[講演]広瀬隆(作家) 二酸化炭素地球温暖化説は根拠のまったくないデマである〈前編〉

季節編集部

・考古学と氷からわかる氷河期と温暖期の周期

もう少しわかりやすい話にしましょう。考古学の常識を見ていきます。[図表18]は6500年~5500年前の関東地方の古代の河川流域と貝塚を、現在の関東の地図上に重ねて描いたものです。小さい点々が貝塚です。貝塚といっても海の貝が出土しているところ。それがどのように点在していたのかを見れば、海岸がどのような状態だったかがわかります。

ここから、栃木県あたりまで海が入り込んでいたことが明らかですね。つまりこの時代は今よりはるかに温暖な気候だった。だから、海がそこまで入り込んでいた。つまり、地球上の氷河が溶けて海面が上昇し、海が陸深く入り込んでいたわけです。縄文時代に石炭や石油を使っていましたか。使っていませんよね。

それをもっと長期間、45万年間の地球の気温の変化を調べることができるのです。[図表19]は南極中部のロシアのボストーク基地の氷の分析によってわかった気温変化です。

Russia January 4, 2022 Kaluga, view of the rocket east on a cloudy winter day

 

これを見れば、45万年の間に地球では氷河期と温暖期の周期が交互にやってきていることがわかります。しかもその45万年間、人類はずっと生きていたんですから、IPCCが過去100年で気温が一度上がったと騒ぐこと自体がおかしいんですよ。

南極や北極の氷を分析して、なぜ数十万年前の地球の気温を知ることができるのか。これも複雑な説明になるので簡単に言うと、同位体という中性子の数がちがうため質量もちがっている元素が、まれに存在しています。その同位体の比率を測定することで、古代の気温を正確に推定できるようになったわけです。これを炭素年代と言います。

最初に述べましたが、1908年に「CO2が地球を温暖化させる」という仮説が提唱されました。しかし現在の気候科学研究の水準からすれば、ミランコヴィチ・サイクルも知らず、南極・北極などから採取した氷の炭素年代測定も知らず、スヴェンスマルクの宇宙線の測定の最新データも知らない時代の仮説ですよ。そんなのはSF小説だなんて、現代の地球物理学者は当然理解しています。

ところが、真鍋淑郞という男はそんな幻想の「気候モデル」式を数値化し、1960年代に発表した。しかし1960年代~70年代は全世界が寒冷化。この男はその当時、詐欺師として大恥をかいたわけです。しかも、そんな研究にノーベル賞選考委員会とIPCCが、何かを企んで賞を与えたわけです。その真の目的については最後にお話しします。

一方で、2021年には太陽の黒点が激減し、地球の寒冷化が起ころうとしています。台風は減っているし、海水面も下がっている。CO2温暖化のためではなく、1700年代から始まった自然現象として気温が上昇していたわけでした。

・気温データの「加工」

ならばどうしたらいいのか。エネルギー問題をどうするのか。今後のエネルギー問題について人類はどのような選択をするべきか、ということを具体的に考えていきましょう。

私はすでに何度も繰り返してきましたが、エネルギー利用の三大原則というものにつきます。それは、

(1)危険なもの、公害物質を排出しない。だから放射能を出す原発は絶対にダメです。
(2)機械的な(あるいはコンクリートによる)自然破壊や景観破壊を絶対しない。巨大ダムはダメ。リニア新幹線なんてとんでもない。それからメガソーラーや風力発電もダメです。ここまでは誰でもわかるはずです。
(3)そして、無駄な熱排出の少ないエネルギー利用法を使いましょう。

ということです。この大原則は、地球温暖化にも関係することなのであとでくわしくお話しします。

その前に、地球の気温データを誰が決めて温暖化を議論しているのかを知っておく必要があります。渡辺正さんの『地球温暖化狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ』(丸善出版、2018年)という素晴らしい本があります。2018年の発刊なので、資料も新しいものです。

著者の渡辺さんは1992年~2012年まで東京大学教授で、その後は東京理科大の教授を務めておりました。「鳥取県の農家に生まれ植物になじんだ」と自ら語る通り、植物と自然の営みから考えて、地球温暖化説は異常なホラ話であることを実証的に論じております。

