイトルである。琉球新報「中台に最も近い南西諸島に自衛隊のミサイル基地配備が続く(略)武力に対し武力で対抗する軍拡競争を続ければ、いずれ破滅するだろう(略)77年前沖縄は戦場にされた。

今、対中抑止を名目に南西諸島に自衛隊基地を増強(略)隣国との摩擦を増やすのなら、同じ過ちを繰り返す」。沖縄タイムス「朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争、アフガン戦争など、戦後、米軍が関わった戦争のたびに、沖縄基地は後方支援や補給基地の役割を果たした。そして今も沖縄は戦争に脅かされ続けている。台湾や沖縄が戦場化することだけは何としても食い止めなければならない」。

台湾有事、沖縄の戦場化の危機を地元紙社説が取り上げることが多くなった。戦争の危機を肌身に感じる読者の投稿も増え、載らない日がないほどだ。しかし地元紙の論調はまだまだ弱いと感じる。

8月16日掲載の共同通信配信記事を引用する。「軍事評論家の前田哲男氏は『自衛隊と米軍は日常的に行動を共にしている。台湾周辺で不測の事態から武力行使に発展する危険もある』。流通経済大の植村秀樹教授(安全保障論)は「米国の戦争に巻き込まれることを日本政府が拒否できるとは思えない」と批判する。ある自衛隊幹部は『米中の有事で戦場となるのは、台湾に近く米軍基地がある沖縄を中心とする日本だ』と漏らした」。

軍事専門家が「米国の戦争に日本が巻き込まれるのは確実」と見ており、自衛隊幹部は「戦場になるのは沖縄が中心」と見ているのである。

日米は台湾有事に向けて、「戦争シナリオ」とも形容される「日米共同作戦計画」の立案を進め、先の環太平洋合同演習(リムパック)では、自衛隊が「存立危機事態」を想定する実動演習を初めて実施した。他国(米軍)への攻撃が日本の危機にあたると認定し、自衛隊が反撃に加わる訓練という。岸防衛相は「武力の行使を伴うシナリオ訓練」と説明している。台湾有事に米軍が関与し、中国の攻撃を受けた米軍を支援するため自衛隊が反撃に加わる「戦争シナリオ」が練られ「実動訓練」に踏み込んだのである。

リムパック演習と同時期に東京では「防衛相経験者、元自衛隊幹部」らが「台湾有事を想定する机上訓練(シミュレーション)」を行ったことを朝日、日経新聞などが報じた。

尖閣の緊張激化と衝突に併せて中国が台湾周辺にミサイルを撃つシミュレーションにより「自衛隊投入のタイミングを協議」。尖閣有事は日本への「武力攻撃事態」、台湾有事は自衛隊が米軍を支援する「存立危機事態」に認定した(朝日)という。

尖閣有事、台湾有事の戦争シナリオが日米政府、米軍・自衛隊関係者の間で綿密に練られ、有事即応の訓練が積み重ねられている。いつ、どこで、どのような形で始まるか誰も予測はできないだろう。確実なのは「沖縄が戦場になる」という見方だ。沖縄を犠牲にする戦争シナリオを県民は受け入れるわけにはいかない。

◇知事「訓練提案」に驚き 県政基本は「ぬちどぅ宝」(琉球新報 2022.8.16)
◇日米共同作戦 県に反対要請 市民団体(沖縄タイムス 2022.8.20)
◇復帰50年合わせ 基地撤去求める 国内識者ら、政府に(琉球新報 2022.8.20)

「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」は8月19日、玉城デニー知事に宛てた沖縄の戦場化に反対するよう求める要請文を県に提出した。本日のメルマガで県とのやり取りを詳しく報告しているのでご覧ください。玉城知事に面会を求めたがかなわず、池田副知事の対応となったことは県民が抱く危機感とのギャップを思わせた。

当会の要請文は「県民の命を守ることが知事の最大の責務」と指摘し、「日米共同作戦計画」、沖縄の戦場化に反対するよう知事の明快な決意表明を求めた。玉城知事には引き続き「南西諸島のミサイル基地化」、日米の軍備強化に反対するよう強く要求していきたい。

先に神奈川県知事と会談した玉城知事が、米軍・自衛隊を交えた大規模災害訓練の沖縄開催に「必要」との判断を語り、「在沖米4軍調整官に相談したい」と語ったとの報道についても批判をぶつけた。池田副知事は「沖縄県が訓練を実施する計画はない」と答えた。災害訓練を名目に有事に備えた「戦争準備の避難訓練」となることは明らかだ。知事の言葉は重い。台湾有事=沖縄有事に向かうあらゆる事柄に反対する明快な発言が求められている。

県知事への要請文提出の地元2紙の扱いは小さい。琉球新報は記事掲載が週をまたいで8月22日に遅れた。告示に向けた知事選報道も「辺野古新基地」を争点とする記事が中心で、沖縄が戦場になろうかという台湾有事、南西諸島の軍備強化への視点は弱いと批判せざるを得ない。両紙は「二度と沖縄を戦場にしない。戦争のためにペンを握らない」ことを社是としているはずだ。沖縄の新聞、メディアの姿勢も問われている。

