【特集】統一教会と国葬問題

旧統一教会問題が選挙に与えた衝撃、沖縄県知事選で白旗を上げた自公政権

横田一

・底なし沼のような状況

自民党と旧統一教会とのズブズブの関係が岸田政権を直撃、内閣支持率の下落が続いている。9月17日、18日の毎日新聞と社会調査研究センターの世論調査では、前月比で7%減の29%に落ち込み、政権擁護の産経新聞とFNNの調査でも12%減の42.3%とこちらも過去最低を更新した。

News headline that says “Cabinet support”.

 

朝日新聞や日本経済新聞や共同通信なども同様の傾向で、「危険水域に入った」「底なし沼のような状況」(永田町ウォッチャー)という声が漏れ聞こえてくるのだ。

自民党が「天下分け目の決戦」と位置づけていた沖縄県知事選(9月11日投開票)にも、統一教会問題は影響を及ぼした。結果は現職の玉城デニー知事(立民・共産・れいわ・社民・沖縄社会大衆党推薦)が、元宜野湾市長で、前回も出馬した佐喜眞淳候補(自公推薦)と元国務大臣の下地幹郎候補を破り、再選。

テレビ局各社が当確を打ったのは、投票終了直後の20時ちょうど。辺野古新基地反対を今回も訴えた玉城知事が2人の対抗馬を“秒殺”した瞬間、那覇市内の教育福祉会館で開票を見届けようとしていた支援者から大きな拍手と歓声が沸き起こり、万歳三唱と花束贈呈、再選後の初会見へと進んでいった。

沖縄県知事選

 

囲み取材を終えた玉城知事に「統一教会問題は追い風になったと思いますか」と聞くと、「たぶん、なっているでしょう」と即座に答えた。

地元紙の琉球新報は投開票当日、「基地・経済政策に審判」との見出しをつけて報じたが、県政ウォッチャーは「統一教会問題が直撃した選挙戦」と総括。公明党沖縄県本部代表の金城勉県議も選挙戦最終日の9月10日、囲み取材で「統一教会問題がボディブローのように効いた」と語った。佐喜眞氏が最後の街宣を終えた直後のことだ。

先の県政ウォッチャーはこう続けた。

「7月の参院選沖縄選挙区では、自公支援の元総務官僚の古謝玄太候補が敗北したものの、現職の伊波洋一議員に約3000票差にまで迫りました。しかも県知事選と同様に辺野古新基地建設の是非が一大争点で、選挙区の広さも同じ。それで佐喜眞陣営は『県知事選でも接戦となる』と勢いづいたのですが、蓋を開けてみると6万票以上の差がついたのです。参院選後、連日のように報道された統一教会問題が逆風になったのが最大の敗因としか考えられない」。

実際、今回の県知事選は異例のスタートとなっていた。告示日(8月25日)の街宣で佐喜眞氏は、統一教会問題について次のように釈明した。

「連日、統一教会の報道がなされています。たしかに私は、旧統一教会の関係団体の行事に参加をしてまいりました。ただし、会費(の支払い)であるとか、資金の提供を受けたことは一切ございません。ただし多くの方々に不安を与え、誤解を招くような行動をしたことについて真摯に反省をしております。この場をお借りしまして、旧統一教会関連との一切の関係を今後行なわない。(関係を)断つということをお約束させていただきます」。

私は驚きを隠せなかった。自民党の得意技は“争点隠し選挙”だ。都合の悪いことには触れず、得意分野に絞って話すのが常套手段だったが、今回の第一声は違った。

佐喜眞氏が3年間で8回も統一教会や関連団体の行事などに参加したことを地元紙が報道、2019年9月に台湾で行なわれた合同結婚式にも出席した画像がネット上で拡散してもいた。統一教会問題について説明しないと有権者が納得しないところまで追い込まれていたといえる。

公明党支持者の動きも鈍かったようだ。「4年前の県知事選と違って、今回は創価学会員からの電話がかかってこなかった」(那覇市民)とも聞いたが、投票率も前回と比べて5.32%低い57.92%に止まり、自公の“必勝パターン”である期日前投票も前回に比べて5%以上も低かった。自民党と統一教会とのズブズブの関係が明らかになり、公明党支持者のヤル気が削がれていったようにみえるのだ。

自民党も、ヤル気のなさを隠しようがなかった。前回は動員力抜群の小泉進次郎元環境大臣が3回も沖縄入りするなど、大物議員が続々と佐喜眞氏の応援に駆けつけた。当時、官房長官だった菅義偉元首相も県庁前で進次郎氏とそろい踏み街宣、公約の携帯料金値下げを訴えるなど、何でもありの総力戦を展開していたのだ。

 

ところが今回は全く様子が違った。告示日と最終日に小渕優子元経済産業大臣がマイクを握ったものの、重要な選挙で駆り出されることが多い小泉氏や河野太郎デジタル担当大臣の姿を見ることはなかった。

9月2日に予定された菅元首相の応援演説も台風の影響で延期となり、翌週に再設定されることはなかった。自民党が終盤で佐喜眞氏の敗北を確信、途中から手を抜いたのは間違いない。“全力投球”をして敗れた時のダメージを少なくするために、途中で白旗を上げたような状態だったのだ。

対照的だったのが野党陣営。選挙戦最終日の9月10日には、玉城知事を推薦した野党4党の党首が県庁前に勢ぞろいして応援演説をした。自公との力の入れようの違いが可視化され、この時点で結果は見えていたのだ。

 

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横田一 横田一

1957年山口県生まれ。選挙取材に定評をもつ。著書に『亡国の首相 安倍晋三』(七つ森書館)他。最新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)。

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