ただし、これはあまり話したくないのですが、同書の最後を読むと彼は原発や核融合についてはくわしくないようです。「そこはちがいますよ」と私としては指摘したい部分もありますが、今日はその点には触れません。

その渡辺先生が本書の中で、公表されている「全世界の気温データ」が信頼できるかどうかを詳細に検討しています。そして、「世界各国の気象機関が得た実質値の気温データは、NOAA(アメリカ商務省海洋大気庁)の下部組織であるNCDC(アメリカ国立気候データセンター)が『加工』してから世界気温として公表している」とあったんです。びっくりするでしょ。測った気温をそのまま発表してほしいですよね。

NASA(アメリカ航空宇宙局)、GISS(ゴダード宇宙科学研究所)、イギリス気象庁のCRU(気候研究ユニット)も、NCDCの気温データを入手し、やっぱり同じように「加工」して世界気温として公表しています。そしてこの3つの組織の人々が、地球温暖化説の権威者たちだとも書いています。

つまり、「温暖化」と言う際の「気温」は、実測された温度データではないのです。こんな数値が地球温暖化議論の前提になりますか。そして、なぜ気温データを加工するのか。NCDCたちは、加工する理由を、①温度の測定時刻が変更された時。──これはわかります。②温度の測定方法が更新された時。──むかしはアルコール温度計でいい加減に測っていたわけですから、これもわかる。③観測地点が移動された時。──これもわかります。ここまでは加工してよいでしょう。

ところが次がわからない。④近い観測地点の気温は似ているはずだと考えて互いに補正する。──この意味がわからないと渡辺先生も書いていて、私もわからない。しかも、この近い距離とは1200キロメートル圏内だっていうんですよ。1200キロという距離は、青森と福岡の気候が同じだと見なして調整することになります。これは正気と思えません。

[図表20]は1850年から2012年までの「世界の平均気温データ」です。このグラフに地球温暖化説の「権威者」たちは、左下から右上に直線を引いて「一六二年間、地球の気温は上昇し続けている」と言って騒いでいる。だけどいいですか、大昔からの気温はわかっている。

その結果、北極圏グリーンランドの氷の分析で推定された北極圏の気温は、ずっと下がり続けています([図表21])。その間、南極の氷の分析で推定されたCO2濃度は上がり続けているのです。この氷の分析と彼らの話が全然合わないじゃないですか。

先ほどの「162年間、上昇を続ける地球の気温」と宣伝されている[図表22]をよく見てください。気温データは1850年から始まっていますが、この大昔に暑いアフリカの気温データなんてあるはずがない。当時のアフリカの人たちは気温なんて測ってないですよ。

1950年代から人類は石炭・石油火力を使い始めた。だけど、その前の時代の1910年~1940年と最近が同じ勾配で気温が上昇している。これもヘンですよね。CO2排出量が急増した1960年~70年代は寒冷化して、氷河期到来と騒がれていた時代です。

そして、渡辺さんは面白いところに気が付いた。1880年と1940年。これは60年周期での気温のピークです。これは先ほどの大西洋の海水温度には60年~80年の周期があるというのとぴったり合う。私はこれには気が付きませんでした。

・都市化とヒートアイランド

しかし一方で、夏場になると毎年最高気温、最高気温と報道されますよね。それは世界中で都市化がどんどん進んだからです。その点を次に説明します。

[図表23]は、1980年代と2000年代の20年の間での関東地方における30度超えた延べ時間数の広がり(5年間の年間平均時間数)の比較です。出典は信用できない日本の環境省のものですが、この20年間でこんなに変わったのです。

ヒートアイランド現象という言葉もよく聞いていると思いますが、ヒートアイランドとは「熱い島」、つまり島状に高温になる現象。ところが首都圏などは人口密度が増え、都市部が広がったため、島状ではなくより広い範囲が高温になって「ヒートエリア」が拡大しています。首都圏では筑波山あたりの山の中まで熱が行っている。

でもヒートアイランドの方がわかりやすいので、今日はこちらを使います。渡辺さんはこうしたヒートアイランド現象を世界的に証明してくれました。例えばインドの首都デリーにおける都市化の例(2012年)、2016年までの25年間の香港の平均気温の変化の例などで、都市部での温度上昇と、郊外での温度下降を検証しています。