◇CVオスプレイ飛行停止 米空軍、相次ぐ事故で 普天間MVは訓練継続 安全性巡り議論再燃も(沖縄タイムス 2022.8.19)
◇頭上に欠陥機 住民不安 米訓軍オスプレイ飛行停止 全機種の停止求める(沖縄タイムス 2022.8.19)
◇CVとMV 構造9割共通 特殊作戦用のCV 高い事故率(沖縄タイムス 2022.8.19)
◇オスプレイ不具合2010年 海兵隊、普天間配備前 「大惨事なし」運用継続(琉球新報 2022.8.20)

米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイの不具合を理由に米空軍がすべてのCV22機種を飛行停止。海兵隊は運用するMV22機種の普天間基地などでの飛行を継続している。「エンジンとプロペラのローターをつなぐクラッチが噛み合わなくなる不具合」(琉球新報)とされる。不具合はCV22だけでなくMV22にもあり、海兵隊は2010年に不具合を認識しながら「パイロットへの緊急対応訓練を行っている」こと、「この危険(不具合)に起因する大惨事は一度も発生していない」(琉球新報)ことを理由に飛行訓練を継続している。

「プロペラにつながるクラッチ」の不具合は、素人が読んでも「即墜落」の重大事故につながる危険性が伝わる。「これまで大惨事が起きていない」ことが飛行継続の理由になるはずがない。海兵隊オスプレイは台湾有事に対処する離島展開作戦の輸送任務を担う。軍事訓練を優先し、危険にさらされる県民の命と安全を軽視していることはあまりにも明白だ。米軍の措置を受け陸上自衛隊もオスプレイの飛行を見合わせた。であれば普天間のオスプレイに対しても日本政府は飛行停止を求めるべきだ。

8月15日(月)
http://nomore-okinawasen.org/2412/
自衛隊運用にベール 大本営発表は過去のものか(沖縄タイムス 2022.8.15)
中国侵攻シナリオ初掲載 防衛白書 台湾演習と酷似(沖縄タイムス 2022.8.15)
特別寄稿 度が過ぎる「台湾包囲」▼下 (沖縄タイムス 2022、8.15)

8月16日(火)
http://nomore-okinawasen.org/2433/
岐路の「戦後」 続く緊張(琉球新報 2022.8.16)
離島市町村議長ミサイルに抗議 中国大使館に決議文(沖縄タイムス 2022.8.16)
対立米中「対話を」与那国住民(琉球新報 2022.8.16)
蔡総統と米議員団会談 台湾 中国は軍事演習で対抗(琉球新報 2022.8.16)
知事「訓練提案」に驚き 県政基本は「ぬちどぅ宝」(琉球新報 2022.8.16)

8月17日(水)
http://nomore-okinawasen.org/2447/
米軍再編へ協力確認 日米防衛相会談 韓国も連携深化(沖縄タイムス 2022.8.17)
中国、台湾駐米代表ら制裁 米軍はICBM発射実験(沖縄タイムス 2022.8.17)
古屋議連会長 22日台湾訪問 蔡総統らと会談(琉球新報 2022.8.17)
竹富町議会抗議 外交解決求める(沖縄タイムス 2022.8.17)
中国のミサイル抗議決議を可決 宜野座議会、全会一致 中国の軍事演習書面で抗議決議 離島議長会、町村議長会(琉球新報2022.8.17)

8月18日(木)
http://nomore-okinawasen.org/2457/
社説 9.11知事選 辺野古 三者三様 明確な選択肢示し競え(沖縄タイムス 2022.8.18)

8月19日(金)
http://nomore-okinawasen.org/2466/
日中 対話継続で一致 高官会談 台湾周辺演習で対立(沖縄タイムス 2022.8.19)
CVオスプレイ飛行停止 米空軍、相次ぐ事故で 普天間MVは訓練継続 安全性巡り議論再燃も(沖縄タイムス 2022.8.19)
頭上に欠陥機 住民不安 米訓軍オスプレイ飛行停止 全機種の停止求める(沖縄タイムス 2022.8.19)
CVとMV 構造9割共通 特殊作戦用のCV 高い事故率(沖縄タイムス 2022.8.19)

8月20日(土)
http://nomore-okinawasen.org/2482/
日米共同作戦 県に反対要請 市民団体(沖縄タイムス 2022.8.20)
復帰50年合わせ 基地撤去求める 国内識者ら、政府に(琉球新報 2022.8.20)
「情報戦」対策 防衛省強化へ 早期発見へ支持獲得(沖縄タイムス 2022.8.20)
論壇 平和で豊かなアジア切望 外交・友好往来の促進(沖縄タイムス 2022.8.20)
オスプレイ不具合2010年 海兵隊、普天間配備前 「大惨事なし」運用継続(琉球新報 2022.8.20)

8月21日(日)
http://nomore-okinawasen.org/2505/
政府、新戦闘機の輸出模索 英との開発 三原則見直し視野(沖縄タイムス 2022.8.21)
陸自オスプレイ飛行停止 米CV措置受け追加点検 安全性確認まで見合わせ(沖縄タイムス 2022.8.21)
論壇 高まる台湾海峡の緊張 尖閣「4項目」合意に倣え(琉球新報 2022.8.21)
米中対立で変わる気候問題、消える「協力」の象徴(琉球新報 2022.8.21)
豪空軍演習に日独韓初参加(沖縄タイムス 2022.8.21)

文責 新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 発起人)

(「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン第50号」より転載)

 

※ご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。

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