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コロナワクチン後遺症に目を向けよ~医師・長尾和宏さん
社会・経済●病院は結論ありきの対応
この記録映像を踏まえて長尾さんの登場。現場の話には、やはり引き込まれる中身がある。20年11月からこれまで診てきた1700人ほどの患者の中に、コロナ後遺症だけでなくワクチン後遺症と思える例が出てきたという。接種翌日あるいは1週間、2週間後に学校や職場へ行けない症状を訴えてくる。神経内科を紹介しても髄液検査もせず「異常なし」と診断されて戻ってくる。記録映像では45例が現在は73例に増えていても、国が「ワクチン後遺症はない」としている以上、病院は最初から結論ありきで調べる気はない、と長尾さんは憤る。国立病院は「打て打てドンドン」とワクチン接種を進めるだけだ。国の指示に従っていれば実利が得られ、栄達も望めるからだろうと推測する。今更やめると自己否定になってしまう。
ワクチン接種後に亡くなった、公式発表1470人を解剖もせず死因の究明がおざなりなのはなぜか。予防接種法に基づき、接種が原因で死亡した場合、遺族には4420万円と葬祭料約20万円が支払われることになってはいても、これまで受け取れた遺族は一人もいない。1470人という数字も、長尾さんにとっては控えめに映る。体が弱って後に死亡した患者たちを含めれば1万人規模ではないか。亡くなってはいないものの、寝たきりや日常生活が営めない人は数万人に上るのではないかと漏らす。
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*写真説明=長尾クリニックでは21年11月以降、コロナワクチンの接種はしていない。
種痘のような病原体を使った生ワクチンではなく、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが新型コロナに投与されている。ウイルスのたんぱく質の元となる遺伝情報の一部を注射すれば、それに対して抗体が体内で作られるからウイルスへの免疫ができる、という解説を厚労省のホームページ等で見ることができる。40代以下にワクチンは勧められないと体感する長尾さんにとって、小児接種なんてとんでもない。
「子どもにはエビデンス(根拠)ゼロ、メリットゼロ」と言い切る。同居する高齢者を感染から守るために打つよう奨励されているが、これも裏付けはない。臨床試験(治験)が終わらないままの特例承認ワクチン。オミクロン株に効果があるのかないのかも実のところは分からないのだ。
●特効薬はイベルメクチン
新型コロナの特効薬にイベルメクチンがある。12ミリグラム錠を3日間、飲むだけ。インドやブラジルなどワクチンが行き届かない国ではイベルメクチンを治療薬として認めている。イベルメクチンは、ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智・北里大学特別名誉教授らが微生物から発見・抽出したエバーメクチンを元に米メルク社と共同開発した抗生物質。元々は感染症を引き起こす寄生虫を駆除するためだったのだが、なぜか新型コロナにも効くと分かって世界で注目されている。すでに特許が切れており、安価なジェネリックを個人輸入している人は少なくない。日本でまだ認可も推奨もされていないこのイベルメクチンは、興和(名古屋市)が現在、治験を重ねており、製品化される日も近い。
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Ivermectin is not a brand name: it is the generic term for the drug.

1959年、北九州市生まれ。明治大学文学部卒業。毎日新聞社を2024年退職。単著に『戦争への抵抗力を培うために』(2008年、青雲印刷)、『それでもあなたは原発なのか』(2014年、南方新社)。共著に『不良老人伝』(2008年、東海大学出版会)ほか。