日本ではこの三宅島の平均温度を渡辺さんは例に出しています。東京都心から180キロ離れた三宅島の平均温度は1950~2015年の65年間、まったく上昇していません。こうやって各地のデータを見ると、地球全体が温暖化しているのではないことがわかります。

温度はなぜ上がるのでしょうか。原理的に次の2つの方法しかありません。一つはストーブのようなもので「直接加熱」する方法。もう一つは、建物を断熱材で覆う、人間なら防寒具を着るといった「放熱防止」。「温室効果」もこれと同じ原理です。そして多くの人が混同していますが、二酸化炭素温暖化は「温室効果」による地球全体の気温上昇。対してヒートアイランドは狭い地域の気温上昇です。

これを言い換えれば、寒い冬の日に家の中でストーブをがんがん燃やせば室内の温度はぐんぐん上がります。けれど外の気温は変わりません。温暖化とヒートアイランドとはまったく関係のない話なんです。

それで実際に起こっているのは、二酸化炭素温暖化ではなく、都市部のヒートアイランド現象です。ヒートアイランドの原因は、自動車の排熱と電力消費にあります。さらに都市化によって熱容量の小さなコンクリートやアスファルトが増えると表面の土の面積が減るんで気化熱が奪われず、地面の温度は上昇しやすくなる。

だから、その上の大気の温度も上がっていきます。それを早稲田大学の尾島俊雄教授が「東京23区の排熱原因」の例で数値的にきちんと証明しています。

Aerial photograph of Tokyo urban area

 

[図表24]は今から20年ほど前のデータですが、基本的には同じです。東京23区の排熱の原因の約半分(47%)は建物から出る排熱です。建物というのはエアコンとかですよ。次に工場からの排熱が29%。自動車が20%、人間からの排熱は4%という割合です。

この単位はジュールといって電力のワットに秒をかけたものですが、これで計算するとヒートアイランド現象で東京の都心はおよそ10度も気温上昇が起こっている計算になります。どういうことかというと、自動車700万台、エアコン900万台の都市熱は、太陽もう1個分くらいの熱を出していることになります。

都市が冷えないために何が起こるか? 熱帯夜です。熱帯夜とは最低気温が25度以上の夜。[図表25]は日本の八都市(福岡、松山、境、京都、名古屋、東京、前橋、仙台)における戦前(1931年~1940年)と近年(1991年~2000年)の熱帯夜の年間平均日数の対比グラフです。

私がこのグラフを描いてみて一番驚いたのは名古屋です。今の名古屋はとにかく暑い。ところが戦前の名古屋では熱帯夜の日数はゼロに近かった。それほど戦前と戦後は違っています。都市化で暑くなったのです。

Urban landscape of Nagoya in Japan

 

つまり、地域的に気温を上げる原因となったのは、温暖化ではなく、人類が直接排熱する熱の方がはるかに顕著なんです。その総和として、地球全体の平均気温が見かけ上、上がってしまう。

特に驚くのは、冬のヒートアイランド現象です。皆さん熱いのは夏だと思うけれど、暖房を使う冬の方が夏よりも排熱による気温上昇の寄与率が高い。だから冬の気温上昇率のワーストテンは札幌、帯広が東京に次いで上位に来ている。だけど暑さとして辛いのは冬より夏なので、皆騒ぐわけです。

silhouette map of Hokkaido in Japan on white background

 

ところが気象庁は、日本の年平均気温を算出するにあたって、「都市化(ヒートアイランド)の影響の小さい17都市を選んで発表している」と言っています。気象庁の人たちもおかしい。2018年7月23日に埼玉県の熊谷市で41.1度となり、日本の最高気温の記録が塗り替えられたと大騒ぎになりましたが、この気温上昇の原因はフェーン現象です。

Orographic lift occurs when an air mass is forced from a low elevation to a higher elevation as it moves over rising terrain. As the air mass gains altitude it quickly cools down adiabatically, which can raise the relative humidity to 100% and create clouds and, under the right conditions, precipitation

 

東京の熱気が風に乗って内陸に運ばれて、こうした高温記録が生まれるのです。高温の記録は一番人口が密集している東京都心で起こるかと思いますが、大都市から少し離れた岐阜県、山梨県、埼玉県、群馬県など内陸の山間部で生まれています。

東京など首都圏の中心部では、人口が集中したため「人工的なヒートアイランドの熱の塊」が生まれます。それが風に乗って内陸に運ばれ、地方の大都市を通るうちにどんどん加熱され、フェーン現象と共に山間部の都市に高温を生じさせるからです。

だからヒートアイランドが続く限り、最高気温の記録更新は今後も続きますが、これもCO2とは関係ありません。しかも、全世界の大都市で似たような現象が続いています。

・データ加工は科学的犯罪

NCDCが気温を加工する前(ビフォー)と加工した後(アフター)のグラフを渡辺正さんが面白いデータを出しています。それ[図表26]です。これは、アラスカとハワイを除いたアメリカ本土48州の、1897年から2013年の117年間の平均気温の推移です。点線が加工する前の実測値です。

先ほど説明しましたが、1950年からアメリカも都市化がどんどん進んだ。NCDCがこれを加工する場合、本来ならば都市化の時代の平均気温を下げて調整するべきでしょ。

ところが、戦前の平均気温を下げたのです。逆じゃないですか。[図表27]のように加工前の実測値で見ると寒冷化の傾向でした。ところがNCDCは戦前の気温を下げることで寒冷化を温暖化に化けさせた。そしてこのデータをIPCCが使っているわけです。

[図表28]は「アメリカ合衆国の熱波指数の変化」という面白いグラフです。出典はマーク・モラノ著、渡辺正訳『地球温暖化の不都合な真実』(114頁)で、この本も素晴らしい。私の知らない世界のデータが出ていて、しかも出典が全部細かく追跡できます。そこで、1930年代の熱波数を見てください。そこだけものすごい熱波指数でしょ。アメリカでは1930年代の猛暑が語り草になっているそうです。

なのに、「1930年代は現代より寒かった」と主張するデータを見せられて、アメリカ人がそれを信じますか。結局、多くのアメリカ人は地球温暖化説を信じなくなった。だから、地球温暖化説を否定するトランプは正しいとなって、彼は大統領になった。日本ではトランプの悪口ばっかりですけど、このことに関してはトランプが正しいのです。

[図表29]は渡辺さんが雑誌『化学』(化学同人)に書かれた「続・Climategate事件:崩れゆくIPCCの温暖化神話」で素晴らしい解析を出したものです。上が元グラフ。都市部はヒートアイランドで気温上昇していますが、田舎の気温偏差は同じ時期にまったく上がっていません。

これはIPCCの幹部にとってまずいから、田舎の温度を上げて、都市と田舎の気温偏差を一緒にするという捏造をしたのが下のグラフです。[図表30]を見てください。出典元のUSCRNというところが、ヒートアイランドの影響を受けない木陰とかで測定しようと、アメリカ本土の114の地点で気温を測ったものです。

すると、2005年から2017年の間、アメリカの気温は上下動しているだけでほとんど変化していないことがはっきりしたのです。これで、IPCCのウソが暴かれてしまいました。そればかりか、NCDCに自国の気温データを送る各国の気象庁も同じような加工を行ってきたのです。ところが、日本のマスコミは、その大ウソばかり報道しているんです。

日本とニュージーランドの実例を見てみます。IPCCの発表したニュージーランドの温暖化グラフによれば、ニュージーランドで公表されてきた過去156年間(1860年から2016年)の公式の温度変化は、明白な温暖化を示しています[図表31]。つまり、百数十年間ずっと気温が上がっていることになります。

ところが、クライメートゲート・スキャンダル発覚後に地元の科学者たちがこのグラフも怪しいんじゃないかと同時期の過去150年間の温度変化を調べたら、上下動をしているだけで気温上昇は認められませんでした。私もニュージーランドのオリジナルデータを調べてみました。

この当時IPCCは、地球全体で気温が100年で0.7度上がっていたと騒いでいたんですね。それにニュージーランドの温度変化を合わせているだけで、こんなの温暖化じゃなくて捏造化ですよ。嘘と捏造のオンパレードで信憑性がまったくない。ニュージーランド以外の国でも山のような捏造が明らかになっています。

日本のデータも前から怪しいと私は思っていました。[図表32]の出典は『理科年表』(丸善出版)です。その中に一日の最高気温が25度以上の夏日と30度以上の真夏日の日数データがあります。

北海道の寿都町、他には大島、八丈島、潮岬、足摺岬、室戸岬での観測結果です。過疎に悩む寿都町の町長が、一昨年前に原子力の高レベル廃棄物の保管施設誘致に手を挙げたことがありました。そういう「日本の低人口地域の気温」では、どこも、過去20年間で夏日、真夏日の日数が減っていることが一目瞭然です。

八丈島については渡辺正さんが検証しています。八丈島は東京都心から280キロメートル離れていて、長期的に年平均気温がほとんど変わっていません[図表33]。

ところがそのグラフにあるように、八丈島の平均気温の推移については、3種類あります。1つは加工前の気象庁の実測値で、気温の上下変化はあるけれど110年間、ほとんど変わっていないと先ほど述べたものです。

2つ目はNASAのGISS(ゴダード宇宙科学研所)が加工したもので、1907年~2016年の110年間に1.5度も気温が上昇し温暖化が進んだとされています。

そして3つ目は日本の気象庁が加工したデータで、気象庁も八丈島の気温を上げています。この3種類の八丈島の年平均気温の中でどれが正しいと思いますか?

科学的犯罪でこれを行っていたのがIPCCで、その日本の手先は江守正多という人物。しかもIPCCは、たったいまもこうした気温加工の重大な犯罪を続けています。[図表34]は1945年から2018年までの地球の気温グラフで、気象庁の公表データを元に作られています。そしてこのグラフは、1998年以後「15年間も気温は下がり続けたから、気温上昇はCO2のせいではない」と多くの人がIPCCを批判した時、その元になったものです。

すると、[図表35]のようにIPCCは改竄したんですね。2010年、13年、14年の気温が1998年の気温ピークを超えるようになっています。[図表34]では98年から気温が下がって寒冷化が起こっていたことを示していましたが、それに手を加えて温暖化に変えた。これはいくらなんでもひどすぎる。こういう人間たちが地球温暖化説を煽っているんです。

・CO2を否定的に見るのをやめて建設的に考えてみよう!

ここからは、もっといい話をします。CO2の悪口ばかり言っていたけど、CO2ほど素晴らしいものはないという内容です。「地球の気温をCO2が決定している」という説は間違っていることは判明しました。しかし「化石燃料の大量消費とCO2の排出を抑えるべき」だという意見には、かなりの人が同意すると思います。

でも、これは世界人口を考えた時に正しいでしょうか、実は私も以前から、人類最大の問題は人口増加が止まらないことじゃないかと考えてきたのですが、最近の国連人口局の推計を見ると北米、中南米、ヨーロッパ、アジアでは人口が減って高齢化が進んできています。アフリカだけがいまだに人口増加です。人口問題はそれほど大きな問題ではないかもしれない。しかしまだ当分は世界の人口は増えるでしょう。そうすると、食糧問題をどう解決するかとなりますよね。

ところで、みなさんも光合成という言葉を教わりましたよね。太陽光の電磁波エネルギーを光化学反応によって炭酸同化作用を起こし、生命の源となる有機物を大量に生み出すことです。最近学校では、この当たり前の化学式を教えないそうですが、炭素(C)と酸素(O2)で二酸化炭素(CO2)ができる。水素(H2)と酸素(O)で水(H2O)ができる。

そして、水(6H2O)と二酸化炭素(6CO2)からブドウ糖(C6H12O6)と酸素(6O2)ができます。植物の光合成では、光から得たエネルギーを使って空気中の二酸化炭素と根から吸い上げた水を使って炭化水素=炭水化物(糖分)を合成して、水を分解しながら、大気中に私たちの呼吸に必要な酸素を供給してくれる。これが光合成という反応ですね。

teaching poster with the process of cellular respiration of a growing plant with leaves. photosynthesis in nature. vector illustration

 

私たちは酸素がなければ生きていけません。その酸素は水とCO2から出てくるんだから、低炭素社会に住みたい人間たちは地球から出ていけって思います。斎藤幸平や平田仁子は地球から出ていってから叫べばいいんです。

なぜ低炭素社会ではダメなのか。石油や天然ガスや石炭を燃やせば、CO2が大気中に出てくる。そのCO2の7割を植物が光合成に利用しているのですよ。炭素(C)も植物に重要な元素で、その大部分は化石燃料由来です。化石燃料が燃えることによって緑が増えて地球の緑が増えている。

有機農業の有機(オーガニック)というのは、炭素化合物という意味ですよ。さっきの渡辺さんの本に驚くべき表がありました[図表36]。ビニールハウス中のCO2濃度を300ppm上げると、ニンジンの収量増加率は1.78倍、ブドウも1.68倍。CO2濃度を上げると、穀物、野菜、果物はこれだけ収穫量が増える。

しかも何十年も前からこうやって栽培されていて、日本だけでなく西ヨーロッパでも炭酸ガス栽培が広がっているんです。そのうえ、リンゴやお米の長期貯蔵にも炭酸ガスを増やすと長持ちしますし、マメ科の植物が必要とする根粒バクテリアの増殖にもCO2は「魔法のガス」と言われています。ビールや清涼飲料水にも入っていますし、重曹として知られる炭酸水素ナトリウムも調理によく使われるでしょ。

CO2には高い利用価値が山のように報告されているんです。CO2を「二酸化炭素」と呼ばずに「炭酸ガス」と呼べば誰にでもわかる話ですが、炭酸ガスは人体の血行促進の効果もあり医学的にも実証されています。つまり、人間になくてはならない必須の化合物が炭酸ガスなんですよ。

渡辺さんの本には「世界の穀物 生産量、消費量、備蓄量」[図表37]というデータも掲載されています。なんと2007年~2017年の10年間で、生産量も備蓄量もこんなに増えています。なのに炭酸ガスを減らして、穀物の生産量を全部ガタンと落としていいんでしょうか。

1765年にジェームズ・ワットが効率的な蒸気機関を発明し、その頃から250年ほど経って、穀物生産量は当時から比べると2倍に増えています。もちろん、農業技術も進歩しました。しかし理由はそれだけじゃないんです。

化石燃料を燃やして大気中のCO2濃度が上昇したから、生産量も増えたんですよ。だから、CO2を汚染物資に指定したオバマ元米大統領は犯罪者であると、アメリカでは科学者60人が連名で批判しています。2019年のCOP25会議では、IPCC系の自称・環境保護運動家に対し、ヨーロッパの膨大な数の農民たちは数千台の怒りのトラクター・デモを行いました。農家の人たちは地球温暖化論者に本当に怒っています。

Madrid, Spain. December 2019: Climate summit COP25 ad on a billboard in Alcala Street, Madrid. The conference is designed to take the next crucial steps in the UN climate change process.

 

CO2の影響を宇宙から調べている人もいます。1982年~2010年の28年間の人工衛星観測によれば、世界の緑化は増加していて、CO2の増加によるものと結論付けられています。CO2は地球の緑を増やしているのです。1982年~2012年のおよそ30年間で、8カ国24機関の31人の科学者が衛星観測結果を解析した結果でも、

①地球全体の植物の量は10%増えた。
②植生がある場所のうち25~50%で緑が増えた。減った場所はわずか4%。特に緑化が顕著だったのは、サハラ砂漠南部、シベリア、アマゾン流域。
③緑が増えた場所の総面積が1800万平方キロメートルに達していて、これはアメリカ本土(900万平方メートル)の2倍以上。
④そして緑が増加した要因のうちほぼ七割は大気中のCO2の増加によると推定される。
と、雑誌『Nature Climate Change』(2016年4月号)で報告されています。

したがって、先ほど言った、〈「地球の気温をCO2が決定している」という説には同意できない。しかし、「化石燃料の大量消費とCO2の排出を抑えるべき」ということには異論がない〉という科学的意見の後半部分「CO2の排出を抑えるべき」は、植物の成長を考えた時に正しくないし、人体にも食品にとっても間違いなのです。

化石燃料の消費を抑えることは、無駄をなくすという常識です。それと「CO2の排出を抑える」ことを同列に並べられるから、だまされやすいんですね。だから、逆を考えればいい。「植物の成長を遅らせ、人間と生物にとって最も怖い飢餓を起こす」のは、温暖化ではなく寒冷化です。そんなことも知らない人間が集まってるのがIPCCという詐欺師集団です。

 

1 2 3 4
季節編集部 季節編集部

株式会社鹿砦社が発行する季刊誌。「死滅したジャーナリズムを越えて、の旗を掲げ愚直に巨悪とタブーに挑む」を標榜する。

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